営業ヒアリングのコツ-1回の営業訪問で全情報を掴む5つの技

「あなたは営業ヒアリングが得意ですか?」
「顧客訪問で十分な営業ヒアリングができていますか?」

BtoB営業での情報収集の基本は、顧客訪問による営業ヒアリングです。しかし、BtoB営業では、顧客訪問機会は何度も作れません。1回の訪問機会でニーズ仮説・ソリューション仮説など、営業ヒアリング提案に必要な全情報を掴むのがベストです。

「営業ヒアリングのコツ-1回の顧客訪問で全情報を掴む5つの技」では、1000件の新規事業商談現場で培った、1回の顧客訪問を最大限に活かす営業ヒアリングのコツをまとめます。


1回の訪問で全情報を掴む営業ヒアリングのコツが必要な理由


BtoB営業は、1つ1つの顧客訪問が勝負です。2回目の訪問チャンスがあるとは限らないのが、BtoB での営業ヒアリングの特徴です。そのため、一発で、どれだけ必要な情報収集ができるかが、商談の勝敗を分けます。

  • BtoB営業での商談情報は、営業ヒアリングが基本
  • 営業ヒアリング機会は何度もこない。1回のヒアリングチャンス最大化が必要
  • 簡単ですぐ実践で使える営業ヒアリングのコツがある

営業ヒアリングのコツ-顧客訪問で最大限の情報をとる2つの技


諦めずに営業ヒアリングし続けることが最大のコツ


諦めずに営業ヒアリングすること」がBtoB営業ヒアリングの最大のコツです。単なる精神論ではなく戦略的に諦めないことが重要です。

BtoB営業ヒアリングでは、確かに「ガードが堅く、質問しても求める情報をなかなか話さない顧客は存在します。」しかし、「諦めたらそこで試合終了」なのです。

「諦めない営業ヒアリングのコツ」を実際の営業トーク例で紹介します。

諦めない営業ヒアリングトーク例

例えば、営業ヒアリングで「予算情報」を聴きたいとします。「あなたは1回質問しただけで、営業ヒアリングを諦めていませんか?」1回の質問で聴き出せなければ、諦めず聴けるまでチャレンジ質問を何度もするのがコツです。

営業担当者「今回の予算は決まっていますか?」
顧客 「いやー、まだですね。」
※ここで「そうですか。わかりました。」といって質問を終えるのが普通の営業担当者

チャレンジ質問1 「そうですか。目安はありますか?例えば、今のシステムのコストはいくらぐらいだったのですか?」
顧客 「うーん、500万円ぐらいですかね。でも、今回はそこまで予算が取れるかどうか。。」
チャレンジ質問2 「というと、いくらぐらいなら、いけそうですかね?」
顧客 「うーん、やってみないとわからないですね。」
チャレンジ質問3 「なるほど。例えば、400万円ぐらいだったら、感触どうですか?検討対象になりそうですかね?」
顧客 「そうですね。それぐらいだったら、なんとか。いや、もうちょっと下かな。」
チャレンジ質問4 「とすると、350万円ぐらいの提案だと土台にのりそうですかね?」
顧客 「まあ、そんなところですかね。」

諦めない営業ヒアリングトーク例では、情報ゼロの状態から、質問の切り口を変えながら、4回ヒアリングチャレンジし、予算情報を、深掘りしています。

営業ヒアリングで掴んだ情報が「A.予算は決まっていない」と「B.350万ぐらいの提案なら受け入れられそう」では、商談受注率が大きく変わるでしょう。


打ち合わせ直後に「2度目の営業ヒアリング」をする技


あなたは、「打合せ中だけ」が営業ヒアリング機会と思っていませんか?打合せが終わって、帰りのエレベーターホールまでの3分間を狙ってヒアリングするのが、2つ目の営業ヒアリングのコツです。

実は、この打ち合わせ直後の3分間が「おいしい営業ヒアリングチャンス」です。

なぜなら、このとき顧客は打合せが終わって、緊張を解いています。顧客の緊張が解けた状態で、より突っ込んだ営業ヒアリング質問をします。



エレベーターホールまでの営業ヒアリングトーク例


例えば、打ち合わせ終了後、リラックスして世間話をしながら、不意に「ところで、B社さん(競合)の提案は、どこまで進みましたか?」といった、やや聴きにくいヒアリング質問を顧客にぶつけます。相手はリラックス感から、重要な情報を、ぽろっと言ってくれます。

キーマンの隣に並び歩きながら、コソコソっと話をします。デキる営業は最後の3分間に決定的な情報を掴みます。


訪問前後で営業ヒアリング機会を増やす3つの上級技


あなたは、顧客訪問時間だけが、営業ヒアリング時間と思っていませんか?

