BtoBマーケティングの基礎エッセンスを体系的に学べる「BtoBマーケティング研修基礎事例」。
2018年5月に、この研修を導入した、JTBビジネスイノベーターズの永山哲男社長と、山田浩司営業推進部長に、BtoBマーケティング研修基礎導入の経緯からシナプスを選んだ理由、研修の感想や成果などをお伺いしました。
新設の営業推進部で「BtoBマーケティング」の共通言語を作りたい
営業機能の再編を機に、「BtoBマーケティング」を改めておさらい
インタビュアー
御社は、旅行会社のJTBグループの事業開発を担う会社だそうですね。
永山様
はい。2006年に発足し、2016年からは金融事業・認証決済事業に事業ドメインを絞り込み、事業を展開しています。具体的には、主に宿泊施設様向けのクレジットカード決済端末「C-REX」やホームページでのオンライン決済サービス「JTB Book&Pay」など、宿泊施設様向けのBtoBサービスをご提供しています。
インタビュアー
なぜ、「BtoBマーケティング研修」を導入しようと考えたのですか。
山田様
営業推進部の新設をきっかけに、BtoBマーケティングの基礎を改めておさらいすることが必要だと感じたからです。
他の業界と同様に、金融・決済の業界も、すさまじいスピードで変化しています。その変化に対応するためには、営業においても、時代に合ったスタイルに変革することが必要です。そこで、今年(2018年)、これまでいくつかの事業枠に分かれていた営業機能を集結させる形で、営業推進部を新設。私はその部長に就任しました。
共通言語ができることで、部員同士のコミュニケーションが円滑になる
山田様
「営業スタイルの変革」を考えるために、営業部員にヒアリングするなかでわかったのが、多くの部員が、法人営業の基礎といえるBtoBマーケティングを体系的に学んだ経験がないことです。皆、営業の経験は豊富で、商品知識もプレゼン力も持っています。しかし、体系的マーケティング理論の面から自分の経験を見つめ直したことがありませんでした。
BtoBマーケティングを学べば、個々が持つノウハウを言語化して、共有しやすくなるはず。また、共通言語で話せるようになるので、部員同士のコミュニケーションがとりやすくなるし、一体感も醸成できると考えました。そうした期待から、BtoBマーケティング研修を導入したいと考えたのです。
永山様
山田から「BtoBマーケティングに関する研修をやりたい」と提案され、ゴーサインを出したのですが、どうせ実施するなら、「『本質』を考えられるようになる研修を受けてほしい」と考えていました。表面的なノウハウを学ぶのではなく、何を努力すれば営業の成果に結びつくのかを考えてほしかった。山田にはそうした要望を話していました。
現場で働く人の気持ちがよくわかっていた。机上の空論でない研修を期待
JTBビジネスイノベーターズだけのオーダーメイド研修が受けられる
インタビュアー
BtoBマーケティング研修開催にあたり、なぜ数ある研修会社のなかから、シナプスを選んだのでしょうか?
山田様
通り一遍の研修ではなく、JTBビジネスイノベーターズの業界特性や現状を考慮して、オーダーメイドの研修メニューを組んでくれる、と感じたからです。
基礎的な研修に関しては、どの業種の会社にも同じ一般論を教える研修会社は多いと思います。しかし、それだと、営業推進部の部員は自分ごとと捉えられず、研修に興味を持ってくれないと感じていました。そこで、「BtoBマーケティング」とネット検索し、ヒットした会社にメールで打診すると、シナプスさんからすぐに返信がありました。何度かメールのやり取りをして、「シナプスさんにお任せしよう」と決めました。
メールだけで、「任せよう」と決めた理由とは?
インタビュアー
メールだけで決めてしまったのですか?
