シナプス海老原です。

「3分でわかる法人営業ヒアリングでBANT情報を使いこなす方法」と題して、BANTを使った法人営業ヒアリングのコツをまとめます。


0.法人営業ヒアリング項目「BANT情報」とは


BANTとは、「Budget」「Authority」「Needs」「Timeframe」の4つの頭文字をとったものです。BANTはシンプルで覚えやすく法人営業ヒアリングでオススメのフレームワークです。

  • BANTのBudget:製品・サービスを導入するための予算
  • BANTのAuthority:稟議を承認するための決裁権限
  • BANTのNeeds:顧客ニーズ、企業組織としての必要性
  • BANTのTimeframe:導入時期

1.法人営業ヒアリングでBANT情報を使いこなす方法 ①予算

1-1.営業BANT情報ヒアリング項目「予算」とは


「BANT情報」の「Budget(予算)」は、今回の案件で顧客が想定している予算金額です。

BANT情報の予算ヒアリングの精度・深さは、営業担当者次第で大きな開きがあります。


1-2.予算のBANT営業ヒアリングのコツ ①金額は定量的に確認


「BANT情報」の予算金額は、必ず定量的に確認します。もちろん、BANT情報の予算は、聞いても数値でストレートに回答する顧客は少ないものです。

しかし、可能な限りの「定量的予算感」は抑えましょう。私は最低でも、予算金額の桁感(2桁万円か3桁万円か)は営業ヒアリングで押さえます。

例えば、予算ヒアリング場面で、素直に「金額感によって、提案内容が変わりますので、目安でよいので金額感を教えていただけますか?」といった形で顧客に予算感をヒアリングします。

BANT情報の予算は、「多い少ない」という定性情報ではなく桁感レベルでよいので必ず「定量的に」抑えましょう。

1-3.のBANT営業ヒアリングのコツ ②予算は最初に把握

「BANT」の予算ヒアリングで重要なのは、「予算は、BANT情報4つの中で最初に確認しなければならない」ということです。

しかし、営業ヒアリング段階を過ぎて、提案段階になりやっと予算ヒアリングをする営業担当者も多いようです。しかし、予算ヒアリングを後にすればするほど、高確率で失敗するというのが、BANT情報収集の鉄則です。

BANTの予算と他の3つの項目は連動する

なぜ、法人営業ではBANT情報の予算ヒアリングを最初にするべきか。それは、予算感によって、BANT営業ヒアリング内容が変わるからです。BANTの予算(Budget)」が変われば、聞くべき「Authority(決裁権)」「Needs(必要性)」「Timeframe(導入時期)」も変わります。

BANTヒアリングにおいて「100万円の提案のための営業ヒアリング」と「1,000万円の提案のための営業ヒアリング」は大きく変わります。もちろん、顧客訪問の最初からいきなりお金の話をするのは難しいでしょう。しかし、最低でも初回商談時間の最後には予算ヒアリングしてください。

2.法人営業ヒアリングでBANT情報を使いこなす方法 ②決裁権

2-1.営業BANT情報ヒアリング項目「決裁権」とは


「BANT」の「Authority(決裁権)」は、顧客企業の決裁権限です。

法人営業では、顧客の意思決定関与者(=DMU:Decision Making Unit)が多く購買意思決定プロセスが複雑です。そのため、BANT情報の一つ決裁権の営業ヒアリングで顧客企業の購買意思決定メカニズムの把握は必須です。

