指名検索とは?マーケティングで重要な理由や一般検索との違い、指名検索数の調べ方と増やす方法を解説

企業名や商品・サービス名を指名して検索する「指名検索」。この記事では、指名検索対策をするメリット、その対策をしないとどんなデメリットがあるのか、指名検索の対策4ステップ、指名検索を増やす3つの方法、について詳説します。

橋向講師

指名検索とは、特定の企業名や商品・サービス名で検索することです。調べたい対象があらかじめ決まっていて、それを指名して詳しく知るために検索しているため、指名検索といわれます。

本記事では、指名検索がマーケティングで重要視される理由や、指名検索と対で使用される「一般検索」との違い、指名検索数の調べ方や指名検索数を増やす方法について解説していきます。

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指名検索とは?

「指名検索」とは、特定の企業名や商品・サービス名で指名して検索することです。つまりブランド名で指名して検索することから、このキーワードを「指名キーワード」「ブランドキーワード」と呼ぶこともあります。指名キーワードは、狭義では商品名、サービス名、企業名などを指します。広義では、経営者・創業者名、マスコットキャラクター名、運営メディア名なども含まれます。

このように「指名キーワード」「ブランドキーワード」にもさまざまな種類がありますが、それぞれどのようなときに検索されるのでしょうか?

企業名や商品・サービス名は、メディアで取り上げられているのを見たり、広告で見かけたりして気になった人が検索する傾向があります。指名検索してくれた人は見込み顧客といえます。

経営者の名前は、経営者がメディアに出演したりメディアで取り上げられたりした際によく検索される傾向があります。また、企業名や経営者名、創業者名は、就職・転職活動をおこなっている求職者や、投資家にもよく検索される傾向があります。企業研究をおこなう意図で検索されるのです。

このように指名検索は、企業のブランドと強く関連した検索行動になっているため、マーケティングにおいて重要視されています。

一般検索との違い

「指名検索」と対になる用語で「一般検索」があります。「一般検索」とは、指名キーワードやブランドキーワード以外のキーワードで検索することです。つまり、商品・サービス名そのものではなく、それが属するカテゴリ名や業界名が該当します。決まった地域でしかサービス提供していない場合には、カテゴリ名や業界名に地域名を掛け合わせて検索されたりもします。自社の商品・サービスに関連するキーワードで、固有名詞以外の単語全般を「一般キーワード」と呼ぶ、と理解するとよいでしょう。

指名検索対策をするメリット

指名検索の対策には、広告・PRでブランド名の認知を広めて検索数を増やすことと、検索したユーザーを確実に自社ホームページへ誘導するためのリスティング広告・SEO対策があります。ここでは最初のステップとして最も重要な、指名検索におけるSEO対策のメリットを確認しましょう。

自社に興味を持つユーザーを着実に自社のWebサイトへ誘導できる

指名検索をするユーザーは、広告やメディアで紹介されているのを見て自社の商品・サービスに興味を持ってくれている状態になっています。つまり、コンバージョン(問い合わせや申し込み、購買)につながりやすい見込み顧客といえます。

しかし、指名キーワードで検索しても自社のWebサイトが見つからなかったら、重要な見込み顧客を自社サイトへ誘導できなくなってしまいます。そのため、まずは指名検索でSEO対策をすることで、コンバージョンにつながりやすい重要な見込み顧客を自社へ誘導することができます。

重要な見込み顧客が他社のWebサイトに流れてしまうことを防げる

検索ユーザーは、検索結果画面で上位に表示されているリンクから順に閲覧していく傾向があります。そのため、指名キーワードで検索しても自社のWebサイトが上位に表示されない場合、他社のWebサイトに重要な見込み顧客が奪われることになります。

自社のWebサイトを社名以外の指名キーワード、ブランドキーワードでもしっかり上位表示させることで、重要な見込み顧客が他社のWebサイトに奪われることを回避できます。

検索アルゴリズム変動の影響を受けづらい

Googleなどの検索エンジンは、Webサイトの評価基準を調整するアルゴリズムアップデートを定期的におこなっています。アルゴリズムアップデートがあると、キーワードによっては検索結果の順位が大きく変動することもあります。

ところが指名キーワードは自社のWebサイトと強い関連性を持つため、一度しっかりSEO対策するとアルゴリズム変動の影響を受けづらい特性があります。指名検索は上位表示を維持しやすいのです。

指名検索の対策をしないデメリット

指名検索で対策するメリットの逆に、自社のWebサイトを指名検索でSEO対策しないデメリットは何でしょうか?