山田様
はい。他社さんですと、営業担当の方から連絡が来て、後日、改めて、研修の企画担当者と話す流れだと思うのですが、シナプスさんの場合は、シナプスさん自身が研修メニューを組み、講師もするのですね。だから、メールだけでも、研修の目的を踏まえたカリキュラム設計など、かなり詳細な相談に乗っていただけたのです。
シナプスさんは、事業会社でのBtoBマーケティングや営業の経験も豊富に持っていて、今もコンサルティングもされているとのことだったので、JTBビジネスイノベーターズに合わせた、机上の空論ではない研修をしていただけると感じました。
実際にお会いして、相談すると、JTBビジネスイノベーターズの現状を丁寧にヒアリングしてくださり、営業推進部の役割や、研修目的まで踏まえて、いろいろとアドバイスをしてくださいました。現場で働く人の気持ちがよくわかっているとも感じましたね。そのシナプスさんに、今回のBtoBマーケティング研修講師を務めていただけるのも安心感がありました。
部員が本気になるリアルな事例演習。研修で現実の課題も浮き彫りに
「研修に本気で臨んでくれるか?」。その心配は、開始10~15分で解消
インタビュアー
実際に「BtoBマーケティング研修基礎」を受けてみて、いかがでしたか?
山田様
「こんな研修ができればいい」という当初の思惑通りの研修をしていただけました。
今回の研修は、1泊2日の合宿形式。初日にBtoBマーケティング研修で基礎的考え方を学ぶ。2日目に、より具体的な戦略を議論するという流れでした。開始前は、全部員が今回のBtoBマーケティング研修に本気で臨んでくれるか心配していたのですが、その不安は、研修開始後すぐに払拭されました。
インタビュアー
どうしてそんなに早く不安を解消できたのですか?
山田様
最初から営業推進部員の全員が研修に入り込んでいると感じたからです。シナプスさんがおこなってくれたのは、一方的な講義ではなく、皆が発言する、参加型の研修でした。
たとえば、3C分析の講義では「御社にとっての3Cを考えていきたいと思います。○○さん、旅行業界の市場規模はどれぐらいですか?」「3Cの一つは『競合』ですが、御社の競合はどこですか?」「確かに、その2社は直接の競合ですが、もっと広く競合を考えるとどうなりますか? そうそう、民泊なんかも入ってきますよね」などというように、部員の発言をどんどん促してくれるのですね。
ただ、厳しい感じではなく、和やかなムードで促していたので、部員たちもリラックスして発言していた。皆で対話しながら学ぶ雰囲気が出来上がっていきました。
限りなく現実に近いリアルな事例によって、部員が本気で向き合う研修に
山田様
また、研修で出てくる演習事例を、JTBビジネスイノベーターズの金融・決済サービス事業に合わせて、カスタマイズしてもらえたことも、大きかったですね。
たとえば、「顧客のニーズとウォンツの違いを考えよう」というテーマを話し合うときは、「首都圏中心に50施設を持つビジネスホテルチェーン」「鹿児島県内の温泉にある200室規模の温泉ホテル」などというように、部員が本気になれる限りなく現実に近い顧客像を、事前ヒアリングで設定していただきました。
また、研修では、顧客の本質的ニーズとウォンツを導き出せるようサポートしていただきました。「そのサービスを導入すると、顧客は何がうれしいのですか?」「サービス導入は電話で問合せしてくる担当者が決めるとのことですが、本当ですか?担当者は上司に言われて電話しているだけではないのですか?」など、本質的な質問をしてくれました。
だから、部員も自分事として真剣に考え、自分の意見を発言してくれた。最終的には、研修というより、皆が活発に議論し合う営業会議のようになっていましたね。
永山様
私もBtoBマーケティング研修に一部同席していたのですが、JTBビジネスイノベーターズのビジネスをかなり調べていただかないと、このような研修はできない、と聞きながら感じていました。事前の準備を綿密にしていただけたからこそ、部員たちも研修の内容が腹に落ち、真剣に向き合う気になったのだと思います。
リアルに考えることで、現実の課題が浮き彫りに
インタビュアー
「BtoBマーケティング研修基礎」を受けて、実際の業務に役立つ手応えはありましたか?
