「開発の現場では、皆と違う答えが欲しい」~新規事業のアイデアを考える

数年前、某メーカーの新規事業開発に関わられている方に話を伺ったときのことです。

その当時、私自身、「イノベーション」と言うキーワードで仕事を頂く機会が増えてきていますので、様々な方に興味を持って話を聴いていました。 そんな話をしている時に、最近の若い技術者の思考のクセ、というような話に至りました。

最近の若手は、物事の本質を考えるのが非常に下手だ、と言うのは色々な方が言っていることです。私自身もいろいろな方から、「Googleなどで調べる情報処理能力が高い反面、創造性にかける」と聞きます。最近の若手、だけでなく、恐らくメディアが多岐に渡り非常に分かり易くなっているため、現代人は情報の洪水を処理する能力が伸ばされ、いわゆる「妄想する」機会が減っているのだと思います。

さて、私が話した方は技術の方ですが、彼が重視しているのが、物事の本質を考え、良いコンセプト(製品コンセプト、事業コンセプト)を作ることだそうです。 部下たちにもアイディアをもってこい、と指示するのですが、出てくるのは結局Googleで調べたようなものばかり。

一方で、若手からすると、どうしても答えを見つけたいと思うのは無理からぬことですし、いろいろな情報にアプローチし、顧客の課題めいた声や、新たな論文、著名人の意見などを見るとある一定の答えを導き出す力を持っているのも事実でしょう。 ですが、とくに新規事業、という観点において、 「誰もが行き着く答えに価値は無い」 「オリジナリティをどう入れるかが企業の競争力」 である、と考えると、タイトルに書いた課題意識になるわけです。

良く、若手は答え探しをする、と言う論調を良く見かけます。本当かどうかは分かりませんが、事業環境もこれだけスピードが早くなり、競争が激しくなると、ある意味で「探して見つかるものであれば」と思いますし、それで見つかるなら私だって探したくなります。

ですが、企業としての独自性を追求するのであれば、「探して見つかる答えは欲しい答えではない」という事でもあります。 これは新規事業開発の現場だけでなく、ビジネスにおけるあらゆる付加価値創出作業の中で問われていることなのではないでしょうか?

これは、論理的思考などのスキルの問題ではなく、「探して見つかる答えに価値は無い」という意識を持っているかどうか、の問題かもしれません。


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