自社に興味を持つユーザーを自社のWebサイトへ誘導できない

指名検索でSEO対策ができていない場合、自社に興味を持って指名キーワードで検索してくれたユーザーに、自社のWebサイトを見つけてもらうことができなくなります。自社の商品・サービスが気になっている重要な見込み顧客を自社へ誘導できない状態になってしまいます。

自社に興味をもつユーザーが他社のWebサイトに流れてしまう

自社に関連する指名キーワードで検索しても、検索結果で自社のWebサイトが上位に表示されていない場合、つまり他社Webサイトの方が上位に表示される場合、ユーザーは他社のWebサイトへ訪問してしまいます。コンバージョンにつながりやすい見込み顧客を自社へ誘導する機会を失うことになります。

検索アルゴリズム変動の影響を受けやすい

指名検索でSEO対策をしない場合、一般検索でユーザーを流入させる必要があります。しかしながら、一般検索のキーワードに関連したコンテンツを提供しているのは自社のWebサイトだけではありません。多くの競合サイトでも同じテーマのコンテンツが提供されています。つまり、SEO対策の競争が激しくなり、検索エンジンのアルゴリズム変動の影響を受けやすい状態になります。

指名検索の対策4ステップ

実際に指名検索で対策をする際、具体的にどのように進めればよいでしょうか?ここでは、SEO対策に限らずリスティング広告も含めて、4ステップを紹介します。

ステップ1.自社の指名キーワードを幅広く洗い出す

最初に、自社にとっての指名キーワードにどのようなものがあるかを確認します。指名キーワードは、社名や商品・サービス名だけではありません。経営者や創業者の名前、マスコットキャラクターの名前、運営メディア名など、自社に関連する固有名詞が幅広く該当します。これらをまずはできるだけ幅広く洗い出していきます。

ステップ2.指名キーワードの選定と対策ページの割り振り

指名キーワードを幅広く洗い出したら、その中で注力して対策すべきキーワードを絞り込んだり、優先順位を決めたりしていく必要があります。優先順位を決めたら、どのキーワードをどのページで対策するかを決めます。キーワードをWebサイト内のページに割り振っていきます。SEOで対策するキーワードは、1ページにつき1~2キーワードが基本です。

ステップ3.各ページをSEO対策していく

SEOの具体的な施策は大量にあります。その中でもここでは、特に重要な4つの施策を解説します。

  • ① HTMLのtitle要素に指名キーワードを記述する
  • ② HTMLのh要素に指名キーワードを記述する
  • ③ サイト内に「運営者情報」や「企業情報」ページを用意する
  • ④ サイト内の全ページで、フッターエリアから「運営者情報」や「企業情報」ページへのリンクを設置する

①②は比較的すぐに対応できる施策と思われます。title要素やh要素は、検索エンジンがWebページと検索キーワードの関連性を認識する際に重視する部分であるため、ここに対策キーワードを記述することが必須の対策となります。

加えて③④の施策は、検索エンジンにとってもユーザーにとっても、Webサイトの信頼性を高めるために重要な要素です。そのWebサイトが何という名前の企業によって運営されているか、ということも検索エンジンに認識されやすくなります。

ステップ4.リスティング広告出稿の検討

最後に、指名検索でリスティング広告を出稿するかどうか検討していきます。マーケティング担当者の中には、「わざわざ広告費を使って、指名検索でリスティング広告を出稿しなくてもいいのでは?」と考える人もいます。昔からよくある議論ですが、これには正しい答えがあるわけではないためケースバイケースで判断します。では、指名検索でのリスティング広告出稿を検討してもよいケースとはどのようなものでしょうか?3つ紹介します。

① 指名検索の順位が不安定な場合

指名キーワードでSEO対策を始めたばかりで順位が安定しない時期には、リスティング広告を出稿することで見込み顧客を自社サイトへ誘導しやすくなります。リスティング広告の表示位置は、出稿の仕方次第で自然検索(Webサイトの表示位置)より上位に表示させることができるためです。

