シナプス後藤です。
新規事業開発でも事業計画を作成するまでには、大きく4つのステップがあります。
- 領域選択とテーマ設定
- ニーズ探索
- ソリューション開発
- ビジネスモデルの構築
1.領域選択とテーマ設定
新規事業検討の初期段階で行うのは、「どういうテーマで検討するか?」という初期仮説です。 まず、新規事業領域の決め方は、私は、
- 十分に大きな潜在市場規模であり
- 適度に自社の強みが生かせる
の二点を推奨しています。
これらを加味して決めるべきなのは、
- 誰に?
- どんな価値を?
- どんな方法で?
を設定してみてください。 初期段階できれいに整理できるケースはまれですが、決められたフォーマットを埋めてみることで、「何がわかっていて何がわかっていないのか」が明確になってきます。
2.ニーズ探索
テーマを設定したら、次に行うべきはニーズ探索です。 人によっては、既存のサービス探索や技術理解などを挙げられる方もいらっしゃいます。これ自体を否定するわけではありませんし、重要な活動ですが、私は新規事業の立脚点は顧客ニーズにあると考えています。 マーケティングが主活動領域だから、という理由ももちろんあるのですが、それ以上にニーズがあれば、実現方法の選択肢は豊富にある、と考えているからです。
ニーズ探索の基本は徹底的なVOC(Voice Of Customer:顧客の声を収集する活動)です。
ただ声を聴くだけでなく、仮説を立て、顧客の声を聴いたり、現状を見たりしながら実態を理解することで、その本質的なニーズを想定します。 この段階で、最低一人(1社)で良いので、「この人は絶対に買う」という確信を持つことが必要です。
3.ソリューション開発
ニーズが見えてきたら、続いてそのニーズを満たすソリューションを考えます。ソリューションは、製品の場合もあればサービスの場合もあります。
ソリューション開発の難しさはその実現性でしょう。ニーズが発見できたとして、今までソリューションが存在しないのには当然理由があります。技術的に困難であったり、収益構造上儲からない状態だったり、非合法だったり、様々な理由があるでしょう。これらのできない理由を明確にしたうえで、どう打破するかを考える必要があります。 ソリューションを生み出すポイントは、二つです。
まずひとつ目は、今まで試したことのない選択肢を試すことです。
大きな企業でよくある発想ですが、「わが社の技術で何とかならないか?」という視点にとらわれると新しいものが生み出しにくくなります。NIH症候群(Not Invented Here)とも呼ばれるもので、これができるぐらいであれば、すでに出来ているはずなのです。 ですので、今まで取引のなかった企業と協業してみるなど、新しいきっかけによって、試したことのない選択肢を探してみましょう。
もう一つのポイントは顧客に試すことです。
ニーズを満たせるかどうかは、顧客が最もよく知っています。ですので、プロトタイプやモックアップなど、早期に顧客が理解できるものを作成し、できるだけ早く顧客に評価していただくことです。これによって、ニーズを満たしているかどうかがすぐにわかります。
新規事業におけるソリューションは、一回作れば完成、というものではありません。作っては修正、作っては修正、というPDCAを回していくことが求められますので、ある程度ラフであっても顧客に評価を依頼するスタンスが重要でしょう。
4.ビジネスモデルの構築
ニーズがわかり、提供するものがわかったら、いよいよビジネスモデルを組み立てます。 ビジネスモデルの定義は人によって異なりますが、おおむね、
- モノの流れ
- お金の流れ
- 情報の流れ
の定義が必要になります。 この中には収益モデルやアライアンスパートナーの存在、優位性構築のための投資活動なども含まれてきます。
ここまでくると、自然と事業計画が作成できるようになっているはずです。 少なくとも最低限の意思決定項目は網羅しているでしょう。ただし、より具体化するためには、マーケティングであれば4Pレベル、組織構造や体制、KPIの設計や財務計画など、詳細項目の作成が必要です。
ただ、新規事業が本当に難しいのは事業計画が作成できてから、ということも同時に理解しておきたいところですね。