シナプス海老原です。

今回は「顧客、競合、自社の3C分析マーケティング情報収集のコツ」と題して、現場実務でのマーケティング経験から掴んだ3C分析のコツをまとめました。

0. 3C分析は現場で使えるマーケティング情報収集フレームワーク


マーケティングで必要な情報(3C)

私は3C分析が最も使えるフレームワークだと思っています。

しかし、実務現場での3C分析の難しさは、3C分析を行う前の顧客(Customer)、競合(Competitor)、自社(Company)のマーケティング情報収集段階にあります。

今回は、3C分析の「顧客情報収集」「競合情報収集」「自社情報収集」の、それぞれのマーケティング情報収集のコツを教えます。

Whatより3C分析実務のHow重視

このコラムでは、BtoBマーケティング実務現場で、3C分析情報収集方法のコツを実践し、戦略立案と実行に活用してきた海老原が、「3C分析のマーケティング情報は、実際にどう集めたらよいのか?」という「How」を中心としてまとめます。

特にBtoBマーケティング実務家は参考になるはずです。

BtoBマーケティングで3C分析をする方は必見

BtoBマーケティングの3C分析では、BtoCマーケティングとは異なる独特の難しさがあります。

  • BtoBマーケティングでは、非公開の3C分析情報が多いものです。特に、3C分析の顧客情報収集、競合情報収集は、相手のガードが堅く入手が難しいことが多いです。
  • BtoBマーケティングの3C分析では、BtoCに比べ調査予算がほとんどなく、担当者が自力で情報収集する場合が多いです。そのため、企画担当者個人の情報収集能力の差が3C分析の質を左右します。

1. 3C分析の顧客情報収集のコツ


顧客理解の重要性は、多くの方がご存じでしょう。しかし、実際問題どうやって顧客情報収集するかは難しいものです。本コラムでは、書籍やインターネットの記事にもあまり載っていない、実務現場でのリアルな、3C分析の顧客情報収集のコツを解説します。


1-1.顧客情報収集のコツ ①直接ヒアリング


3C分析の顧客情報収集で、もっとも重要なのは、「直接顧客から情報収集すること」です。

「顧客ニーズヒアリングの技術」「仮説検証の技術」などが役立ちます。

「顧客ヒアリングテクニック」についてはシナプスビジネスナレッジ『ヒアリング力』シリーズも参考になります。
ナレッジ一覧は、『シナプスビジネスナレッジ>営業力>ヒアリング力』をご覧ください

1-1-1. 異常値の顧客に注目


「この商品は、売上は低迷しているのに、なぜか特定のお客様ですごく評判がいい」。このような異常値の顧客を見つけた時は、新しい顧客ニーズが発見できる可能性が高いです。

私も、異常値の顧客を発見したので、顧客調査し3C分析を行い、競合企業が見逃している新しいニーズを発見しました。その後、製品コンセプトを刷新し新規事業の売上が3年間で100倍になりました。特に、新規事業の3C分析では、平均値より異常値の顧客がヒントになります。

1-1-2. 少数の採用顧客の声を聞く

新規事業の3C分析で、その商品を採用していない顧客から「この機能があるとよい」「もっと安ければよい」という意見が集まったとします。この非採用顧客情報に基づいた3C分析の多くは失敗します。

顧客の多数意見をまとめると、単に「同じモノをもっと安く」という無難な意見に集約されることが多いのです。この戦略で勝てるのは「業界1位のトップ企業だけです。」特に、直接ヒアリングをしていないアンケート結果の解釈は要注意です。

1-2.顧客情報収集のコツ ②社内から集める

2つ目の3C分析の顧客情報収集方法は、「営業担当など社内関係者から入手すること」です。特に、BtoBマーケティングでは、営業担当者などから顧客の声を集められます。

社内関係者からの効率よい3C分析の顧客情報収集方法で、私が過去実践し成功したやり方を紹介します。

1-2-1. 顧客情報が集まる社内ポジショニング


社内から3C分析の顧客情報が集まってくるようなポジションをつくれると、勝手に顧客情報が集まります。

具体的にはどうすれば、よいでしょうか?

