市場調査とは?マーケティングリサーチとの違いや代表的な調査方法、調査の活用事例を解説マーケティングコンサルティング

市場調査をやりたいんだけど、相談にのってほしい


コンサルティング統括者・後藤匡史

マーケティング・コンサルタント、という仕事をしていると、よく「市場調査をやりたいのだけど相談に乗ってほしい」というお声がけを頂きます。

我々にご相談いただくケースでも何割かの確率で「調査をやる意味がない」と思えるケースもありますし、リサーチ会社に出した結果を後から見せて頂くケースでも重要な情報が取得できないケースも見られます。

一方で、市場調査やマーケティングリサーチを行うことで大きな成果につなげることもできます。

では、市場調査はどのように進めるべきなのでしょうか?本稿では代表的な市場調査やマーケティングリサーチの種類と手法をお伝えいたします。

間違った調査をして予算と時間を無駄にしてしまわないよう、本記事のポイントをご活用ください。

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市場調査とは

市場調査とは文字通り、「市場がどのような状態になっているかを調査する」ことです。市場の状況を調査し、その市場の魅力度を測ったり、市場参入の検討に用いたりします。

市場調査だけではビジネスの成功を担保しませんが、ビジネスを成功させるロジックや仮説を組み立てたうえで市場調査を行うと、かなり高い費用対効果を得ることも可能です。

市場調査とマーケティングリサーチの違い

市場調査とマーケティングリサーチは何が違うのか?辞書的な意味ではほぼ同じものですが、その結果の使い方によって二つの概念に分かれます。言葉の定義は人によって変わるのでそれぞれの組織内で整合性が取れていれば問題ありませんが、二つの概念を理解しておきたいところです。

市場調査とは、市場の状況を調査するものです。
一方、マーケティングリサーチとはマーケティングを遂行するために必要な情報を調査するものです。

調査・リサーチには必ず目的があります。その目的達成のために必要なものを知る、仮説検証を行うのが調査・リサーチです。調査やリサーチ自体を目的にせず、ビジネスで必要な意思決定を行う、ビジネスを推進することを目的とすると良いですね。

市場調査を行う目的


市場調査とは、市場の状況を調査するものです。

例えば、市場参入を検討している、あるいは当該市場での事業成長を目指すときに市場調査を必要とするケースがあります。

概ね「この市場は魅力的なのか?」「この市場を攻略するためのキーポイントは何か?」を理解するときに使います。

市場調査の目的は多々ありますが、代表的には次のようなものが挙げられます。

  • 市場規模や市場トレンドの把握
  • 消費者のニーズ把握
  • 競合他社のシェア・動向を把握
  • 新規事業や海外進出など新市場への参入検討

目的① 市場規模や市場トレンドの把握

市場調査の目的によく出てくるのが市場規模や市場トレンドの把握です。「市場調査」と行ったときにはこれらの定量データをイメージする方が多いのも特徴です。

リサーチ会社が自主出版している「〇〇市場の総覧」「〇〇市場の将来動向」等はこの典型でしょう。

今後の成長戦略への投資を考えるうえで、「この市場でどのくらいの売上伸びが期待できるのか」「何が市場拡大のキーになるのか」などを調査します。

概ね、市場全体の規模や年単位での推移、市場を細分化(セグメント化)した際のそれぞれの規模や年単位での推移、今後の予測やキードライバー等を調べることになります。

目的② 消費者のニーズ把握

市場調査でも、個々の消費者に着目する場合、そのニーズを把握することも必要でしょう。一般消費者向けのビジネスだけでなく、法人・団体向けのビジネスでも消費者、あるいは顧客のニーズ把握は必要です。

マーケティングにおけるニーズとは、人々が生活したり、仕事をしたりする上で感じる「現状」の様々な不満や欠乏が、「理想的な状態」と比較したときのギャップです。人々の「理想と現実」にはギャップがあります。「本質的ニーズ」とは、このギャップを解消したい「欲求」です。

一方で、その具体的手段のことをウォンツと呼びます。

専門的な調査を行った場合、消費者のニーズや消費者インサイト(購買行動の根底にある本人も気付いていない動機や本音)等を抽出できることもあります。一方で、本質的なニーズを明らかにするのは難易度もコストも高いため、もう少し表面的な情報を収集しているケースも見受けられます。

例えば、セグメントごとのKBF(Key Buying Factor:購買決定要因)の整理や動向も重要な情報になりうるでしょう。

目的③ 競合他社のシェア・動向を把握

市場調査の中でも顧客ではなく業界プレイヤーに目を向けたものです。

自社も含めた業界プレイヤーの売上規模や推移、シェア、今後の方針などを整理します。リサーチ会社が自主出版している「〇〇業界の総覧」「〇〇業界の将来動向」等でもこれらの情報が出ていることが多いですね。

業界プレイヤーはそれぞれの市場の中で特徴があります。例えば、高付加価値型のA社と低価格型のB社がいて、B社がシェアを伸ばしている、ということであれば、市場が低価格を求めている、というシグナルになります。

