シナプス海老原です。

あなたは3C分析を知っていますか?
「言葉だけは知っている」「マーケティングの本や研修で勉強したことがある」という方も多いでしょう。

では、「あなたは3C分析を実務で使いこなしていますか?」3C分析はシンプルで強力なマーケティングフレームワークです。しかし、「知っている」「理解している」が、「3C分析を実務でマーケティング戦略立案に活かす」まで、できている人は少ないでしょう。

「3C分析理解」までは、マーケティング書籍や研修などで学習可能です。しかし、3C分析フレームワーク力は、次の2つに分けられます。

  • 3C分析で論理的に解釈をする力
  • 3C分析のための情報収集力

つまり、3C分析のフレームワーク理解することにプラスして、「マーケティング情報収集力」が必要です。本記事では、3C分析の基本理論に加えて、情報収集の技を紹介します。3C分析の基本理論に情報収集力を加え、実務で使える3C分析力が身につきます。

筆者(海老原)は、シナプスで、BtoBマーケティングや営業力強化サポートを行っています。
また、大企業からベンチャーまで事業会社で、4社・10年間にわたり新規事業プロジェクトマネジャーとして、すべて独力でマーケティングをしてきました。3C分析の解釈および、分析のために必要なマーケティング情報をすべて自分で集めてきました。

新規事業プロジェクトマネジャー実務で、実際に磨いてきた3C分析ノウハウを教えます。

1.マーケティング成果を左右する3C分析

1-1.実務で一番使えるフレームワーク3C分析


マーケティングで必要な情報(3C)

私は3C分析が現場で最も使えるフレームワークだと思います。

マーケティング分析するための情報は日常的に集める必要があります。その点3C分析は、項目が3つしかなく、かつわかりやすく、慣れてくると日常的に情報収集することが可能です。いろいろな視点からのマーケティング情報が欲しいところですが、「日常的に意識できる」とすると3つぐらいが限界でしょう。

また、「マーケティング戦略立案」といった大きな業務だけでなく、もっと小さな単位。例えば、「1つの営業案件の情報整理」にも3C分析は有効です。

1-2. 3C分析のデキがマーケティング成果を大きく変える

マーケティングを日々の業務に、しっかり活用できている企業は少ないものです。活用できていない企業の方が多いので「顧客・市場、競合、自社」という一番の基本である、3C分析だけでも実務で活用できていているかどうかで、マーケティング戦略・営業戦略に大きな差がでます。

1-3. 3C分析は、3つの枠を埋めるだけで簡単?

3C分析では、顧客分析、競合分析、自社分析を行います。顧客、競合、自社という枠組みは、シンプルで理解しやすいでしょう。

しかし、3C実務では、「3C分析を行う前に、3C情報を集める必要があります」。顧客分析、競合分析、自社分析には、そもそも3Cのマーケティング情報収集が必要です。ここで、分析すべき有用な情報が集められるかどうかが、一つの勝負所です。


2. 3C分析の理論と実務


2-1. 3C分析とは


3C分析とは、マーケティング環境把握する基本フレームワークです。

3Cとは、「Customer(市場・顧客)、Competitor(競合)、Company(自社)」の3つの言葉の頭文字を取ったもので、マーケティング環境を抜け漏れのない視点でMECEに把握できます。

2-2. 市場環境・顧客環境分析

  • 市場規模
  • 市場の成長性
  • 顧客ニーズ
  • 顧客の消費行動・購買行動

2-3. 競合環境分析

  • 競合各社のシェア
  • 各競合の特徴
  • 新規参入・代替品の脅威
  • 競合の業界ポジション
  • 自社にとって特に注意すべき競合対象となる企業
  • 注意すべき競合対象の企業と特徴と今後想定される行動(自社への対抗手段など)

2-4. 自社環境分析

  • 自社の企業理念・ビジョン
  • 既存事業や製品の現状
  • 資本力/投資能力
  • ヒト・モノ・カネの現有リソース
  • 既存ビジネスの特徴

2-5. 3C分析実務活用のキモは情報収集力

3C分析で収集すべき項目はある程度決まっています。しかし、情報収集の精度や深さは、分析者によって大きな差があるのが実態です。

「Garbage in, garbage out.」と言われるように、いくら高い分析力を持っていても、3C分析のための、良い情報を持っていなければ、良いアウトプット、良い解釈をすることはできません。


