シナプス海老原です。

社内を動かす力シリーズとして『毎年100本起案し決裁をとる方法と稟議書の書き方のコツ』をまとめます。

  • 稟議書を書くことに必要以上の労力を使っていませんか?社内調整で、顧客、競合などの外向けの仕事がおろそかになっていませんか?
  • 稟議書・決裁書の書き方のコツを持っていますか?

以前新規事業でプロジェクトマネジャーをだったとき、事業を回すため一人で「年間100本以上」稟議書を書いていました。

毎年100本の稟議書を起案し決裁をとりながら事業推進するに、新規事業プロマネ現場で磨いた稟議書・決裁書の書き方のコツを伝授します。

毎年100本の稟議書を起案し決裁をとりながら事業推進するには、テクニックを生み出すことが必須でした。新規事業プロマネ現場で磨いた稟議書・決裁書の書き方のコツを伝授します。

1.稟議書とは

1-1.稟議書の定義


稟議書とは、「会社のお金を使う」「契約締結をする」際に、会社内で、承認を行うための書類です。

「稟議書起案者」が作成し、規定された権限に基づき起案者の上司や関係者が「決裁承認」します。

なお、厳密には異なりますが、「稟議書」と「決裁書」と「起案書」と同じと考えて良いでしょう。

1-2.稟議書・決裁書の書き方の基本

まず、稟議書・決裁書の書き方の基本はに書くべき基本項目」です。大きく下記の5つの項目が網羅されている必要があります。

  1. 稟議書・決裁書案件の実行目的
  2. 稟議書・決裁書案件にかかわる金額(支出または収入がある場合)
  3. 稟議書・決裁書承認してほしい契約内容(契約書締結が必要な場合)
  4. 稟議書・決裁書案件が実行された場合の予想されるリターン
  5. 稟議書・決裁書案件の実行に当たって予想されるリスク

私は、過去5つの事業会社で100人以上の企画者の仕事ぶりを見てきましたが、意外と、まず「初歩的な基本項目」を押さえられない人が多いようです。

1-3.稟議書文例見本

私が当時mp稟議書文例です。架空ですが、構成や文言の書き方などの注意点は、実在のものをほぼ再現しています。

この例文をみて、「稟議書基本5項目」が網羅されていることを確認してみてください。

【タイトル】●●サービスの設備増強に関する追加設備の購入について

■1.目的・概要
●●サービス設備稼働率が、XX%となっており、設備増強の必要がある。
ついては、「2」記載の設備購入について承認お願いします。
なお、現在A社に7月導入希望で、サービス契約の内諾をいただいており、本稟議の設備購入は挿入に進める必要があります。

■2.今回の購入設備
1)●●に関する設備増強
製品A:一式
製品B:13式
※その他詳細については、添付1のF社見積ファイルを参照ください。
2)購入金額
XXX,XXX,XXX円
※2017年度予算残額、YYY,YYY,YYY円
詳細は、添付ファイル2の「2017年度予算管理票」を参照ください。
3)購入予定会社
I社
※2017年計画時のコンペにて、最低価格であり継続購入。
なお、年初計画時の検討資料については、添付3「2017年度購入設備シミュレーション結果」を参照ください。

■4.収支計画
今回の設備購入および売上を勘案した収支計画は添付4「2017年収支計画(2017年5月10日版)の通りです。
なお、2017年度収支計画および設備投資予算計画については、2017年4月2日付けの決済番号XXXX-XXの稟議を参照ください。

■5.その他補足事項
今回購入設備は、決裁番号XXXX-YYと同じ製品であり、すでに2017年2月より、J社にてサービス稼働中です。

■6.本稟議に関連する契約
本設備投資に当たり、添付4の「●●に関する保守サービス契約書」の締結が必要となります。
なお、本契約書は、決裁番号XXXX-YYでの設備購入時と同じものであれり、契約内容については、法務確認済みです。

2.稟議書の書き方のコツが必要な理由と改善すべきカテゴリ

2-1.稟議書・決裁書の書き方のコツが必要な理由

「稟議書の書き方のコツ」が身についていれば、稟議書の起案から決裁までのスピードが早い。すると、事業実行スピードも早くなります。特に、不確実性の高い新規事業では実行スピードが重要です。

社内調整は「内向きの仕事」です。稟議書・決裁書の書き方のコツを身につけ、顧客や競合という「外向きの仕事」に時間を使いましょう。

稟議書の労力削減のためには「一番数が多い稟議書カテゴリ」で、起案から決裁まで省力化・高速化します。それには、本数が最も多く、改善効果が高いカテゴリで効率化を行います。

2-2.計画内稟議書の書き方に改善を集中


多くの企業で、一番本数の多い稟議書は、「予算金額」「予算内容」とも「年初計画内」の稟議決裁です。

本数が多いことに加え「年初計画内」案件は効率化しやすい理由があります。それは、稟議書決裁者の承認スタンスが他と異なることです。定義上「年初に計画を承認されている」はずです。よって、稟議書の目的は「予算金額と内容が、年初計画通りか確認する」だけです。