自社がシェアを伸ばすための「競合プレイヤー」の把握が重要なのは当然ですが、市場調査という位置付けの場合には市場・業界全体の概観を掴むことも重要なポイントになるでしょう。

目的④ 新規事業や海外進出など新市場への参入検討

新市場のための参入検討のために市場調査を行う場合もあります。 この場合は、上述した目的①、②、③の組み合わせた情報が必要になります。

既存市場との大きな違いは、「既存市場はある程度分かっていることに対して足りない情報を付加する」ことがポイントになるのに対して、新市場の場合「よくわかっていないので全容を把握する」ことがポイントになることです。

最初から細かい枝葉の議論をするのではなく、幹の部分、市場全体の動向や勝つためのポイントなどを整理しておきたいところです。

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マーケティングリサーチを行う目的

マーケティングリサーチとはマーケティングを遂行するために必要な情報を調査するものです。

マーケティング活動には主に戦略レイヤーと施策レイヤーがあります。戦略レイヤーでは、ターゲティングやポジショニングの意思決定を行います。施策レイヤーは4つのP、すなわち、Product(製品)、Price(価格)、Place(流通チャネル)、Promotion(コミュニケーション)を検討します。

マーケティングリサーチでは、主にこれらの意思決定のための調査を行います。

活用目的① 顧客のセグメンテーションと選定(STP分析:Segmentation、Targeting)

顧客は誰か、はマーケティング活動において極めて重要な問いです。

その際に、確認したいのは「市場にはどのようなお客様がいるのか」ということです。そのため、顧客の細分化、セグメンテーションを行います。

顧客でも、「高くても品質の高いものが良い」人と、「とにかく安いものが良い」人では、持っているニーズが異なることが多いです。

異なるニーズを持った顧客に対して、全員が満足する製品やサービスを提供するのは難易度が高いため、誰のための製品・サービスなのか、を設定します。そのために、顧客を細分化し、細分化した中で「自分たちにとって最も魅力的な顧客群」をターゲットとして定めるのです。

そのためには、顧客のニーズやKBF(Key Buying Factor:購買決定要因)の調査、個々の顧客セグメントがどのくらいのボリュームで存在し、どこの製品・サービスを利用しているのかを押さえておきたいところです。さらには、そこから導き出されるターゲットに対して、ターゲットの顧客はどのような人・組織で、どのような購買行動をとるのか、等も理解していきます。

その結果、解像度高くターゲット設定が出来るようになります。

活用目的② ポジションニングの決定(STP分析:Positioning)

マーケティング戦略を設定するためには、ポジショニングの意思決定が欠かせません。ポジショニングとは、「お客様の頭の中にイメージを作ること」です。

そのためには、顧客の脳内イメージを把握しておく必要があります。ポジショニングの意思決定のためには、業界内の製品・サービスに対して、顧客が抱いているイメージを確認していきます。どのようなイメージを抱いているのか?それは顧客が購買する際に重要な要素なのか、すなわち顧客のKBFの確認をします。

自社の製品・サービスの特徴を踏まえたうえで勝てるポジションを選定する、というのがポジショニングです。そのための調査として、顧客ターゲットの持つ各社の製品・サービスイメージ、KBFを明確にしておく必要があるのです。

マーケティング戦略を決める4P(マーケティングミックス)


マーケティング戦略、すなわち、ターゲットとポジショニングの決定後に決めていかなければならないのが、そのお客様にイメージを持っていただくための施策、「4P」~Product、Price、Place、Promotionです。

例えば、牛丼の吉野家は「うまい、安い、早い」を謳っていますが、それを実現するためには、牛丼がおいしく早く提供されること(Product)、価格が安いこと(Price)、すぐに利用できる立地で早く食べられること (Place)、「うまい、安い、早い」と説明してくれること(Promotion)等、すべての施策が「うまい、安い、早い」につながっている必要があります。

一方で、単に戦略に整合しているかどうか、だけでなく、一つ一つの施策がターゲット顧客に受け入れられ、実現可能である必要もあります。 マーケティング調査では、個々の施策に関する調査も同時に行っていきます。

活用目的③ 製品調査(4P:Product)

製品調査は、新製品開発の際や、ローンチ後の改善ポイントの把握のために行います。製品開発の際には、製品コンセプト、つまり、ターゲット(誰が利用するのか)、シーン(どんなシーンで利用するのか)、ベネフィット(受け取り価値は何か)、を明確にします。

したがって、新製品開発の前にはこの3つの要素について確認しておく必要があります。その際には現状の困り事やニーズなども聞いておく必要があるし、利用シーンの実情も理解しておきたいところです。

また、製品調査は、試用して感想を聞くといったケースでも登場します。

例えば、ご自宅に送付して一定期間使っていただくホームユーステストや、会場に集まっていただいて利用評価いただく会場調査(CLT:Central Location Test)などもです。

食品や化粧品等、利用してみないとその良さが理解できない、という特性のものは、こうした調査が使われます。

活用目的④ 価格調査(4P:Price)

価格は一度決定すると下げるのは簡単ですが、上げるのは難易度が高い、という性質があります。また、値決めによって大きく利益が出たり、大きく利益を損なったりする、極めて重要な要素です。