② 指名検索で他社のリスティング広告が表示される場合

検索結果画面上で、リスティング広告の表示枠は、自然検索の表示枠よりも上に表示されます。ユーザーは検索結果で上位から閲覧していきます。そのため、自社のWebサイトがたとえ指名検索で自然検索1位に表示できていたとしても、それより上に他社のリスティング広告が複数表示されていると、自社サイトは画面の下へ押し下げられた状態になります。こうして、見込み顧客は他社サイト流れます。この状況に対抗するために、自社の指名キーワードでもリスティング広告を出稿することで、自社サイトへユーザーを誘導しやすくなります。

③ 期間限定のキャンペーン特設ページへ誘導したい場合

自然検索で上位表示させるページは、自社サイトであっても完全にはコントロールできません。検索エンジンのアルゴリズムによって決められてしまいます。そのため、期間限定のキャンペーンを実施する際、Webサイト内のキャンペーン特設ページを自然検索だけで表示しようとしても、必ずしも意図したキャンペーンのページへユーザーを誘導できるとは限りません。また、キャンペーン期間が終了した後も、そのページが自然検索上位に残り続けるといったことも想定できます。表示期間やランディングページを完全にコントロールするためには、リスティング広告を出稿した方がいいと判断できます。

指名検索を増やす3つの方法

リスティング広告やSEO対策は、検索したユーザーに対して表示させるものです。指名キーワードの検索数が0件であれば、何の効果も得られません。では、指名検索数を増やすにはどうすればいいでしょうか?方法を3つ紹介します。

方法1.認知拡大に適した広告メディアの選定

認知拡大に適した広告メディアを選ぶことで、検索を促しやすくなり、指名検索の数も増加させやすくなります。代表的な広告メディアを3つ紹介します。



① テレビCM 指名検索を増加させるうえで最もインパクトの大きいものはテレビCMです。CMがきっかけで興味を持ったユーザーが、詳しく知るために指名キーワードで検索するという流れはよく見られます。
② デジタルメディアの純広告 デジタルメディアでは、純広告(純広)を出稿することで指名検索を促しやすくなります。純広告で有名なものは、Yahoo! JAPANやYouTubeのトップページ上部に表示される広告です。検索から自社サイトへ誘導する目的としては、YouTube内の動画検索よりもWebサイト全般の検索窓が近くに表示されているYahoo! JAPANの方がより適しているといえます。
③ 商圏が特定地域に限定される場合は交通広告や新聞折込チラシ 商品・サービスを提供する商圏が限定される場合には、その地域をターゲティングした交通広告や新聞折込チラシが有効です。交通広告としては、駅・バス停の看板やポスター、タクシー広告などがあります。テレビCMや純広告と比べると指名キーワードの検索数増加まで時間はかかりますが、徐々に検索数に反映されていきます。

方法2.検索へ誘導する広告クリエイティブの工夫

適切な広告メディアを選定できても、広告を見たユーザーに何というキーワードで検索すればいいかが伝わらなければ、指名検索数は増えません。広告を見たユーザーに指名キーワードで検索してもらいやすくする広告クリエイティブのポイントを3つ解説します。

① 広告クリエイティブ内に検索窓を表示させ、視認性を上げる

まず広告クリエイティブの中に検索窓を表示させます。そうすることで、「このキーワードで検索するともっと詳しく知ることができる」ということが伝わるようにします。また、検索窓が広告内でしっかり見てもらえるように表示します。検索窓を表示していても、それがしっかり見てもらえない状態であれば、表示していないのと同じ状態になってしまいます。

② 検索窓に表記するキーワードの可読性を上げる

広告内で検索窓が目立つように表示されていても、そこに表記されているキーワードが読みづらい単語だと、せっかく検索しようとしても文字を入力しづらい状態になり、指名検索に誘導しづらくなります。

読みづらい(可読性の悪い)キーワードとしては、例えば次のようなものがあります。

  • 文字数が多い
  • 読みづらい漢字が連続で表記されている
  • 見慣れない英語で表記されている

長いキーワードは略語にしたり、漢字や英語はひらがなやカタカナにしたりするなどの配慮が必要になります。特に漢字は画数が多いため、視認性も悪くなりがちです。検索する際のユーザーの負担を極限まで軽くする工夫が求められます。

