営業のイノベーション9:セールスパーソンに求められるスキル

「営業の革新」をテーマに、営業のマネジメントモデルを考えるシリーズコラム。今回は、セールスパーソンに求められるスキルを取り上げます。営業が備えておくべき基礎スキルを3つの力に分解。それぞれがどのような要素から成っているか、ポイントをお伝えします。

これまでは、行動面を中核として営業プロセスを考えてきましたが、それを実行するセールスパーソンの基礎スキルを伸ばすことこそ重要課題です。最後は自立して、有効な営業プロセスを実行できる集団になりたいものですよね。

そこで、今回は営業が備えておくべき基礎スキルについて考えてみましょう。

営業スキルの基本構造は、

  1. 現状把握力
  2. 構想力
  3. 行動影響力

という3つに集約できそうです。

1.現状把握力

マーケティングのフレームワークに3C分析があります。顧客(Customer)、競合(Competitor)、自社(Company)の3要素が重要なマーケティング環境であるという考え方です。

とすると、セールスパーソンは日々の営業活動の中で、この3要素を的確に捉えることが求められているはずです。

・市場顧客理解

大きな視点で「今、市場はどう動いているのか?」

そして、きめ細かい視点で「顧客の抱える課題は何か?」

というポイントを的確に把握することが不可欠です。顧客課題については、「営業のイノベーション4:顧客の課題を見極める方法」で述べましたが、インタビュースキルなどを磨くことも必要ですね。

・自社競合理解

そして、自社と競合の関係(各社の戦略、強み弱み)を把握することも営業活動上重要なポイントとなります。

  • 競合は何を訴求してくるのか?
  • 自社は一般的にどのようなポジションを占めているのか?
  • この顧客のなかで、自社はどのように評価されているのか?

常に、セールスパーソンはアンテナを張り巡らし、敏感な触角を持ち続けることが求められているはずです。



2.構想力

構想というのは、目標を定め、それに向けて的確な行動シナリオを描くチカラを意味します。

・自己目標設定

まずは、自分の心のなかで、自分自身の目標をしっかり持つことが求められます。現在の自分のポジションを明確にし、担当業務の意味合いを理解して、この業務に取り組む意義や価値を明確にすることが動機の立脚点です。

営業活動は、様々な難局に直面することが多いですから、やはり「折れない心」を持ち続けることも、ひとつのスキルだと思うのです。そのためには、己のミッションを明確に心に持っていることが不可欠でしょう。

・営業目標設定

自分の現状を理解し、自ら適切な目標設定することも必要です。

その際、どの顧客をターゲットとして活動していくのか?

そこで、どれくらいの成果を狙うのか?

そんな目標を構想することは、営業のみならずビジネスパーソンとしてのインフラとなる基礎スキルかもしれません。

・シナリオ構想

自己、そして営業上の目標を設定したら、それを実現するためのシナリオを描く必要があります。

  • どのような対策を打ったらよいのか?
  • まずは、どのような行動をとるべきなのか?
  • さらには、その先を見据えて、どんなシナリオで目標達成を目指すのか?

これらの具体的な構想が描けなければ、目標は絵に描いた餅に終わります。



3.行動影響力

上記の目標達成するためのシナリオが出来ても、これを独力で実現することは困難なケースが多いはずです。行動影響力とは、まわりを巻き込むチカラと言いかえることができそうです。

・社内関係者

当然、社内の上司、部下、他部門などの協力を得ることが必要です。そのために、様々なコミュニケーションをとり、相手の理解、共感を勝ち取り、行動を起こさせる動機付けをする。そんな一連のコミュニケーションスキルが必要となるはずです。

・顧客リレーション

この行動面の影響を行使しなければならないのは社内だけではなく、顧客も対象となるはずです。むしろ、顧客の理解、共感、行動をとりつけることが営業としての最終的な目的となっているわけですね。

顧客を味方につける、さらには、顧客自身に(社内)営業してもらう、、、そんな強い信頼関係で結ばれることが理想ですよね。

しかし、ここまで述べてきたスキルは一朝一夕で身につくものではありません。前回の「営業のイノベーション8:営業プロセスのマネジメント」で述べたように、マネジャーが日々の行動を指導修正することを通じて、スキルアップが図られていくものと考えた方が良いと思います。それだけに、営業マネジャーに求められる役割は重要なものといえるでしょう。

株式会社シナプス 代表取締役 家弓正彦



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