シナプス海老原です。

「法人営業ヒアリング基本項目BANT情報を聴くコツ」と題して、BANT情報を使った法人営業ヒアリングのコツをまとめます。


1.法人営業ヒアリング項目の基本「BANT情報」とは


BANTとは、「Budget」「Authority」「Needs」「Timeframe」の4つの頭文字をとったものです。BANTはシンプルで覚えやすく法人営業ヒアリングでオススメのフレームワークです。

  • Budget:製品・サービスを導入するための予算
  • Authority:稟議を承認するための決裁権限
  • Needs:顧客ニーズ、企業組織としての必要性
  • Timeframe:導入時期

1.BANT情報ヒアリングのコツ ①予算(Budget)

1-1.営業BANT情報「予算」とは


「BANT情報」の予算は、今回の案件で顧客が想定している予算金額です。

BANT情報の予算ヒアリングの精度・深さは、営業担当者次第で大きな開きがあります。


1-2.予算のBANT情報ヒアリングのコツ ①金額は定量的に確認


「BANT情報」の予算金額は、必ず定量的に確認します。もちろん、BANT情報の予算は、聞いても数値でストレートに回答する顧客は少ないものです。

しかし、可能な限りの「定量的予算感」は抑えましょう。私は最低でも、予算金額の桁感(2桁万円か3桁万円か)は営業ヒアリングで押さえます。

例えば、予算ヒアリング場面で、素直に「金額感によって、提案内容が変わりますので、目安でよいので金額感を教えていただけますか?」といった形で顧客に予算感をヒアリングします。

BANT情報の予算は、「多い少ない」という定性情報ではなく桁感レベルでよいので必ず「定量的に」抑えましょう。

1-3.予算のBANT営業ヒアリングのコツ ②予算は最初に把握

BANT情報ヒアリングの予算で重要なのは、「予算は、BANT情報4つの中で最初に確認すべき」ということです。

なぜ、法人営業ではBANT情報の予算ヒアリングを最初にするべきか。それは、予算感によって、BANT情報ヒアリング内容が変わるからです。BANT情報の「予算」が変われば、聞くべき「決裁権」「必要性」「導入時期」も変わります。

BANT情報ヒアリングにおいて「100万円の提案のための営業ヒアリング」と「1,000万円の提案のための営業ヒアリング」は大きく変わります。もちろん、最初からいきなりお金の話をするのは難しいでしょう。しかし、初回商談でも、大枠の予算情報は必ず把握しましょう。

2.BANT情報ヒアリングのコツ ②決裁権

2-1.営業BANT情報ヒアリング項目「決裁権」とは


「BANT」の「決裁権」は、顧客企業の決裁権限です。

法人営業では、顧客の意思決定関与者(=DMU:Decision Making Unit)が多く購買意思決定プロセスが複雑です。そのため、BANT情報の一つ決裁権ヒアリングで顧客企業の購買意思決定メカニズムの把握が必須です。

BANT情報の決裁権が把握できていないと、「商談の最後でどんでん返し」という案件が増えます。


2-2.決裁権のBANT情報ヒアリングのコツ ①稟議承認フローで把握


「BANT」の決裁権で、把握したいのは「稟議承認フロー」です。

多くの企業では、「部長決裁:100万円まで」「本部長決裁:500万円まで」といった形で、厳密に決裁権限金額に対応した稟議承認フローが決まっています。

今回の予算金額では、誰が最終承認者か?そこまでの稟議承認フローはどうなっているか?(担当起案→課長承認→部長承認→本部長承認、など)を確認しましょう。

参考マーケティング用語集 DMU

2-3.決裁権のBANT営業ヒアリングのコツ ②起案担当者のプロセス把握

BANT情報の決裁権は、「起案担当者が稟議を通すためには、具体的にどんな動きをするか?」まで把握するのがBANTの上級ノウハウです。

例えば同じ「部長承認」でも、その裏での社内の具体的動きは顧客企業によって様々です。「直属の上司に説明すれば終わり」なのか、あるいは「月例部長会議で承認」されるかもしれません。

このように法人営業では、起案担当者が具体的にいつ・どう動くか?まで把握した上で、起案担当者をサポートします。


3.BANT情報ヒアリングのコツツ ③必要性(Needs)


3-1.営業BANT情報「ニーズ」とは

営業ヒアリングフレームワーク「BANT」の「必要性」は、いわゆる顧客ニーズです。

  • 誰のニーズか?(ある人個人のニーズか、部門のニーズか、会社のニーズか)
  • ニーズは強いか?金額換算するとどのくらいか?
  • ニーズは具体的になっているか?