価格の調査には、顧客の価値評価、顧客感度評価、競合製品の価格調査などがあります。

価格に関するアンケートはあてにならない、という議論はかなり古くからおこなわれています。調査時の「あなたはいくらならこの製品を買いますか?」という質問に対して1,000円と回答した人が、実際にその製品が1,000円でお店に並んでいるときに買うかと言われると、ほとんどの人が買わないでしょう。

一方で、他の製品と比べて「高く感じる」「安く感じる」という感覚は、比較的合っていることが多いのも事実です。したがって、価格調査においては、競合品の価格を正しく理解しながら、どのようなポジショニングを採るか、すなわち「高品質高価格」なのか、「低価格(低品質だけど)」なのか、によって値決めをしていくことになります。

よく使われる手法の一つとして、PSM(Price Sensitivity Measurement:価格感度測定)があります。これは、

  1. この商品が安すぎて購入したくないと思うのは幾らからですか?
  2. この商品が安いと思うのは幾らからですか?
  3. この商品が高いと思うのは幾らからですか?
  4. この商品が高すぎて購入したくないと思うのは幾らからですか?

の4つの質問だけで、最適と思われる価格を推定するものです。PSMは絶対的な手法というわけではありませんが、設問数が少ないわりに比較的分かりやすい結果が得られる点で使われることが多い手法ですね。

価格に関わる調査は、具体的にいくらか、という金額にフォーカスが行くことが多いですが、その実、「なぜその金額だと良いのか?ダメなのか?」という顧客の定性的な評価をセットで検証することでより妥当な価格のコントロールがしやすくなります。

活用目的⑤ 流通チャネル調査(4P:Place)

流通チャネルの調査は、どの流通を使うと良いのか、を意思決定したい場合に利用します。一般に、流通は外部プレイヤーとの交渉を伴いますので、自社がコントロールできる比重は少ないです。

例えば、食品メーカーはコンビニエンスストアやスーパー、ドラッグストアに製品を納入しており、その納入ルートは商社や卸であることも多々あります。商取引は契約によって双方とも縛られていますので、勝手に条件を変更したり、勝手に取引をやめたり増やしたり、ということもできないことが多いです。その意味では、コントロールしにくいとも言えるでしょう。

一方で、顧客にとってみれば、自分が買いたいところで手に入れられる、というのは極めて重要なことです。日々使っていて欲しくなったらすぐ買いたいというようなモノ、例えば、飲料などはコンビニエンスストアにおいて欲しいでしょうし、お世話になった方へのお礼のモノであれば百貨店の包装紙を付けてお渡ししたいものです。

つまり、流通チャネルの調査では、「ターゲット顧客がどのようなチャネルで購入するのか?」「そのチャネルに対するイメージは?」を把握しておきたいところです。それが自社のターゲットにとって使いやすいのか、ポジショニングに合っているのか、等の検証です。

それだけでなく、流通プレイヤーとの交渉のためには流通プレイヤーのニーズ把握や他のメーカーとの取引状況なども把握できるとより有利な交渉ができるのではないでしょうか。

活用目的⑥ コミュニケーションミックス(4P:Promotion)

コミュニケーションは顧客が商品を認知し、理解し、購入に至るまでの流れを支援するものです。例えば、「テレビ広告で認知してもらい」「Web記事で詳しく理解してもらい」「お店で実際手に取ってみて」「キャンペーンでお得だと思って購入してもらう」等を推進するのです。

そのため、AIDMAのような態度変容モデルやカスタマージャーニーマップに合わせて、どういうコミュニケーション手法を組み合わせて展開していくか、を意思決定する必要があります。したがって、「どういうコミュニケーションだと効果がありそうか」と「実施したコミュニケーションは効果があったのか」が重要な検証ポイントになります。

コミュニケーションは、広告・販売促進・人的販売・広報と様々な手法があり、昨今ではデジタルの様々な手法(Web、メール、SNS、動画、等)があります。顧客が何を見ているのか、それぞれどのような使い方をしているのか、を理解しておきたいものです。

また、年間のマーケティング予算として結構な比率の広告投資を行っている企業は多くありますが、その効果があったのかなかったのか、検証しておくことも必要になります。検証することで、より最適なコミュニケーションミックスが達成できるでしょうし、個々の広告や販促の改善もしやすくなります。

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市場調査の具体的な事例

様々な目的に対してどのような調査を行うのでしょうか?具体的な事例を参考に調査の考え方を理解していただきたいところです。

事例① 定量調査の事例 ブランド調査

ブランド調査は、そのブランドの状況を把握し、今後のマーケティング戦略を決定するために行います。

ある外食チェーンA社の事業拡大のために調査を実施したことがあります。調査実施以前は、お客様はなぜ利用してくださるのか、ヘビーユーザーとそれ以外のお客様でどのような違いがあるのかが分かっていませんでした。

ブランド調査ではインターネット・アンケートによる定量調査を行いました。主な項目として、

当該チェーンのブランド認知度や理解度
外食利用時のKBF
外食に関するニーズ
外食店各社のイメージ

等があります。

A社のブランド認知や理解度は競合他社に比較すると低い状態でした。これは広告などのマーケティング投資というよりも、店舗数が少ないことに起因しており、「名前は聞いたことがあるがよくわからない」という方が多数いらっしゃいました。

