営業のイノベーション1:プロスペクトをあぶり出せ

「営業の革新」をテーマに、営業のマネジメントモデルを考えるシリーズコラム。今回は、第一弾として、見込み客(プロスペクト)獲得について、ロジカル・アプローチで考えます。

具体的な営業活動を仕掛ける前に、プロスペクト(見込み客)を、獲得する活動が必要となりますよね。これまで取引のない顧客のから、プロスペクトを見つけだすのはとても困難なことかもしれません。当たり前のことではありますが、これは自社製品やサービスを欲している顧客を探す作業に他なりません。

その手段について、いくつか類型してみますね。

大きな分類としては、「PUSH戦略」と「PULL戦略」に分類できそうです。

PUSH政策

これは、当社からの働きかけでプロスペクトを探し出す施策です。もっとも古典的なものとしては、「テレアポ」や「飛び込み営業」などがこれに相当するでしょう。苦労が多い割には、効率が悪いと思われがちですが、全く接点のない、これからも接点を得にくい顧客にリーチするには、必ずしも無視できない方法でもあります。

以前「テレアポ」については、ブログでも取り上げてみました。【ご参考】セミナー録「アポイントメント営業」

現実に、この手法は現在でもかなり積極的に取り組んでいる企業は多いようです。一部では、テナントビル一棟を全部訪問しつくす飛び込み営業活動を「ビル倒し」(そのビルに入っている企業全部を訪問して、ビルを倒した)などと表現されているようです。

ただ、PUSH活動を行うにしても、どのような企業を狙いたいのか?という顧客ターゲットを明確にしておくことは必要です。

中小企業なのか?大企業なのか?業種は?業態は?

あくまで、自社の製品サービスを最も喜んでくれそうな顧客イメージを明らかにして、そこにむけてPUSH戦略を展開したいものですよね。

そこで、次のような準備作業が必要となるでしょう。

  1. 顧客分析、自社実績分析などからターゲット顧客の特定
  2. 公開情報などから、ターゲット顧客のリストアップ
  3. ターゲット顧客とのコンタクト手法の見極め
  4. 実施計画立案とその推進、マネジメント

PULL政策

顧客企業から、自社に何らかのコンタクトを取ってもらうように仕向ける施策、それをPULL政策と呼んでいます。

PULL政策には様々な施策が考えられますが、自社の製品サービスの特性から最も有効なPULL政策を見極めておくことが必要となるでしょう。そのためには、様々な政策を実施したうえで、しっかりその「効果測定」を実施して、そのROIを見極めておくことが求められます。

「効果測定」についても、以前記事にしました。 【ご参照】効果測定に投資していますか?

BtoBビジネスだと、各種広告、公式Webサイト、展示会、、、様々なプロモーション政策によって、顧客からのアクセスを期待しているはずです。

目的は、ただひとつ!「いかにして顧客からコンタクトしてもらうか?」に尽きます。

プロスペクト獲得のPDCA

一般には、PUSH、PULLを組み合わせて、最大の効果を狙うことになりますが、そこには、PDCAマネジメントサイクルが必要となります。 そのなかでも、重要なのはP(計画化)ですね。

目標と計画の設定には、また、これまでの効果測定の結果が重要な判断基準となります。

まず、組織としての売上目標があれば、それを因数分解して、行動レベルに落とした目標設定が必要となるでしょう。

<例>

◆受注案件目標:20案件

 1億円(売上目標)÷ 500万円(案件単価)= 20案件

◆見積提示目標:50件

 20案件(受注案件目標)÷ 40%(受注確率/見積提示) = 50件

◆訪問目標:100件

 50件(見積提示目標)÷ 50%(見積確率/訪問) = 100件

◆アプローチ目標:1000件

 100件(訪問目標)÷ 10%(訪問確率/アプローチ) = 1000件

この例では、1000件のアプローチ(例えば、テレアポ)をしないと確率論からいって、目標売上を達成できないことになります。これを月次計画、週次計画に落とし込んでいく必要があるわけですね。ベタな手法ではありますが、ここまではしっかりこれまでの実績をもとに、「案件単価」、「受注確立」、「見積確立」、「訪問確率」などを管理、把握し、営業KPIとして、注目していくことが必要となるわけです。

このような「成功の方程式」を作り上げてください。

と、かなり駆け足で解説してきましたが、ここからが「営業のイノベーション」の本論に入ってまいります。

次回は、「プロスペクト評価とリソース配分」というテーマでお話ししますね。

株式会社シナプス 代表取締役 家弓正彦



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