ニーズとは何か。ニーズとウォンツの違い

マーケティングで、最も重要な概念の一つが顧客ニーズです。 ニーズとは、人々が生活したり、仕事をしたりする上で感じる「現状」の様々な不満や欠乏が、「理想的な状態」と比較したときのギャップです。人々は現状にの「理想と現実」にはギャップがあります。「本質的ニーズ」とは、このギャップを解消したい「欲求」です。

また、ニーズとセットで使われる言葉としてウォンツがあります。ニーズとは何か?そして、特に区別が難しい「ニーズとウォンツの違い」と「ニーズとウォンツのを理解することの意味」を解説します。

ニーズとは「目的」


ニーズとウォンツの関係


ニーズとウォンツとは「目的と手段」の関係と考えるとわかりやすいです。 一般に、顧客から最初にでる言葉は、「○○が欲しい」という場合が多いでしょう。 「ミネラルウォーターが欲しい」「パソコンが欲しい」「コートが欲しい」。これらの言葉は、多くの場合は、ウォンツ=手段です。すぐに意識しやすい手段・ウォンツを発言し、目的=ニーズは、言葉にしていないことが多いでしょう。

たとえば、「ミネラルウォーターが欲しい」はウォンツ=手段です。ニーズ=目的は「のどが渇いているので、冷たい水でのどを潤したい」などでしょう。

  • ニーズとは「目的」
  • ウォンツとは「手段」


具体例で考えるニーズとウォンツの違い-本質的ニーズとは何か


ニーズ「家事の時間を節約したい」


ニーズについて、具体例で考えます。「食器洗い機を購入したい」と言っている顧客がいたとします。

現在、あなたはすべての食器や調理器具を手洗いしなければなりません。しかし、家事や子育てが忙しいため、こまめに洗い物ができない状況が起こっています。そこで、食器洗い機があれば、楽にキッチンをきれいにできると考えました。

この時のあなたが抱える「ニーズ」は、食器洗い機そのものでしょうか。最終的に目指していることは、楽にキッチンをきれいにすることかもしれないし、さらに浮いた時間を自分の趣味に使えることかもしれません。

この場合は、「家事の時間を節約したいが本質的なニーズ」であると言えそうです。たとえば、「家事の時間を節約してごろごろしたい」と思っているかもしれません。

「食器洗い機が欲しい」はニーズではなくウォンツ

「目的」である本質ニーズ(家事の時間を節約したい)と区別するために、「ウォンツ」という言葉を使います。

ウォンツとは、本質的ニーズを満たすための具体的な手段への欲求です。

この場合、「家事の時間を節約したい」というニーズを満たす手段として「食器洗い機が欲しい」というウォンツが生まれます。

  • ウォンツ:食器洗い機が欲しい
  • ニーズ:家事の時間を節約したい



本質ニーズとウォンツの違いを見極める意味


このように、手段であるウォンツから、目的である本質的なニーズが発見できます。すると、「食器洗い機」の他の手段、たとえば「家政婦」や「使い捨て食器」もウォンツの候補となりそうです。
つまり、「顧客の本質的ニーズとは何か」を突き詰めることで、他のオプション手段が検討できます。



本質ニーズを見極めるには、常に顧客の理想と現実(AsIsとToBe)を把握し、そこに生じる「本質的ニーズ」を見極めます。そして、本質的ニーズを解決する最適手段「ベストソリューション」の製品やサービスを提供することで、競合に勝てるのです。

ウォンツからニーズを把握する方法

ウォンツ=手段が欲しい理由を質問



顧客の言葉は、大抵「ウォンツ(手段)」です。ニーズ理解には、こちらから掘り下げが必要です。最初のウォンツから欲しい理由を質問し、ニーズを把握します。

  1. 顧客「ミネラルウォーターが飲みたいです。」(ウォンツ)
  2. あなた「なぜミネラルウォーターが飲みたいのですか?」(ウォンツについて質問)
  3. 顧客「のどの渇きをいやしたいからです。」(ニーズ)

ウォンツに質問を重ねニーズ掘り下げ

ミネラルウォーターは、1回の質問でニーズを掘り下げた例でした。

1度ではなく、何度も質問しニーズを掘り下げ、より本質的なニーズを把握することもできます。「ソファ」を事例として、ニーズを掘り下げます。

  1. 顧客「このソファが欲しいです。」(ウォンツ=ソファが欲しい)
  2. あなた「このソファがあると、あなたにはどんなよいことがあるのですか?」
  3. 顧客「このソファを自宅のリビングに置きたいんです」(最初のニーズ→ウォンツ=リビングにソファを置きたい)
  4. あなた「なぜこのソファを、自宅のリビングに置きたいんですか」
  5. 顧客「このソファはすごくふかふかで気持ちよさそうなので、休日にソファでゆっくり休みたいのです。」(一段掘り下げたニーズ→ウォンツ=休日にソファでゆっくり休みたい)
  6. あなた「なぜソファで、ゆっくり休みたいんですか」
  7. 顧客「平日はいつも忙しいので、休日にリラックスした自分の時間をもちたいんです」(もう一段掘り下げたニーズ)

この顧客の最初の言葉は「ソファが欲しい」です。しかし、質問を重ねると、「休日にリラックスしたい」という、より本質的なニーズを発見できました。

ニーズを掘り下げることで提案の選択肢が広がる

ソファが欲しい」というウォンツから「休日にリラックスしたい」というニーズまで掘り下げると、他にも新たな解決手段が考えられます。たとえば、「アロマテラピーセット」「リラックスしやすい間接照明」、あるいは「ペットを飼うこと」が、ベストな手段かもしれません。

ニーズを掘り下げることで、最初の顧客の言葉だけでは思いつかなかった解決策が発見できます。

つまり、ウォンツからニーズを掘り下げることで、お客様への提案選択肢が広がり、競合優位性のある提案ができる可能性が高まります。




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