株式会社ぐるなび様(以下、ぐるなび)は、飲食店のインターネット検索サービス「ぐるなび」をはじめとして、飲食店の他、様々な食関連事業者に対して、データベースをフルに機能させた有益なサービスを提供する企業です。
今回「ぐるなびビジネスカレッジ」として、営業提案力をあげるために、ロジカルシンキングやマーケティング、プレゼンテーションなどの基礎スキル学習後、実在のお客様を分析して、飲食店オーナーに対して提案を行う「コンサルティング営業実践研修」を実施しました。
研修開催を主導した、加盟店営業部門 ぐるなび大学シニアリーダー野田貴志様に、シナプスの研修を開催した背景や実施後の感想などについてお伺いしました。
加盟店教育だけでなく、社内営業提案力の質をあげることが必要
「ぐるなび大学」加盟店が学ぶ場の提供
インタビュアー
「ぐるなび大学」「ぐるなびビジネスカレッジ」は、なぜ設立されたのでしょうか?また、その中で野田様の役割・業務をおしえてください。
野田様
「ぐるなび大学」発足のきっかけはぐるなび加盟店様が増えていくにつれて、「ぐるなびをもっと活用していきたい」「外食について教えて欲しい」という声が増えてきたことです。そこで、加盟店様が学ぶ場の提供として、「ぐるなび大学」が立ち上がりました。
「ぐるなびビジネスカレッジ」営業提案力をあげ、加盟店を商売繁盛させる
野田様
一方、社内向け教育は「ぐるなびビジネスカレッジ」と呼んでいます。ぐるなび創業当初は競合も少なく、営業からすると比較的楽に売れていく状況でした。しかし、クライアントに単に商品を提供するだけでなく、飲食店の販売をもっとサポートしていく必要がある。それには、営業自身が勉強しないといけない。飲食店の人に教えていくレベルになる必要がある。そこで、社内営業教育の場として、「ぐるなびビジネスカレッジ」が立ち上がりました。
私は、2014年からぐるなびビジネスカレッジを社内に広げる役割を担っています。ぐるなびビジネスカレッジ浸透に当たり、営業成績が上がらない営業を分析し、成果が出ている営業にインタビューを行いました。
そこで、わかったのは、営業成績が上がらない営業は、お客様飲食店の商売が繁盛するための営業提案ができていなかったことです。営業提案の質が低く、ぐるなびとクライアントの間に本当に長続きする関係が築けていないことがわかりました。そこで、シナプスさんと強力してマーケティング力、営業提案力を上げるための集合研修を企画しました。
ぐるなびビジネスカレッジ「コンサルティング営業実践研修」
コンサルティング営業実践研修とは
インタビュアー
ぐるなびビジネスカレッジでは、「ロジカルシンキング」「マーケティング」「ロジカルプレゼンテーション」などを学習したあとに、総合演習として「コンサルティング営業実践研修」を2日間かけて行っていらっしゃいます。まず、「コンサルティング営業実践研修」とは、どのような内容か教えてください。
野田様
「コンサルティング営業実践研修」は、「ロジカルシンキング研修」や「マーケティング研修」を受講したあとの総まとめ、総合演習の位置づけの研修です。実際の店舗オーナーに商売繁盛のための提案をします。
研修の進め方としては、グループワークで、実際の店舗オーナーのニーズ仮説を立てるところからはじまり、インタビューによってニーズ仮説を検証し、実際の店舗の問題点や課題をグループで抽出します。そして、「ぐるなびが持っているリソースで、どう解決策を提案できるか」を考え飲食店のオーナーに提案するという内容です。
野田様
1日目と2日目の間に1ヶ月程度のインターバル期間を設けた合計2日間のプログラムです。1日目でグループワークでお客様飲食店を分析して、2日目までにインタビューを実施して、その後グループワークで提案をまとめます。2日目はプレゼン提案本番です。実際の飲食店オーナー本人にきていただき、各グループがオーナーに対して、考えてきた課題と解決策提案をプレゼンします。
「コンサルティング営業実践研修」の効果
学習したマーケティング分析手法などを実際の飲食店現場に応用できた
インタビュアー
受講者は、「マーケティング」や「ロジカルシンキング」など、ビジネス基礎理論は学習しています。基礎理論に加えて、なぜさらに「コンサルティング営業実践研修」という営業実践研修が必要だったのでしょうか。
野田様
コンサルティング営業実践研修」を受講することによって「今まで『点』としてしかとらえらなかったビジネス基礎知識・ビジネススキルが、実践的な総合演習を通じて『線』としてつながった」という感覚があります。
それまでのビジネススキル研修で、マーケティング分析手法などを教えてもらい、その場その場では、理解し、できたつもりになっていました。しかし、実際の営業現場でビジネススキルを使おうとすると、まだ分析手法をうまく当てはめることができませんでした。
「実際に集めた情報を、どのように紐付けて論理的に解釈するか」「競合は、具体的にはどこにするか」など、問題点を抽出する際、マーケティングなどの分析手法を現実の課題に適用するのに、とても苦労しました。しかし、おかげで「3C分析」「SWOT分析」など基本的なマーケティングフレームワークを、実際の飲食店現場に応用できるようになりました。
メンバーが本気で取り組み、マーケティング腹落ち度もあがった
野田様
また、「研修に対して受講メンバーの気持ちが入る。本気で取り組める」というのは大きな違いの一つです。これまでの、レクチャーやインプットの場でも、受講メンバーは前向きに取り組んでいました。しかし、「コンサルティング営業実践研修」は、仮想の飲食店ではない、実在の店舗、実在のオーナーが相手です。「ひょっとしたら、自分たちの提案で、オーナーの人生が変わるかもしれない。」そう考えると、これまでの研修以上に、真剣勝負でグループワークの提案アウトプット作成に取り組むことができました。
