更新日:2023年11月22日
橋向講師
「LPOについて聞いたことがあるが、実施する必要があるのかどうかわからない」「LPOを実施しようと思っても、具体的に何をすればいいかわからない」という人も多いと思います。
LPOとは、自社のホームページやWebサイトに訪問したユーザーを、「問い合わせ」「資料請求」「申し込み」「購入」等につなげやすくなるようにページを改善していく施策のことです。Landing Page
Optimizationの略で、「ランディングページ最適化」と訳されます。
「ランディングページ(LP)」は、ユーザーが最初に訪問したページのことを指します。特にWeb広告をクリックした先のページをLPと呼ぶことが多くなっています。
本記事では、LPOを行うメリットや具体的な方法、実施する際に気をつけるべきポイントについて詳しく解説していきます。また、似たような用語でよく使われる「SEO」や「EFO」との違いについても併せて確認していきます。
LPOの施策をお急ぎの方のために、株式会社シナプスではコンサルティングや研修を提供しています。お気軽にご相談ください。
LPOとは
LPOとは、自社のホームページやWebサイトに訪問したユーザーを、なるべく離脱させないようにし、「問い合わせ」「資料請求」「申し込み」につなげやすくなるようにページを改善する手法のことです。Landing Page
Optimizationの略で、「ランディングページ最適化」と訳されます。
「ランディングページ(LP)」は、Webサイトの中でもユーザーが最初に訪問(着地)したページのことを意味します。特にWeb広告をクリックした先のページを指すことが多くなっています。
さまざまな施策をおこなって自社のホームページやWebサイトのアクセス数が増えても、ユーザーがすぐに離脱してしまってはビジネスにつながりません。この状態で広告費をかけてユーザーを集めても、広告費のムダになってしまいます。こうした状況に陥らないために、アクセスしたユーザーを着実に「問い合わせ」「資料請求」「申し込み」「購入」等へつなげるページに改善していく施策がLPOです。
LPOと「SEO」「EFO」の違い
LPOと似ていて紛らわしい用語に「SEO」「EFO」があります。ユーザーから見ると、あるWebサイトへアクセスして、そこから申し込むまでの流れに影響する順番は、SEO→LPO→EFOとなります。 ※ただしLPにたどり着くのは必ずしもSEO(自然検索)の影響だけではなく、Web広告からアクセスされたり、チラシのQRコードからアクセスされたりすることもあります。
LPOと「SEO」「EFO」、それぞれの違いを確認しておきましょう。
SEOとは?
SEO(Search Engine Optimization)は、「検索エンジン最適化」と訳され、企業のホームページ、Webサイトを検索結果に表示されやすくし、アクセス数を増加させる手法のことです。
企業が自社の商材・サービスについて、ホームページやWebサイトで大量に情報発信しても、それが誰にも見られなければ意味がありません。こうした情報が、検索エンジンを介して多くのユーザーに閲覧されるようにWebサイトを改善する施策がSEOです。つまり、LPOのひとつ手前の施策です。
EFOとは?
