営業のイノベーション3:セールストークのフレームワーク「FABE理論」

「営業の革新」をテーマに、営業のマネジメントモデルを考えるシリーズコラム。今回は、セールストークを取り上げます。商品・サービスの特徴や良さを伝えるために、いったい何をどの順番で話せばよいのか。効果的なトークスクリプトを準備するための考え方をお伝えします。

前回は、プロスペクト(見込み客)の評価・プライオリティづけを考えました。

プロスペクトが見えてきたら、まずはファーストコンタクトです。アポイントについては、以前のブログ記事、セミナー録「アポイントメント営業」にて、触れました。こちらをご参照ください。(ここでは、ド新規のテレアポを想定していますが、それだけではなく、これまでに何らかのコンタクトがあった顧客でも同様だと思います。)

アポイントの獲得に成功したら、いよいよ初回訪問となります。この初回訪問は、とても重要な意味合いを持ちますよね。まず、この初回訪問の目的について考えてみましょう。

初回訪問の目的

そもそも初回訪問の目的は何か?様々な目的は考えられますが、一般的には、、、

  1. 自社製品に対する認知、理解、関心の獲得
  2. 顧客ニーズの探索
  3. 人間関係の構築

といったところでしょう。

自社製品に対する認知、理解、関心

その第一の目的は、何といっても自社製品に対する認知、理解、関心です。できれば、興味関心を持ってもらい、次回訪問にうまく繋げることが必要です。

自社製品アピールは、どんな営業も行っていると思いますが、そのセールストークはしっかり磨きあげられたものとなっていますか?意外に、各セールスに任せきったりしていませんか?

セールストークは、戦闘に例えれば「武器、弾薬」です。最新鋭の武器弾薬を持っているセールスが強いのは当然です。逆に「軍司令部」は、前線の兵士に最新鋭の武器弾薬を供給しなけれなりません。

そして、セールストークを考える際に用いられるフレームワークがあります。

セールストークフレームワーク「FABE(ファブ)」理論

これは、米国3M社において、1980年代に開発されたもので、以下の4つのエッセンスを顧客に示していくというセールス理論です。


「F」:Feature(特徴)
「A」:Advantage(利点)
「B」:Benefit(利益)
「E」:Evidence(証拠)

「F」:Feature(特徴)

特徴は、製品の機能、品質など仕様面を、客観事実によって示します。ここでは、特徴の箇条書き、仕様の一覧表、データを記載したドキュメントなどを活用すると有効だと思います。

ここは、訴求プロセス全体から考えれば、まだイントロです。その段階で、購買意欲はまだまだ高まることは稀でしょう。

「A」:Advantage(利点)

ここでは、自社製品の競合に対する「優位性」を示します。それは、「F]で示された仕様と関連付けて語ることでどのくらい優位なものであるかを効果的に示すことができるはずです。

「この仕様だから、他社製品にない使いやすさが実現しています」、、、など。

「B」:Benefit(利益)

そして、Benefitでは、完全に顧客の立場に立って考えることが求められます。つまり、この製品を使用することによって得られる顧客メリットを説明します。

例えば、「使いやすいので、作業効率はあがり、コストダウンにつながりますよ」といった具合です。

「E」:Evidence(証拠)

これまで語ってきた特徴、利点、利益を証明するための根拠を、客観的な情報をもって示し、信頼性、安心感などを与えることが必要です。

技術データ、アンケート情報、分析レポート、パブリシティなど、あくまで第三者の立場で語られているドキュメントがあると良いですね。

「セールストーク」を真剣に、科学的に考える。。。なかなか実行されている組織は少ないように思います。一度、営業ナレッジを徹底的に結集して、史上最高の「セールストークスクリプト」を作ってみませんか?

株式会社シナプス 代表取締役 家弓正彦



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