また、真剣勝負の提案内容に、家弓講師の第三者視点からのフィードバックで、自分たちの提案の考えが浅かったり抜け漏れなどがあることに気づきました。また、現実の課題で、マーケティングフレームワークを使った整理のお手本をみせてもらい、マーケティングフレームワークによる整理の方法の腹落ち感も高まりました。
真剣勝負ならではの、強烈な悔しさと反省
インタビュアー
オーナーへの提案で特に印象に残った点はありますか。
野田様
提案に対しオーナーからフィードバックをもらいましたが、あまりうまくいかなかったことですね。我々の提案はオーナーの気持ちを揺さぶることができなかった。お客様の意識改革を促す提案ではなかった。これは、非常に悔しかったですね。
まだまだ分析の深掘りが足りなかったと深く反省しました。この悔しさと反省は、リアルなお客様提案だったから、ここまで深く心に残ったのだと思います。
また、やはり提案相手は飲食のプロですから、こちらの分析や提案がにわか知識を元にしていると、すぐ見透かされます。そして、提案に対して実現可否のジャッジがすぐでてくる。非常に現場感、緊張感のある研修内容でした。
なぜ「コンサルティング営業実践研修」が必要だったか
クライアント飲食店が長く繁栄。「食を日本の文化として発信する」
インタビュアー
「コンサルティング営業実践研修」で得られるものが、「今なぜぐるなびにとって必要か」ぐるなびという企業全社の視点から教えてください。
野田様
ぐるなびの商材は、基本はインターネットを使った販促商品です。以前は、商材自体が非常に強い時期がありました。大体2000年~2010年ですね。当時は、商品の力が強く、楽に営業ができた時代です。
今では、ぐるなびの競合もたくさんあります。その中で、ぐるなびは「クライアント飲食店が理想の経営を長くできている状態を作りたい」ここにフォーカスをあてていきたいと思っています。究極的には、「食を日本の文化として発信」していきたいのですね。
そう考えたとき、自社の商品スペックだけ知っている営業担当では、クライアントの飲食店にとって、もの足りなくなります。営業に求められるのは、「クライアントの情報を整理し、課題を分析して、解決策提案をアウトプットする。」また、「その解決策をどうやって具体的なアクションに落とし込むかまでクライアントをサポートする」必要があります。
ぐるなびの営業はクライアントの繁盛を担っていく必要があります。ぐるなびがサポートすることにより、クライアント飲食店が長期的に繁栄し、ぐるなびとクライアントの長期的な関係を作っていきたい。そうなると、営業に求められるレベルがあがってきます。つまり、単なるモノ売りではなく、コンサルティング営業、営業提案力が必要になってくるのです。
「コンサルティング営業実践研修」受講者への期待
インタビュアー
2017年度もぐるなびビジネスカレッジを開催し、「コンサルティング営業実践研修」を行うと伺っています。今回の受講生に期待することはなんでしょうか?どのようなことを身につけ、どのようにぐるなびで発揮して欲しいですか?
野田様
今年度は、営業最前線のメンバーに受講生として参加してもらう予定です。いかに自分自身の営業業務の最適化やレベルアップにつながるか、ということを期待しています。営業担当が、日常業務でやっていることだけでは、満点ではない。どんなことを営業活動で行っていけば、点数があがるか実感してほしい。
コンサルティング営業実践研修で、営業知識・スキルを点から線につなげ、論理的に整合性を持った提案力を自分の血肉として身につけてほしい、と思います。その結果、今後の営業実務の中で具体的なコンサルティング営業提案をおこない成果を残して欲しいですね。
シナプスの研修は「腹落ち感」が他社と違った
シナプスの研修は「腹落ち感」が他社と違った
インタビュアー
「コンサルティング営業実践研修」でのシナプスの評価について教えてください。シナプスの研修対応に、どのような感想を持ちましたか?
野田様
これまで、あまり、マーケティングの講座受講経験がなく、比較対象がなかったのですが、「単純に面白い」と思いました。
また、その後、いくつかシナプスさん以外のマーケティング研修をいくつか受ける機会がありました。その中で、シナプスさんのマーケティング研修は、一番腹落ち感がありました。研修後の腹落ち感が他社と違いました。
インタラクティブなレクチャーでインプットする。レクチャーに演習があって、自分たちで考えアウトプットする。そして、アウトプットに対してディスカッションや講師からのフィードバックがある。このサイクルが、うまく設計されているのと講師のスキルの高さから、深い腹落ち感に繋がったんだと思います。私は、社内で講師をすることもあるのですが、講師スキルとしても学びがありました。
シナプスの研修内容はぐるなびに合わせたカスタマイズなど工夫を感じる
野田様
また、シナプスさんには、ぐるなび向けに研修内容をカスタマイズしてもらっています。演習内容を標準のものから、飲食店向けに入れ替えたり、工夫をしてもらっているのを感じます。
今後は、営業社員教育だけでなく、インストラクター育成にも協力してほしい
インタビュアー
ぐるなび大学について、今後シナプスに期待することがあれば、教えてください。
野田様
今回は営業向けの研修でしたが、今後は飲食店向けに開催している「ぐるなび大学の講師の質を上げる」ことにも協力いただきたいと思います。
「ぐるなび大学」で教えている社員講師は、いわゆる学校授業のような一方的なレクチャーのみの授業を行っています。そのため、社内インストラクターを育成できるような仕組みや、講義コンテンツのバージョンアップが必要だと思っています。
シナプスさんには、大変期待しており、今後とも末永くよろしくお願いします。