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【企業研修事例】農業肥料販売会社|営業戦略構築ワークショップ

営業成果の最大化に向けて明確なロジックを基に営業戦略を組み立てることを目的にした「営業戦略構築ワークショップ」研修のご紹介。価格競争が激化する中、支店間の営業成績にバラつきが発生してきている、という問題意識に対して、「①従来の勘と経験に基づく属人的な営業からの脱却を図ること」、「②人材育成も含めた強い営業組織の構築をすること」を目標に、ワークショップ型の研修を企画・実施しました。

更新日:2024年2月6日

この事例の農業肥料販売会社様では、市場環境として耕地面積の減少や競合商社の増加に伴い価格競争が激化する中、支店間の営業成績にバラつきが発生してきている問題意識があるものの、エリアごとに作物の種類が異なり、全社で画一的な営業戦略は描けないというジレンマがありました。

その悩みに対してシナプスでは「支店単位での営業戦略構築」という手法をご提案。それぞれの支店がエリア特性を分析し、最もフィットした営業戦略を構築する、というものです。

一方で「戦略ロジックからの営業戦略構築」に対し、ベテラン社員からの反対意見が想定されました。

そこで、ベテラン営業の経験やノウハウをデータで可視化・再確認することで最強の営業パフォーマンスを発揮する、という方針を打ち出し、お客様に全面的にご理解をいただきながら、研修プログラムの開発と実施を行うことができました。

農業肥料販売会社|営業戦略構築ワークショップ|概要

  • 開発期間:3か月
  • 研修期間:Day1:0.5日間(全支店)+Day2:1日(各支店別に実施)
  • 課題:初見の方にいかに抵抗感なく仕組みやメリットを理解していただくか。また、明日から実際の営業活動として実践できるプランを作れるようになること。
  • 到達目標:経験やノウハウなどの定性情報を活かしつつ、データ分析による定量分析も実施し、「論理的な支店営業戦略構築」を策定すること。そしてその戦略を支店全員が同じベクトルで行動に移せること。
  • 方法:各支店を地区別に細分化した「戦略判断シート」を作成。シートには7つの情報を数値化(市場規模、市場伸び率、自社実績、自社数量シェア、自社軒数シェア、競合情報、移動時間)し、地区の魅力度をマッピングする。それを踏まえ支店として地区別に優先順位を付けて営業活動を実施する。また、その意思決定に従い、各営業担当の顧客訪問にも優先順位を付け営業活動を実施する。


農業肥料販売会社|営業戦略構築ワークショップ|設計のポイント


西原良介コンサルタント

今回の取り組みは、ベテラン営業の長年の「経験」により培われた「勘」や「ノウハウ」を「データ」で可視化することで、成果につながる営業活動の再現性を高めようというものです。それだけに、ワークショップ自体の設計よりも、事前準備が設計のポイントになりました。

戦略の意思決定のためにデータを活用する、という方針のもとにワークショップ型の研修を設計。ワークショップ自体の設計に先立ち、研修で扱うべきデータ項目が何かの特定、データの活用手順の決定を行いました。

事前準備として行ったのは、次の3点。お客様事務局とディスカッションを行い、二人三脚で進めていきました。

  • 営業成果につながる要素仮説(初期)を事前に作成
  • 顧客インタビューを実施し根拠情報を取得
  • オリジナルの「戦略判断シート」で意思決定のロジックを可視化

営業成果につながる要素仮説(初期)を事前に作成

やみくもにデータを取得・収集し分析するのは非効率です。まずは、営業成果につながる要素は何か。複数の支店長や営業担当者にヒアリングを実施し成果を出すポイントを洗い出し仮説をたててから、データを収集・整理・分析を実施しました。

顧客インタビューを実施し戦略判断の根拠情報を取得

成果をだすための要素の洗い出しと並行して、顧客である農家さんにも肥料購入時の企業選定要素(購買決定要因:KBF)をインタビュー。受注拡大の機会と失注のリスク要素を確認していきました。

※KBFについては「マーケティング用語集:購買決定要因:key buying factorとは」で詳説しています。


オリジナルの「戦略判断シート」で意思決定のロジックを可視化

成果を出す要素仮説と受注機会とリスク要素の洗い出しの結果を基にデータを収集・整理し「戦略判断シート」を作成。全ての営業地区を数値で可視化する一覧フォーマットとし、各支店、営業担当の方に研修の事前課題として配布。ご自身の営業行動と地区の魅力をあらかじめ考察した後に研修にご参加頂くようにしました。

農業肥料販売会社|営業戦略構築ワークショップ|研修の流れ

Day1

ワークショップDay1では、戦略判断シートが全社の共通言語であり、戦略導出の共通ツールであることをご説明。そして戦略判断シートから「どの地区を優先的に攻めるべきか」を考える方法についてレクチャーをいたしました。

インターバル

Day2までに、各営業担当者がどの地区を攻略すべきかご自身なりの戦略プランを考えてくるという宿題に取り組んでいただきました。

Day2

Day2は、各支店単位でワークショップを実施。プログラム内容をまとめると次の6項目になります。

支店戦略意思決定

  • 各自の戦略を共有しグループでディスカッション
  • 地区を順位付けする
  • 戦略の意思決定する(どの地区から、ターゲット作物、新規か既存拡大かロスト回復か)

営業担当者の意思決定

  • 「重要顧客(守り)」と「攻略顧客(攻め)」を決定する。
  • 上長は、担当者別に偏りが無いか、訪問可能な軒数かをチェックし調整する
  • 明日からその方針で実行に移す

農業肥料販売会社|営業戦略構築ワークショップ|研修の効果

Day1では、まだまだ半信半疑な状態の顔色を画面越しに感じましたが、インターバルワークを経たDay2のワークショップでは、地区の状況をみなさん熱くそして楽しくディスカッションされていました。

実際に、ワークショップ後の感想コメントでは、次のようなポジティブなご意見を多くいただけました。

  • 地区の状況が数字で可視化できてとてもわかりやすかった(若手社員)
  • 今まで経験と勘で商売してきたが、やっぱり自分の勘はあながち間違っていないことが再確認できた。(ベテラン社員)
  • 支店として同じ指標でディスカッションできたことが一番有意義であった(支店長)
  • これを実際行動に移してみることが重要。PDCAを繰り返しやりっ放しにしないようチームミーティングを実施していく(チーム長)

戦略判断シートは、あくまでも手段に過ぎません。このツールをいかに活用するかが重要となります。データは定期的に更新いただき、PDCAサイクルでどんどん戦略をブラッシュアップいただくことを期待してワークショップを終了しました。



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