また、KBFは、「(高くても良いから)美味しいものを食べたい」や、「ヘルシーなものを食べたい」、「とにかく早く」、「安く済ませたい」などに分かれています。

ブランドイメージを特にヘビーユーザーに確認すると、「ヘルシー」ということについてはかなり強いイメージを持たれていることが分かりました。一方で、未利用者は当然ながらそれらのイメージを持っていません。

これらのことから、A社が重視すべきターゲット層を「ヘルシーなものを食べたい」に決め、その方々にとってより良いサービスを提供していくきっかけになりました。その結果、店舗数が急拡大する起爆剤となりました。

A社はここで勝負ができる、という仮説をお持ちでした。調査結果で検証できたことでよりシャープな施策になり、自信をもってアクセルを踏むことができた、ということが調査の価値となりました。

事例② 定量調査の事例 クーポン効果測定

化粧品や健康食品の通信販売を行うB社ではメールにクーポンを付けるキャンペーンを行っていましたが、どのクーポンが一番良いか、が見えていませんでした。そのため、クーポンをいくつかのパターンで実施し、どのクーポンが最も効果が高かったのかを検証しました。

これはアンケート調査ではなく、いわばABテストのようなやり方で実施検証してより良い施策を明らかにするものでした。やり方としては、3つの軸でクーポンを実施します。すなわち、①対象者層の選定、②クーポン配布タイミング、③オファー内容(特に金額)、です。

通販ビジネスでは、RF分析、すなわち、いつ買ったか、何回買ったか、によって顧客をセグメント分けしてアプローチの仕方を変えることがセオリーになっています。この調査でもRFを加味して、①初回購入後、②休眠顧客のそれぞれにアプローチをしていきました。

クーポンを投下すると当然ある一定確率でクーポンを利用します。これを対称層(同じ顧客層だがクーポンを投下しない顧客)と比較してどの程度の差が出たかで判断していきます。

その結果として、あるセグメントの休眠顧客へのクーポンは、頻度アップ、購買購入額アップ、ひいてはLTV(Life Time Value)の向上につながることが分かりました。

このキャンペーンを標準化して全顧客層に実施することでそれだけで数億円の売上増につながるだけでなく、グローバルでのお手本の一つになったようです。

事例③ 定量調査の事例 法人向けサービスの顧客満足度調査

医療機関向けサービスを展開しているC社では営業や支店によって売上やリピート率、顧客からのクレーム量にばらつきがあることから、顧客の満足度を把握する必要があると考え、顧客満足度調査を実施しました。

具体的なやり方としては、Webアンケートシステムを利用してアンケート設計、営業が集めているお客様キーパーソンのメールアドレスにアンケートを送信することによって行いました。もちろん、営業から事前にお客様に「アンケートのお願い」をすることでアンケート回答率を高めることと、お客様がおかしな不満を持たないよう注意しました。

toC型のビジネス(一般消費者に向けたビジネス)に対して、toB型のビジネスでは顧客満足度調査の難易度が高いことが多いです。この理由は比較的少数のお客様が多額のお金を支払ってくださることが多く、担当営業からすると普段、商談の中で聞いているので今更聞く必要があるのか、と感じたり、「営業の邪魔をするな」と思ったりすることも多く、調査実施にはネガティブになることが多いようです。

しかしながら、実際に調査を実施してみると顧客からの意外なサービスへの期待や不満が見えてきました。やはりエリア傾向は強くサービスレベルにはばらつきがありましたが、そのばらつきは営業のサポート状況とサービス担当者がどれくらい時間投資出来ているかの複合であることが分かりました。

複雑なサービスではありませんでしたので、「決められた内容をきっちりやる」ということが重要であり、また営業は「決められたこと」をお客様と正しく合意することが重要だったようです。当たり前のことですが、「営業のコミュニケーションが」「サービスの品質が」等様々な要因が考えられた中で、重要なポイントが明確になったことで各現場の行動が変わっていきました。

事例④ 定性調査の事例 フォーカスグループインタビュー

フォーカスグループインタビューは5-6名の消費者、顧客を集めて、座談会形式でお客様のニーズや購買行動、実態の把握を行うものです。エンターテイメント企業D社のリクエストにより映像コンテンツのニーズ把握と「どのターゲットに刺さりやすいか」の検証をするための仮説づくりとして調査を行いました。対象者は女性を中心に年代ごとに分けて行いました。

フォーカスグループインタビューは、部屋を確保してそこでモデレーターが司会進行しながら集まった方におしゃべりしていただきます。ここでは、「普段どんなドラマや映画を見ているか」「どんなきっかけではまったか」「どんな気持ちになるか」「なぜそれが好きか」「どんなシーンで見ているか」を確認していきます。