具体的には、以下の3つをおこないます。

  1. 担当商品分野では、社内の第一人者になる
    担当事業分野では、社内の第一人者になりましょう。すると「とりあえずあの人に相談してみよう」という営業担当者が増えてきます。
    私の場合は、平均1日1件ぐらいの新規案件相談を受けていました。年200件の案件対応をし、他の人に比べ圧倒的な顧客の声を持っている状態です。
  2. 営業担当者のなんでも相談係になる
    多くの企業で新規商品/サービスを立ち上げ直後、ほとんどの人は、その商品・サービスをよく理解していません。すると「明らかに自分の担当商品と関係ない問い合わせ、「間違い電話相談」がマーケティング担当者にきます。
    私の場合、自分の担当商品以外も含め、商談アドバイスをおこないます。そうすると、「誰に聞いたらよいのかわからないのですが、とりあえず、海老原さんに聞いてみようと思って」と幅広く相談が寄せられます。

1-2-2. 3C分析で重要なのは「意見」より「事実」

社内から3C分析の顧客情報を集める場合は、「3C分析の情報が相手の中で加工され『解釈』『意見』になっていないかの見極めが重要」です。

たとえば、「『お客様が求めているのは、これだ』法人営業担当者にとって、実際の顧客の声ですから、もちろん『事実』です。しかし、発言した顧客にとっては、とりあえず発言した『意見』かもしれません。顧客にとっての事実は何か、発言の背景を必ず確認しましょう。

実際に、私は「この案件はカスタマイズが必須だ!」と事前を聞いた顧客を何社も訪問しました。しかし、私が直接お客様と話して要件を紐解くとカスタマイズが不要だった案件は数知れません。

2. 3C分析の競合情報収集のコツ

BtoBマーケティングの3C分析のやり方において、重要だが難しいのが競合情報収集です。

BtoBマーケティングの3C分析では、基礎的な競合情報入手も難しい場合があります。消費財に比べて元々公開が少なく、他社は競合情報流出防止に注力します。

このような、競合情報収集の困難を乗り越え3C分析を行います。

2-1. 競合情報収集のコツ ①自社顧客から入手


競合情報入手方法として、有効な手段のひとつが、「自社の顧客に競合の動きを教えてもらうこと」です。

たとえば、あなたが、「この情報を教えてほしい」と聞かれたときに、もっとも断りにくい相手は誰でしょうか。多くの場合、それは、「自分の顧客」です。それは、競合他社にとっても同じことです。つまり競合情報は、顧客のところに集まっている可能性が高いのです。

よって、競合情報を、自社の顧客から入手するのです。

たとえば、コンペになったら、顧客担当者に直接会って競合の提案内容を探ります。関係ができている顧客なら「特別ですよ」といって、競合提案書をコピーさせてくれます。


2-2. 競合情報収集のコツ ②直接競合企業から入手


競合情報で、多くの方が見逃しがちだが、実は有効な入手方法があります。それは、「競合から直接情報を入手」することです。

「競合他社に直接資料をもらう」「競合のセミナー参加する」「展示会で競合ブースで話をする」など、実は、競合情報入手方法はたくさんあります。

実際に、私は多くの重要な競合情報収集を、直接競合企業から入手してきました。

たとえば、競合企業のセミナーに参加し、の質疑で直接競合社員に質問します。何気ない質問への返答から、オープンにされていない製品仕様がわかる場合も多いです。

2-3.競合情報収集のコツ ③仕入れ先パートナーから入手

3C分析の、競合情報収集方法の、3つ目が「自社の仕入れ先」です。実は「競合他社はどんな動きをしているのか?」など、競合情報収集は仕入れ先パートナーから集まられます。

もちろん、仕入れ先にとって競合他社も「顧客」ですから、積極的な開示はしてきません。しかし、「顧客の立場」を利用して、意外と多くの競合情報収集が可能です。

3. 3C分析の自社情報収集のコツ

「あなたは自社分析ができるほど十分に自社に精通していますか?」中堅規模以上の企業で、Yesと答えられる人はごく少数です。

特に新規事業や新商品開発に役立つ情報となると、自社分析は意外と難しいものです。「自分の事業部ならわかるが、隣の事業部は何をやっているかよく知らない」という方も多いでしょう。

