製品戦略(プロダクト戦略)とは、マーケティング戦略において顧客にどの様な製品やサービスを提供するのかを考えることです。
まず、製品の価値構造と製品コンセプトを明らかにします。そして、それを支える技術や生産、製造、パッケージ、サポートサービス、を組み合わせ「顧客に提供する製品」を設計します。
製品戦略は、マーケティングミックス(4P)で、検討すべきマーケティングの具体的施策のうちの一つです。
マーケティングミックス(4P)とは
- Product:製品戦略(プロダクト戦略)
- Price:価格戦略
- Place:チャネル戦略(流通戦略)
- Promotion:プロモーション戦略
製品戦略では製品コンセプトを固める
製品コンセプト3要素
製品戦略を決定するための、製品コンセプトは3つの構成要素で決定します。
- 対象(ターゲット像):誰が使うのか?
- 利用シーン:いつどこで何に使われるのか?
- 顧客ベネフィット:主な価値は何か?
製品コンセプト事例:ウィダー・イン・ゼリー
製品コンセプトの具体的事例として「ウィダー・イン・ゼリー」を取り上げます。
「対象」「利用シーン」「顧客ベネフィット」の製品コンセプトの各構成要素を整理します。
「ウィダー・イン・ゼリー」の製品コンセプト事例 ①対象顧客
- 独身男性ビジネスマン
「ウィダー・イン・ゼリー」の製品コンセプト事例 ②利用シーン
- 移動中に短時間ですませる
- 時間がないビジネスマンがオフィスのデスクで
- 朝食として
- スポーツ時の栄養補給として
「ウィダー・イン・ゼリー」の製品コンセプト事例 ③顧客ベネフィット
- 「ウィダー・イン・ゼリー」だけで、体に必要な栄養素を補給できる
- 手軽に、短時間で摂取できる
製品戦略の具体化のフレームワーク:プロダクト3層モデル
製品戦略の具体的実現方法を検討するフレームワークに、「プロダクト3層モデル」があります。プロダクト3層モデルとは、製品価値構造のを3層に分けることで、製品戦略を整理するためのマーケティングフレームワークです。
「プロダクト3層モデル」では、製品特性を「中核」「実態」「付随機能」の3層に分け、それぞれの層で製品特性の要素を考えます。
製品戦略(プロダクト戦略)とSTP・4Pとの整合性
製品戦略(プロダクト戦略)を検討する時は、以下の2つの整合性について注意して戦略立案をおこないましょう。
製品戦略(プロダクト戦略)とSTPと整合性に注意
製品戦略は、マーケティングの基本戦略である、ターゲティング・ポジショニング(STP:Segmentation,Targeting and Positioning)と整合している必要があります。いくら高品質製品を作っても、ターゲットセグメントが狙いと異なれば、「よい製品」とは認識されません。(ターゲットにより、「よい製品」の定義=顧客ニーズは異なります。)
ターゲットに合わせて、ターゲットが価値を感じることができる製品価値、商品価値を考えましょう。
製品戦略(プロダクト戦略)他の4Pとの整合性
4Pは、「マーケティングミックス」と呼ばれるように、単体ではなくあくまで4つのPの組合せで決まります。そのため、製品戦略(Product)は、他のPである、Price、Place、Promotionと整合性がとれている必要があります。
製品戦略と他の4Pの整合性例:ウィダー・イン・ゼリー
- Price:毎日購入しても無理のない価格帯(200円前後)
- Place:忙しいサラリーマンが通勤途中でコンビニエンスストアで
- Promotion:TVCMで、ターゲットに利用用途を訴求(スーツを着た木村拓哉が歩きながら飲んでいる)
このように、製品戦略(プロダクト戦略)は、他の価格戦略、チャネル戦略、プロモーション戦略と整合を取りながら検討する必要があります。
【参考】ハイテク製品の戦略モデル:ホールプロダクト
ホールプロダクトとは、「セオドア・レビット」が提唱した、購入者の期待している機能により近づけるよう自社製品の補助製品や補完サービスを段階的に揃えるモデルです。
特に、ITを中心としたハイテク製品のマーケティングで重要となる考え方です。
ホールプロダクトは4つのプロセスで説明されます。すなわち「コアプロダクト」「期待プロダクト」「拡張プロダクト」「理想プロダクト」です。
コアプロダクト
コアプロダクトとは、企業が提供する商品・サービスそのもののことです。
期待プロダクト
期待プロダクトとは、顧客が製品購入時に「こうあるはず」と期待している機能・製品です。顧客を「最低限満足」させるため必要な製品やサービスです。
拡張プロダクト
補完商品・サービスを豊富に用意し、機能を拡張することを拡張プロダクトといいます。顧客がその製品を購入した目的を最大限満たすための製品・サービスです。
例えば、「Windowsパソコン」で考えると、「Microsoft Office」などのアプリケーションソフトウェア」「外付けハードディスクなどの拡張ハードウェア」などが当たるでしょう。
理想プロダクト
顧客の理想を完全に実現した段階のプロダクトを「理想プロダクト」といいます。もちろん、「完璧な製品」などなかなか出来ませんが、理想プロダクト目指して製品改善を重ねていきます。
ホールプロダクト戦略プロセスの進め方
ホールプロダクト戦略は、特にハイテク製品など業界の動き、製品開発サイクルが早い業界で活用しやすいマーケティング戦略フレームワークです。
- コアプロダクトである企業が提供する商品・サービスは、まず顧客最低限購入してくれる「期待プロダクト」を目指して開発します。
- 次に、理想プロダクトを目指して、コアプロダクトの改善はもちろん、「拡張プロダクト」として、補完商品・サービスによりプロダクトを強化していきます。
例えば、IT製品であれば、顧客購入後の運用時に楽になるための運用ツールの追加開発、製品連携可能なパートナー企業の拡充、サポートサービスの充実化、などがあげられるでしょう。
まとめ
製品戦略(プロダクト戦略)を決めるときは、まずは「製品コンセプト」から考えましょう。製品コンセプトを実際の製品に具現化するときには、プロダクト3層モデルを使います。
また、製品戦略(プロダクト戦略)は、単体で詳細に検討することも必要ですが、マーケティングロジックで、他の施策やSTPとの整合性をとるように注意してください。
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お客様の声:東京電力エナジーパートナー様
冨山様
元々、商品開発室は多様性のあるメンバーなので、プロジェクトを進めるときに共通言語を持つことが狙いでした。
複数のプロジェクトが並行して動いているのですが、共通言語としてマーケティングのフレームワークを使うことが当然になってきていますね。半年間で、すでにサービスをローンチさせた人もいます。
株式会社シナプス
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