シナプス海老原です。

今回は、「BtoB営業ノウハウ-最強販促ツール導入事例の書き方」と題して、BtoB営業実際に使える販促ツール「導入事例の書き方」についてまとめます。導入事例はBtoB営業で効果的と言われる販促ツールです。導入事例の書き方ノウハウを学び実際に導入事例を書いてみましょう。

これまで、10年の新規事業プロジェクトマネージャ業務で、合計100種類以上の販促ツールを作り、導入事例も取材からライティングまでこなしてきたノウハウを公開します。

まず、営業ツールとして、なぜ導入事例が効果的なのでしょうか。


1. BtoB営業ツールで導入事例が最強な3つの理由


営業ツールとして、導入事例はBtoCのプロモーションでも利用されています。しかし、BtoB営業プ販促ツールとして最も効果的とされるのが導入事例です。

1-1.BtoB営業では試用ハードル高いため導入事例が有効

BtoBマーケティングでは、BtoCのように気軽に顧客にトライアルさせることが難しい場合が多いです。

消費財であれば、例えば、清涼飲料・化粧品など、気軽にトライアルできる商品が多いでしょう。一方、BtoBは、実際にトライアルするハードルが高い場合が多いです。

実際に本番環境での利用が困難である法人企業で有効な営業ツールが、導入事例です。よい導入事例は、製品トライアルと同等か、それ以上の効果があります。

なお、ITサービスやソフトウェアでは、プロモーション手段として「期間限定無料トライアル」が、よくおこなわれます。しかし、法人企業では、テスト環境で機能確認などをするだけで、実際の本番環境でトライアルできることはまれです。そのためITサービスでも導入事例は必要です。

1-2.顧客は同業他社の導入事例に関心がある

BtoB営業の法人顧客は、他の顧客の動向、同業他社を気にする担当者が多いです。特に、業界トップ企業など、ベンチマークとなる同業他社が、どんな製品をどのように使っているかは、興味を持っています。

顧客企業にぴったり合った導入事例を示せれば、顧客担当者は身を乗り出して質問をしてきます。

1-3法人組織のリスク回避志向導入事例でを乗り越える

BtoB営業の特徴の一つとして、購買意思決定プロセスが組織的になり、DMU(Decision Making Unit:意思決定関与者)が複雑であることがあげられます。

マーケティング用語集:DMU(顧客の意思決定関与者)

DMUの複雑性にともない、BtoB営業では、特に現場起案担当者に、独特のリスク回避志向、製品切り替えへのプレッシャーが働きます。

自社で導入実績のない新製品の導入検討するときに、承認過程で必ずチェックされるのが導入実績・導入事例です。新製品を導入して失敗した場合、主導した担当者は必ず叩かれます。この組織的リスク回避志向に対抗できるBtoB営業ツールが導入事例です。

特に自社顧客に近い企業、顧客がベンチマークとする企業の導入実績を示すことで、顧客内での承認が通りやすくなります。

2. 導入事例を書く前に:コンセプトをFABE分析で決める

2-0.FABE分析とは:コンセプト作成基本フレームワーク

効果的導入事例を作るのに使える基本フレームワークが、FABE分析です。

  • Feature (特徴):本提案の特徴、概要説明
  • Advantage (優位性):優位性
  • Benefit (顧客便益):顧客の得られるメリット
  • Evidence(証拠):提案を裏付けるデータ、実績等
マーケティング用語集:FABE分析

2-1.FABE分析のEvidenceは顧客の納得感を高めるもの


FABE分析の、FABまでをしっかり描けば、特徴、競合優位性、自社にとってのベネフィットを顧客に理解はしてもらえるでしょう。

しかし、理解のあとの最後の一押し、顧客の納得・共感を得るのに必要なのが、FABE分析のEvidence(証拠)です。


2-2.導入事例は、具体的イメージがわかりやすいEvidence


FABE分析のEvidenceには、実験結果の提示、業界権威者の発言などがあります。

Evicenceの一つが、導入事例、つまり顧客が自社のイメージを重ねることが可能な、先行利用イメージです。よい導入事例は、ストーリー性を持ったわかりやすく、顧客が利用イメージを具体的に描きやすい営業ツールです。

2-3.BtoBのEvidenceには導入事例を使うのが王道

BtoBマーケティングでのFABE分析で難しいところは、「FABE分析のEvidence(証拠・論拠)が示しにくいこと」です。

そこで、BtoBマーケティングでは、FABE分析のEvidenceを補完するため、導入事例を使うのが王道です。

BtoBマーケティングにおける導入事例の有効性は、BtoBの実務家では有名です。しかし、BtoB企業では、マーケティングの概念があまり浸透していないこと、導入事例の書き方がわからないこと、などから活用が進んでいないようです。

3.導入事例の書き方ノウハウ


導入事例が効果的な営業ツールであることが理解いただけましたでしょうか?

