現場の営業担当に、「勝てる営業プロセス」を浸透するには、営業マネジャーの役割がとても大切だと思います。
「勝てる営業プロセス」を明確にし、それを現場の営業マンに実行させる。
このように言葉で書くと簡単に見えますが、実はそれを持続的に定着させるのはとても困難です。
営業一人ひとりの自主性に依存してしまうと、当然一人ひとりの個性が出やすくなり、また、以前の「自己流の営業プロセス」に逆戻りしやすいようです。営業プロセスの定着には、営業マネジャーが一人ひとりの営業の行動をチェックし、指導し、サポートしていくことが不可欠なんですね。
モニタリングの仕組み
マネジャーは営業一人ひとりの行動をしっかりモニタリングします。あるいは、営業を通じて「顧客」や「市場全体」をモニタリングします。つまり、営業の報告から、マネジャーは以下の役割を果たすことになるわけです。
<モニタリング目的> <マネジャーの役割>
・市場概観把握 ⇒ 営業戦略、方針策定
・商談課題発見 ⇒ 受注促進
・営業の個人課題 ⇒ 営業個人への行動定着(育成)
そのためには様々な手段が考えられます。
・セールス会議
会議は、全員で情報共有するには有効です。しかし、共有だけなら他の手段でも十分なはずで、やはり全員の時間を投資して行う会議は、会議でしか出来ない「創造的ディスカッションの場」としたいものです。
・報告書(日報など)
定型的な報告は日報などで行うと良いですね。ある程度、モニタリングしたい項目をしっかりフォーマット化して、情報のモレなどが起きないように配慮する必要があります。
・グループウェア
報告書は、日々の行動管理には有効ですが、同時に、顧客管理や案件管理にもモニタリングが必要です。しかし、アナログ的なツールだと、同じことを異なるフォーマットで重複して書くといった非効率が生まれます。それをシステム化すると、営業の負荷は軽減できますね。今は、SFA(Sales Force Autometion)などの良いツールがあります。
・1対1対話
すぐその場で解決したい課題があるときは、リアルタイムで報告を求めることも必要でしょう。営業が外出先から帰ってきたらすぐ報告をしてもらう、そして、その場で指示を出す、といった対話も重要な役割を果たします。
モニタリングの目的や内容などに応じて、これらの手段をうまくミックスさせ、しくみとして導入することが求められます。
対策の立案、指示
営業がとるべき具体的行動(対策)は、大きく分類して3つのタイプに分かれます。自分の現状を理解し、自ら適切な目標設定することも必要です。
・営業担当による立案
まず、第一ステップとしては、自ら「Next Action」を設計することが重要です。一般に「日報」とは、「誰と会って、どんな話をしたか?」に終始しやすいところですが、本来、日報のあるべき姿としては、今後の計画書でありたいものです。
いつまでに、どんな行動をとるつもりなのか?営業一人ひとりがPDCAのサイクルを回して、自身の行動を管理すると良いでしょう。
そのための支援ツールなども創っておくとよいですね。「商談管理シート」などのフォームを創って、行動実績、Next Action、目標、リスクいった内容をカバーしておけば良いかと思います。
・マネジャーによる立案
これは、マネジャーの重要な役割です。マネジャーは経験値も高く、多くの情報やナレッジを持っていることが多いので、営業が抱える課題や採るべき行動を都度的確に指示することが必要です。
この指導によって、営業に「勝てる営業プロセス」を定着させることになります。
・営業組織全体による立案
しかし、必ずしもマネジャーが独力で対策立案をしなければならないわけではありません。前述のように、セールス会議を「創造の場」として、営業全員の衆知を集めて対策を考えることは、営業育成、組織活性化などに非常に有効だと思うのです。この時、営業マネジャーは有能なファシリテータとして役割を果たさねばなりません。
行動促進
営業が採るべき「勝てる営業プロセス」上の一つひとつの行動をうまく実行を促す取り組みも必要でしょう。いわゆる「インナープロモーション」といわれるものですね。
テレアポをやるなら、「テレアポコンテスト」を企画するなど、ゲーム仕立ての演出を行うことなどが考えられます。
【参考記事】 ⇒ セミナー録「アポイントメント営業」
その他、社内広報/掲示などで、情報の共有、刺激を促すのも良いですね。
こういったマネージャーの機能が果たされないと、なかなか営業プロセスを革新することは困難です。
ヒトのマインドは変革を嫌います。 そんなマインドを払しょくし、着実に営業変革を巻き起こすには、営業マネージャーの果たす役割は非常に大きいと思われます。
株式会社シナプス 代表取締役 家弓正彦