大手コールセンター様|DX研修|研修の概要
- 期間:1日(7時間)×5日(閑散期の2か月間で実施)
- 対象:マネジャー、スーパーバイザー、DX担当など職場でDXを推進する立場にある方(手上げ式)
- 課題:DXについて必要性は理解しているが、具体的な行動に移せていない状況。概念的にDXに関する知識はあるものの、メンバーを率いてDXを進める必要がある。自分達で考え、プロジェクトを立ち上げられていないことが課題と考えた。
- 到達目標:自部門の業務におけるDXプロジェクトの立ち上げを想定し、予算獲得のためのプレゼン資料を作成する
- 進め方:インターバルを設け、合計5日間の研修プログラムを設計。研修当日はレクチャーとグループワーク演習で知識をインプットし、インターバル課題でご自身の考えをアウトプット、最終プレゼンに向けて企画を構想・資料作成に取り組みます。プレゼンは受講者が相互にFB、今後に向けて課題を認識します。今回はセンターが各地に分かれているため、Day4のプレゼン講義のみ研修効果の観点から対面で開催、他はオンラインで行いました。
大手コールセンター様|DX研修|導入の背景
この事例の大手コールセンター様は、親会社から方針としてDX推進が示されており、DX施策を展開する必要がありました。現場としても、人員減、働き方改革のため業務効率化は待ったなしとも言える状況で、DX推進は必至です。
一方で、受講対象者である現場リーダーは、日常業務が過密であることに加えて、業務改善提案や施策の組み立ての経験が乏しく、DXプロジェクトの企画・上程になかなか取り組めない状況にありました。
そのため、現場に業務改革・DX推進のスキルを有したリーダー層を増やす必要があるとお考えになり、この事例のDX研修の企画・実施に至りました。
大手コールセンター様|DX研修|研修設計のポイント
DX研修が最終的に目指すところは、自部門の業務改革プロジェクトを主体的にリードしDXを推進できる人材の育成です。左記の人材定義として経済産業省のデジタルスキル標準の人材類型の一つの型である「ビジネスアーキテクト」と置き、必要とされるスキルセットの認識合わせをプログラム設計の前に行いました。
この研修が開発・強化するスキルは、事業課題の理解、リーダーシップ、デジタルリテラシー、思考スキル、プロジェクトマネジメントの5つです。DX人材には、自部門の業務効率化のために何をすべきか課題を設定し、解決策を組み立て実施することが求められるからです。
研修は、2か月間、インターバルを挟んだ5日間で設計されています。研修では、DXの基礎知識の習得やプロジェクトマネジメントと問題解決の手法理解のための座学、自部門業務を題材にしたDXプロジェクト企画ワークショップを実施。研修と研修の間にも課題に取り組んで頂き、アクションラーニング形式でDXプロジェクトの企画から提案までの一連を体感しながら必要なスキルを身につけることを企図しています。
研修自体のゴールは、自部門業務のDXプロジェクトを企画設計し予算獲得のための提案資料を作成し発表することです。事前に研修内容を企画する中で、受講者の多くはプレゼン経験があまりなくプレゼンテーション力が弱いことが想定されたので、リーダーシップの強化ポイントとしてプレゼンテーションスキルを多く扱うこととしています。
大手コールセンター様|DX研修|カリキュラム
5日間の研修は、各日研修の開発対象のスキルテーマを置いて実施しました。Day1はリーダーシップとデジタルリテラシー、Day2は思考スキル、Day3はプロジェクトマネジメント、Day4はリーダーシップ(プレゼン)、Day5はリーダーシップと事業課題理解をテーマとして設計されています。
各回のテーマスキルを獲得・強化するために、研修は、変革リーダーシップ/マネジメントや問題解決、プロジェクトマネジメント、プレゼン資料作成に関する座学での知識・手法インプットの他に、DX事例研究やワークショップ、プレゼン発表&相互FBなどのワークショップで構成されています。
研修と研修のインターバルでは、自社課題に取り組みます。課題は、Day2事前課題:業務上解決すべき問題の定義、Day3事前課題:デジタルを使った解決策の企画、Day4事前課題:プロジェクトの計画作成、Day5事前課題:プレゼン資料の作成、というもので、最終プレゼンに向けて受講者自身の考えの言語化・可視化に取り組みます。

後藤匡史講師
実際に研修を進めてみると、これまで論理思考のトレーニング経験や主体的に考える機会が少なかったようで、想定以上にDay2の問題解決研修降に「これで合っているのか?」と自信を失い不安に陥った方が多かったようです。そのため、Day4に向けてのインターバルワークのテーマを「DXありきではなく現場のあるべき姿を考える目線で検討しても良い」と伝え、実際、2割の方はDX以外の観点でプロジェクトを企画していました。
研修を受講した感想としては、今までやってきたことが体系的に整理されててよかったという声が多く聞かれました。
なお、事務局の方が想定していた以上にDXについてのリテラシーが低かったことがわかりました。事務局としてはDXが進んでいる部門の事例共有などでどのような取り組みがされているかを理解してもらっていると考えていました。ところが、研修としてあらためて共有済みの事例を提示したところ、受講生は「見たことある」という反応で、取り組み内容は理解されていないことが明らかになりました。DX情報の社内共有や伝達に課題があることがわかりました。
当初、事務局が期待していた資格取得については興味は持った方もいらっしゃいましたが、普段の業務が忙しく時間を捻出できるかが今後の課題となりそうです。
大手コールセンター様|DX研修|カリキュラム概要
テーマ | 学習項目 |
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Day1 | |
リーダーシップと変革マネジメント |
・DXとは |
DX事例研究 | ・DXセレクションからの学び(浜松倉庫/ゑびや/コムデック) ・DXツール紹介(AI/RPA/ERP/CRM/MA/BI/CMS/オンラインストレージ/ビジネスチャット/Web会議システム/ノーコード・ローコード/AI OCR) 【演習】高度化・効率化・省人化を目的とした自社のDXを考えてみよう |
Day2 | |
問題解決スキル | ・問題解決プロセス ・問題の定義 ・問題点の発見 ・原因分析と重点課題 ・解決策立案 |
Day3 | |
課題共有 | ・DXプロジェクトの目的と手段の言語化 ・課題のグループ内共有&相互レビュー |
プロジェクト設計 | ・スケジューリング ・予算計画 |
プロジェクト運営 | ・モニタリング ・問題への対処 |
リスク管理 | ・リスクマネジメント ・対処すべきリスク 【演習】リスク対策を考える |
人のマネジメント | ・メンバー管理 ・ステークホルダー管理 |
プロジェクトの終結 | ・プロジェクトの閉じ方 ・振返りのフレームワーク |
自社課題ワークショップ | ・プロジェクトのWBSを作ろう |
Day4 | |
プレゼン技法 | ・プレゼンテーションの目的とプロセス ・コンセプト企画のフレームワーク 【演習】FAB分析 ・シナリオ設計の流れ 【演習】プスケルトンを作ろう 【演習】シナリオシート ・ドキュメントのポイント 【演習】プレゼン資料の作成 ・デリバリ |
プレゼン練習 | ・プロジェクト予算獲得のためのプレゼン・グループ相互レビュー |
Day5 | |
プレゼン | ・グループ内プレゼンと相互評価、代表者選出 ・代表プレゼン/質疑応答 |
振返り | ・研修全体の学び、今後の課題を言語化する (Keep/Problem/Tryによる検証) |