新規事業ができるまでの4つのフェーズ

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更新日:2023年11月7日

「新規事業開発」というと、事業計画作成の部分がフォーカスされることが多いのですが、現実には4つのフェーズが存在します。

  • フェーズ1:領域選択とテーマ設定
  • フェーズ2:事業計画作成
  • フェーズ3:事業立ち上げ
  • フェーズ4:事業拡大

どのフェーズにいるかによって立ち振る舞いが異なることも多いので、参考にしてください。

フェーズ1:領域選択とテーマ設定

領域選択とテーマ設定では、「どのような領域/テーマで新規事業を検討するのか?」という方向決めを行います。「なんでもよいから新規事業を」というリクエストもありますが、どのような経営者でも「なんでもよいから」の裏にはいくつかの制限条件があり、

  • そこそこの事業規模が期待できること
  • 当社が取り組むべき分野であること

の二つは概ね匂わせていることがほとんどでしょう。

このフェーズでは有望領域の見極めと、数多くのテーマ出しが求められます。

有望領域の見極めはほぼロジックで決められ、「市場が期待事業規模に合わせて大きく」「その会社が取り組みたい分野、あるいは、No.1になれる分野」と考えるとよいでしょう。その中で、できるだけ多くのテーマを出しておくことが望まれます。(ブレインストーミングをはじめとしたさまざまなアイデア出し手法が使われるのもこのタイミングが多いです。)

なお、このフェーズは、既存事業の中で発見された「種」からスタートするケースもあれば、新規事業コンテストのような形で発掘するケースもあります。

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フェーズ2:事業計画作成

事業計画は、企業や状況によって作る内容やレベルにはばらつきがありますが、「売れるか?」「勝てるか?」「儲かるか?」「できるか?」の四つの問いに答えられることが求められます。

そのために必要な活動は、資料作成ではなく、実際に市場の声を聴き、製品・サービスのプロトタイプを作ることです。

市場データや競合情報など、Googleをはじめとした検索によって得られるものは多々ありますが、真に重要な情報は足で稼ぐしかほぼ獲得できません。

したがって、仮説を立て、顧客のもとに足を運んでニーズを聞きだし、それをもとに製品・サービスを設計・プロトタイプ作成して検証します。これを繰り返すことで、確度の高い事業案を作成していくわけです。

事業計画作成の段階では、組織化されることは稀で、事業部内の一部のメンバーや、場合によっては「新規事業開発室」の中で取り上げられることもあります。 この段階でのゴールは、いかに社内のリソースを獲得し、推進体制を作るか、そのためにどれだけ「面白い事業ネタ≒事業計画を作れるか?」になります。

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フェーズ3:事業立ち上げ

事業立ち上げ段階では、実際に事業としてスタートさせることになります。そのためには、顧客獲得と獲得した顧客に対して製品・サービスを提供することが必要になります。もちろん、体制を整える必要もありますが、体制は顧客の状況や事業の形に合わせて変えていく必要があるため、この時点で固定的にする必要はありません。

このタイミングで重要なことは、やはり顧客獲得です。体制によって、顧客獲得を進めたりペースを遅めたりする必要はあります(あまり、急拡大すると体制がついていかず、せっかくついてくれた顧客が離反することにもなりかねないためです)が、外部の顧客がいる、求められている、ということが何よりも事業存続の肝になります。

一方で、社内の立ち回りが重要になってくるのもこの時期です。事業立ち上げフェーズになると、予算が付きます。予算が付くというのは、言い換えれば、社内に報告義務が生じるということです。また、社内リソースを使うことにもなるので、既存事業部(ご自身の出身母体となっている事業部であってもなくても)のリソースを借りることもままありますので、社内調整はしっかりと行っていく必要があるでしょう。

上に述べたとおり、このタイミングでは既に社内リソースが獲得できているはずです。「新規事業開発室」という名前の匿名部署だったり、「〇〇事業推進室」などのように匿名から昇格しているケースもあるでしょう。多くの場合、会社全体としては部署を好意的にプロモーションしてくれますが、厄介ごとにつながらないように、当事者としては頭を低く、おかげさまでできている、という気持ちを忘れないことです。なぜならば、新規事業の予算のもとは、既存事業が稼いだ金なのですから。

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フェーズ4:事業拡大

顧客が付き赤字でも徐々に事業として形をなしてくると、いよいよ「黒字化」が求められます。単年度黒字、累損解消、という言葉が重くなってきます。このタイミングになると、メンバーも増え、社内外の関与者も飛躍的に拡大していきます。

一方で、既存事業に対するマイナス影響、具体的には「社内カニバリゼーション」が問題視されてくる頃でもあります。(事業内容にもよりますが、新規事業はある一定割合で既存事業の顧客を横取りします。たとえば、メーカーが既存小売チャネルに卸しているものに対して、EC事業を開始する、というのが典型でしょう。)

この手のカニバリゼーションは自社がやらなければ、競合他社がやるだけなので本質的にはやったほうが良いのですが、そうはいってもカニバリゼーションによって不利益を被る担当者もいますので、何らかの対処は必要です。(前述の例のように、新規にEC事業を展開する場合、ECの売上も既存事業の成果に追加して既存事業を評価することで、既存事業としてポジティブに進めることができます。)

社内カニバリ問題をクリアすると、事業としての存在感がでてきます。そうなると、次に立ちはだかるのは、「このまま事業拡大できるのか?」という「事業拡大」の壁でしょう。

うまく売上が上がらない、あるいは赤字だけが積みあがるケースも往々にしてあります。撤退基準が決まっていれば従わざるを得ず、また、決まっていない場合でも、いわゆるピボット、つまり事業コンセプトを変えて新たな成長に乗せる必要があるかもしれません。

とはいえ、フェーズ1~4まで全てに関わっていれば、その人材には事業開発の実績が十分についており、新たなチャレンジも可能ではないかと思います。

シナプスでは、新規事業プロジェクト全体の伴走型コンサルティングや特定フェーズでのスポットコンサルなど、ご事情・ご要望に応じた新規事業開発・推進のご支援が可能です。お気軽にお問い合わせください。


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新規事業ができるまでの4つのフェーズ:ライターのご紹介


後藤 匡史(ごとう まさふみ)

株式会社シナプス常務取締役

10年以上のマーケティング・コンサルタントの経験を有し、化粧品、外食、エンターテイメント、メディア、サービス、精密機器、電子機器、電気部品、医療機器、農業など数多くの領域を支援。

多くの企業が陥る「顧客不在の戦略立案・実行」に対して提言し、真のニーズを中心とした組織へと生まれ変わらせることをミッションとして、数多くの企業を変貌させてきた実績を持つ。

研修では、マーケティング研修のほか、問題解決スキル研修やファシリテーション研修での実績が豊富で、「すぐに使えるビジネスの実践的なスキル」を伝える講師として評判が高い。

SMBCコンサルティング セミナー講師。

1973年生まれ、2007年シナプス入社、2008年取締役就任、2021年より現職。2021年よりアグリテックスタートアップのテラスマイル株式会社の非常勤取締役を兼任。


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