オンラインワークショップツールRemoを触ってみた

シナプス後藤です。

Zoomでのオンライン会議や研修などが当たり前になりつつありますが、慣れてくると出来ることと出来ない事がいろいろと出てくるものです。

最近、ネットで少し話題になっていますが、Remo(リモ)がワークショップに使いやすそう、ということで触ってみました。
※機会をくださった知人には感謝です。

※なお、この機能の紹介は私が触ってみて感じた範囲なので、間違っているかもしれません。間違っている点はぜひご指摘いただけるとありがたいです。また、Remo社の方でアップデートしていくでしょうから、あくまでも2020/04/09時点の情報です。

1. Remoって何?

Remoはオンラインでのカンファレンスやワークショップなどを行う、いわゆるWeb会議ツールの一つです。最近は、ZoomやWebExなどが当たり前になってきていますが、一つの選択肢として今後上がってくるのではないかと想像します。

https://remo.co/



特徴的なのは、テーブルがそれぞれ設定されているところで、「自分が座っているテーブルの人とだけ会話ができる」という機能です。Zoomでは、ブレイクアウトルームが機能として使いやすいですが、ブレイクアウトルームの限界はホスト側にしかテーブル設定権限がないことです。
Remoでは好きなテーブルに自由に移動できるので、「この人と話したい」と思ったらすぐに移動できます。
※仕様上は1テーブルの上限人数が決まっているようで、どこまで自由度が高いかは今後検証したいと思っています。

各テーブルにはホワイトボード(Directorライセンス以上)が設置されていて、自由に書き込むことも出来ます。


勿論、他のWeb会議システムと同様に、同一テーブル内の人とは会話できますので、会議システムとしても十分機能するのではないかと思います。
Remo.coのサイトを見ると、Conferenceの他にVirtual Officeもあるので、コワーキングスペースのような使い方もできるかもしれません。

2. Remoは何ができるのか?

では、Remoは何ができるのでしょうか?現時点では使いこなしていないので少し表面的ですが、Zoomと機能を比べて記載したいと思います。

① Web会議の様子

基本機能としてのWeb会議ですが、今のところZoomと比べて大きな遜色はなさそうです。ただ、私はPCで使っているのでそう思っただけで、スマートフォンやタブレットなどだと少し動きが変わるかもしれません。
画面共有も勿論、普通に出来ます。ただ、選択の仕方がZoomに慣れていると若干分かりにくい、選びにくい感じでした。



トライアルは2人で試しましたが、今後もう少し人数が増えた時にどういう反応になるかは要チェックです。
チャット機能も、(1) 個人間チャット(Privete)、(2) テーブル内チャット、(3) 全体チャット(General)の三タイプを使い分けられます。Zoomの場合はブレイクアウトルーム以外は「グループ」という概念がないので、よりグループワークに特化した内容になっていると感じます。

② 席移動

Remoの最大の特徴は席移動です。例えば、1番目のテーブルに座っていて、「移りたいな」と思ったら別のテーブルをクリックするとその席に移動できます。




各ユーザは、「自分の席の会話」にしか参加できません。(Zoomのブレイクアウトルームのそれぞれの部屋を移動するのと同じです)
なので、間違って他のテーブルをクリックしても簡単に移動ができてしまいます。
この機能がとても直観的で簡単なのが最大の特徴でしょう。

全体のアナウンスには(多分ホスト機能だけだと思いますが)、Announcementという機能があり、これを書くと全員にテキスト情報でのアナウンスが出来ます。




これによってファシリテーターが上手くコントロールする、という事なのでしょうね。

③ プレゼンターによるスピーチ

ワークショップではファシリテーターがいて全体をコントロールしますよね。Remoではプレゼンターがその任を担います。



全体像の上部に演台があり、そこでプレゼンをする形のようです。プレゼンターの役割はユーザごとに設定します。(ライセンス形態によって何人まで、等があるようです)


※この「Present」ボタンを押すと、参加者全員に(どのテーブルにいようと)プレゼンを見せることができる。
イメージとしては、ワークショップファシリテーターが全体の進行を説明したり、カンファレンスで講演やパネルディスカッションを行ったり、というようなものです。
※現時点で、プレゼンターが話しているとき、各テーブルがどうなっているかはよくわかっていませんが、どうやら強制的にプレゼンターの話を聞くようになるみたいです



こんな感じの画面が見えて、QAなどもチェックできます。

④ 画面掲示

Remoでは、ロゴやyoutube動画、スポンサー枠などを設定できるようです。
商用カンファレンスを意識しているのだと思いますが、会場全体が見渡せるUIなので、主催者のロゴやサイト、YoutubeのURLは常に流せるのかもしれません(まだ試していませんが)などを掲示しておくことでワークショップの運営にプラスに出来そうです。
また、面白いのがスポンサー枠で、リアルだと会場に貼ってある広告用看板ですね。協賛していただく企業のロゴを出す、等のやり方なんだろうと思いますが、機能として入っているのがとても面白いです。

