キャズム理論とは-ハイテクマーケティングの定番

「キャズム理論」とは、導入期で成功した製品が、成長期において様々な制約条件に負けて溝(キャズム)に落ちで消えていくという現象を捉え、キャズムを乗り越えるためのマーケティングアプローチを示した理論です。著書「キャズム」(原題 Crossing the Chasm)の中で、「ジェフリー・ムーア」が提唱しています。

なお、キャズム理論は、主に製品の技術進化の激しい「ハイテクマーケティング」で適用できる理論です。


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キャズムとはイノベーション普及の溝


キャズム理論の大前提:イノベーター理論



キャズム理論の前提となるのがイノベーター理論です。イノベーター理論とは、「エベレット・M・ロジャース」によって提唱された、新商品や新サービスの市場浸透に関する理論です。

ロジャースは、著書「イノベーションの普及」の中で、「イノベーション=新しい概念・モノ」がどのように伝搬していくか(普及していくか)について実証的な研究に基づき、共通するイノベーションの普及パターンを解説しています。

イノベーター理論の5分類

  1. イノベーター(Innovators:革新者、革新的採用者)
  2. アーリーアダプター(Early Adopters:初期採用者、初期少数採用者)
  3. アーリーマジョリティ(Early Majority:前期追随者、初期少数採用者)
  4. レイトマジョリティ(Late Majority:後期追随者、後期多数採用者)
  5. ラガード(Laggards:採用遅滞者、伝統主義者)

キャズム理論は、イノベーション普及のボトルネックを指摘した


  • イノベーター
  • アーリーアダプター
  • アーリーマジョリティ
  • レイトマジョリティ
  • ラガード

イノベーション理論では、上記の5つの段階でイノベーションが普及します。この5つの顧客群は、それぞれ、特有の思考・傾向を持っています。いいかえれば、「異なる顧客ニーズを持っています。」

この5段階の中で「アーリーアダプター」から「アーリーマジョリティ」に進む上でのハードルが最も高い(キャズム)とされています。

「キャズム理論」は、この大きな溝=キャズムを超えるための方法論をまとめたものです。


キャズム理論における各市場の特徴

キャズム理論における、イノベーター理論の別名

キャズム理論別名「テクノロジーマニア」イノベーター

テクノロジーマニアは、新しいテクノロジーを習得することに強い関心をもち、技術に対する造詣も深い人たちです。新製品を真っ先に手に入れようとします。
新しいテクノロジーの普及における最初の橋頭堡となるカテゴリーの人・企業です。

キャズム理論別名「ビジョナリー」アーリーアダプター

ビジョナリーは、新たなテクノロジーをいち早く採用する人であり、新しいテクノロジーが自社の企業戦略に合っているかどうかを洞察し、自らのリスクでプロジェクト化・現実化してそのテクノロジーを使用します。

技術に対する造詣もあり、イノベーターよりも現実的ですが、新しいテクノロジーを使ったブレークスルーを求める傾向があります。

ビジョナリーは、先進的でリスクを取ることができ、単なる改善ではなくブレークスルーを求める顧客グループです。イノベーターがテクノロジーマニアであることに対し、ビジョナリーであるアーリーアダプターは、このイノベーションの導入によりどんな夢が実現できるかを考えます。

また、ビジョナリーの特徴として、「先進事例として紹介されることを好むこと」「価格に対して他の顧客グループに対して寛容であること」があげられます。

キャズム理論別名「実利主義者」アーリーマジョリティ

ビジョナリーが、新しいテクノロジーを使って飛躍的な進歩を期待するのに対し、実利主義者は,着実な、成果測定のできる進歩を求めます。

また他の人間がどのように新しいテクノロジーを使用しているのかを知りたがります。同種の集団の中での情報交換をすることが多く、(新しいテクノロジーに対する)先行事例と(その提供者との)信頼関係が重要です。マーケットリーダーの製品・サービスを購入します。また、提供者同士を競争させたがる傾向があります。

ムーアによる各カテゴリーの属性は、ロジャースのものをベースとした上で、よりハイテク製品・サービスに合わせた形で具体化をしています。そしてビジョナリー(アーリーアダプターと実利主義者(アーリー・マジョリティー)の差異がはっきりとわかる形になっている点が特徴です。

キャズム理論別名「保守派」レイトマジョリティ

保守派は、本質的に非連続なイノベーションを受け入れない人たちです。進歩よりこれまでの慣習を重んじ、自分たちに役に立つ物があれば、それをずっと使い続けます。

キャズム理論別名「懐疑派」ラガード

懐疑派は、通常ハイテクマーケティング市場に参加してこない人たちです。
懐疑派の人たちは、「不連続なイノベーションが、自分達の期待に応えてくれることは少なく、往々にして予期せぬ結果になる」と考えています。


キャズム=アーリーアダプターを超える戦略

ボーリングレーン

実利主義者=アリーマジョリティをボーリングのピンにたとえています。市場を細分化して、まず1番ピンに相当する市場を攻略し圧倒的シェアを獲得する。その後、隣のセグメントに波及していくという戦略です。



キャズムを超える製品戦略:ホールプロダクト


キャズムを超えるには「ホールプロダクト」が必要と言われています。

マーケティング理論の体系的理解をする企業研修

「マーケティング研修基礎」は、1万人が受講したマーケティング基礎プログラムです。「マーケティング戦略基本プロセスの流れ」「論理的思考法」「顧客ニーズの本質」を学びます。単なる知識に終わらずマーケティングの実務応用に使える論理的マーケティング思考法を身につけます。「マーケティング戦略思考」を共通言語として組織浸透させるための社員集合研修として最適です。

お客様の声:東京電力エナジーパートナー様


冨山様

元々、商品開発室は多様性のあるメンバーなので、プロジェクトを進めるときに共通言語を持つことが狙いでした。
複数のプロジェクトが並行して動いているのですが、共通言語としてマーケティングのフレームワークを使うことが当然になってきていますね。半年間で、すでにサービスをローンチさせた人もいます。



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