EFO(Entry Form
Optimization)は、「エントリーフォーム最適化」と訳されます。企業のホームページやWebサイトにアクセスしたユーザーが、「問い合わせ」「申込み」「購入」などアクションしたいと思ったときに、入力フォームで苦労せず、迷わずに個人情報を入力し、より確実に申し込んでもらえるようにする手法のことです。
せっかく「問い合わせ」「申込み」「購入」などアクションを起こそうとしても、個人情報を入力するフォームが面倒な状態になっていると、ユーザーは離脱してしまいます。フォームで不必要な情報までたくさん入力させられたり、入力のエラーがあった際にどの部分がなぜ入力エラーなのかわかりづらかったりすると、フォーム上で離脱されます。こうした機会損失が起こらないように入力フォームを改善する施策がEFOです。つまり、LPOのひとつ後の施策です。
また、「EFOはLPO施策の一部」と定義する人もいます。ただ、これはLPと入力フォームが同じページで一体化していることが前提の定義です。実際には、Webサイトの仕様の都合でLPと入力フォームが別のURLに分かれていることもあります。その場合は、「EFOはLPO施策の一部」ではなく、「LPOとEFOは別の施策」と考える必要があります。
LPOのメリット・デメリット
LPOは、訪問したユーザーを「問い合わせ」「資料請求」「申し込み」「購入」等の成果地点(コンバージョン:CV)へつなげやすくする施策です。では、LPOは他の施策と比べてどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?いくつか確認していきましょう。
LPOのメリット
LPOのおもなメリットは次の3点です。
メリット① ホームページへ訪問したユーザーがCVしやすくなる
SEOやWeb広告をいくら実施していても、訪問したページでユーザーが離脱してしまっては成果につながりません。ユーザーが訪問したページでLPOをおこない、CVしやすいページ・CVしたくなるページに改善していくことで、成果も改善しやすくなります。
メリット② 短期間でABテストが実施でき、PDCAサイクルを回しやすい
ランディングページは基本的に1ページで完結させます。そのため、複数のパターンを用意してABテストを実施しやすい施策です。ヒートマップツールを活用してデータを計測できるようにしておくことで、短期間でPDCAサイクルを回すこともできます。
メリット③ 自社の商材にとって効果的な訴求ポイントを見つけやすい
自社の商材をアピールする際に、PEST分析や3C分析、STP分析などをとおして戦略を考え、コンセプトをまとめ、そこからいくつかの訴求ポイント候補を洗い出していく手順を踏むことが多いと思います。
ただ、訴求候補を洗い出した段階では、あくまで仮説にすぎません。候補の内どれが本当に訴求ポイントとして効果があるのかを確認する必要があります。
ABテストをしやすくPDCAサイクルを回しやすいLPOをおこなうことで、効果的な訴求ポイントを確認しやすくなります。効果的な訴求ポイントが見つかったら、LP内だけでなくWeb広告の訴求にも横展開したり、ホームページ全体に適用したりすることで、Webサイト全体で成果を底上げしていくこともできます。
LPOのデメリット
基本的にLPOを実施すること自体にはデメリットはありません。強いて言えば、成果を出すためには専門知識が必要になる、という点がデメリットといえます。具体的には次の3点です。
デメリット① やみくもにページを変更しても成果は出づらい
なんとなく雰囲気でランディングページを用意し、そこへユーザーを誘導しても、なかなか成果は出づらいのが現実です。Googleアナリティクスではなくヒートマップツールのデータを見ながら、様々な種類の複数のビジネスでLPOを実施してきた経験のある、専門知識を持った業者へ依頼しないと、成果はなかなか上がりません。
デメリット② 思いつきでABテストを繰り返しても成果は出づらい
「ABテスト」というと、ブレストで色々なパターンを出して、それぞれを順番にテストしていく、というイメージが強いようです。
もちろんこのようなABテストでも成果が出ればいいのですが、実際にはブレストとABテストの繰り返しでは効率が悪く、なかなか成果が出づらいのが現実です。
リソースが潤沢な企業であれば、ブレストで出てきたパターンを大量にテストし、偶然成果の出るパターンを見つけて、そこへ広告予算を集中させる運用もできるかもしれません。しかし多くの企業にとっては、こうした大量のテストと偶然性に頼った非効率なLPOを実施できるほどリソースに余裕はないと思います。
LP上でのユーザー行動や視線の動きを踏まえて、改善すべきポイントを分類し、そのポイントを影響度で優先順位づけした上で、ポイントごとにABテストしていく必要があります。逆に、あまりに細かすぎるABテストではデータに差が出ず、テストをする意味がなくなってしまいます。この辺りの感覚も、LPOを実施してきた経験のある専門業者に依頼したほうが成果を出しやすくなります。