フォーカスグループインタビューの良いところは対象者同士の会話で話が膨らんでいくことです。「私あのドラマ好きなの!」「私も!」「あのシーンが」「そうそう!」というように共感が共感呼んでどこが共感ポイントなのかが掘り下げられます。モデレーターが、本質的ニーズに迫るポイントを掘り下げることでリアルな感情の動きを知ることができるわけです。

これがD社の今後の戦略方針や製品開発方針に大きく影響を与えました。

事例⑤ 定性調査の事例 競合調査

食品メーカーE社は今後の製品拡大に向けて、自社の獲得状況、競合の動きから今後の成長戦略を組み立てるべく、競合調査を行いました。

競合調査は様々な手法があります。デスクリサーチをベースとして例えば、公開情報、特に上場企業の場合はIRをチェックしたり、帝国データバンクや東京商工リサーチのデータを見たりするのは比較的簡単で分かりやすい手法です。

ところがこれらの情報だけだと戦略の意思決定には不十分です。そこで取られるのが聞き取り調査です。関係者に丹念にヒアリングをしていくことで、競合の戦略方針や獲得売上等が入手できます。

これによって、効果の高い競争戦略を組み立てることができます。

市場調査の成功事例は、他にもたくさんあります。
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市場調査の代表的な調査手法

市場調査には様々な手法があります。ここでは定量、定性織り交ぜて代表的なものをご紹介します。

方法① インターネット・アンケート調査

一般的に「調査」でイメージされるのがインターネット上でのアンケート調査でしょう。調査会社に委託するケースもあれば、近年ではGoogle FormsやMicrosoft Formsでも簡単に作成できます。

インターネット・アンケートの良いところは手軽にそれなりの母数(n数)に対する調査ができますし、デジタルデータとして格納されるので、結果の分析も比較的簡単にできます。そのため、多くの方が市場調査・マーケティングリサーチというと、このアンケートのことをイメージされます。

インターネット・アンケートは、母数を確保しやすいので、定量的な裏付けを得たい場合には費用対効果の高い手法です。例えば、市場規模の算定や特定のKBFを持つ人がどれくらいいるか、等ですね。

一方で、定性的な調査にはあまり向いていない手法でもあります。例えばニーズの掘り下げ等は回答者がアンケートでは言語化できないことが多く、不向きです。

インターネット・アンケートは、母数が多く「それっぽい分析」が出来るので間違った調査を行ってしまうと結論をミスリードしやすくなります。そのためにも調査設計に力を入れることがポイントです。

方法② 郵送調査

アンケートを郵送で回答者に届け回答いただく手法です。例えば国勢調査などがこれにあたります。近年では、「アンケート依頼は郵送、回答はインターネット」というケースも増えてきており、国勢調査もこのスタイルになっています。

郵送調査の良いところは、あて先が分かっていれば様々な方に依頼をすることができるということです。一方でインターネット・アンケートに比べるとデメリットも多く、近年かなり実施例が減ってきているのが実情です。

そのデメリットとは、郵送コストがかかる、回答者にとって記載が面倒、集計が手間というところが主なものです。今は、スマートフォンまで含めるとインターネットに接続できない方は少数派なので敢えて郵送を選ぶ必然は少なくなってきています。

ただし、Eメールの送付に比べて郵送物の方が開封率は高いため、確実に回答が欲しい、回答のインセンティブを付けられる、ということであれば、郵送を選択肢と置いても良いかもしれません。

方法③ 電話調査

電話でオペレーターが質問し回答を得るものです。「電話」という手段ですので、対象者が電話を取り回答に応じれば様々な情報を得ることも可能になります。

新聞社が支持政党の調査をする際に電話調査をされているところを見かけます。これらは定量調査の側面が強く、ランダムに抽出される電話番号に対してアンケート回答を期待します。

また、BtoB型の調査でも使われる手法で、オペレーターが移動せずにインタビューが出来るので、インタビュー調査の割には比較的安価である程度の量の調査ができることもメリットです。さらにオペレーターのインタビュースキルが高ければ、定性的な情報を収集することも可能です。

方法④ 街頭調査

街頭調査は、路上や施設内でそこを通る人にアンケートを依頼し回答いただくものです。サービス利用直後の感想やサンプルを渡して反応を見る、等も出来るので設計次第で様々な情報をタイムリーに得ることができるのがメリットです。

街頭調査を行う場合、路上の場合は管轄の警察に、施設の場合は施設管理者に許可を得なければならないため、許可が得られないと調査ができない、というリスクが発生します。

また、通行中の方への依頼の場合、多くの場合は「急いでいる」という理由で断られますので、慣れた調査員が対応しないとうまく調査ができないので注意が必要です。

方法⑤ 覆面調査

店舗型サービスではよく見られる「ミステリーショッパー」と呼ばれる手法です。店舗型サービスの場合は、店舗スタッフには調査が行くことを事前には明かさず、覆面調査員が通常の顧客に交じってサービスを体感し、その評価を行うものです。

客観的にサービスレベルが評価できるところがメリットです。レストランの評価で有名なミシュランガイドも覆面調査員がレストランを覆面調査することで評価している、と言われています。

覆面調査はサービスレベルの検証には効果を発揮するものの、デメリットとして、「そのサービスのターゲット顧客が利用するわけではない」ため、本来のサービス価値が正しく評価されにくい、という指摘が行われるケースもあります。

