フレームワーク3C分析のコツ-マーケティング情報収集9つの方法

「あなたは3C分析を実務で使いこなしていますか?」
3C分析はシンプルで強力なマーケティングフレームワークです。しかし、「3C分析を実務でマーケティング戦略立案に活かすこと」ができている人は少ないでしょう。3C分析を実務で使いこなすには、2つのスキルが必要です。

  • 3C分析で論理的に解釈をする力
  • 3C分析のための情報収集力

つまり、3C分析の理論にマーケティング情報収集力を加え、実務で使える3C分析力が身につきます。

マーケティング戦略に差が出る3C分析フレームワーク

3C分析とは


3C分析とは、マーケティング環境分析フレームワークです。

3Cとは、「Customer(市場・顧客)、Competitor(競合)、Company(自社)」の3つの言葉の頭文字を取ったもので、マーケティング環境を抜け漏れなく把握できます。

我々は3C分析が実務で最も使えるフレームワークだと思います。

市場環境・顧客環境分析の項目

  • 市場規模
  • 市場規模の成長性
  • 顧客ニーズ
  • 顧客の消費行動・購買行動

競合環境分析の項目

  • 競合企業のシェア
  • 新規参入・代替品の脅威
  • 競合企業の業界ポジション
  • 自社にとって、特に注意すべき競合企業
  • 注意すべき競合企業の特徴と今後想定される行動(自社への対抗手段など)

自社環境分析の項目

  • 自社の企業理念・ビジョン
  • 自社既存事業・既存製品の現状
  • ヒト・モノ・カネの現有リソース
  • 既存ビジネスの特徴

3Cフレームワークを使いこなすマーケティング情報収集スキル

実務での3C分析では、顧客分析、競合分析、自社分析には、3Cマーケティング情報収集が必要です。そのため、分析に必要な情報収集スキルがいります。

「Garbage in, garbage out.」と言われるように、いくら高い分析力を持っていても、3C分析のための、情報収集スキルがなければ、良い解釈を引き出すことはできません。


フレームワーク3C分析のコツ-マーケティング情報収集9つの方法


顧客分析の情報収集方法


3C分析の出発点は、顧客分析です。実務現場での3C分析の顧客情報収集ノウハウを解説します。


①自分で多くの顧客ヒアリングをするのが基本


まずは、自分自身で多くの顧客から直接ヒアリングをすることが基本です。

もちろん、最終的にすべて1人で情報収集しなければいけないわけではありません。しかし、直接顧客ヒアリングした経験があれば、間接情報を得たとき、間違った情報を鵜呑みにすることもなく、あらかじめ立てた仮説から、より深い情報を得ることができるようになります。

②社内から顧客情報がどんどん集まる方法

自分自身でヒアリングするのが基本ですが、もう一つの顧客分析情報源は「社内関係者」です。特に、BtoBマーケティングでは、営業担当者から顧客の声を集められます。

「社内から顧客情報が集まるポジションを築く」ことが、顧客情報収集方法として有効です。

「担当商品では、社内第一人者になる/営業担当者のなんでも相談係になる」
担当事業では、社内の第一人者になりましょう。すると「とりあえずあの人に相談してみよう」というポジショニングができてきます。
シナプスの場合は、平均1日1件の新規案件相談=年間200件の案件対応し、多量の顧客情報を持っている状態です。

③3C分析情報は、「意見」と「事実」を分ける

社内から3C分析の顧客情報を集める場合は、「3C分析の情報が相手の中で加工され『解釈』『意見』になっていないかの見極めが重要」です。

たとえば、「『お客様が求めているのは、これだ』法人営業担当者にとって、実際の顧客の声ですから、もちろん『事実』です。しかし、発言した顧客にとっては、とりあえず発言した『意見』かもしれません。3C分析フレームワークを使いこなすには、顧客にとっての事実は何か、発言の背景を必ず確認します。


④異常値・少数初期採用者の顧客に注目


  • 異常値の顧客に注目

「この商品は、売上は低迷しているのに、なぜか特定のお客様ですごく評判がいい」。このような異常値の顧客を見つけた時は、新しい顧客ニーズが発見できる可能性が高いです。

我々も、異常値の顧客を発見したので、顧客調査し3C分析を行い、競合企業が見逃している新しいニーズを発見しました。その後、製品コンセプトを刷新し新規事業の売上が3年間で100倍になりました。特に、新規事業の3C分析では、平均値より異常値の顧客がヒントになります。

  • 少数の初期採用顧客の声を聞く

新規事業などで、顧客ニーズを集めるときは、非採用者ではなく、少数でよいので、採用者の意見を重視しましょう。

実際に使ったことがない顧客候補にヒアリングしても、単に「同じモノをもっと安く」という意見に集約されることが多いです。同じものを安く売る戦略で勝てるのは「業界1位の大企業だけ」です。