それでは、実際にどのように導入事例を書けばよいのでしょうか? 実際に複数の営業ツールとして導入事例の書き方を身につけた海老原が導入事例の書き方のノウハウとプロセスをまとめます。

3-1.導入事の書き方Step1:コンセプト立案

まずは、営業ツールを作りたい対象商品のコンセプトをFABE分析で考えます。実際に、導入事例で営業ツールを作ろうと思っても、このコンセプト立案ステップを飛ばしてしまう場合が多いようです。コンセプト立案をしっかり行ってから導入事例を作りましょう。

導入事例を書くためのFABE分析の手順

  • Featureを考える
  • AdvantageとBenefitを考える
  • AdvantageとBenefitを支えるEvicenceを考える

上記は、FABE分析では、ごく当たり前のプロセスですね。すでにコンセプトが固まっている場合でも、あらためてフレームワークでもれなくチェックするようにしましょう。

導入事例を書くためのFABE分析のポイント

一番のポイントは、導入事例で示したいFABEの各要素の整理、特にAdvantageとEvidence、BenefitとEvidenceの関係をあらかじめ整理しておくことです。

導入事例は、主張したいことの根拠(Evidence)です。つまり、主張したいこと(Advantage、Benefit)にあった根拠を示す導入事例がベストです。顧客に理解してほしい、Advantage、Benefitにあわせた導入事例をEvidenceとして作成しましょう。

なお、一度導入事例取材が終了してしまうと、2回目の導入事例取材チャンスはないと思った方がよいでしょう。つまり、取材後に、「あれを聞いておけばよかった。」と思っても遅いのです。必ず、コンセプト作成をしっかりしてから導入事例取材します。


3-2.導入事の書き方Step2:顧客取材


3-2-1.導入事例を作成する取材対象を選ぶ

FABE分析で、自分たちが示したいAdvantageとBenefitに適したEvidenceを示しやすい企業に取材を依頼します。
また、ターゲット業界に親和性がある、著名でベンチマークとなりやすい企業がベターです。

3-2-2.導入事例の取材依頼をする

取材依頼をします。事例取材は、担当者や企業の事情により、断られる場合もありますので、いったん候補企業を複数あげましょう。

3-2-3.導入事例取材準備をする:FABE分析を質問票に落とし込む

あらかじめ、FABE分析で示したいAdvantage (優位性)とBenefit (顧客便益)を意識したうえで、その事例で表現したいAdvantage (優位性)とBenefit (顧客便益)を決めます。
整理した内容をもとに、事例取材時の質問票をつくります。

3-2-4.導入事例取材をする

FABE分析をもとに、その事例で表現したいAdvantage (優位性)とBenefit (顧客便益)にあったEvidence(証拠)を引き出します。

3-3.導入事の書き方Step3:FABE分析から営業ツールに落とし込む

取材した内容を営業ツールに落とし込むためのポイントについてまとめます。

  • 複数の導入事例を営業ツールとして作る場合は、導入事例ごとに示したいAdvantage、Benefitを分ける。Advantage、Benefitが4個あったら4事例で、事例ごとに異なるのが理想
  • 取材の会話からキャッチーな言葉を見つける

3-4.導入事例の書き方TIPS

  • 取材者の基本は、自社営業担当者、ライター、カメラマンの3人(プラスでマーケティング担当者)
  • 導入事例の公開には、顧客の広報、IR部門のチェックが必要が場合が多い
  • 導入事例には写真を載せる(カメラマンを付けるのがベスト)
  • 導入事例取材時は、ICレコーダーで音声をとる
  • 導入事例の取材は、最低2人でする

4.導入事例の具体例

BtoB導入事例の具体例として、シナプスの企業研修事例を示します。

インテージ様:ファシリテーション研修事例(マーケティングリサーチ業界)

株式会社インテージさまでの、ファシリテーション研修事例です。インテージ様では、合わせて「問題解決スキル」「マーケティング研修事例」も開催されています。

事例詳細は『インテージ様マーケティングエージェンシー育成研修事例』をご覧ください。

日本特殊陶業様:プレゼン研修を通じてセミナー資料構成をゼロベースで刷新

ロジカルプレゼンテーション研修(実践編)のワークショップで、セミナープレゼン資料構成をゼロから見直した事例です。事例詳細は『プレゼンテーション研修でセミナー資料構成をゼロベース刷新』をご覧ください。

損害保険業界向けロジカルプレゼンテーション研修事例

あいおいニッセイ同和損害保険株式会社様での、プレゼンテーション研修事例です。

事例詳細は『損害保険業界向けロジカルプレゼンテーション研修事例』をご覧ください。

マーケティングリサーチ業界向けファシリテーション研修事例

「マクロミルでは、会議の効率的な進⾏を目的として、2015年よりシナプスの「ファシリテーション研修」を導入しています。さらに、効率的で創造的な会議を実現できるよう、ファシリテーションスキルを全社員の3 割に習得させることを⽬標としました。」

研修事例詳細は、『マーケティングリサーチ業界向けファシリテーション研修事例』をご覧ください。


参考情報

1.海老原一司のシナプスビジネスナレッジコラム

海老原一司:チーフマーケティングコンサルタント
1974年生まれ。早稲田大学理工学部修士課程をへて1999年日本テレコム株式会社入社。IT業界を中心に大企業・ベンチャーなどの事業会社で クラウドサービスなどの10年間以上のプロダクトマネージャ経験を持つ、BtoB事業の新規事業立ち上げ、事業成長のスペシャリスト。プロマネとして新サービスを3年で100倍の売上にした経験を持つ。

2014年シナプス入社。BtoBマーケティングプログラム責任者。
立教大学経営学部講師』(2015年~現在)
グロービス経営大学院(MBA)』(2010年卒)


マーケティング戦略実践ナレッジシリーズ


2.BtoBマーケティング/法人営業力強化の企業研修

BtoBマーケティング研修(基礎編)

BtoB企業向けにマーケティング思考の基本を組織共通言語化するための研修です。マーケティング戦略プロセスのエッセンスを抑えつつ、BtoBに精通したコンサルタントが「DMU」「購買プロセス」「経済合理性」など、BtoBマーケティングならではのポイントも解説します。

研修プログラムの詳細は『 「BtoBマーケティング研修(基礎編)」-共通言語を作る』をご覧ください。


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