仮説とは、「未知の事象に対して、ある程度の根拠をもって、確からしいと思われる洞察」です。マーケティングリサーチや顧客ニーズヒアリングにおいて、必須となる思考法が「仮説思考」です。
なお、仮説は必ず検証とセットですので、仮説思考とは、仮説検証をすること、といってもよいでしょう。
1.仮説思考とは
1-1.仮説思考の行動様式
仮説思考とは行動面からみると「仮説検証を行うこと」といってよいでしょう。さらに「仮説検証を行うこと」は、次の3つに分解されます。
- 特に自分が主体的に起こした行動において、その行動の結果として未来に何が起こるか、事前に予測を立てること(仮説)
- 行動した結果の事象内容を認知し理解すること(認知/実験)
- 自分の事前の予測の当たり外れや、その原因を把握すること(検証)
2-2.仮説思考を磨く基本行動
- 自分の行動により、どんな結果が起こるか、事前予測を立てる
- なぜ、その仮説になるか原因となる理由を考える
- 予測結果の当たり外れを認識する
- 予測結果の当たり外れが、事前に考えた原因仮説が現象の正しい説明になっているか考える
2.マーケティングリサーチに必要な仮説思考
2-1.仮説思考が思考の生産性を高める
「あらゆる可能性を考えてみよう」「さっぱりわからないので、とりあえず調査しよう」 ビジネス現場で、このような発言を聞いたことないでしょうか?
確かに、あらゆる可能性を考えたり、情報が足りなければ、情報を集めることは自然な思考法です。しかし、このようなやり方で、生産性を上げることは可能でしょうか?
無限の時間がない限り、あらゆる場面で回答にたどり着くまでの、生産性・スピードが求められます。いかに生産性を上げて短時間で質のよい成果を上げるか点が重要です。完璧を求めるのではなく、最短時間で、意思決定に必要十分な情報を集めるために必要なのが、仮説思考です。
2-2.生産性=スピード × 精度
通常の思考法
- とりあえず情報を集めてから考えよう
- 集められる情報は全部集めよう
- 情報を調べてから理由を考えよう
- 1つ1つ全部調べていこう
仮説思考
- 調べる前に理由を考えよう
- 仮説により優先度を決め、当たったらさらに深掘りしよう
- 情報を集める前に予想を立てよう
- 必要な情報を予測してから集めよう(調べる量が少なくてすむ)
多くのリサーチでは、「考える時間」<「調べる時間」です。つまり、思考法を使って「調べる時間をいかに減らすか」が仮説思考の一つのポイントです。
調べる時間を減らすコツは、「不要な調査を行わない」ことです。仮説思考では、「すべて調べる」のではなく、必要な情報だけをピンポイントで調べます。調査時間がかかるだけでなく、同じ時間で重要な箇所を深掘りできるので、リサーチの精度もあがります。
2-3.仮説思考のコツ:Quick and Dirty
仮説思考では、まず仮説を立てる、そして、立てた仮説を事実情報で検証します。
これを繰り返すことにより、より短時間で、より精度の高い調査が可能となります。
「とりあえず聞いてみよう」というスタンスではいくら時間があっても足りなくなります。「積み上げ思考」ではなく、Quick and Dirty にものごとを考え高速PDCAを回していく。これにより、スピードはもちろん精度も高めることが可能です。
3.仮説思考による顧客ニーズとソリューション把握
3-1.ソリューション提案のステップ
ソリューション提案は、大きく「顧客ニーズ把握」「ソリューション提案」の2つのフェーズに分かれます。顧客の本質的ニーズを把握するには、仮説思考を使った仮説検証型の顧客ニーズヒアリングが必要です。
- ニーズ仮説構築
- ニーズ仮説検証
- ソリューション仮説構築
- ソリューション仮説検証
- 提案
3-2. BtoB営業は仮説思考のニーズヒアリングスキルが必要
特に法人顧客(BtoB企業)では、同じ案件で何度もニーズヒアリング機会をもらえることは少ないでしょう。筆者が新規事業プロジェクトマネジャーをしていたとき、新規顧客に新商品・新サービスを説明機会、すなわち「ニーズヒアリングチャンスは1回だけ」なのが当然でした。たった1回のニーズヒアリングチェンスを最大限に活かし、顧客ニーズにあったソリューション仮説を提案しなければなりません。
BtoB営業では、最短で本質的なニーズを把握するための仮説思考型のニーズヒアリングスキルが必要です。
「仮説思考(仮説検証)」に関連する企業研修
「顧客ニーズヒアリング研修」は、提案型営業のキモ、顧客ニーズヒアリング力を高める企業研修です。顧客ニーズヒアリングの論理的仮説検証プロセスを身につけます。実在の顧客のニーズ仮説を立てコンサルタントの仮説検証ノウハウを伝授します。
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提案営業のキモは「顧客ニーズヒアリング力」。仮説検証で潜在ニーズを掴むコツを掴みます。