山田様
はい。BtoBマーケティングの基礎理論を学び、フレームワークで各部員の営業経験を整理することを通じて、さまざまな課題が浮き彫りになりました。
一つは、営業の型をつくることの必要性ですね。JTBビジネスイノベーターズの事業は、装置ビジネスなので、一度導入していただくと当面新たな発注が期待できず、常に新しいお客様を開拓する必要があります。研修を通じて改めてわかったのは、営業部員によって、その見込み客に対するアプローチの方法がバラバラだということです。
たとえば、企業の意思決定関与者を整理し、効率の良いアプローチにつなげる「DMUマップ(※)」を皆で作成しました。皆、「私の営業の裏技です」などというように、自身のノウハウを開示してくれたのですが、「誰が重要な意思決定関与者であり、どの順番で誰に当たれば良いのか」という考え方が、営業部員によって違うのですね。良く言えば多様なノウハウがあるのですが、どのやり方がベターなのか、意思統一が図れていないともいえます。
※DMU(Decision Making Unit)意思決定関与者。BtoBでは意思決定に多数の人間が関わる
インタビュアー
「DMUマップ」はBtoBマーケティング特有のフレームワークですが、経験を整理することで、そのような発見があるわけですね。
山田様
また、市場分析をして、市場における自社サービスや他社サービスのポジションを俯瞰して眺めることで、「今、攻め込むべきターゲットとはどこか」といったことを改めて考えることができました。
BtoBマーケティング研修で本質的な価値を考えられるように
顧客にとっての「本質的な価値」を考える重要性が、すべての部員に浸透
山田様
さらにいうと、「そもそもお客様にとっての価値とは何か?」という議論をしたことで、「本質的な価値とは何か」を強く意識するようになりました。
たとえば、カード決済端末の「C-REX」はクレジットカードだけでなく電子マネーにも対応しています。しかし、「電子マネーが使えると、具体的に、誰がどんな場面でどううれしいのか?」といったシナプスさんの指摘をきっかけに、本当にお客様が求めている価値はそれなのか。宿泊施設が抱える課題は生産性の向上であり、その課題にJTBビジネスイノベーターズのサービスがどう寄与しているのか……。1日目のBtoBマーケティング研修終了後も、合宿の中で、本質的な価値は何か?と何時間も議論しました。
合宿中には結論がまとまらなかったのですが、合宿から帰った後も、週1回のショートミーティングの場で、「本質的な価値とは何か」をベースにして、話し合うことが当たり前になっています。たとえば、展示会に出展する前に、「3分でサービスを説明するとき、どの価値を強調するか」「それなら、このキャッチで行こう」といったことを話すわけです。
「4Pから考えてみると」「FABE(※)で整理すると、このサービスをおすすめするエビデンスとは?」というように、研修で出てきた共通言語で話せるようになったので、議論がスムーズですね。
※FABE:Feature、Advantage、Benefit、Evidenceの頭文字で、訴求ポイント整理のフレームワーク
研修で、本質的な努力の向け先とは何かまで、皆が理解し議論できるようになった
インタビュアー
「本質を考えられるようになってほしい」という社長の思惑通りの研修になったわけですね。
永山様
私もさまざまな研修を見てきていますが、正直なところ、当初はチームビルディングだけでもできれば成功かなと考えていました。
しかし、今回の研修では、本質的な努力の向け先とは何かまで、皆が理解し、議論できるようになりました。今後に大きくつながる、実りの大きい研修になったのではないかと思います。アルバムもつくったくらいですしね。
山田様
有志が、1泊2日の研修の思い出を写真に撮って部員に配っていましたね。合宿中に研修以外の親睦を図るイベントもしましたが、研修自体も良い思い出になったからこそ、そうしたことが起こったのだと思います。
BtoBマーケティング研修の成果を営業成果につなげていきたい
研修の結果を、営業マニュアルに落とし込む
インタビュアー
今後は、BtoBマーケティング研修の成果を、どのように活かしてていこうとお考えですか?
山田様
はっきりと営業の成果につなげるために、現在では、BtoBマーケティング研修の内容をふまえて、営業マニュアルを制作しようと検討しています。そのサイクルを回していく過程で、新たな研修の必要性なども見えてくるでしょう。その時は、またシナプスさんにご相談させていただければと考えています。
インタビュアー
本日は、ありがとうございました。