⑤ その他いろいろ

Remoには、それ以外にもタイマー、ホワイトボード等の機能があります。
ホワイトボードは上述しましたが、Zoomと比べるとかなり広いスペースが準備されていて、各テーブルごとに設置されています。UIの限界はもちろんあって、リアルのホワイトボードや模造紙の方が使いやすいとは思いますが、選択肢と指定は良さそうです。
一方で、ZoomでのワークショップではGoogle Slideを使うケースが多いようですが、書きやすさと共有という意味ではまだまだ他のドキュメントツールの方が使いやすいとは思います。この辺は、Zoomも同様、どう使い分けるか、という工夫次第かなと感じます。
タイマー機能はUIとして分かりやすいので、個人的には結構好きな機能です。



何回セッションを回すか、一回のセッションは何分か、次のセッションまでのインタバルが何分か、というものです。例えば、ワールドカフェで3回セッションを回し、一回30分、移動時間を5分、など設定しておくことも可能です。
これを設定してもシステム上の強制力は何もなさそうですが、全員が見えるタイマーが見やすいところにある、というのはワークショップのファシリテーター経験者には貴重なものに映るでしょう。


Remoのサイト自体はまだ日本語対応されていないので、英語が苦手な方には若干しんどそうですが、参加者として参加する分には大きな影響はなさそうです。

3. Remoはどんな風に使えそうか?

Remoはワールドカフェのツールとしてはかなり良いのではと思います。Zoomでも出来るとは思いますが、運営側も参加者もそれなりに頑張らないといけないのに対して、Remoでは「テーブル」というUIのおかげでかなり使いやすいです。

また、グループワーク型の研修やワークショップでも成果を出しやすそうです。ただ、ライセンス形態として、実施時間や1テーブルの参加人数などに制限があるという仕様になっているので、どこまで柔軟に使えるか次第のところはありそうです。
まだ、進化中のツールとは思いますが、Zoom以外の選択肢としてとても有望、というのは間違いないでしょう。

一方で、ビジネスの会議や講演会等、一グループを基本とするものであれば、ZoomやWebExの方がまだまだ使いやすいと思います。あくまでもグループワークを主体とするツール、ととらえて頂くと良いかと思います。

4. ライセンス形態

(2022/11/29UPDATE)

本記事のエントリーからかなり時間もたち、remoのラインセンス形態も機能も相当変わったようです。
現時点での最新は下記のとおりです。
***

【Remoの料金·価格】

Remoの料金プランは大きく分けて2タイプ、主にイベント開催用の「Immersive(イマーシブ)」と、仮想オフィス向けの「Virtual Office(バーチャルオフィス)」プランです。
そのほか、RemoのZoom連携アプリを年間または月額で購入するプランがあります。

Immersive:年間プラン 月額3750円から
     月額プラン 4500円から

Virtual Office: 年間プラン 月額12500円から
       月額プラン 15000円から

Zoom連携アプリ:年間プラン 月額1875円から
     月額プラン 2250円から


いずれのプランも年間契約することで月あたりの料金が16%オフになるので長期利用する方がお得となります。
***

Zoom連携、というのも面白い機能ですね。
ZoomブレイクアウトルームにRemoのバーチャル会場を利用できるようになっているようです。
このエントリーを書いた時点では、Zoomも競合と思っていましたが、Zoomの拡張機能として出来るのは魅力的ですね。

5. その他気になる点

総論としては使えそうですが、ビジネスとして活用する場合には、次の点が気になります。

① UI

ユーザインタフェースは、直観的で使いやすいとは思いますが、iphone、Androidや様々なブラウザでどういう使い勝手になるのかはとても気になるところです。
PCだと今のところ使えていますが、これが人数がたくさん、例えば、100人規模のワークショップになった場合にどういう動きになるのか、等はワークショップの品質に大きく影響します。
今は良さそう、と思っていますが、たまたま「タブレットPCを使っているから使える」ということなのかは今後の確認事項です。

② セキュリティ

つい先日、Zoomでもセキュリティの脆弱性を指摘されましたが、ビジネスで活用しようとするとどうしてもセキュリティの問題は避けて通れません。
オープン型のワークショップであればあまり問題になりませんが、例えば、企業内の組織変革ワークショップをやる、というようなケースで使ってよいレベルのものかどうかは分かっておりません。この辺りは、しばらくは、「それぞれの責任の範囲内で」使っていくのだろうなーと思います。
とすると、我々のようなサービス提供者がお客様に提供してよいかどうかも判断が分かれるところでしょう。

③ 通信量やシステム安定性

Zoomの良いところは、データ通信が軽いことが大きいと言われています。Google Hangoutに比べると1/10とも聞いたことがあります。ではRemoではどうか、というのが気になるところです。また、Zoomも新型コロナウイルスの関係で一気にサーバ負荷がかかり安定しなくなったといううわさも聞きました。(体感したことはありませんが)
パッと使ってみた印象は良いので、今後(ビジネスモデルを間違えなければ)拡大していくだろうと思いますが、ユーザが増えた時にどうなるか、も気になるところです。

6. 最後に

以上、Remoを触ってみた感想を書いてみましたが、面白いツールであることには間違いないので、もう少し触ってみようかと思います。
また、ワークショップもバンバンやりたいと思っていますので、ご興味があればご連絡ください。
※もしかすると、Web会議飲み会を大人数で実施する場合にも機能しそうな感じがします。


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