ソリューション営業に求められる3つの視点、2つの思考

「あなたはお客様のことを100%理解していますか?」多くの方は自信を持って「もちろん!」と答えるかもしれませんが、意外とそれは難しいものだと思うのです。今回は、顧客ニーズを理解するための第一歩として「顧客インタビュー」について考えてみます。

目的を明らかにすること

まず、最初にインタビューの目的を明確化することからスタートです。 ソリューション営業の場合、顧客ニーズを明らかにし、それに対して的確な提案をすることが目的となります。

つまり、

  1. 顧客ニーズ特定
  2. 最適ソリューション提案
  3. 受注獲得

という目的を持っていることになります。


ソリューション提案のプロセス

そもそも「ニーズ」とは何か?

いまさらではありますが、顧客ニーズとは何でしょうか?「お客様が欲していること」などと表現されることが多いようです。もちろんそれは間違っていないのですが、十分とは言えません。

シナプスでは「顧客ニーズ」を説明する時、

お客様の現状と目指すべきゴールとの間に発生するギャップを埋めたいという欲求

と表現しています。

例えば、真冬の会議室がとても寒かったとしますね。エアコンが壊れていて、どうにもならない、、、

そんな時、皆さんはどうしますか?

「厚手の上着を着る」とか「温かい飲み物を飲む」など、様々な対策が考えられます。これら上着や飲み物は「欲しているモノ」ではありますが、本質的なニーズではありませんよね。これはあくまで現状の問題を解決するための解決手段、つまり、「ソリューション」に過ぎません。

あくまで、本質的なニーズとは、「この寒い現状を何とか快適な環境で会議に臨みたい」というものだと思うのです。

明らかにすべき論点

それでは、インタビューによってニーズを特定するために、把握しなければならない情報は何か?ニーズの概念をもとにすると、インタビューの構造が見えてくるはずです。

それは、

  1. 現状の問題構造
  2. 解決すべき原因
  3. ソリューションイメージ

この3点をインタビューによって明確化し、顧客と共有する必要があるわけです。

現状の問題構造

第一の論点は「現状の問題点を明らかにすること」です。

前述の通り、現在抱えているニーズを把握するためには、「顕在化している問題」と「目指すべきゴール」を明らかにする必要があります。そのギャップを埋めることが真の狙いとなります。

納期遅延に悩んでいる企業があったとします。顧客のクチから「業務フローを簡素化したい」と悩みを打ち明けられたとしましょう。

「わかりました!業務コンサルを提案させて下さい」

これでは、お客様の言葉を鵜呑みにしている御用聞き営業に過ぎませんね。

  • そもそも何のために「業務フローを簡素化したい」のか?
  • 顕在化している問題、目指しているゴールはどのような姿なのか?
  • お客様の真のニーズは、このギャップを埋めることに他なりません。

顧客のニーズ

まず「現状」と「ゴール」を整理、明確化することがソリューション営業の第一歩と言えそうです。

問題分析

次のステップとしては、その現状の問題を引き起こしている「真の原因」に迫るべきです。

モノゴトには必ず「原因と結果」という関係があります。何か問題点が起こっているということは、その原因もあるはずですね。結果を望ましいものにしたければ、まずその原因にメスを入れましょう。つまり、ここで明らかにしなければならないのは「問題の因果構造」なんです。

「原因は、おっしゃる通り煩雑な業務フローにありそうですね。」 「しかし、そもそも人手が足りないんじゃありませんか?」 といった他の視点も提供できるとベターですね。


問題を引き起こしている原因

まず、現場の状況などの事実情報を明らかにし、真の原因がどこにあるのかをお客様とともに考えたいものです。

ソリューションイメージ

そして、最終的にはソリューションイメージをお客様と共有します。

業務フローを簡素化したいなら「業務コンサル」が有効かもしれません。しかし、今後事業規模が拡大する見込みなら、「システム導入」によって省力化を目指すことも有効ですよね。また、システム導入の過渡期における短期的対応なら、「アウトソーシング」も有効なソリューションとなるに違いありません。


ソリューションイメージ

これで、当初「業務コンサル」の引き合いだったものが、「システム導入」、「アウトソーシング」という大型案件に変身します。さらに、お客さまにとってもベストソリューションとなるに違いありません。

オープン思考

営業としては担当商品を売るために、他の商材には目を向けたくはないかもしれませんね。

ただ、目標はお客様にとって最適なソリューションを考えることです。そのためには、自社の他部門商品、さらには他社商品を組み合わせて、最適なソリューション提供を目指していきたいものです。

組織の視点に縛られることなく、ソリューション営業ならではの「オープン思考」で顧客に貢献していきたいものです。

インタビューと言っても「共創思考」

インタビューと言うと一方的に傾聴する印象があります。しかし、ここではお客様と共に考え、共に生み出し、共有する創造的な議論の場と考えたいですね。

お客さまも頭の中が整理できているとは限りません。ましてや、解決手段がイメージできていないことも多いはずです。

お客様が望んでいるのは、共に問題解決に取り組んでくれるパートナーだと思うのです。

まとめ

結局、ソリューション営業に求められるのは、

    • 現状の問題構造
  • 解決すべき原因
  • ソリューションイメージ

という3つの視点と、

  • オープン思考
  • 共創思考

という2つの思考だと思うのです。

ごく当たり前のことかもしれませんが、とても難しいことのようにも思えます。

一人ひとりのお客様に対して、この3つの視点と2つの思考をもって、丁寧にソリューション提供に取り組んでいきたいものですね。



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