シナプス家弓です。
昨今、シナプスでは「VOC(Voice Of Customer)経営」というテーマを研究し、VOC経営の組織浸透コンサルティングに力を入れています。ここで、VOC経営の考察をまとめます。
VOC経営とは何か?
「VOC経営」では、すべてが顧客の声に基づく
顧客の声、顧客ニーズがビジネスの上でとても重要であることは、今さら言うまでもありませんよね。しかし、VOCを徹底的に収集し、戦略的に活用され、行動や成果につながっている組織は極めて少ないです。
そこで、シナプスは、今こそ敢えて「VOC経営」の実践を提唱します。「VOC経営」とは、次のような定義です。
『戦略構築から現場のアクションに至るまで、全ての意思決定プロセスや行動規範が、顧客視点、真のニーズに基づいている組織経営』
.VOC経営の実現には真の顧客思考が必要
VCO経営実現のためには、表面的な顧客の言葉だけではなく、組織的に次の3つを掴むことが不可欠です。
- 顧客がハラの底で考えている本音
- 現場で起きている赤裸々な現実
- 顧客自身も気づいていない重要な課題
つまり、顧客の声、行動、現場に、徹底的に目を向け、耳を傾ける。そしてVOCを元に顧客とともに真剣に考え、課題解決に導くことが求められています。
VOC経営を阻むモノ
VOC経営と、顧客の声を中心とした経営の実践。これが意外と難しい。まず、VOC経営を推進するための阻害要因を考えます。VOC経営実現には、次の4つのハードルがあります。
経営トップのコミットメント不足
トップマネジメントは顧客主義を掲げつつ、実は本気でコミットしていない。顧客本位の行動を起こしていない。これは実はトップの意識が顧客思考を持っていない証です。
当然、現場も顧客思考になれず、VOC経営は実現しません。
現場一人ひとりの意識浸透の壁
トップは明確に顧客思考の重要性を解き、方針を示し、VOC経営実現に本気になっている。
しかし、それが現場には浸透せず、一人ひとりのマインドや行動は本気で顧客に向いていない。そんな組織に限って、社員は「自分は顧客を理解している」と誤解していることが多いです。
現場の文化や習慣のハードル
トップも現場も顧客思考の重要性を認識し、変革の必要性を感じている。
しかし、行動を起こす気持ち持ちつつも、これまでの文化や行動習慣が顧客志向への変革を阻んでいる。顧客のもとに足を運ぶことに抵抗感を感じ、フットワークが重くなる。あるいは顧客に時間をとってもらうことに、恐れやうしろめたさをもってしまう。
まとめ:VOC経営4つのハードル
まず、「経営トップのコミットメント」は最も大きな影響力を持っています。はじめに、経営トップが本気でVOC経営を実現したいと思っていることが不可欠です。
それを前提として、現場の意識、文化(習慣)、スキルの問題がVOC経営を阻んでいることが多いようです。顧客思考のVOC経営を浸透させるため、意識、文化、スキルを組織的に変革するには、多大なエネルギーを要するため、挫折している企業がとても多いように感じます。
VOC経営実現のための基本コンセプト-行動が文化を変える
シナプスが提供するVOC経営プログラムは、社内にVOC推進プロジェクトチームを組成してもらいます。そのプロジェクト運営を通じて、組織を顧客思考に変えていきます。VOC経営実現サービスの基本的なコンセプトは、以下の3つです。
- 行動が変われば、スキルが身につく
- 行動とスキルが変われば、意識が変わる
- 一人ひとりの意識が変われば、組織の文化が変わる
行動が変われば、スキルが身につく
まず、私たちが行うことは、VOC推進プロジェクトメンバーの行動変革にフォーカスします。とにかく顧客ヒアリングをたくさん行ってもらう。意識変革やスキルアップよりも先に、とにかくVOC取得行動量を激増させます。
その顧客ヒアリング結果を報告、共有しながら、ヒアリングスキルを指導し、少しずつヒアリングの質を上げることに取り組みます。VOC取得を徹底的に繰り返すことで(私たちはこれをヒアリング100本ノックと呼んでいます)、メンバーは確実にヒアリングスキルを身に着けていきます。
行動とスキルが変われば、意識が変わる
この顧客思考のVOC行動が定着化しはじめると同時に、メンバーの意識に変化が生まれます。VOC推プロジェクトメンバーからは、様々な声が出始めます。
- 今まで顧客ニーズを表面的にしかとらえていなかった
- 顧客のもとに足を運ぶことに抵抗がなくなった