  • 年初計画外の決裁者スタンス
    ゼロベースで審議する
  • 年初改革内の決裁者スタンス
    計画通りに進んでいるかチェックするだけ

3.毎年100本起案し決裁をとる方法と稟議書の書き方のコツ


2-1.稟議書の書き方 ①「計画通り」を強調


「今回の稟議書が、決裁者自身が承認済みの計画通りであることを強調すること」が、稟議書の書き方のコツです。

予算進捗が当初計画通りであることが、承認者にひと目でわかるよう稟議書書き方を工夫します。します。決裁者は忙しい人が多いものです。決裁者に「あなたが承認した計画通りに進んでいます。よって、この稟議書は承認して安心です」と、パッとわかるよう書きます。


2-2.稟議書の書き方 ②プラスよりマイナスをケア


決裁者の稟議書チェックで、年初計画通りなら、売上の上振れなどの「プラス要素」はほぼノーチェックです。一方、「マイナス要素」「リスクファクター」は、厳しくチェックするものです。

決裁者に指摘されそうな「マイナス要素」や「リスクファクター」は、問題ないことを稟議書内で根拠付きで示します。(例えば、「部品Aが値上がりしたが、コスト比率から利益減は軽微」など)

2-3.稟議書の書き方 ③決裁者のクセを読む

私は稟議書決裁者のクセを掴み、稟議書の書き方を工夫し、省力化を実現していました。

決裁者も人間ですので、完璧に合理的に判断しているわけではありません。

それでは、「どうやって決裁者のクセを掴むか」。答えは「同じ系統の稟議書を書くたびに、少しずつ変更し実験して確かめること」です。私は、稟議書で実験を繰り返し、承認者のクセを把握していました。


例えば、同じ設備の再購入の際に、稟議書のある項目を削除したり、購入設備の書き方を変えてみます。この実験で「この承認者は、どこを特にチェックしいてるか」を把握します。そして、承認されるラインの稟議書の書き方を見極めます。ラインが把握できたら、必要なことだけを、必要最低限の労力で書くのです。


2-4.稟議書の書き方 ④健全な根回し


私は、いつも「稟議書差し戻し」を1回分遅れたらアウト。顧客にサービス納品できなくなるスピード感の事業を回していました。そこで、確実に稟議書承認をとるコツが「健全な根回し」です。

「根回し」といっても簡単な工夫でOKです。私は「稟議書を書いた直後に、キーマンとなる稟議書承認者と30秒程度会話する」というテクニックを使っていました。

例えば、「A社案件の稟議書を申請しました。条件はいつもと同じです。お客様がすぐ導入したいそうですので、早めに承認お願いします。」程度です。この簡単な根回しをするだけで、決済者は「ああ、この稟議書は、海老原がいっていた件だな。事前に聞いていたとおりだな。」と認識され、稟議書が承認される確率もスピードも上がります。

2-5.稟議書の書き方 ⑤計画内案件の比率を上げる

「年初計画内」案件比率を上げるには、年初予算計画の精度自体を上げることも必要です。理想は、ほとんどの稟議が「年初計画の確認だけ」になることです。

私は、「年初計画内稟議書」の割合を増やすよう意識的に努力していました。例えば、私はITサービスを担当していましたが、サービスに使う機器が次々後継機にかわっていきます。そのため、年初予算計画時に、稟議時に多少の購入品のブレがあっても大丈夫なように計画書を作ります。例えば、例えば、購入製品の型番を曖昧にして、計画書を作るなど細かいテクニックを使っていました。

また、新規事業では、不確実性が高いのは当然です。そのため、年初計画では、担当役員など重要な決済者とは、「ここは、ブレる可能性がありますが、大目に見てください」と事前に握っておきます。

まとめ

毎年100本起案し決裁をとる方法と稟議書の書き方のコツ』いかがでしたか?省力化のキモは、年初計画内稟議案件の効率化でした。

事業推進が必要な方は、効率的に稟議書を書くすべを身につけましょう。そして、顧客・競合など「外向きの仕事」に浮いたリソースを投資するのです。


参考情報

1.海老原一司のシナプスビジネスナレッジコラム

1974年生まれ。早稲田大学理工学部修士課程をへて1999年日本テレコム株式会社入社。IT業界を中心に大企業・ベンチャーなどの事業会社で クラウドサービスなどの10年間以上のプロダクトマネージャ経験を持つ、BtoB事業の新規事業立ち上げ、事業成長のスペシャリスト。プロマネとして新サービスを3年で100倍の売上にした経験を持つ。

2014年シナプス入社。BtoBマーケティングプログラム責任者。
『立教大学経営学部講師』(2015年~現在)
『グロービス経営大学院(MBA)』(2010年卒)


社内を動かす力のコラムシリーズ





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