すぐに使える営業質問の基本「BANT」活用7つのコツ

マーケティング・カレッジ(公開講座)

「あなたは営業質問で適切な情報収集ができていますか?」 「あなたは営業質問の『型』を持っていますか?」

営業ヒアリングでの「営業質問」は、重要な営業スキルの一つです。しかし、営業質問のノウハウを、しっかり身につけている方は少ないものです。

営業質問基本フレームワークにBANTがあります。BANTとは「Budget」「Authority」「Needs」「Timeframe」の頭文字をとった略語で、「予算」「決裁権」「ニーズ」「導入時期」の4つの営業質問項目です。BANTは、基本的かつ網羅的な質問項目で、営業初心者から、すぐ使えます。

1000件以上の商談で磨いた営業質問ノウハウをまとめます。


1.法人営業質問の基本フレームワーク:BANTとは


BANTとは、「Budget(予算)」「Authority(決裁権)」「Needs(ニーズ)」「Timeframe(導入時期)」の4つの頭文字をとったものです。法人営業質問の基本として、BANTを活用しましょう。

  • Budget:製品・サービスを導入するための予算
  • Authority:稟議を承認するための決裁権限
  • Needs:顧客ニーズ、企業組織としての必要性
  • Timeframe:導入時期

1-1.営業質問「BANT」 予算とは

BANTの予算は、今回の案件で顧客が想定している予算金額です。予算営業質問で得られる情報精度は、営業担当者のスキル次第で大きな開きがあります。


1-2.営業質問「BANT」 決裁権とは


営業質問の基本「BANT」の「決裁権」は、顧客企業の購買決裁権限です。法人営業では、意思決定関与者(=DMU:Decision Making Unit)が多く、購買プロセスが複雑です。そのため、営業質問で、顧客企業の購買意思決定メカニズム把握が必須です。「商談最後で、どんでん返し失注」が起きる方は、「決裁権の把握が甘い」と考えましょう。



1-3.営業質問「BANT」 ニーズとは


営業質問の基本「BANT」の「ニーズ」は、以下の点を明らかにします。

  • 誰のニーズか?(ある人個人のニーズか、部門のニーズか、会社のニーズか)
  • ニーズは強いか?金額換算すると、どのくらいか?
  • ニーズは具体的になっているか?

1-4.営業質問本「BANT」 導入時期(スケジュール)とは

営業質問の基本「BANT」の最後は「導入時期」です。

単に商品の「導入時期」だけでなく、購買検討から決済承認まで、商談ステップごとに、スケジュールを把握します。


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2.すぐに使える営業質問の基本「BANT」活用7つのコツ

2-1.営業質問のコツ ①「予算」は最初に確認

営業質問の基本で押さえたいのは、「予算は、BANT4つ項目の中で最初に確認すべき」ということです。

なぜ、営業質問で予算を最初に把握するべきか。それは、「予算規模によって、その後の営業質問内容が変わるから」です。BANTの「予算」が変われば、聞くべき「決裁権」「ニーズ」「導入時期」も変わります。

例えば、「100万円の提案のための営業質問」と「1,000万円の提案のための営業質問」は大きく変わるはずです。予算は聞きづらくても、初回商談で概算予算は把握すべきです。

2-2.営業質問のコツ ②「予算」金額は定量把握

予算金額は、営業質問で必ず定量的に確認します。もちろん、予算は数値でストレートに回答する顧客は少ないです。

しかし、可能な限り「定量的な予算感」は抑えましょう。最低でも、予算金額の桁感(2桁万円か3桁万円か)は法人営業の基本として押さえます。

例えば、予算営業質問場面で、素直に「金額感によって、提案内容が変わりますので、目安でよいので金額感を教えていただけますか?」といった形で顧客に予算感を質問します。多い少ない」という定性情報ではなく桁感レベルでよいので「定量的に」抑えます。


2-3.営業質問のコツ ③「決裁権」は稟議承認フローで把握


決裁権の営業質問で、把握したいのは「稟議承認フロー」です。

多くの企業では、「部長決裁:100万円まで」「本部長決裁:500万円まで」など、厳密に決裁権限金額に対応した稟議承認フローが決まっています。

今回の予算金額では、誰が最終決裁者か?そこまでの稟議承認フローはどうなっているか?を確認しましょう。(例:担当起案→課長承認→部長承認→本部長承認)

2-4.営業質問のコツ ④「決裁権」を通す起案者の動きを掴む

決裁権は、「起案担当者が稟議を通すため、具体的にどんな動きをするか?」まで把握するのが営業質問の上級ノウハウです。

例えば、同じ「部長承認」でも、その裏での社内の具体的動きは顧客企業によって様々です。「直属の上司に説明すれば終わり」「月例部長会議で申請・承認される」など。

起案担当者が具体的にいつ・どう動くか?まで把握した上で、起案担当者をサポートするのが、「決裁権」営業質問のコツです。

2-5.営業質問のコツ ⑤ウォンツからニーズへ変換



ニーズは、営業質問で正確な把握が難しい項目です。

まずは、「誰が」「どんな」ニーズを持っているのか明確にしましょう。「ニーズとウォンツの違い」は、「目的と手段」の関係です。営業質問では、顧客は言葉として「ニーズ(目的)」ではなく、「ウォンツ(手段)」を発言することが多いので注意してください。


2-6.営業質問コツ ⑥購買プロセスの「スケジュール」把握


BANTのTimeframeは、「導入時期」と訳されます。しかし営業質問のコツとしては、購買プロセスごとに、「誰がいつ何を決めるか?」「それぞれの時期はいつごろか?」を具体的に把握しましょう。

例えば、以下のように購買プロセスとその時期を把握します。

  1. 今月は情報収集期間で、各社から情報を集める予定。
  2. 来月前半に、上司に説明する。
  3. 上司説明後は、月1回の部長会議で承認される。いつも月初にあり、この会議を逃すと来月に回されてしまう。
  4. 承認されたら、3ヶ月後には、テストをはじめて、4ヶ月後から社内に展開してきたい。

2-7.営業質問コツ ⑦「スケジュール」は営業が仕掛け設定

営業質問で、導入時期を聞いた時、顧客自身がスケジュールを具体的に決めていないことも多く、「いや~、まだ特に決まっていないですね。」という回答もしばしばです。

顧客自身が、スケジュールイメージを持っていない時、営業側からスケジュール設定を仕掛るのが、営業質問のコツです。導入時期に向けて、検討、承認などの具体的マイルストーンを置き、適切なスケジュール設定を促します。

例えば、「上期中ぐらいが目安ですかね?」「そうすると、この会議で提出するには、来月ぐらいに案を絞る予定ですか?」といった形で、顧客側の案件スケジュール作成を促すのも法人営業担当者の役割です。


まとめ


BANTは営業質問の基本フレームワークですが、しっかり使いこなせている方は少ないです。シンプルで使い易いBANTフレームワークでの営業質問を極め営業スキルアップを目指しましょう。


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