覆面調査を行う場合には、本部側で標準レベルを明確に定め、評価基準を決めたうえで、「それを満たしているか」を確認するのであればかなり効果を期待できるでしょう。

方法⑥ ホームユーステスト

ホームユーステストは、製品やサービスをご自宅などで利用していただきその評価を得る調査手法です。単なるアンケートなどと比較して、比較的長期にご利用いただきながら評価を得ることでよりリアリティのある結論が導き出せます。特に、継続利用することで効果実感が得られる化粧品や健康食品などで効果を発揮しやすいです。

途中で利用しているところを調査員が見ることが出来れば、利用者も気付かないニーズが発見できるケースもあります。

サンプル送付や定期的なレポート等を対象者に求めるケースがあるので、手間やコストが比較的かかります。ライトに実施する場合にはサンプリング調査(サンプルを送付して行って期間後にアンケートに回答いただく)というだけでもある程度の検証は出来るかもしれません。

方法⑦ フォーカスグループインタビュー調査

フォーカスグループインタビュー(FGI: Focus Group Interview)は、特定セグメントの対象者を複数人集めて座談会形式で意見を募るものです。通常5-6名の対象者に対してモデレーターが質問を投げかけ議論を促します。

フォーカスグループインタビューの良いところは、複数人の意見を同時に集められることと、対象者同士の意見交換により、より議論が深まることが特徴です。専門的な調査会社に委託すると、ミラールーム(マジックミラーを設置した部屋)に対象者を招き、リアルな座談会を対象者に見られないように見学することもできます。

顧客の声が見えにくいサービスなどを提供している場合にはリアリティのある議論が見られるので顧客のことを理解するうえでとても良い選択肢です。

一方で、フォーカスグループインタビューは、対象者とモデレーターのスキルによってかなり結論に違いが出ます。一般にヘビーユーザーは対象となる製品やサービスについて想いが強いので様々な参考となる意見が出ます。一方で、たまにしか使わないいわゆるライトユーザーは想い入れが無いため、大した意見が出せず「何もわからなかった」という結論しか出ないこともあります。

また、複数人の対象者が同時に話しますので、他の方の意見に引きずられて本音とは違う意見を言うことも往々にしてあります。ただし、これはモデレーターがうまくコントロールすれば防げるものでもあります。

いくつかのデメリットもありますが、短時間で多くの意見が収集できるため、今でも設計とモデレーターがしっかりしていれば有効な手法です。

方法⑧ デプスインタビュー調査

デプスインタビューは一人の対象者にじっくり意見を聞く場合に使われる手法で、対象者とモデレーターが一対一でインタビューを進めていきます。プロのモデレーターは短期間で対象者との信頼関係を築けるため、「人に話しにくいこと」「言語化しにくいこと」等も掘り下げて聞くことができます。

インサイト(消費者が気付いていない潜在的な購買行動のキー)を抽出するにはデプスインタビューのように掘り下げて聞く、ということが必要です。

デプスインタビューのデメリットは一人一人の対象者に時間とコストがかかるため、母数を多くできない、ということです。そのため、デプス調査の結果に対して、「一人二人の意見で判断してよいのか?」という批判を受けることが往々にしてあります。実際、対象者選定を間違えると特殊な意見が出るケースもあります。

それを防ぐには、複数人の対象者に実施することと、出た結果を改めてインターネット・アンケートなどで検証することが必要になります。

市場調査の成功事例は、他にもたくさんあります。
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市場調査の手順

市場調査は下記の手順で進めます。

  1. 目的を明確にする
  2. 初期仮説:事前にデスクリサーチを行う
  3. 調査企画を行う:予算やスケジュールを決める
  4. 調査設計を行う
  5. 実査:市場調査を実施する
  6. 結果を分析し、打ち手につなげる

手順① 目的を明確にする

まず、調査を行う場合は目的を明確にしたいものです。

多くの場合、何らかの意思決定のために調査を行うはずです。市場調査の場合は、誰のニーズに応えるべきか?どのニーズに応えるべきか?このビジネスに投資すべきか?どのようなソリューションを作るべきか、等様々考えられます。

これらの目的が明確になっていないと、言い換えれば、「この調査が終わった結果、〇〇を実施する」と決めていないと、調査結果を活用できない、ひいては無駄な投資になってしまいます。

手順② 初期仮説:事前にデスクリサーチを行う

次に行いたいのは、初期仮説の作成です。

市場調査をお金をかけて実施しなくても「ちょっとGoogle検索すれば出て来る内容」も山ほどあります。もちろん、Google検索だけで解決しないことを調べようとしているのだと思いますが、ちょっと調べればわかることまで「調査にかける」のは無駄でしょう。

そこでやりたいのがデスクリサーチです。Google等を使った情報収集、書籍・文献の確認、社内情報の整理等、自席で整理できる情報はたくさんあります。

事前に調べておくことで、「調査で明らかにすべきこと」が見えてきます。

手順③ 調査企画を行う:予算やスケジュールを決める

調査企画を行うためには前述の調査目的のほか、
・何を明らかにするために
・対象は誰で
・どういう手法で
・どこで(誰に依頼して)
・いつまでに
・いくらで行うか
を決めていきます。いわゆる5W2Hですね。