デメリット③ 事前に戦略上の分析をおこない、コンセプトを固めないと成果が出づらい
戦略上の分析や、そこから導出されるコンセプトが固まっていない段階で、やみくもにLPOを実施しようとしても、なかなか成果が出づらくなります。自社内で「こういうポイントをアピールしたい」と思っていても、そもそもその訴求ポイントをユーザーが求めていなかったり、同業他社の方が優れている可能性があったりするためです。
こうした点に気づき、LP内でユーザーがCVしたくなるページに改善していくためには、事前にPEST分析や3C分析、STP分析など戦略構築に必要な分析をおこない、そこからコンセプトを固めておく必要があるのです。
株式会社シナプスでは研修やコンサルティングを行っています。ビジネスの課題に合わせてカスタマイズした研修・コンサルティングを提供していますので、少しでも気になる方は、お気軽にご相談ください。
ランディングページでのユーザー行動とLPOの考え方
LPOは、自社のホームページやWebサイトに訪問したユーザーをできるだけ離脱させず、申込みにつなげるための施策です。ページ内でのユーザー行動に沿って、ページを改善していくことで、「問い合わせ」「申込み」「購入」等につなげやすいページにしていくことが特徴です。それでは、ページ内のユーザー行動はどのようなものでしょうか?次の3段階でとらえる必要があります。
- 段階① 最初に表示された部分(ファーストビュー:FV)のコンテンツを見る
- 段階② 次のアクションを決める
- 2-1:「問い合わせ」「申込み」「購入」等、CVへ向けた手続きをおこなう
- 2-2:ページをスクロールしてコンテンツを読み進める
- 段階③ ページをスクロールしながら次のアクションを決める
- 3-1:「問い合わせ」「申込み」「購入」等、CVへ向けた手続きをおこなう
- 3-2:ページを離れる(他社のページへ移動して情報収集する)
段階①~②のユーザー分析
LP上では、ファーストビューで離脱するユーザーはだいたい30~60%程度います。これだけ幅があるのは、LPのわかりやすさや商材が持つベネフィットの伝わりやすさと、どの経路からLPへたどり着いたかによって変わってくるためです
一般的にファーストビューでは、「何を提供しているか」「提供している商材のベネフィットは何か」が伝わりづらいものほど離脱率は高まります。また、たどり着いた経路別で見ると、Web広告からたどり着いたユーザーほどファーストビューでの離脱率は高い傾向があります。Web広告のなかでも特にプッシュ型のディスプレイ広告は、経路別で最も離脱率が高くなりやすいです。次いでリスティング広告と続き、離脱率が低いのは自然検索(リスティング広告の下に表示される検索結果部分)となります。
リスティング広告や自然検索は、ユーザーが求める情報とタイミングに合わせて適したページを表示させることができる(プル型)ため、それがファーストビューでの離脱率の低さにつながりやすいのです。リスティング広告より自然検索で離脱率が低いのは、検索結果でリスティング広告より下に表示される自然検索を確認できるぐらい時間的に余裕のあるユーザーがLPにたどり着いていることや、自然検索に表示されるページのコンテンツが、Web広告のLPよりも、検索キーワードの検索意図とマッチしやすいから、ということが考えられます。
段階②~③のユーザー分析
ファーストビューで「問い合わせ」「申込み」「購入」等を決めたユーザーはそのままCV手続きへ進みますが、商材についてもう少し詳しく知りたいと思ったユーザーは下へスクロールしていきます。
下へスクロールしながら追加の情報を確認し、「問い合わせ」「申込み」「購入」等を決めたらそのままCVの手続きへ進みます。ただし、情報を確認する中で「求めていたものと違う」あるいは「商材のベネフィットがわかりづらいが、問い合わせて詳しく確認するほどではなさそうだ」と判断された場合には、そこでページを離脱されてしまいます。ページを離脱したユーザーは競合他社のページへ移り、そこで情報収集を続ける可能性もあります。
LPOで目指すこと
ランディングページでのユーザー行動に合わせてLPOをおこなう際、目指すことは次の3点です。
- ファーストビューでCVにつなげやすくする
- 下へスクロールしたユーザーに適切な情報を提示し、CVにつなげやすくする
- 適切な情報を提示し続けてページを離脱されづらくする
この中で特に重要なのは、①のファーストビュー(FV)の部分です。なぜなら、ランディングページにアクセスしたユーザー全員が必ず見るエリアはFVだからです。FVをうまく改善できれば、CV数を一気に増やすこともできます。
FVでCVを増やすためには様々な方法があります。
