価格戦略

価格戦略とは、マーケティングミックス4Pのひとつ「Price」のことです。「顧客が購入する製品の対価として支払う金額」を決めることが価格戦略の基本です。

価格戦略は、マーケティングミックス(4P)で、考えるべき項目のうちの一つです。

マーケティングミックス:4P

  • Product:製品戦略(プロダクト戦略)
  • Price:価格戦略
  • Place:チャネル戦略(流通戦略)
  • Promotion:プロモーション戦略

2つの新製品価格戦略

新規参入における価格付けは、大きく二つの方針があります。

スキミングプライシング

スキミングプライス(skimming price)とは、製品の市場投入時・導入期に高価格を設定し、高収益力を確保するための価格設定のことです。

スキミングプライスを取る価格戦略を、「スキミングプライシング(スキミング価格戦略)」といいます。

英語でスキミング(skimming)とは、「上澄みをすくい取ること」です。 つまり対象市場全体の上澄みである富裕層などの「高くても買ってくれる顧客」を狙った戦略です。 スキミングプライシングを行うことにより、商品の導入期から高収益力を確保し、投資の早期回収を図ることができます。

ペネトレーションプライシング

ペネトレーションプライス(penetration price)とは、導入期から一気に市場への早期普及を図り、成長カーブに乗せることを目的とする価格設定のことです。

ペネトレーションプライス(penetration price)を取る価格戦略を、「ペネトレーションプライシング(ペネトレーション価格戦略)」といいます。英語でペネトレーションとは、「浸透すること」です。導入期から一気に市場への早期普及(浸透)を図り、成長カーブに乗せることを目的とする価格設定のことです

一般的な価格設定アプローチ

企業が設定する価格は、利益を生み出すには低すぎる値と、需要を生み出すには高すぎる値のどこかに位置しています。製品コストは価格の最低限度を設定し、製品に対する消費者の知覚価値は最高限度を設定します。

  • 消費者の知覚価格:価格の最高上限(この価格以上では需要が見込めない)
  • 製品コスト:製品の最低限度(この価格以下では利益がでない)

競合他社の価格およびその他の内部要因、外部要因を考慮し、この2つの限度価格の中で最適な価格を見つける必要があります。

このときの価格設定のためのアプローチは大きく以下の3つがあります。

コスト志向型価格設定

  • コスト・プラス型価格設定:製品原価に一定の利益を付加する
  • 損益分岐点分析と目標利益価格設定:損益分岐点に達する、または目標利益率を達成するような価格を設定しようとする

知覚価値志向型価格設定

知覚価値志向型価格設定は、価格設定の重要なカギとして、販売者のコストではなく、購買者の知覚価値を活用します。
価格は、マーケティング計画ができる前に、他のマーケティング・ミックスと合わせて考慮されます。

価格設定は、顧客価値から決める

価格設定は、カスタマーバリュー(顧客価値)に基づいて決定する必要があります。
カスタマーバリュー(顧客価値)については、マーケティング用語集『カスタマーバリュー(顧客価値)と価格設定』をご覧ください。

競争志向型価格設定

消費者は競合他社が提示している類似製品の価格に基づいて、製品の価値を判断しています。
競争志向型価格設定の一つに「実勢型価格設定」があります。実勢型価格設定では、企業が自社のコストや需要よりも、競合他社の価格に重点を置いて価格を決定します。
「実勢型価格設定はきわめて、一般的な価格設定方法です。需要弾力性の測定が困難な場合、実勢価格は業界の英知を集結した成果であり、妥当な利益を生み出す価格であると考えられています。

価格戦略とSTP・4Pとの整合性

価格戦略(Price)は、以下の2つの整合性について注意して策定しましょう。



価格戦略とSTPの整合性に注意


価格戦略は、「STP:ターゲティング・ポジショニング」と整合している必要があります。

ターゲットによっては、高価格でも買ってくれるでしょうし、製品によっては価格が高い方がブランド価値が高いと認識してくれるかもしれません。 一方、いくら低価格でもターゲットセグメントが異なれば「安い」とは認識されません。もしかしたら、安かろう悪かろうと認識されて、今まで築き上げたブランド価値を毀損してしまうかもしれません。これは、「価格戦略の失敗」です。

ターゲットに合わせて、ターゲットが感じる価値に合わせた「価格戦略」を考えましょう。

価格戦略と他の4Pの整合性も注意

4Pは「マーケティングミックス」と呼ばれるように、単体ではなく、あくまで4つのPの組合せで決まります。
そのため、価格戦略(Price)は、他のPである、Product、Place、Promotionと整合性がとれている必要があります。

価格戦略と整合した4Pの例:高価格品

例:アップルウォッチ(Apple Watch)

  • Product:機能だけなく高級感のある質感
  • Place:少数のアップル直営店、百貨店のみで販売
  • Promotion:女性ファッション誌のVogueに広告掲載

価格戦略と整合した4Pの例:低価格品(コモディティ商品)

例:清涼飲料水

  • Product:配送や購入者が持ち運びしやすい、缶・ペットボトルのパッケージ
  • Place:入手がしやすい自動販売機やコンビニエンスストア
  • Promotion:短期間に大量の認知が得られるTVCM広告

価格戦略を学ぶ企業研修

「マーケティング研修基礎」は、1万人が受講したマーケティング基礎プログラムです。「マーケティング戦略基本プロセスの流れ」「論理的思考法」「顧客ニーズの本質」を学びます。単なる知識に終わらずマーケティングの実務応用に使える論理的マーケティング思考法を身につけます。「マーケティング戦略思考」を共通言語として組織浸透させるための社員集合研修として最適です。

お客様の声:東京電力エナジーパートナー様


冨山様

元々、商品開発室は多様性のあるメンバーなので、プロジェクトを進めるときに共通言語を持つことが狙いでした。
複数のプロジェクトが並行して動いているのですが、共通言語としてマーケティングのフレームワークを使うことが当然になってきていますね。半年間で、すでにサービスをローンチさせた人もいます。



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