シナプス海老原です。

今回は「法人営業が顧客の購買意思決定プロセスを理解する方法」と題して、法人営業・BtoBマーケティングでのキモとなる顧客の購買意思決定プロセスと意思決定関与者を知るためのコツを書きます。


1. BtoBの購買意思決定プロセス


1-1.購買意思決定関与者が複雑な法人顧客


DMUとは、Dicision Making Unitの頭文字を取ったもので、顧客の意思決定単位=顧客の意思決定関与者のことです。

企業の購買意思決定プロセスでは、そもそも意思決定までのプロセスが長く、また様々な意思決定関与者が関わるのが特徴です。

法人営業の顧客理解で、まず重要なのが購買意思決定関与者構造を掴むことです。


【参考】マーケティング用語集 DMU(顧客の意思決定関与者)と購買プロセス

1-2. 購買意思決定プロセスを把握する

法人営業では、顧客の意思決定関与者のプレーヤーを把握した上で、購買意思決定プロセスがどのように進むかを把握する必要があります。

2.購買意思決定プロセスを知る5つのコツ

法人営業では、顧客の購買意思決定プロセスと意思決定関与者構造の把握が必須です。複雑な購買プロセスを理解するための法人営業のノウハウを考えていきます。


2-1.正式な稟議承認フローの購買意思決定プロセスと権限を確認


稟議フロー例

まずは、「公式の稟議上の、購買意思決定プロセス」を把握しましょう。顧客の意思決定関与者も、まずは正式なレベルで把握します。

稟議の承認権限とフローは「会社で文書として定められているはず」です。特に上場企業では文書化しないと内部統制違反になりますので、必ず存在します。

稟議規定文書には、購買意思決定プロセス、意思決定関与者、そして金額などの権限範囲も明確に示されています。


稟議承認の例


稟議承認権限は、執行金額などで区分されており、例えば「部長 (100万円以下) 」「本部長 (500万円以下)」「→社長 (500万円以上)」など中堅以上の企業では、明確に文書で区切りが定められています。


2-2.非公式な購買意思決定プロセスの行動を確認


顧客の意思決定関与者把握の次のステップは、正式な稟議承認フロー確認後、稟議を通すための、各関与者の具体的な行動プロセスを把握しましょう。

例えば、「担当者が最初に課長に説明する」「100万円以上の案件は、月1回の部門長会議で、担当の課長が説明して承認をもらう」などです。

法人営業・BtoBマーケティングでは、このDMUの具体的行動プロセスにあわせて、営業担当は顧客をサポートし、マーケティング担当は適切な営業ツールを用意する必要があります。

各購買意思決定プロセスで、いつ、だれが、具体的に何をするか?の情景がイメージできるぐらいの顧客行動理解が必要です。


3-3. 購買意思決定プロセスの2人のキーマンを押さえる


法人営業商談では、「DMU」顧客の意思決定関与者には、大きく「2つのキーマン」がいます。それが「最終意思決定者」と「案件推進者」です。

購買意思決定プロセス表のキーマン:最終意思決定者


DMUの最終意思決定者は、最後に稟議承認の意思決定する人、この人が承認すればこの営業商談はOKという人です。最終意思決定者は、わかりやすいキーマンですね。


購買意思決定プロセス裏のキーマン:案件推進者


私が、DMUで、もう一人注目しているキーマンが案件推進者です。DMUの最終意思決定者だけに注目する人も多いようですが、特に法人営業商談では、長期的には案件推進者の方が重要な場合も多いです。

「案件推進者」とは、この案件をぜひやりたい、推進したいと思っている人、この案件に情熱を持っている人です。

案件推進者は、最終決済権限を持っていませんが、案件を通すために、社内=DMU意思決定関与者を把握し、キーパーソンを説得しようとします。

法人営業担当者は、案件推進者のパートナー、もっと言えば盟友となることを目指しましょう。

2-4. 購買意思決定プロセスとDMUマップはPDCAで精緻化

DMUマップは、一朝一夕にできるものではありません。1回だけでなく、徐々に積み上げて育て行くイメージを持ちましょう。DMUは、タテとヨコの2方向を意識して。意思決定の全体構造を把握することが必要です。

縦に伸びるDMUマップ



横に伸びるDMUマップ



1-5.失注は、購買意思決定プロセスの意思決定関与者の影響力を知るチャンス


実は、営業商談が失注したときこそ、「DMU」顧客の意思決定関与者の構造を精緻に理解するチャンスです。

特に、この営業商談はいけると思ったが、最後に意外などんでん返しがあった。というときは、購買意思決定プロセスと顧客意思決定関与者の影響力の強さの認識間違っていた可能性があります。

失注原因から、自分が認識している、顧客の購買意思決定プロセスとのズレをを探りましょう。

「この営業商談のボトルネックはどこにあったのか?」「誰がどういう理由で、提案を却下したのか?または、他社の提案を選んだのでしょうか?」実は、受注した時よりも、失注したときの方が、DMU意思決定関与者の実像、個々の関与者の影響力が生々しく見えてくるのです。


まとめ


法人営業が顧客の購買意思決定プロセスを理解する方法いかがでしたか?

法人営業やBtoBマーケティングにおいて、「購買意思決定プロセス」「顧客の意思決定関与者(DMU)」は、とても重要です。

「顧客窓口営業者の情報だけ把握している「担当者以降の意思決定購買プロセスはよく知らない」法人営業担当・BtoBマーケティング担当は多いものです。5つのコツで、より深い顧客の意思決定構造と購買意思決定プロセスを把握し、意思決定プロセス全体を動かすことを目指しましょう。




参考情報

1.「購買意思決定プロセス」に関連する用語集

2.海老原一司のシナプスビジネスナレッジコラム

1974年生まれ。早稲田大学理工学部修士課程をへて1999年日本テレコム株式会社入社。IT業界を中心に大企業・ベンチャーなどの事業会社で クラウドサービスなどの10年間以上のプロダクトマネージャ経験を持つ、BtoB事業の新規事業立ち上げ、事業成長のスペシャリスト。プロマネとして新サービスを3年で100倍の売上にした経験を持つ。

2014年シナプス入社。BtoBマーケティングプログラム責任者。
『立教大学経営学部講師』(2015年~現在)
『グロービス経営大学院(MBA)』(2010年卒)


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