特に「営業商談で最後のどんでん返し」が多い営業パーソンは、BANT情報の決裁権がしっかり把握できてない場合が多いようです。


2-2.決裁権ののBANT営業ヒアリングのコツ ①決裁権限を稟議承認フローで把握


「BANT」の決裁権で、把握したいのは「稟議承認フロー」です。

多くの企業では、「部長決裁:100万円まで」「本部長決裁:500万円まで」といった形で、厳密に決裁権限金額に対応した稟議承認フローが決まっています。

今回の予算金額では、誰が最終承認者か?そこまでの稟議承認フローはどうなっているか?(担当起案→課長承認→部長承認→本部長承認、など)を確認しましょう。

参考マーケティング用語集 DMU

2-3.決裁権ののBANT営業ヒアリングのコツ ②起案担当者の動き方と影響力

BANTノウハウ:起案担当者の稟議承認の動きを把握

BANTの決裁権は、「起案担当者が稟議を通すためには、具体的にどんな動きをするか?」まで把握するのがBANTの上級ノウハウです。

例えば同じ「部長承認」でも、その裏での社内の具体的動きは顧客企業によって様々です。「直属の上司に説明すれば終わり」なのか、あるいは「月例部長会議で承認」されるかもしれません。

このように法人営業では、起案担当者が具体的にいつ・どう動くか?まで把握した上で、起案担当者をサポートします。

BANTノウハウ:起案担当者の影響力と思い入れの強さを把握

BANTの決裁権に関して、もう一つ重要なのは「起案担当者の影響力」です。

起案担当者が「上司から実質的にほとんど任されている」のか、「担当者は情報収集だけで、あとは上司が判断する」のか。ここまで把握するのがBANT情報収集の上級ノウハウです。

起案担当者の影響力・実質的権限がどうなっているかで、営業の動きが大きく変わります。さらに、可能なら「起案担当者の案件に対する思い入れの強さ」も把握しましょう。「この案件は、ぜひ成功させたい」と思っているのか、「上司に言われて情報を集めているだけ」なのか、同じ人物でも意志の強さで行動が変わり、営業の打ち手も変わってきます。


3.法人営業ヒアリングでBANT情報を使いこなす方法 ③必要性


3-1.BANT営業ヒアリング項目「ニーズ」とは

営業ヒアリングフレームワーク「BANT」の「Needs(必要性)」は、いわゆる顧客ニーズです。

  • 誰のニーズか?(ある人個人のニーズか、部門のニーズか、会社のニーズか)
  • ニーズは強いか?金額換算するとどのくらいか?
  • ニーズは具体的になっているか?

3-2.必要性のBANT営業ヒアリングのコツ ①ウォンツからニーズへ

顧客ニーズは一番短期間での営業ヒアリングが難しい項目です。

まずは、「誰が」「どんな」ニーズを持っているのか明確にしましょう。営業ヒアリング時点での顧客は、言葉として「ニーズ(目的)」ではなく、「ウォンツ(手段)」を発言することが多いので注意してください。

3-3.必要性のBANT営業ヒアリングのコツ ②ニーズとウォンツをセットで確認

「BANT」の「ニーズとウォンツの違い」は、「目的と手段」の関係です。効率的に顧客ニーズを掴むには「ニーズとソリューション」「目的と手段」をセットで確認します。

まず、多くの顧客は、「ウォンツ(手段)」から話し始めることが多く、そこから、「ニーズ(目的)」を引き出す必要があります。そのために、手段の仮説(ソリューション仮説)を、「例えば、このようなものはどうですか?」とすぐにぶつけます。

顧客は手段としての提案=ソリューションを見て、初めて具体的意見がいえます。手段(ウォンツ)をぶつけ、その反応から、「ということは、こういうことを実現したいのではないですか?」と目的を明確にしていきます。

必要性のBANT営業ヒアリングのコツとして、「ニーズとウォンツをセットでヒアリングし、顧客のウォンツを本質的なニーズに変換し、本質的ニーズに合ったソリューションを提案」ができるようになりましょう。

4.法人営業ヒアリングでBANT情報を使いこなす方法 ④時期

4-1.BANT営業ヒアリング項目「導入時期(Timeframe)」とは

営業ヒアリングフレームワーク「BANT情報」の「Timeframe(導入時期)」は、商談に関するスケジュールです。

4-2.導入時期のBANT営業ヒアリングのコツ ①購買プロセスごとスケジュール把握


BANTの時期は、購買プロセスごとに把握


法人顧客では、複雑な購買意思決定プロセスが存在します。プロセスごとにどんなイベントがあるか、それぞれの時期はいつごろか?を営業ヒアリングで具体的に把握しましょう。