実はBtoB営業では、営業訪問前及び訪問後にも、営業ヒアリングする技があるのです。この3つの営業ヒアリング上級技で、1訪問当り最大5回の営業ヒアリング機会を作れます


営業ヒアリング上級技 ③訪問即日に打ち合わせメモメール


訪問直後、顧客訪問で営業ヒアリングしたメモを、打合せ後すぐにメールで顧客へ送ります。メール送信をきっかけに、追加情報を集めます。

まずは、メモに対して、追加質問などの返信がある場合です。この場合、そのまま営業ヒアリング追加情報として使えます。また、顧客から返信がなくても、たとえば、顧客の反応がない場合は、「こちらの提案に興味がなかった。」「忙しくて、手が回らない。」など、仮説が立てられます。

なお、「顧客訪問後、すぐにメールを送る」のが機会を最大化するコツです。目安は、その日中です。

なぜ、すぐメールを送るとよいのでしょう?1つは、対応が早いだけで信頼度が上がります。精緻「議事録」は不要です。覚えているうちに「メモ」を送りましょう。もう一つは、数日後にメールを送ると、顧客がメールをスルーしてしまったり、ネガティブに捉えられやすいところです。即日メールすれば「メモを共有してくれてありがとう」となりますが、数日後にメールすると「催促されているみたいだ」と感じる割合が多くなります。


営業ヒアリング上級技 ④訪問後メールと電話の合わせ技


予め、訪問後のメールと電話での営業ヒアリング機会をセットで仕込んでおく、営業ヒアリングテクニックです。具体的には「電話する口実」として、最初のメールを仕込んでおきます。

こちらには、送信したメールの状況確認という口実があります。電話をすると、メールの反応をしていない相手は「あっ、すみません。返信できていなくて。」と、「借りを作った」心理状態になり、こちらに親切に対応しようとします。心理学の「返報性の法則」です。


電話し易くなるメールの書き方


加えて、さらに電話し易い状況を作るテクニックを紹介します。

最初のメモメールの中身に、相手の判断・行動期限の目安を記載しておくのです。例えば「上司への確認が、5/14週予定」とできるだけ具体的に記載します。このとき、期限がちょっと過ぎたぐらいに電話するのがコツです。例えば、「5/14週ぐらいに、確認予定とのことでしたが、その後状況いかがでしょう?」と電話します。

期限が過ぎてから連絡すると、「返報性の原理が働き易いこと」に加え「当初予定より遅れている原因を探ること」ができます。


営業ヒアリング上級技 ⑤訪問「前」に情報収集


顧客訪問前にも、事前情報収集するのが、営業ヒアリングチャンスを最大限に活かす上級技です。

事前営業ヒアリングは、やや難易度が高い技です。しかし、うまく事前情報が掴めれば、顧客訪問時前に準備し、より精度の高い営業ヒアリングができます。

BtoB営業では、顧客訪問チャンスが限られます。アポイントがとれたときの営業ヒアリングにおける、最大のリスクは、事前に用意したニーズ仮説・商談シナリオが大幅に外れることです。電話での事前営業ヒアリングで概要を掴むことで、初回訪問時から、精度の高い仮説を持ち、密度の濃い営業ヒアリングができます。

2つの事前営業ヒアリングパターン

訪問前のヒアリング機会は、アポイントをとるときです。電話でアポイント日時だけ調整して、電話を切ってしまっていませんか。 しかし、我々はアポイント電話のついでに、案件概要を聴いておきます。また、その場で仮説をぶつけて、顧客ニーズや提案の方向性を、事前に認識合わせしておきます。

しかし、自分自身でアポイントを取っていない場合、どのようにすれば良いでしょう。「事前情報が、ほとんどない。しかしアポイント日時は決まっている」。事前情報がない状態での営業ヒアリング訪問は、大きなリスクを抱えています。 そのとき、我々の場合、無理にでも事前ヒアリングの機会を作ります。例えば、訪問前日に顧客に電話します。そこで、「明日はよろしくお願いします。ちなみに、今回の問い合わせについてなのですが・・」といった感じで、数分で案件概要を営業ヒアリングするのです。


まとめ


営業ヒアリングのコツを極めれば、質・量ともに大幅な商談効率化が可能です。顧客訪問時の情報収集力強化で、あなたの商談受注確度は確実にあがります。さらに、商談クロージングまでの期間を短縮でき、対応できる営業商談の数も増やせるはずです。

営業ヒアリング5つの技リスト

5つの技を駆使し、アポイント1回で5回のヒアリングチャンスを作りましょう。

  1. 諦めずに営業ヒアリングし続けること
  2. 打ち合わせ直後に「2度目の営業ヒアリング」をする
  3. 訪問即日に打ち合わせメモメール
  4. 訪問後メールと電話の合わせ技
  5. 訪問「前」に情報収集



営業スキルコラムまとめ


営業ヒアリングスキル


営業提案力


営業ヒアリング力を学ぶ企業研修

「顧客ニーズヒアリング研修」は、提案型営業のキモ、顧客ニーズヒアリング力を高める企業研修です。顧客ニーズヒアリングの論理的仮説検証プロセスを身につけます。実在の顧客のニーズ仮説を立てコンサルタントの仮説検証ノウハウを伝授します。

研修プログラムの詳細は『 「顧客ニーズヒアリング研修」仮説検証で潜在ニーズを掴むコツ』をご覧ください。

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