最低限必要なのは、「何の商材を提供しているか」「利用したいと思ったらどうすればいいか」が分かりやすくなっていることです。商材のベネフィットが多少わかりづらくても、何を提供しているのかが伝われば、ユーザーにとって比較検討の候補のひとつに入れてもらえます。問合せや申込みの仕方が分かりやすくなっていれば、そのまま利用に向けたアクションを進めることができるわけです。
その次に重要なのは、「同業他社と比較したベネフィットは何か」が分かりやすくなっていることです。これは戦略立案でよく利用されるPEST分析や3C分析、STP分析などを基にしながら、コンセプトを策定しつつ、ABテストをしながら訴求すべきポイントを探っていく必要があります。
さらにFVでCV数を増やすために、FVの中に問合せ・申込みフォームを設置してしまうという方法もあります。ただしこれは、アクセスするユーザーがPCとスマートフォンでどちらが多いかを確認したうえで、EFOと併せて実施する必要があるため、注意が必要です。アクセスするユーザーがPCとスマートフォンでどちらが多いかは、商材によって変わってきます。
LPOの方法
LPOは、1ページで完結するランディングページを用意するところからはじめます。この1ページを見れば、その組織が何を提供していて、どんなベネフィットがあるのか、利用したいと思った人はどのようなアクションをすればいいのかがすぐにわかるようにコンテンツを表示する必要があります。
1ページ完結のランディングページが用意できたら、データを計測できるようにします。Webページのデータ計測というと通常Googleアナリティクスを利用しますが、LPOを進めるうえでGoogleアナリティクスでは不十分です。できればヒートマップツールを導入したいところです。
ヒートマップとは、ページ内でのユーザーの「熟読エリア」「クリックエリア」「離脱エリア」が確認できるデータのことです。温度が色分けして表示されるサーモグラフィーのような見た目で、「よく熟読されるエリア」「よくクリックされるエリア」ほど赤く表示され、その逆は青く表示されます。
LPOを実施するには、「熟読エリア」「クリックエリア」「離脱エリア」などが確認できるツールを導入し、データを取得しておきたいところです。さらに、「問い合わせ」「購入」などの成果地点(CV)に至ったユーザーと、成果につながらなかったユーザーとで「熟読エリア」「クリックエリア」「離脱エリア」のデータを分けて確認できるツールを利用すると、より精度の高いLPOを行うことができます。
ヒートマップをCVにつながったユーザー/つながらなかったユーザーに分けて、比較しながら見ていきます。「熟読エリア」「クリックエリア」「離脱エリア」を見ていくと、データの結果と改善方法は大きく次のパターンに分けられます。
熟読エリアの分析とLPOでの改善の仕方
見るべきデータで特に重要なのは、「熟読エリア」です。熟読エリアのデータを、CVユーザーと非CVユーザーに分けて比較しながら分析します。
CVユーザーが熟読していて、かつ、非CVユーザーが熟読していないコンテンツが見つかったら、そのコンテンツはCVを後押ししてくれる要素があると判断できます。CVを後押しするコンテンツは、多くのユーザーの目に触れる部分に表示することでCV数を増やすことができます。LP内で多くのユーザーの目に触れるのは、ページ上部です。そのため、CVユーザーが熟読していたコンテンツはできるだけLPの上部に掲載するように修正していきます。LP内だけでなく、ホームページ全体でも同様のコンテンツを目立つ位置に掲載することを検討してもいいでしょう。
逆にCVユーザーが熟読しておらず、かつ、非CVユーザーが熟読しているコンテンツが見つかったら、そのコンテンツはCVを遠ざける要素があると判断できます。このようなコンテンツが見つかった場合には、削除していきます。LP内だけでなく、ホームページ全体から削除していくことも検討していくといいでしょう。
コンテンツの順序を入れ替えたり、削除したりする際には、前後の文脈に違和感がないように調整することも忘れないようにしましょう。
クリックエリアの分析とLPOでの改善の仕方
「クリックエリア」のデータもLPOの分析において重要です。特にLP内で目的としている「問い合わせ」「申込み」「購入」等のCVにつながるボタン以外のリンクがよくクリックされ、それによってLP外のページへ遷移するユーザーが多くなっている場合もあります。せっかくLPにたどり着いたユーザーを、目的と関係のないページへ移動させてしまっては機会損失につながります。
そこで、一昔前のLP制作では、CVにつながるボタン以外のリンクは設置しないのがセオリーでした。ただ、ユーザーの中には、取引を開始するにあたってどのような企業なのか確認したい人がいたり、その企業が他にどのような商材を扱っているか確認したい人もいたりします。そうした情報がLP内に記載されていなければ、他のページへ遷移するしかありません。そのため、CVにつながるボタン以外はリンクを設置しない、というのは、やや極端な考え方でもあります。問い合わせの内容からユーザーが何の情報を求めているかを確認し、その情報を他のページに遷移しなくてもLP内で確認できるようにしていくのが理想的な改善の仕方です。
