「BtoB営業資料の定番『導入事例』の効果を知っていますか?」
「導入事例の書き方がわかりますか?」
BtoB実務家の間で、最も効果的とされる営業資料が「導入事例」です。BtoBでは、なぜ導入事例が効果的なのか。そして、実際の導入事例の刺さる書き方を伝授します。
新規事業企画やコンサルタントとして、20年間合計100種類以上のBtoB営業資料を作ってきました。また、導入事例をコンセプト作成から取材・記事ライティングまで、自前作成しているスタッフが、営業資料としての導入事例の書き方・使い方のコツを公開します。
BtoB営業資料の中でも導入事例が刺さる3つの理由
営業資料として、導入事例はBtoCのプロモーションでも利用されています。しかし、BtoB営業資料として最も効果を発揮するとされるのが導入事例です。
BtoB営業では試用が難しいため導入事例で代替
BtoB営業では、消費財のように気軽に顧客にトライアルさせることが難しいことが多いです。
そこで有効なBtoB営業資料が、導入事例です。よい導入事例は、製品トライアルと同等か、それ以上の効果があります。
消費財であれば、例えば、清涼飲料・化粧品など、気軽にトライアルできる商品が多いでしょう。一方、BtoB企業は、組織が複雑なため、本番環境でのトライアルが難しいことが多いです。デモ環境で機能確認程度はできますが、本番環境で実際に使ってみるのは、リスクが大きくいやがられるものです。
なお、ITサービスでは、「期間限定無料トライアル」が、よくおこなわれます。しかし、BtoB企業では、実際の本番環境でトライアルできることはまれです。そのためIT業界でも、導入事例は有効です。
BtoB顧客は同業他社の導入事例に関心がある
BtoB営業の法人顧客は、他の顧客の動向、同業他社を気にする担当者が多いです。特に、業界トップ企業など、ベンチマークとなる同業他社が、どんな製品をどのように使っているかは、興味を持っています。
顧客企業にぴったり合った導入事例を示せれば、顧客担当者は身を乗り出して質問をしてきます。
BtoB営業では導入事例がEvidenceとなりリスク回避志向低減
BtoB営業の特徴の一つとして、購買意思決定プロセスが組織的になり、DMU(Decision Making Unit:意思決定関与者)が複雑であることがあげられます。DMUの複雑性にともない、BtoB営業では、「独特のリスク回避志向」「製品切り替えへのプレッシャー」が働きます。
新製品の導入検討時に、社内承認過程で必ずチェックされるのが導入実績・導入事例です。新製品を導入して失敗した場合、導入を主導した担当者は必ず叩かれます。この組織的リスク回避志向に対抗できるBtoB営業資料が導入事例です。
BtoB営業では、特に顧客と業界が同じでベンチマークとするトップ企業・有名企業の導入実績があると、強力なEvidenceとなり、社内承認が通りやすくなります。
BtoB営業資料導入事例の書き方:書く前の準備
FABE分析とは:コンセプト作成基本フレームワーク
効果的導入事例を作るのに使える基本フレームワークが、FABE分析です。
- Feature (特徴):本提案の特徴、概要説明
- Advantage (優位性):優位性
- Benefit (顧客便益):顧客の得られるメリット
- Evidence(証拠):提案を裏付けるデータ、実績等
マーケティング用語集:FABE分析
FABE分析のEvidenceは顧客の納得感を高める
FABE分析の、FABまでをしっかり描けば、特徴、競合優位性、自社にとってのベネフィットを顧客に理解はしてもらえるでしょう。
しかし、理解のあとの最後の一押し、顧客の納得・共感を得るのに必要なのが、FABE分析のEvidence(証拠)です。
導入事例は、具体的イメージがわかりやすいEvidence
FABE分析のEvidenceには、実験結果の提示、業界権威者の発言などがあります。
Evicenceの一つが、導入事例、つまり顧客が自社のイメージを重ねることが可能な、先行利用イメージです。よい導入事例は、ストーリ-性を持ち、顧客に具体的利用イメージを描かせます。
BtoB営業資料-導入事例の書き方ノウハウ
導入事例が効果的なBtoB営業資料であることが理解いただけましたでしょうか?
では、実際にどのように導入事例を書けばよいのでしょうか? 実際に複数の導入事例の書いたスタッフが導入事例の書き方のノウハウとプロセスをまとめます。
導入事例の書き方Step1:コンセプト立案
まずは、BtoB営業資料を作りたい対象商品のコンセプトをFABE分析で考えます。実際に、導入事例で営業資料を作ろうと思っても、このコンセプト立案ステップを飛ばしてしまう場合が多いようです。コンセプト立案をしっかり行ってから導入事例を作りましょう。
導入事例を書くためのFABE分析の手順
- Featureを考える
- AdvantageとBenefitを考える
- AdvantageとBenefitを支えるEvicenceを考える
上記は、FABE分析では、ごく当たり前のプロセスですね。すでにコンセプトが固まっている場合でも、あらためてフレームワークでもれなくチェックするようにしましょう。
導入事例を書くためのFABE分析のポイント
一番のポイントは、導入事例で示したいFABEの各要素の整理、特にAdvantageとEvidence、BenefitとEvidenceの関係をあらかじめ整理しておくことです。
導入事例は、主張したいことの根拠(Evidence)です。つまり、主張したいこと(Advantage、Benefit)にあった根拠を示す導入事例がベストです。顧客に理解してほしい、Advantage、Benefitにあわせた導入事例をEvidenceとして作成しましょう。
導入事の書き方Step2:顧客取材
導入事例を作成する取材対象を選ぶ
FABE分析で、自分たちが示したいAdvantageとBenefitに適したEvidenceを示しやすい企業に取材を依頼します。ターゲット業界に親和性がある、著名でベンチマークとなりやすい企業がベターです。
導入事例の取材依頼をする
取材依頼をします。事例取材は、担当者や企業の事情により、断られる場合もありますので、いったん候補企業を複数あげましょう。
導入事例取材準備をする:FABE分析を質問票に落とし込む
あらかじめ、FABE分析で示したいAdvantage (優位性)とBenefit (顧客便益)を意識したうえで、その事例で表現したいAdvantage (優位性)とBenefit (顧客便益)を決めます。整理した内容をもとに、事例取材時の質問票をつくります。
導入事例取材をする
FABE分析をもとに、その事例で表現したいAdvantage (優位性)とBenefit (顧客便益)にあったEvidence(証拠)を引き出します。
参考:導入事例の書き方TIPS
- 取材者の基本は、自社営業担当者、ライター、カメラマンの3人(プラスでマーケティング担当者)
- 導入事例の公開には、顧客の広報、IR部門のチェックが必要が場合が多い
- 導入事例には写真を載せる(カメラマンを付けるのがベスト)
- 導入事例取材時は、ICレコーダーで音声をとる
- 導入事例の取材は、最低2人でする
導入事例の具体例:シナプス企業研修事例
法人営業のBtoB導入事例の具体例として、「シナプスの企業研修事例」を掲載します。記事の書き方、質問の仕方など、参考にしてみてください。
事例集の実例を見たい方は『シナプス企業研修事例集』をご覧ください。
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