③ 動画広告のクリエイティブで注意すべきこと

動画広告から指名検索へ誘導する場合は注意が必要です。動画は最初から最後までしっかり見てもらえるとは限りません。動画の中で部分的に指名キーワードが表示されてすぐ消えてしまうタイプのクリエイティブでは、十分に検索誘導ができません。

そのため例えば、動画の最初から最後まで画面の一部に常に指名キーワードを表示しておくといった工夫が必要です。一瞬、目についたタイミングでいつでも検索できるようにしておくことがポイントです。

方法3.プレスリリースを配信する

自社の商品・サービス関連で新たに告知する情報があったり、セミナーや展示会などのイベントに参加したりするタイミングで、プレスリリースを配信します。プレスリリースは報道・メディア機関向けの情報提供ではありますが、情報自体はインターネット上で誰でも閲覧できるようになったことで、一般ユーザーに見られる機会も増えています。そのため、プレスリリースは自社の認知拡大につながるケースもあります。プレスリリースを見たユーザーが指名検索を行うこともありますし、メディア関係者が興味を持って取材につながった場合には、広告費をかけずにメディアで紹介してもらえるため、そこから指名検索につながることもあります。

指名検索数の調べ方

指名検索の検索数は、いくつかの方法で調べることができます。Googleトレンド、Googleキーワードプランナー、Googleサーチコンソールです。

簡易的に調べるにはGoogleトレンドが適しています。ただ、Googleトレンドは正確な検索数が表示されず、期間内の最大検索数を100としたときの相対的な数字が表示されます。Googleキーワードプランナーは、実際の検索数を調べることができます。ただし、利用するためにはGoogle広告のアカウントが必要です。

直近の検索数を最も正確に調べられるのが、Googleサーチコンソールです。Googleが無料で提供しているツールですが、利用するためにはWebサイトにタグを埋めておく必要があります。タグを埋めてデータが確認できるようになったら、次の手順で検索数を調べることができます。

  1. Googleサーチコンソールにログイン
  2. 左メニュー「検索パフォーマンス」を選択。「検索パフォーマンス」内にいくつかメニューが表示される場合は「検索結果」を選択。
  3. 表示された画面内の「クエリ」タブをクリック。「上位のクエリ」欄には、ユーザーが検索したキーワードが表示される。「表示回数」欄が検索数。
  4. 「上位のクエリ」欄から指名キーワードを見つけ、その「表示回数」を確認することで指名検索数を調べる。

まとめ:指名検索をマーケティング成果につなげるために

指名検索は、自社の名前や商品・サービスを認知し、詳しく知りたいと思って調べている人がどれだけいるかを測る指標になります。そのため、マーケティングでも重要視されます。

指名キーワードの検索数を増やしつつ、SEO対策やリスティング広告を出稿することで、自社に興味を持ってくれた重要な見込み顧客を着実に自社に誘導することができます。この状態を作ると、比較的安定したマーケティング成果が継続して得られるようになります。

指名検索の対策をすることで成果改善をお急ぎの方は、研修やコンサルティングを提供しています。お気軽にご相談ください。

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この記事のライター


橋向隆広(株式会社アガルート マーケティング統括)

デジタル領域を中心にマーケティング業務16年目。広告代理店と事業会社の両面で、スタートアップから中小企業、ナショナルクライアント、多国籍企業まで幅広くマーケティング業務を行う。多角的なマーケティング手法の中から、ビジネスモデルや事業規模、予算規模に応じて適切な打ち手を組み合わせて考案し、実行までできることが強み。

<略歴>
2008年 株式会社アイレップ入社、SEOグループディレクター
2012年 株式会社CyberZ(サイバーエージェントグループ)入社、運用型広告コンサルタント、動画サービス新規事業立ち上げ参画
2015年 グループエム・ジャパン株式会社(WPPグループ)入社、シニアプランナー、ソーシャルメディアリード
2018年~ 事業会社2社でマーケティング責任者
2022年 株式会社アガルート入社



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