離脱エリアの分析とLPOでの改善の仕方
「離脱エリア」のデータもLPOの分析において重要です。理想はファーストビューからCVにつながることですが、「もう少し情報を知りたい」と思ったユーザーは下へスクロールして、追加で情報を確認していきます。追加情報を確認しても「求めているものと違う」「求めている情報がない」と認識され、かつ、「問い合わせて確認するほどのベネフィットはなさそうだ」と判断されてしまった時点で、LPから離脱されます。離脱エリアのデータを確認すると、このように判断されてしまった離脱を促すコンテンツが確認できます。
離脱を促してしまっているコンテンツは、LP内から削除するのがよいでしょう。どうしても掲載しなければいけない情報であれば、ページのなるべく下部へ移動させるようにします。同様の改善は、LP内だけでなく、ホームページ全体に適用していくことを検討してもいいでしょう。
LPOで気をつけたいポイント
LPOを実施する際に、成果を上げるために気をつけたいポイントがあります。ここでは5つ紹介します。
ポイント① 事前に戦略上の分析をおこない、商材のコンセプトを固めておく
なんとなく雰囲気でブレストをおこなってLPOを実施しても、なかなか成果が出づらくなります。また、社内での思いつきで「これをアピールしよう」と決めても、それがターゲット顧客の求めるものからかけ離れていたり、そのポイントで比較すると同業他社の方が優れていたりするケースもあります。そうなると、CVにつながりやすいLPOができなくなります。事前に客観的な事実を基にした戦略上の分析をおこない、そこから導出される商材のコンセプトを固めておくことが重要です。
ポイント② 「思い込みや願望」と「事実」を分けて考える
建設的にLPOをおこない、成果を上げていくためには、ヒートマップツールのデータを見たり、顧客に実際にインタビューしたりしながらLPを改善していく必要があります。自社の商材に対して思い入れが強いと、「どうしてもこれをアピールしたい」「ターゲット顧客はこう考えているはずだ」という思い込みや願望を基に施策を考えてしまう傾向が見られます。思い込みや願望で施策をおこなっても、なかなか改善はできません。「アピールしたい要素は本当に顧客が求めていて、競合よりも優位性のある要素なのか」「ターゲット顧客は本当にそう考えているのか」といったことについて事実を基に分析し、施策を判断することが重要です。
ポイント③ LP内にリンクをたくさん設置しすぎない
せっかくLPにたどり着いたユーザーが、リンクからLP外のページへ移動してしまうと、CVにつながりづらくなります。そこで、基本的にLP内にはCVへつながるボタン以外のリンクを最小限にします。LP内の情報として不足しているものを把握するためには、ユーザーからの問い合わせを確認したり、既存顧客とのコミュニケーションのなかで判断したりします。場合によってはユーザーテストやインタビュー調査をおこなって確認するのもよいでしょう。
ポイント④ セールスライティングの型に固執しすぎない
LP内のコンテンツ構成・展開の仕方として、セールスライティングの方法論を取り入れるのがよいとする考え方もあります。例えば、有名なものとしては「AIDA」「AIDMA」「PASONA」「QUEST」等があります。最近では「PASBECONA」というコンテンツ構成・展開の法則も提唱されています。それぞれ簡単に見てみましょう。
AIDAの法則 | Attention(注意を惹く)→Interest(興味関心を持たせる)→Desire(欲求を引き出す)→Action(行動を起こさせる) |
AIDMAの法則 | Attention(注意を惹く)→Interest(興味関心を持たせる)→Desire(欲求を引き出す)→Memory(記憶してもらう)→Action(行動を起こさせる) |
QUESTの法則 | Qualify((ターゲットを明示して)適任者を絞り込む)→Understand((状況や問題に)理解を示し共感を得る)→Educate((解決策について)教育する)→Stimulate((購入意欲を高めるよう)刺激する)→Transition(行動を促す) |
PASONAの法則 | Problem(問題を提示する)→Agitation(問題を煽りたてる)・Affinity(親近感を示す)→Solution(解決策を提示する)→Narrow down(希少性・限定性を示す)→Action(行動を起こさせる) |
PASBECONAの法則 | Problem(問題)→Affinity(親近)→Solution(解決)→Benefit(利得)→Evidence(証拠)→Contents(内容)→Offer(提案)→Narrow(適合)→Action(行動) |
参考文献
・横田伊佐男・神田昌典 監修『最強のコピーライティングバイブル』ダイヤモンド社、2016年.