3-1. 自社情報収集方法のコツ ①社内人脈を駆使

中規模以上の企業で、一人から数名のチームだけで、有効な自社情報をすべて把握するのには限界があります。社内ネットワークを広てカバーしましょう。

3-1-1.社内知識人(物知りおじさん)を頼る


どの会社にも、社内事情にやたら詳しい知識人(『物知りおじさん』)がいるものです。この人を探し出して協力を仰ぎましょう。

知識人は、大抵社内では有名人なので、何人かにヒアリングすればすぐ見つかります。

また、「話し好き」が多く、あなたが本気で取り組んでいることなら喜んで協力してくれるでしょう。


3-1-2.社内各所のキーパーソンに「弱いつながり」を持つこと


社会学の「弱いつながりの強さ(The strength of weak ties)」という理論をご存じでしょうか。

<弱いつながりの強さ>
ホワイトカラーの転職経路を調べたところ、「よく知っている人より、つながりの薄い人から聞いた情報を元にしていました。」これは「よく知っている人同志」は同じ情報を共有することが多く、そこから新しい情報が得られる可能性は少ないです。一方、「あまり知らない」人は自分の知らない情報をもたらしてくれる可能性が高いからです。このような「あまり知らない」間柄を「弱いつながり」と呼びます。
※Wikipediaより抜粋、要約

つまり、自社情報収集のキモは、自分と異なる部署に「弱いつながり」をたくさん持つことです。

自分の部内で強いつながりを複数作っても、アクセス可能な情報の総量はそれほど増えません。しかし、複数の部門に、顔見知り程度でよいので、その部門のキーパーソンと「弱いつながり」があれば多くの知見にアクセス可能です。これが「弱いつながりの強さ」です

3-2. 自社情報収集方法のコツ ②社外人脈を駆使

自社情報収集に、「社外」ネットワークを使うというのは意外かもしれません。しかし、社外からも自社の情報を集めることはできます。特に新規事業や新商品開発においては、社内より社外の方が重要かもしれません。

3-2-1.外部の第3社視点から自社の見方を知る

あなたは自社の強み、弱みを正確に把握していますか。これが意外と難しい。特に「強み/弱みとは、競合と比べた相対的なものである」ということがポイントです。

自分が強みだと思っていたものが、社外の顧客やパートナー、有識者からみると、「強みでない」と思われていたり、あるいは、思ってもなかった部分が「強み」として認識されているかもしれません。他者の目を借りて、多面的に自社の強みと弱みを知りましょう。

3-2-2.デキる営業パーソンから自社の他部門の情報収集

自社の取引先(自社が顧客)の営業パーソンから、自社情報を仕入れたことはありますか。

デキる営業パーソンは、顧客であるあなたの会社の社内の複数の部署の動きを押さえています。特に自部門以外の動きは、あなたより知っている社外の営業パーソンもいるのです。

まとめ

「顧客、競合、自社の3C分析マーケティング情報収集のコツ」いかがでしたでしょうか?

3C分析は汎用的でとても使いやすいフレームワークです。

しかし、3C分析の前の「顧客情報収集」「競合情報収集」「自社情報収集」のマーケティング情報収集方法は、人により大きく差がでます。コツを理解して3C分析を極めましょう。


参考情報

1.海老原一司のシナプスビジネスナレッジコラム


海老原一司:チーフマーケティングコンサルタント
1974年生まれ。早稲田大学理工学部修士課程をへて1999年日本テレコム株式会社入社。IT業界を中心に大企業・ベンチャーなどの事業会社で クラウドサービスなどの10年間以上のプロダクトマネージャ経験を持つ、BtoB事業の新規事業立ち上げ、事業成長のスペシャリスト。プロマネとして新サービスを3年で100倍の売上にした経験を持つ。

2014年シナプス入社。BtoBマーケティングプログラム責任者。
立教大学経営学部講師
グロービス経営大学院(MBA)


マーケティング戦略実践ナレッジシリーズ


2.「3C分析」を学ぶ企業研修

マーケティング基礎研修

1万人が受講したマーケティング基礎プログラムです。「マーケティング戦略基本プロセスの流れ」「論理的思考法」「顧客ニーズの本質」を学びます。単なる知識に終わらずマーケティングの実務応用に使える論理的マーケティング思考法を身につけます。「マーケティング戦略思考」を共通言語として組織浸透させるための社員集合研修として最適です。

研修プログラムの詳細は 『「マーケティング研修(基礎編)」-1万人受講の看板講座』をご覧ください。

BtoBマーケティング研修(基礎編)

BtoB企業向けにマーケティング思考の基本を組織共通言語化するための研修です。マーケティング戦略プロセスのエッセンスを抑えつつ、BtoBに精通したコンサルタントが「DMU」「購買プロセス」「経済合理性」など、BtoBマーケティングならではのポイントも解説します。

研修プログラムの詳細は『 「BtoBマーケティング研修(基礎編)」-共通言語を作る』をご覧ください。


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