- 真摯に話を聞けば、顧客はちゃんと本音で話してくれることに気づいた
ここで、メンバーはVOC獲得の真の意味合いを理解し、本気で顧客を理解しようという意識に芽生えることになります。
このプロセスから、少しずつVOC推進プロジェクトメンバー以外の関与者にも顧客ヒアリングに同行してもらうなど、VOC経営の社内への広がりを図るとベターです。
一人ひとりの意識が変われば、組織の文化が変わる
その顧客理解をもとに、戦略構築、具体的なアクションへの落とし込みを行います。
テーマとしては、「新規事業開発」「新ソリューション開発」「営業革新」の3つのテーマがあります。いずれも、顧客ニーズに基づいて施策に落とし込むのに適したテーマです。
VOC経営プロジェクトがが動き始めると、社内の関連組織と調整をし、協同しながらクションを起こしていきます。
この時、他部署組織を動かす最大の武器が、これまで取得した「VOC」です。ふんだんに収集した顧客の声は、ヒトや組織を動かすパワーを持っています。
こういった取り組みが顧客思考に組織文化を変えていきます。一朝一夕とはいきませんが、VOC経営を1年間しっかり続ければ、着実に組織変化が生まれるはずです。
VOC経営で顧客思考の組織文化改革を起こすメソドロジー
【フェーズ1】精鋭プロジェクトによる成功体験づくり
プロジェクトコンセプト ~プロジェクトキックオフ前
プロジェクト設計、アウトプットイメージ策定 (商品開発、サービス開発、プロモーション、営業など)
主戦場フォーカス ~MTG2回
まず行動指針となる注力すべき戦略を構築すること ※レクチャー「主戦場特定のためのSWOT分析」
仮説構築 ~MTG2回
顧客の現実、ニーズに関わる仮説を論理的アプローチで構築。合わせて、基本戦略仮説(ターゲット、ポジショニング)、アウトプット仮説(ソリューション仮説、営業モデル仮説)を構築 ここでコンサルタントによる仮説ブラッシュアップセッション 100本ノックという名のグループコーチング ※レクチャー「ニーズ仮説構築スキル」
精緻な計画を立てる ~ここまでできれば1~1.5か月
ヒアリング論点設計 ヒアリング計画書、およびヒアリングシート作成
(※シナプスオリジナルワークシート) 円滑に行動を起こすための精緻なヒアリングプランを立てる
ヒアリング実査
プロジェクトメンバーが中心となって、アポどり~実査~検証 関連部署メンバーを巻き込み(開発メンバー、営業パーソンなど)
PDCAマネジメントサイクルを回し、戦略構築
顧客情報を集約し、仮説を磨き、戦略を再構築する 再びコンサルタントによる仮説検証ブラッシュアップセッション ここでまたまた100本ノック
現場アクションに落とし込み
戦略を現場の施策に落とし込み、実行に移す プロトタイプでもよいので、積極的トライアル → 検証 → 改善 また、PDCAサイクルを回し、戦略&施策ブラッシュアップを図り続ける
- 新規事業、新ソリューション開発の場合
- プロトタイプ、イメージ動画、コンセプトシートで引き続きヒアリング活動掘り下げ
- 営業革新の場合
- セールスモデルをアクショントライアル
- PDCAを回して、セールスモデルのブラッシュアップ
- セールスツール等の開発
【フェーズ2】VOC経営の文化定着化を目指すしくみづくり
VOC INPUTのしくみづくり
対象となるINPUT
ヒアリング、使用現場と行動、購買行動とデータ、その他
- コンタクトポイント棚卸(営業、アンケート、Web、コールセンター)
- 営業活動のアンテナ化(含、チャネル)
- 定点ヒアリング訪問調査
- マーケ部門からヨコ展開(営業、開発、保守部門などへの展開)
- マーケ部門の定期調査に、他部門キーパーソン巻き込み、同行
- →最終的にはのべ1000人ヒアリングを目指す
VOC SHAREのしくみづくりと運用
- 集約 ~ テキスト化・データ処理分析 ~ 選別 ~ 社内共有(部署別)
- 共有メディア設計(社内ポータル、メール、社内報、オフィス掲示)
- エピソードBook
- 理念、ミッション、価値観
- 方針説明会、朝礼
- 言葉遣いの定義
まとめ-VOC経営による顧客思考浸透プロジェクト
- 10人のVOCに触れると、顧客思考に立てた気がする
- 100人のVOCに耳を傾けると、真の顧客の姿が見えてくる
- 1000人のVOCに浸ると、顧客思考で真の競争優位が構築できる
- 1000人のVOCに浸ろう!