3-2.ニーズのBANT情報ヒアリングのコツ ①ウォンツからニーズへ

顧客ニーズは一番短期間での営業ヒアリングが難しい項目です。

まずは、「誰が」「どんな」ニーズを持っているのか明確にしましょう。営業ヒアリング時点での顧客は、言葉として「ニーズ(目的)」ではなく、「ウォンツ(手段)」を発言することが多いので注意してください。

3-3.ニーズのBANT情報ヒアリングのコツ ②ニーズとウォンツをセットで確認

「BANT」の「ニーズとウォンツの違い」は、「目的と手段」の関係です。効率的に顧客ニーズを掴むには「ニーズとソリューション」「目的と手段」をセットで確認します。

まず、多くの顧客は、「ウォンツ(手段)」から話し始めることが多く、そこから、「ニーズ(目的)」を引き出す必要があります。そのために、手段の仮説(ソリューション仮説)を、「例えば、このようなものはどうですか?」とすぐにぶつけます。

顧客は手段としての提案=ソリューションを見て、初めて具体的意見がいえます。手段(ウォンツ)をぶつけ、その反応から、「ということは、こういうことを実現したいのではないですか?」と目的を明確にしていきます。

必要性のBANT営業ヒアリングのコツとして、「ニーズとウォンツをセットでヒアリングし、顧客のウォンツを本質的なニーズに変換し、本質的ニーズに合ったソリューションを提案」ができるようになりましょう。

4.BANT情報ヒアリングのコツ ④導入時期(Timeframe)

4-1.BANT情報「導入時期」とは

営業ヒアリングフレームワーク「BANT情報」の「導入時期」は、商談に関するスケジュールです。

4-2.導入時期のBANT情報ヒアリングのコツ ①購買プロセスごとに把握する

BANT情報のTimeframeは、「導入時期」と訳されます。しかし、BANT情報ヒアリングのコツとしては、法人顧客の購買意思決定プロセスごとにどんなイベントがあるか、それぞれの時期はいつごろか?を営業ヒアリングで具体的に把握しましょう。

例えば、以下のように購買プロセスとその時期を把握します。

  1. 今月は情報収集期間で、各社から情報を集める予定。
  2. 来月前半に、上司に説明する。
  3. 上司説明後は、月1回の部長会議で承認される。いつも月初にあり、この会議を逃すと来月に回されてしまう。
  4. 承認されたら、3ヶ月後には、テストをはじめて、4ヶ月後から社内に展開してきたい。

4-3.導入時期のBANT情報ヒアリングのコツ ②スケジュール設定を仕掛ける

「BANT情報」の導入時期は顧客の中でも「まだ、決まっていない」ことも多く、「いや~、まだ特に決まっていないですね。」という回答もしばしばです。


しかし、ここは営業担当者側から積極的に顧客にスケジュール設定を仕掛けていくBANT情報ヒアリングのコツです。

例えば、「上期中ぐらいが目安ですかね?」「そうすると、この会議で提出するには、来月ぐらいに案を絞る予定ですか?」といった形で、顧客側の案件スケジュール作成を促すのも法人営業担当者の役割です。

BANT情報のスケジュールを「顧客にヒアリングするだけ」でなく、「導入時期」に向けて、マイルストーンを置きながら適切なスケジュール設定をサポートしましょう。


まとめ


「法人営業ヒアリング基本項目BANT情報を聴くコツ」いかがでしたか?。

BANT情報はヒアリングの基本ですが、奥が深いフレームワークです。BANT情報ヒアリングの達人を目指しましょう。

BANTは抜け漏れないように営業ヒアリングシートを積極活用

BANT情報は、1つだけ抜けても営業ヒアリングとしては不十分で、商談では4つのBANT情報をもれなくヒアリングすべきです。

モレのない営業ヒアリングには、ヒアリングテンプレートが参考になります。興味のある方は、以下のコラムを参照してください。『商談を成功させる営業ヒアリングシート術-テンプレート付き




参考情報

1.海老原一司のシナプスビジネスナレッジコラム

1974年生まれ。早稲田大学理工学部修士課程をへて1999年日本テレコム株式会社入社。IT業界を中心に大企業・ベンチャーなどの事業会社で クラウドサービスなどの10年間以上のプロダクトマネージャ経験を持つ、BtoB事業の新規事業立ち上げ、事業成長のスペシャリスト。プロマネとして新サービスを3年で100倍の売上にした経験を持つ。

2014年シナプス入社。BtoBマーケティングプログラム責任者。
『立教大学経営学部講師』(2015年~現在)
『グロービス経営大学院(MBA)』(2010年卒)


営業力強化コラムシリーズ



2.法人営業ヒアリングの基本を学ぶ企業研修

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「ソリューション提案基礎研修」ソリューション営業の基本スキルでは、顧客ニーズ把握からソリューション提案までソリューション営業に求められる基本スキルを体系的に学習します。

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