・神田昌典・衣田順一『コピーライティング技術大全 ― 百年売れ続ける言葉の原則』ダイヤモンド社、2021年.
これらの法則はうまく活用できれば力を発揮しやすいものです。特にPDCAサイクル1周目のPlanの時点で活用するといいでしょう。
ただ、2周目のサイクルからは、法則に固執するよりも、ユーザーの問い合わせやインタビューを基に「当初想定していたProblemは本当にターゲット顧客が抱えている根本的なProblemだったのか」を検証したり、ヒートマップのデータを確認しながらコンテンツの表示順序を変更していったりした方が、着実に成果につながります。
ここでも「思い込みや願望」ではなく、あくまで「事実」を基に改善してく姿勢が重要になります。
ポイント⑤ Web広告を実施する場合は、訴求をLPのファーストビューと合わせる
Web広告を配信してLPにユーザーを集める場合には、ファーストビューで離脱しないようなコンテンツがより重要になります。ファーストビューはページを訪問するユーザー全員が目にする一方、Web広告から訪問したユーザーはファーストビューで離脱しやすい傾向があるためです。
Web広告から訪問したユーザーがLPのファーストビューで離脱してしまう一番の要因は、広告クリエイティブとLPのファーストビューで訴求ポイントが異なることです。広告をクリックするユーザーは、広告クリエイティブを見てなんらかの期待を持ってクリックします。しかしLPのファーストビューで期待とズレたコンテンツが表示されると、違和感を持たれます。その時点で、LPから問い合わせたり、ページ下の情報を確認したりすることなく離脱してしまうわけです。
こうした機会損失を生まないためにも、Web広告の訴求とLPのファーストビューでは訴求ポイントを揃える必要があります。
まとめ:LPOでマーケティングの成果を底上げする
LPOはデジタルマーケティングの成果を底上げするための重要な施策です。実施すること自体にデメリットはなく、メリットしかありません。ただし、LPを用意したり、データを確認したり、コンテンツを掲載したりして建設的にLPOをおこなっていくためには、それなりの専門知識が必要です。最初は戦略構築とコンセプト策定からはじめる必要がありあります。そうしないと、大量のテストと偶然性に頼った、非効率なLPO施策になってしまいます。
効率よく建設的なLPOをおこない、マーケティングの成果を底上げしていくために、外部の専門業者を頼ったり、専門知識を身につけるための研修を利用したりすることを検討してもよいでしょう。
LPOの施策をおこなっていきたい企業様のために、株式会社シナプスではコンサルティングや研修を提供しています。お気軽にご相談ください。
この記事のライター
デジタル領域を中心にマーケティング業務16年目。広告代理店と事業会社の両面で、スタートアップから中小企業、ナショナルクライアント、多国籍企業まで幅広くマーケティング業務を行う。多角的なマーケティング手法の中から、ビジネスモデルや事業規模、予算規模に応じて適切な打ち手を組み合わせて考案し、実行までできることが強み。
<略歴>
2008年 株式会社アイレップ入社、SEOグループディレクター
2012年 株式会社CyberZ(サイバーエージェントグループ)入社、運用型広告コンサルタント、動画サービス新規事業立ち上げ参画
2015年 グループエム・ジャパン株式会社(WPPグループ)入社、シニアプランナー、ソーシャルメディアリード
2018年~ 事業会社2社でマーケティング責任者
2022年 株式会社アガルート入社