3. 3C分析フレームワークの9つの情報収集テクニック


3-1.顧客分析情報収集テクニック


3C分析フレームワークで、顧客分析は最も重要です。

実務現場での3C分析フレームワークの顧客情報収集ノウハウを解説します。


3-1-1. ①自分自身で多くの顧客ヒアリングをするのが基本


まずは、自分自身で多くの顧客から直接ヒアリングをすることが基本です。

もちろん、最終的にすべて1人で情報収集しなければいけないわけではありません。しかし、直接顧客ヒアリングした経験があれば、間接情報を得たとき、間違った情報を鵜呑みにすることもなく、あらかじめ立てた仮説から、より深い情報を得ることができるようになります。

3-1-2. ②社内から顧客情報がどんどん集まる方法


自分自身でヒアリングするのが基本ですが、もう一つの顧客分析情報源は「社内関係者」です。特に、BtoBマーケティングでは、営業担当者から顧客の声を集められます。

「社内から顧客情報が自然に集まるポジションを築く」のが、顧客情報収集テクニックとして、有効です。

「担当商品では、社内第一人者になる/営業担当のなんでも相談係になる」

担当事業では、社内の第一人者になりましょう。すると「とりあえずあの人に相談してみよう」という営業担当者が増えてきます。
私の場合は、平均1日1件ぐらいの新規案件相談を受けていました。年200件の案件対応をし、圧倒的な顧客の声を持っている状態です。

また、私の場合は、担当商品以外も勉強して、営業商談アドバイスをしました。すると、「誰に聞いたらよいのかわからないが、とりあえず、海老原さんに聞いてみよう」と相手から情報が寄せられます。

3-1-3. ③3C分析情報収集では、「意見」と「事実」を分ける

社内から3C分析の顧客情報を集める場合は、「3C分析の情報が相手の中で加工され『解釈』『意見』になっていないかの見極めが重要」です。

たとえば、「『お客様が求めているのは、これだ』法人営業担当者にとって、実際の顧客の声ですから、もちろん『事実』です。しかし、発言した顧客にとっては、とりあえず発言した『意見』かもしれません。顧客にとっての事実は何か、発言の背景を必ず確認しましょう。


3-1-4. ④異常値・少数初期採用者の顧客に注目


  • 異常値の顧客に注目

「この商品は、売上は低迷しているのに、なぜか特定のお客様ですごく評判がいい」。このような異常値の顧客を見つけた時は、新しい顧客ニーズが発見できる可能性が高いです。

私も、異常値の顧客を発見したので、顧客調査し3C分析を行い、競合企業が見逃している新しいニーズを発見しました。その後、製品コンセプトを刷新し新規事業の売上が3年間で100倍になりました。特に、新規事業の3C分析では、平均値より異常値の顧客がヒントになります。

  • 少数の初期採用顧客の声を聞く

新規事業などで、顧客ニーズを集めるときは、非採用者ではなく、少数でよいので、採用者の意見を重視しましょう。

実際に使ったことがない顧客候補にヒアリングしても、深掘りしたニーズをヒアリングしない限り、単に「同じモノをもっと安く」という意見に集約されることが多いです。この戦略で勝てるのは「業界1位のトップ企業だけです。」非対面で集めたアンケート結果の解釈は要注意です。

3-2.競合分析情報収集テクニック

3C分析フレームワークで難しいのが競合情報収集です。特に、3C分析フレームワークで、BtoBマーケティングの競合把握は、基本的な情報収集すら難しいことがあります。