その中でも調査を行うにはお金も時間もかかります。予算とスケジュールは企画全体への影響が大きいので早めに整理しておきたいところです。

例えば、アンケート調査を行う場合、外部に依頼する場合には、
・調査設計費、分析費等リサーチャーに支払うお金
・アンケートシステム利用費(Google Formsのような無料のモノもある)
・回答者への謝礼(払わないケースも多いが払ったほうがn数が増やせる)
あたりがかかってきます。

外部専門業者を利用する場合には早めに見積を取得するのは勿論ですが、見積は調査要件≒設計によって大きく変わります。そのため、社内での予算組みには少し余裕をもっておきたいところです。

また、設計や実査、分析にも時間がかかります。調査慣れしていない方は、「アンケートを作って2-3日で回答を集める」と考える方もいらっしゃいますが、ほとんどの調査はこのスケジュールでは全く足りないでしょう。

調査設計は関連部署のヒアリングや調査会社との調整なども必要ですし、実査もアンケートであれば回答が集まるまでに最低1週間、インタビューの場合はアポが取れるまでに数週間かかることもざらです。また、分析・レポート作成のためにもそれなりに時間がかかるでしょう。

多くの場合、上長、場合によっては役員と「報告日」を設定することになりますが、報告日をむやみやたらと早めにすると自分の首を絞めることになってしまいます。

予算、スケジュールは社内、特に上長との調整が必要になりますので余裕を持って進められると良いですね。

手順④ 調査設計を行う

企画が出来たら調査設計を行います。

仮説を立て、その仮説が検証できるように対象を絞り込み、設問を整理していきます。
企画内容をもとにより詳細に落としていくことになります。それに合わせて詳細スケジュールの組み立て、対象者の決定などを行っていきます。

調査設計は、どのような調査手法であっても、手法に合わせた最適な方法や、回避すべき落とし穴があります。予算に余力があるのであれば、ここはプロの知見を借りたいところです。

ご自身で調査設計を行う場合には、対象者設計と設問設計をミスするケースが多いです。気を付けるべき点としては最低限、下記の三つが挙げられます。
1.    調査結果が得られると意思決定できるか?
2.    対象者が十分に回答できる内容になっているか?
3.    調査結果を「自分が欲しい回答」に誘導していないか?
これらのミスをしないように下記の記事も参考にしてください。


手順⑤ 実査:市場調査を実施する

調査設計が出来たらいよいよ実査、すなわち実際に調査を行っていきます。

調査会社に委託する場合、レポートが出てくるまで丸投げ、というケースも見られますが、特に顧客調査の場合には顧客と接する機会になるケースもありますので、担当者が主体的に関わることをお勧めします。

また、調査会社に委託していればあまり起こりませんが、自社で実査を行う場合、様々なイレギュラーが起こります。例えば、
・アンケート回答者数が十分に集まらなかった
・謝礼を渡そうと思ったら現金授受でトラブルが起こった
・インタビュー対象者が当日来なかった
・取材拒否された
等が容易に想定されます。

手順⑥ 結果を分析し、打ち手につなげる

調査結果が集まったらその後「分析」作業があります。

最初にすべきは、「もともとの仮説がどのように検証されたのか?」を確認することです。

調査を本稿の手順に沿って実施していれば、目的の段階で「何を意思決定するか?」が決まっているはずです。調査の結果、どういう意思決定ができるのか、その方針を組み立てましょう。

実際は、もともとの仮説がほぼ100%正しい、ということはほとんどありません。概ねYesなのだが細かいところでかなり違いがある、というケースや、仮説の組み立てなおし、というケースもあります。

これらもすべて結果から「打ち手につなげる」ということがベースにあります。最終的に何らかの意思決定を行う(打ち手を打たないと決める、ということも含めて)ことが結果的に一義的な調査の価値になります。

最終的には調査の結果を踏まえて大きな売上増、利益増につながることが理想ですが、そのためには打ち手を打たなければ始まりません。

市場調査を自社でおこなう/専門業者に頼む

市場調査を自社で行うべきか、専門業者に頼むべきか?

決めるためには、「予算」「急ぎ度合」「自社のリソース」の勘案になるでしょう。
専門業者を使うケースは大きく3つ、
①    自社では調べられない調査を行いたい
②    社内リソースが足りない(時間的なことも含めて)
③    外部からのお墨付きが欲しい
です。自社では調べられない、というのは調査品質も含めて、という意味です。

たまに見られるケースとして、自分たちの調査結果では経営陣が納得してくれないので外部専門機関の結果を使いたい、ということもあります。近年見られる、「No.1調査」(自社の製品がカテゴリNo.1であることを確認しプロモーションに利用する)も大手調査機関を利用することで信頼感を得られる典型的なアプローチでしょう。

言い換えれば、自社で品質が担保できる、社内リソースはあるが予算が取れない、等のケースでは自社で実施するケースも多々あります。どちらが良い、悪い、ではなく状況によって両方の選択肢を持たれると良いでしょう。

