DX人材とは
DX人材の定義
デジタルトランスフォーメーション推進を妨げる要因として、
- 経営層の無理解
- レガシーなITシステム
- DX人材の不足
などが挙げられています。とりわけ、DX人材の不足は、現内閣もリスキリング支援に5年で1兆円を投じると表明しているなど、課題と感じている企業が多いことは明らかです。
IPA(独立行政法人情報処理推進機構、日本のIT国家戦略のための組織)は、2018年に上場企業に対してDXに関するアンケート調査を実施。DX推進を担う人材として次の6タイプを挙げ、それぞれ不足感を尋ねていますが、いずれの人材も不足しているとの回答結果でした。
そして、過半数の企業がプロデューサー、データサイエンティスト/AIエンジニア、ビジネスデザイナーの3人材について「大いに不足」と回答していることから、ビジネスとITを結びつける機能が不足していると考えられます。
プロデューサー | DXやデジタルビジネスの実現を主導する リーダー格の人材(CDO含む) |
---|---|
ビジネスデザイナー | DXやデジタルビジネスの企画・立案・推進等を担う人材 |
アーキテクト | DXやデジタルビジネスに関するシステムを設計できる人材 |
データサイエンティスト/ AIエンジニア |
DXに関するデジタル技術(AI・IoT 等)やデータ解析に精通した人材 |
UXデザイナ | DXやデジタルビジネスに関するシステムのユーザー向けデザインを担当する人材 |
エンジニア/ プログラマ |
上記以外にデジタルシステムの実装やインフラ構築等を担う人材 |
※参考 https://www.ipa.go.jp/files/000076002.pdf
こうしたことから、シナプスでは、DXとDXを推進する人材を次のように定義しています。
<DX>
デジタル(IT)を利用して、新しい製品・サービス・ビジネスモデルを通して競争優位性を獲得すること
<DX人材>
事業変革とIT活用の両面から捉えられる人材
DX人材に必要な知識・スキル
前節で、DX人材を「事業変革とIT活用の両面から捉えられる人材」と定義しました。もう少しブレイクダウンすると、次の2つの問いに答えることのできる人材と言い換えられます。この2つの問いに答えるためには、「基礎スキル」、「事業変革の視点」、「IT活用の視点」の3つを持ち合わせる必要があると考えられます。
- 「事業をどのように変革すべきか?」
- 「事業変革のために使えるITは何か?」
基礎スキル
- 思考力:論理思考、問題解決(目的思考)、仮説思考
- 行動力:ファシリテーション、プロジェクト・マネジメント
事業変革の視点
- ビジネス理解力:経営戦略立案、ビジネス分析スキル
- 事業変革・イノベーション:ビジネスモデル、イノベーション
- デジタルマーケティング:マーケティング、顧客心理・行動
IT活用の視点
- IT理解:データサイエンス、AI・IoT、UI/ UX等、技術の概要理解
- IT実装:機械学習、統計解析、システム設計、プログラミング
DX人材育成プログラムの概要
DX人材の不足にどう対応するか、そのアプローチは、外部登用(採用)もしくは内部登用(育成)の2つです。シナプスでは、社内に今いる人材の育成について、事業変革の視点強化をコンセプトにしたプログラムをご提案いたします。
2つのプログラム
前節で整理したDX人材の要件に応じてプログラムをご提案いたします。
- 事業変革の視点:DX・事業変革プログラム
- 基礎スキル:DX・基礎プログラム
- IT活用の視点:DX・IT活用理解プログラム
対象、目的、ゴール
- 対象:事業人材、IT人材
- 目的:事業変革・IT活用の両方の視点を併せ持つ人材の育成
- ゴール:事業開発の標準的な手法を理解し、自社の事業課題の抽出・優先順位づけを行い、課題解決のためのIT活用方針をたてられる
DX人材育成プログラムの特徴
カスタマイズ設計
シナプスでは、今いる人材に不足している知識・スキル、目指すゴールについて、事前のヒアリングと意見交換を行いながら、特定するところから研修設計をスタートさせます。現状と目指すゴールとのギャップを埋めるために、どの知識・スキルをどの程度獲得すべきか、そのための研修はどうあるべきかを明らかにし、適切なプログラムをご提案いたします。
コンサルティング・ノウハウ
マーケティングコンサルティングにおいては、環境分析から事業課題の抽出、優先順位づけといった戦略策定のプロセスを支援します。具体的には、分析の枠組みや論点を提示し、議論をとりまとめ、オプションを抽出し、意思決定を促すことの繰り返し。このプログラムでは、ビジネス分析や戦略構築の作法にとどまらず、マーケティング・プロジェクトを実践する中で培われたコンサルティングのノウハウを、レクチャーや演習というコンテンツにまとめてご提供いたします。
DX・事業変革プログラム
知識・スキル | 研修名 |
---|---|
ビジネス理解力 | 経営戦略とビジネス分析力 |
事業変革 | ビジネスモデルとイノベーション |
デジタルマーケティング | デジタルマーケティング概論 |
DX実践スキル | DXワークショップ |
経営戦略とビジネス分析力
概要
トップマネジメントの役割とその大局的な思考や意思決定のポイントを学びます。その際、用いられる各種フレームワークを習得し、高い視座に立ったモノの見方や考え方、リーダーとして組織を巻き込む思考力、発信力を身につけます。
