シナプス海老原です。

今回は「営業商談1000件で磨いた購買意思決定プロセスを掴む6つのコツ」と題して、法人営業でのキモとなる顧客の購買意思決定プロセスを掴むのコツを書きます。


1. BtoBの購買意思決定プロセスとは


1-1.購買意思決定プロセスが複雑な法人顧客


法人顧客の特徴として、DMUの複雑性があります。DMUは、Dicision Making Unitの頭文字を取ったもので、顧客の意思決定単位=顧客の意思決定関与者のことです。

意思決定関与者が複雑なので、法人顧客では、当然購買意思決定プロセスが複雑になります。

最終的な承認までの、購買意思決定プロセスは、一般消費者に比べ長くなり、購買意思決定プロセスの各段階で、様々な意思決定関与者が登場します。

法人営業の顧客理解で、まず重要なのが購買意思決定関与者構造を掴むことです。


【参考】マーケティング用語集 DMU(顧客の意思決定関与者)と購買プロセス

2.購買意思決定プロセスを知る6つのコツ

法人営業では、顧客の意思決定関与者のプレーヤーを把握した上で、購買意思決定プロセスがどのように進むかを、できるだけ具体的に把握する必要があります。

複雑な購買意思決定プロセスを理解するための法人営業のコツを考えていきます。


2-1.稟議承認フローの購買意思決定プロセス・権限を確認


稟議フロー例

まずは、「稟議上の公式な購買意思決定プロセスを把握」しましょう。顧客の「購買意思決定プロセス」と「購買意思決定関与者」の両方を、まずは正式に顧客企業で定められたレベルで把握します。

購買意思決定の稟議承認権限と承認フローは「企業として文書でて定められている」はずです。特に上場企業では文書化しないと内部統制違反になりますので、必ず購買意思決定プロセスを規定した公式文書が存在します。

稟議規定文書には、購買意思決定プロセス、意思決定関与者、そして金額などの権限範囲も明確に示されています。


稟議承認の例


稟議承認権限は、執行金額などで区分されており、例えば「部長 (100万円以下) 」「本部長 (500万円以下)」「→社長 (500万円以上)」など中堅以上の企業では、明確に文書で区切りが定められています。


2-2. 購買意思決定プロセス表のキーマンを押さえる


購買意思決定プロセス最終意思決定者は、稟議承認の最終意思決定する人、この人が承認すれば、この営業商談はOKという人です。最終意思決定者は、わかりやすいキーマンです。承認する価格により、部長、本部長、役員など、職位が上がっていきます。


2-3. 購買意思決定プロセスとDMUマップはPDCAで精緻化


DMUマップは、一朝一夕にできるものではありません。1回だけでなく、徐々に積み上げて育て行くイメージを持ちましょう。DMUは、タテとヨコの2方向を意識して。意思決定の全体構造を把握することが必要です。



2-4. 【上級編①】非公式な購買意思決定プロセスの行動を確認


顧客の意思決定関与者把握の次のステップは、正式な稟議承認フロー確認後、稟議を通すための、各関与者の具体的な行動プロセスを把握しましょう。

例えば、「担当者が最初に課長に説明する」「100万円以上の案件は、月1回の部門長会議で、担当の課長が説明して承認をもらう」などです。

法人営業・BtoBマーケティングでは、このDMUの具体的行動プロセスにあわせて、営業担当は顧客をサポートし、マーケティング担当は適切な営業ツールを用意する必要があります。

各購買意思決定プロセスで、いつ、だれが、具体的に何をするか?の情景がイメージできるぐらいの顧客行動理解が必要です。


2-5. 【上級編②】購買意思決定プロセスの裏のキーマンを押さえる


法人営業商談では、「DMU」顧客の意思決定関与者には、大きく「2つのキーマン」がいます。それが「最終意思決定者」と「案件推進者」です。


【購買意思決定プロセス】裏のキーマン:案件推進者


私が、DMUで、もう一人注目しているキーマンが案件推進者です。DMUの最終意思決定者だけに注目する人も多いようですが、特に法人営業商談では、長期的には案件推進者の方が重要な場合も多いです。

「案件推進者」とは、この案件をぜひやりたい、推進したいと思っている人、この案件に情熱を持っている人です。

案件推進者は、最終決済権限を持っていませんが、案件を通すために、社内=DMU意思決定関与者を把握し、キーパーソンを説得しようとします。

法人営業担当者は、案件推進者のパートナー、もっと言えば盟友となることを目指しましょう。


2-6.【上級編③】失注は、購買意思決定プロセス裏を知るチャンス


実は、営業商談が失注したときこそ、購買意思決定プロセスの裏を精緻に理解するチャンスです。

「この営業商談はいけると思ったが、最後のどんでん返しで失注した」という経験はないでしょうか?このとき、購買意思決定プロセスの理解が表面的で、顧客内部の真の購買意思決定プロセスやキーマンの影響力のズレを見落としていた可能性があります。

失注原因から、自分が認識している、購買意思決定プロセスとのズレを探ります。

「この営業商談のボトルネックはどこにあったのか?」「誰がどういう理由で、営業提案を却下したのか?または、他社の提案を選んだのか?」受注した時よりも、失注したときの方が、購買意思決定プロセスの実像、意思決定関与者の影響力が生々しく見えてくるのです。


まとめ


「法人営業が購買意思決定プロセスを掴む5つのコツ」いかがでしたか?

法人営業やBtoBマーケティングにおいて、「購買意思決定プロセス」「顧客の意思決定関与者(DMU)」は、とても重要です。

「顧客窓口営業者の情報だけ把握している「担当者以降の意思決定購買プロセスはよく知らない」法人営業担当・BtoBマーケティング担当は多いものです。5つのコツで、より深い顧客の意思決定構造と購買意思決定プロセスを把握し、意思決定プロセス全体を動かせる営業を目指しましょう。




参考情報

1.「購買意思決定プロセス」に関連する用語集

2.海老原一司のシナプスビジネスナレッジコラム

1974年生まれ。早稲田大学理工学部修士課程をへて1999年日本テレコム株式会社入社。IT業界を中心に大企業・ベンチャーなどの事業会社で クラウドサービスなどの10年間以上のプロダクトマネージャ経験を持つ、BtoB事業の新規事業立ち上げ、事業成長のスペシャリスト。プロマネとして新サービスを3年で100倍の売上にした経験を持つ。

2014年シナプス入社。BtoBマーケティングプログラム責任者。
『立教大学経営学部講師』(2015年~現在)
『グロービス経営大学院(MBA)』(2010年卒)


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