BANTのスケジュール把握具体事例

例えば、以下のように具体的にヒアリングで意思決定プロセスと時期を把握します。

  1. 今月は情報収集期間で、各社から情報を集める予定。
  2. 来月前半に、上司に説明する。
  3. 上司説明後は、月1回の部長会議で承認される。いつも月初にあり、この会議を逃すと来月に回されてしまう。
  4. 承認されたら、3ヶ月後には、テストをはじめて、4ヶ月後から社内に展開してきたい。

4-3.導入時期のBANT営業ヒアリングのコツ ②スケジュール設定は営業から仕掛ける

BANTのスケジュールは、顧客の中でも明確ではない

「BANT」の時期は顧客の中でも「答えようにも決まっていない」ことも多く、「いや~、まだ特に決まっていないですね。」という回答もしばしばです。

BANTのスケジュール設定は、営業担当者が顧客を導いて決めさせる


しかし、ここは営業担当者側から積極的に顧客にスケジュール設定を仕掛けていくのがスケジュールのBANT営業ヒアリングのコツです。

例えば、「上期中ぐらいが目安ですかね?」「そうすると、この会議で提出するには、来月ぐらいに案を絞る感じですか?」といった形で、顧客側の案件スケジュール作成を促すのも営業担当者の役割です。

単にBANTのスケジュールを「顧客にヒアリングするだけ」でなく、顧客が最終目標である、「導入時期」に向けて、BANTのスケジュールを、マイルストーンを置きながら適切な設定をサポートするのが営業担当の役割です。


まとめ


「3分でわかる法人営業ヒアリングでBANT情報を使いこなす方法」いかがでしたか?。

BANTは営業ヒアリングの基本でありながら、奥が深いフレームワークです。BANT営業ヒアリングの達人を目指しましょう。

BANTは抜け漏れないように営業ヒアリングシートを積極活用

BANT情報は、1つだけ抜けても営業ヒアリングとしては不十分で、商談では4つのBANT情報をもれなくヒアリングすべきです。

モレのない営業ヒアリングには、ヒアリングテンプレートが参考になります。興味のある方は、以下のコラムを参照してください。『ヒアリングシートテンプレート術-営業ヒアリング項目の雛形』(BANTのヒアリングテンプレートもあります。)




参考情報

1.海老原一司のシナプスビジネスナレッジコラム

海老原一司:チーフマーケティングコンサルタント
1974年生まれ。早稲田大学理工学部修士課程をへて1999年日本テレコム株式会社入社。IT業界を中心に大企業・ベンチャーなどの事業会社で クラウドサービスなどの10年間以上のプロダクトマネージャ経験を持つ、BtoB事業の新規事業立ち上げ、事業成長のスペシャリスト。プロマネとして新サービスを3年で100倍の売上にした経験を持つ。

2014年シナプス入社。BtoBマーケティングプログラム責任者。
立教大学経営学部講師
グロービス経営大学院(MBA)


法人営業力強化の裏ワザコラムシリーズ


2.法人営業ヒアリングの基本を学ぶ企業研修

ニーズヒアリング研修

BtoB企業攻略のキモ、顧客ニーズヒアリング力を高める企業研修です。仮説思考の論理的ニーズヒアリングプロセスを身につけます。実在の顧客を題材にワークショップ形式でコンサルタントの仮説検証ノウハウを伝授します。

研修プログラムの詳細は『 「ニーズヒアリング研修」-仮説思考で顧客の本質を掴む方法』をご覧ください。

営業力強化研修

営業力強化研修は、法人営業力を組織的に強化する研修です。マーケティング基本プロセスにそって、実際の自社顧客を対象にワークショップ形式で分析し、講師兼コンサルタントと顧客攻略方針を検討します。

研修プログラム詳細は『「営業力強化研修」-コンサル講師と顧客分析ワークショップ』をご覧ください。


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