自社でおこなう場合

自社で行う場合の最大のメリットは、「やりたいときにやりたいようにできる」というものです。例えば、新規事業開発の場合は、なるべく自社主体で実施することをお勧めしています。理由はいくつかあるのですが大きなものとしては、「仮説が外れることが多いので費用対効果が合わない」ことと、「担当者が直接顧客の声を聴くことでPivotがしやすい」ことが挙げられます。

自社で行う場合のデメリット、あるいはハードルになるのは、自社でそのスキルが十分にない場合でしょう。調査は簡単なようで意味のある結論を導くためにはある一定以上の知識とスキルが必要になります。調査になれないといつまでたっても外部任せになってしまうので自社でやることも必要ですが、一方でその結果大きな意思決定で失敗するリスクもあります。

慣れていない場合は、伴走してくれる専門家にサポートしてもらうことも選択肢です。

専門業者に依頼する場合

専門業者は調査のプロフェッショナルとして様々な調査に関わります。

一見、良いようにも見えますが、調査会社にも調査担当者にも得意、不得意があります。専門業者を使う場合には、自社が意思決定するために必要な情報をその専門業者が集められるのか、を検証しておきたいところです。

我々シナプスは、調査目的に合わせて、得意な調査会社をアサインするようにしていますが、最初から調査会社を固定してしまうと「自社が売りたい調査手法」に誘導するケースも稀にありますので、調査委託側として
・何を明らかにしたいのか?
・そのためにどのような手法が有効なのか?
を事前に整理しておきたいところです。

市場調査で注意すべき4つのポイント

これまで、市場調査について記載してまいりました。

改めて、調査で注意すべき4つのポイントを記載します。すなわち、
① 何のために市場調査を実施するのかを考える
② 仮説を立てて検証する
③ 市場調査の方法を決める
④ コストと所要時間を想定する
です。

ポイント① 何のために市場調査を実施するのかを考える

市場調査は、なんらかの意思決定をするために行うものです。そして、その意思決定がビジネスにインパクトが大きければ大きいほど、調査の価値が高くなります。「単に知りたいから」という理由での調査は、ビジネス上、付加価値を生み出しません。

市場調査を行うためには、「なんのためにやるのか?」「調査の結果、何を意思決定し、どのような打ち手につなげるのか」を改めて整理しておきたいところです。

ポイント② 仮説を立てて検証する

市場調査をより精度の高いものにするためには、仮説を立てることが必要になります。
まずはデスクリサーチによって具体的な仮説を立て、それを検証することによってより質の高い打ち手につながります。

調査とは調べること、ではなく、仮説を検証すること(そのために調べる、という作業をする)というように理解しておきたいところです。

ポイント③ 市場調査の方法を決める

市場調査の方法は様々あります。何でもかんでもとりあえずアンケート、とするのではなく、検証したい仮説に合わせてインターネット・アンケート調査、郵送調査、電話調査、街頭調査、覆面調査、ホームユーステスト、フォーカスグループインタビュー調査、デプスインタビュー調査など様々あります。

最適な手法の選択にはそれこそ専門家の知見を借りるのも選択肢でしょう。

ポイント④ コストと所要時間を想定する

コストと所要時間、すなわち予算とスケジュールも重要な要素になります。

とくに社内での承認を取り付ける段階で、余裕のある予算取りと、確実にできるスケジュールの設定が必要でしょう。

まとめ

本記事では、マーケティング・コンサルタントが市場調査について解説してきました。マーケティングリサーチとの違いや調査の目的、調査結果の活用方法を明確にしないまま「なんとなく」「とにかく急いで」調査を行うと、その予算と時間が無駄になることもあります。

市場調査を実施する前に気をつけておきたいポイントは、本記事でまとめたもの以外にもたくさんあります。意味のある調査を実施するためにも、調査会社へ依頼する前にマーケティング・コンサルタントにご相談いただくことをお勧めします。

株式会社シナプスでは、より適切な、成果につながる市場調査をコンサルタントがご提案いたします。調査をご検討の方は、こちらのフォームからご相談ください。

この記事のライターは・・・


コンサルティング事業責任者 後藤匡史

株式会社シナプス 常務取締役 コンサルタント。

10年以上のマーケティング・コンサルティングの経験を有する。化粧品、外食、エンターテイメント、メディア、サービス、精密機器、電子機器、電気部品、医療機器、農業など数多くの領域を支援してきた。

多くの企業が陥る「顧客不在の戦略立案・実行」に対して提言。真のニーズを中心とした組織へと生まれ変わらせることをミッションとして、数多くの企業を変貌させてきた実績を持つ。

研修では、マーケティング研修のほか、問題解決スキル研修やファシリテーション研修での実績が豊富で、「すぐに使えるビジネスの実践的なスキル」を伝える講師として評判が高い。SMBCコンサルティング セミナー講師。

1973年生まれ、2007年シナプス入社、2008年取締役就任、2021年より現職。2021年よりアグリテックスタートアップのテラスマイル株式会社の非常勤取締役を兼任。



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