競合分析の情報収集方法


3C分析フレームワークで難しいのが競合分析情報収集です。特に、BtoBマーケティングの3C分析での競合把握は、基本的な情報収集すら難しいことがあります。


⑤競合分析情報を「自社顧客」から集める


競合情報収集方法として、有効な手段のひとつが、「自社顧客に競合情報を教えてもらうこと」です。

あなたが、自社情報を聞かれたとき、もっとも断りにくい相手は誰でしょうか。大抵の婆合は「自社顧客」です。それは、競合他社にとっても同じことです。

たとえば、商談で競合コンペになったら、顧客担当者から競合提案内容を探ります。関係ができている顧客なら「特別ですよ」といって、競合提案書をコピーさせてくれます。


⑥競合分析情報を「直接競合他社」から集める


諦めがちだが、実は有効な競合情報把握方法があります。それは、「競合他社から直接情報収集」することです。

たとえば、競合企業のセミナーに参加し質問します。何気ない質問への回答から非公開の製品仕様がわかる場合もあります。


⑦競合分析情報を「自社パートナー」から集める


3C分析の、競合情報収集方法の、3つ目が「自社の仕入れ先パートナー」です。競合他社の動きは、競合とも取引をしているパートナーから情報収集できます。

もちろん、パートナーにとって競合他社も「顧客」ですから公には開示はしせん。しかし「顧客の立場」を利用すると、意外と多くの競合情報収集ができます。

自社分析の情報収集方法

「あなたは3C分析の自社分析ができるほど、自社情報に精通していますか?」
「隣の事業部は何をやっているかよく知らない」という方も多いでしょう。

⑧自社情報を「社内人脈」から集める

中規模以上の企業で、一人から数名のチームだけで、有効な自社情報をすべて把握するのには限界があります。社内ネットワークを広げて自社分析情報をカバーしましょう。

  • 自社社内知識人(物知りおじさん)を頼る

例えば、どの会社にも、自社社内情報にやたら詳しい社内知識人がいるものです。社内知識人は、大抵自社社内では有名人なので、何人かにヒアリングすれば、すぐ見つかります。また、「話し好き」「教え好き」が多く、あなたが本気で取り組んでいるなら、喜んで協力してくれるでしょう。


  • 自社社内各所のキーパーソンに「弱いつながり」を持つこと

社会学の「弱いつながりの強さ(The strength of weak ties)」という理論をご存じでしょうか。

<弱いつながりの強さ>
ホワイトカラーの転職経路を調べたところ、「よく知っている人より、つながりの薄い人から聞いた情報を元にしていました。」これは「よく知っている人」より「あまり知らない」人のほうが、自分の知らない情報を持っている可能性が高くなります。「強いつながり」より「弱いつながり」から多くの情報が得られる場合が多いのです。
※Wikipediaより抜粋、要約

つまり、自社情報収集のキモは、自分と異なる部署に「弱いつながり」をたくさん持つことです。

部内で強いつながりを複数作っても、アクセス可能な情報総量は、それほど増えません。しかし、複数の部門に、キーパーソンと「弱いつながり」を持っていれば、多くの知見にアクセス可能です。これが「弱いつながりの強さ」です

⑨自社分析情報を「社外人脈」から集める

社外からも自社情報を集めることはできます。特に新規事業や新商品開発においては、社内より社外情報の方が重要かもしれません。

例えば、仕入れ先パートナーの営業担当から、自社情報収集ができます。デキる営業パーソンは、顧客である、あなたの会社の複数の部署の動きまで押さえています。特に自部門以外の動きは、あなたより知っているパートナー営業担当者もいるのです。

まとめ

3C分析は、使いやすいフレームワークです。しかし、3C分析の、顧客・競合・自社の情報収集スキルは、大きな差がでます。9つのコツを駆使して3C分析を極めましょう。

【参考】フレームワーク3C分析-マーケティング情報収集事例

3C分析のマーケティング情報収集のコツについて説明ました。この9つのコツを使った、「クラウドサービス」についての3C分析情報収集事例を紹介します。

3C分析事例 「④異常値・少数初期採用者の顧客に注目」

導入期にあるお客様が、サービスを気に入って複数契約してくれました。そこで、我々はお客様に「導入事例取材」をしました。

そこで、発見したのが「固定金額でクラウドサービスを使いたいセグメントがある」という意外な事実です。

一般にクラウドサービスは、従量制課金が主流でした。使った分だけ支払う契約です。世の中の流れ、そして、社内のすべての人間が「お客様は従量制を求めている」といいました。しかし、そのお客様は「従量制契約で、コストが分からないと稟議を通すのに困る」というのです。情報システム部門を始めとする、いわゆる「コストセンター」部署は、従量制課金を求めていない。変動されたら逆に困るセグメントがあることを発見しました。

3C分析事例 「⑤競合情報を「自社顧客」から集める」

顧客担当者は、特に稟議を通すためにも必ず他社比較します。ここで、仲の良い顧客から他社情報を集めます。我々は、他社が顧客に提出した提案書を5社分以上は集めていました。

3C分析事例 ⑦競合情報を「自社パートナー」から集める

自社パートナー、具体的には、自社がクラウドサービスを作るのに購入している、サーバやストレージのベンダー担当者と仲良くなり情報収集をしていました。

当時、クラウドのストレージをどのように構築するかは、各社が頭を悩ましており、パンフレットや提案資料にも載っていない極秘情報でした。しかし、我々は、主要な競合が、どのストレージを使っているか。A社では、今障害が起きて、乗り換えようとしているなど、ほとんどの情報を押さえていました。


参考情報

マーケティングフレームワーク実践ビジネスナレッジコラム




「3C分析フレームワーク」を学ぶ企業研修

「マーケティング研修基礎」は、1万人が受講したマーケティング基礎プログラムです。「マーケティング戦略基本プロセスの流れ」「顧客ニーズの本質」を学びます。単なる知識に終わらずマーケティングの実務応用に活かせる論理的マーケティング思考法を身につけます。マーケティング思考・フレームワークを組織共通言語化する企業内集合研修として最適です。

研修プログラムの詳細は『「マーケティング研修基礎」共通言語で顧客思考の組織を作る方法』をご覧ください。


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