対象
- プロデューサー・ビジネスデザイナー候補者、
- アーキテクト等、IT系DX人材
ラーニングポイント
- 経営戦略とは何か(理念、ビジョン、戦略)
- 経営環境分析(3C分析、5Forces分析)
- 事業ドメインの設定
- 競争戦略(コスト/差別化/集中戦略)
- ビジネスモデル設計(バリューチェーン)
ビジネスモデルとイノベーション
概要
ビジネスモデルキャンバスの使い方を通じて、ビジネスモデルの考え方と事業変革を起こすためのイノベーションの考え方を学びます。
対象
- プロデューサー・ビジネスデザイナー候補者
- アーキテクト等、IT系DX人材
ラーニングポイント
- イノベーションとは何か
- ビジネスモデルとは何か
- ビジネスモデルキャンバス(BMC)
- CS・VP・CH・CR・R$・KA・KR・KP・C$
- 関連フレームワーク/マネタイズモデル
デジタルマーケティング概論
概要
今やマーケティングにインターネットの活用は不可欠となりました。様々な取り組みが多様化し、日々変貌を遂げているデジタルマーケティンの全体像を把握、理解するプログラムです。デジタル時代の消費者行動モデルからデジタルを使った具体的マーケティング施策まで、最低限押さえておくべき基本と最新動向を、事例を交えて体系的に学習します。
対象
- プロデューサー・ビジネスデザイナー候補者
- アーキテクト等、IT系DX人材
ラーニングポイント
- デジタルマーケティングの全体像の体系的理解
- Web&ソーシャルメディアマーケティング
- データのマーケティング活用(ビッグデータ、DMP等)
DXワークショップ
概要
新規事業開発プロジェクトを組成していただき、定石となる論理的事業開発アプローチを通じ、実際に新規事業計画を作成します。「VOCからビジネスアイディア発見」、「ビジネスモデル、事業計画の立案」の2パートから構成されます。
対象
- プロデューサー・ビジネスデザイナー候補者
ラーニングポイント
- 新規事業アイディア創出手法、評価方法
- 徹底した顧客ヒアリングによる検証
- モデル設計、事業計画化
時間構成
標準は、1回、7時間のセッションを月1回、合計6カ月で組み立てます。
DX・基礎プログラム
DXはデジタル・技術にフォーカスされていることが多いのですが、目的は事業変革による成長戦略を描き遂行することにあり、基礎的なビジネス推進スキルを有することがDX人材の必要条件です。
中でも、最低限持ち合わせたい基礎スキルとして、ファシリテーション、プロジェクト・マネジメント、問題解決スキル、仮説構築力をピックアップ。いずれも数多くの提供実績のあり高評価を頂いている研修プログラムを組み合わせ、DXを推進する人材の基礎スキル開発をご支援いたします。
知識・スキル | 研修名 |
---|---|
ファシリテーション | ファシリテーション研修 |
プロジェクト運営 | プロジェクト・マネジメント |
問題解決スキル | 問題解決・課題解決研修 |
仮説思考 | 仮説構築力研修 |
ファシリテーション研修
関係者の意見を聴きながら進めることが求められるDXプロジェクトでは、打合せが多くなるのは必定。生産性を上げるためには、会議を効率的に建設的に進める必要があります。この研修では、建設的な会議運営のためのメソッド、テクニック学びます。演習としてファシリテータが疑似会議の進行を担います。その後、振り返りを行い、上手な会議の進め方を議論していただきます。
プロジェクト・マネジメント
概要
プロジェクト推進のためのマネジメントスキルの基本を身につけて頂くプログラムです。
対象
プロジェクトマネジメントを行う方
ラーニングポイント
- プロジェクトの目的
- プロジェクト設計
- プロジェクト運営
- リスク管理
- 人のマネジメント
- プロジェクトを終える
問題解決・課題解決研修
ビジネスの現場で起きている問題を効率的に解決するために、問題解決のアプローチ手法を学びます。ロジカルシンキングで学んだ思考法を実務に展開することを目指しており、演習で実際に起こりがちな問題の分析~解決に取り組んで、実務での活用を目指していただきます。
仮説構築力研修
DX実現のための基礎スキルとして、仮説を構築し検証するスキルが求められます。仮説構築の基本的な考え方と検証方法を理解し、実務での活用を目指していただきます。
DX・IT活用理解プログラム
概要
講義・演習・ワークショップを通じて、DXプロジェクトに必要な知識を学ぶとともに、成果物を作る過程を自ら体感することで、的確な判断と技術に関する円滑な会話が可能になります。
対象
- プロデューサー
- ビジネスデザイナー
- アーキテクト等、IT系DX人材の候補者
ラーニングポイント
- データサイエンス、AI(人工知能)、機械学習の最重要概念
- データリテラシーの基本
- 機械学習モデルの構築とデータ分析 ~演習:Phythonを使ったデータ処理、分析、精査
- データ分析とBI(ビジネス・インテリジェンス) ~演習:Tableauによるデータ可視化
- 総合ワークショップ:購買履歴データを用いたビジネス分析ワークショップ
DX人材育成プログラム 担当講師
- 家弓正彦(シナプス ファウンダー/取締役会長)
- 後藤匡史(シナプス 代表取締役社長)