3-2-1. ⑤競合分析情報を「自社顧客」から集める

競合情報把握方法として、有効な手段のひとつが、「自社顧客に競合情報を教えてもらうこと」です。

あなたが、自社情報を聞かれたとき、もっとも断りにくい相手は誰でしょうか。大抵の婆合は「自社顧客」です。それは、競合他社にとっても同じことです。

たとえば、商談で競合コンペになったら、顧客担当者から競合提案内容を探ります。関係ができている顧客なら「特別ですよ」といって、競合提案書をコピーさせてくれます。


3-2-2. ⑥競合分析情報を「直接競合他社」から集める


諦めがちだが、実は有効な競合情報把握方法があります。それは、「競合他社から直接情報収集」することです。

たとえば、競合企業のセミナーに参加し質問します。何気ない質問への回答から非公開の製品仕様がわかる場合もあります。


3-2-3. ⑦競合分析情報を「自社パートナー」から集める


3C分析の、競合情報収集方法の、3つ目が「自社の仕入れ先パートナー」です。競合他社の動きは、競合とも取引をしているパートナーから情報収集できます。

もちろん、パートナーにとって競合他社も「顧客」ですから公には開示はしせん。しかし「顧客の立場」を利用すると、意外と多くの競合情報収集ができます。

3-3.自社分析情報収集テクニック

「あなたは3C分析の自社分析ができるほど、十分に自社情報に精通していますか?」「隣の事業部は何をやっているかよく知らない」という方も多いでしょう。

3-3-1. ⑧自社分析情報を「社内人脈」から集める

中規模以上の企業で、一人から数名のチームだけで、有効な自社情報をすべて把握するのには限界があります。社内ネットワークを広げて自社分析情報をカバーしましょう。

  • 自社社内知識人(物知りおじさん)を頼る

例えば、どの会社にも、自社社内情報にやたら詳しい社内知識人(『物知りおじさん』)がいるものです。この人を探して協力を仰ぎましょう。

社内知識人は、大抵自社社内では有名人なので、何人かにヒアリングすれば、すぐ見つかります。また、「話し好き」「教え好き」が多く、あなたが本気で取り組んでいるなら、喜んで協力してくれるでしょう。


  • 自社社内各所のキーパーソンに「弱いつながり」を持つこと

社会学の「弱いつながりの強さ(The strength of weak ties)」という理論をご存じでしょうか。


<弱いつながりの強さ>
ホワイトカラーの転職経路を調べたところ、「よく知っている人より、つながりの薄い人から聞いた情報を元にしていました。」これは「よく知っている人同志」は同じ情報を共有することが多く、そこから新しい情報が得られる可能性は少ないです。一方、「あまり知らない」人は自分の知らない情報をもたらしてくれる可能性が高いからです。このような「あまり知らない」間柄を「弱いつながり」と呼びます。
※Wikipediaより抜粋、要約

つまり、自社情報収集のキモは、自分と異なる部署に「弱いつながり」をたくさん持つことです。

自分の部内で強いつながりを複数作っても、アクセス可能な情報の総量はそれほど増えません。しかし、複数の部門に、顔見知り程度でよいので、その部門のキーパーソンと「弱いつながり」があれば多くの知見にアクセス可能です。これが「弱いつながりの強さ」です

3-3-2. ⑨自社分析情報源を「社外人脈」から集める

意外かもしれませんが、社外からも自社情報を集めることはできます。特に新規事業や新商品開発においては、社内より社外情報の方が重要かもしれません。

例えば、仕入れ先パートナーの営業担当から、自社情報を収集することができます。デキる営業パーソンは、顧客である、あなたの会社の複数の部署の動きまで押さえています。特に自部門以外の動きは、あなたより知っている営業パーソンもいるのです。

まとめ

10年新規事業で磨いた3C分析フレームワークのコツと9つの情報収集テクニック」いかがでしたでしょうか?

3C分析は、マーケティングフレームワークの中でも使いやすいフレームワークです。しかし、3C分析の前の「顧客分析」「競合分析」「自社分析」の情報収集力は、大きな差がでます。9つのテクニックをを駆使して3C分析フレームワークを極めましょう。


参考情報

1.海老原一司のシナプスビジネスナレッジコラム

1974年生まれ。早稲田大学理工学部修士課程をへて1999年日本テレコム株式会社入社。IT業界を中心に大企業・ベンチャーなどの事業会社でクラウドサービスなどの10年間以上のプロダクトマネージャ経験を持つ、BtoB事業の新規事業立ち上げ、事業成長のスペシャリスト。プロマネとして新サービスを3年で100倍の売上にした経験を持つ。

2014年シナプス入社。BtoBマーケティングプログラム責任者。
『立教大学経営学部講師』(2015年~現在)
『グロービス経営大学院(MBA)』(2010年卒)

マーケティングフレームワーク実践ナレッジシリーズ




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