FABE分析(プレゼンコンセプトフレームワーク)

FABE分析は、提案のコンセプトや訴求方法の分析に使えるフレームワークです。
FABEとは、Feature、Advantage、Benefit、Evidenceの頭文字をとったもので、FABE分析を行うことで、シンプルにプレゼンテーションのコンセプトが整理できます。

FABE分析とは

  • Feature (特徴):本提案の特徴、概要説明
  • Advantage (優位性):優位性
  • Benefit (顧客便益):顧客の得られるメリット
  • Evidence(証拠):提案を裏付けるデータ、実績等

Evidenceを抜かして、FAB分析(ファブ分析)ということもあります。

Feature (特徴):FABE分析の「F」

FABE分析のF、Feature は、提案や商品の特徴、概要説明です。「提案の概要を一言でいうとどうなるのか」を考えましょう。長々と説明が必要な特徴では、相手に伝わりません。

Advantage (優位性):FABE分析の「A」

FABE分析のA、Advantageは、競合(商品)に対する優位性です。「競合に対する」ですから競合を具体的にする必要があります。

例えば、マクドナルドの競合は、モスバーガーなのか吉野家なのか、はたまたコンビニ弁当なのか。何を競合とするかによって、訴求ポイントやその表現は変わってくるはずです。

Benefit (ベネフィット、顧客便益):FABE分析の「B」

FABE分析のB、Benefitは、顧客の得られるメリットです。ベネフィットは、提案においてFABEの中で最も抜けがちなポイントです。
例えば、「世界最小」これは顧客のメリットではありません。世界最小だと、顧客は何がうれいしいのでしょうか。「ズボンのポケットに入ります」であればどうでしょう。これは顧客便益を表現していそうです。
「ズボンのポケットに入る」というのは、スティーブ・ジョブズのiPod発売のプレゼンテーションで有名です。
また、顧客価値を数値化、定量化すると伝わりやすくなります。

Benefitの数値化、定量化の例

「速いパソコン」という例で考えてみます。

  • 世界最高性能のハードディスク搭載(顧客便益ではない、数値化なし)
  • ハードディスク性能は従来比3倍の性能(数値化しているが、顧客便益ではない)
  • Windowsが5秒で立ち上がります(顧客便益を数値化して表している)

特に、法人向け商品、BtoB向け商品の場合はベネフィットを数値化しましょう。法人企業の意思決定は、経済合理性を重視します。経済合理性は、数字で判断されるものです。
例えば、「商品Aを導入することによって、●●の効率が●%上がる。それにより、売上が●万円上がる」というように、お客様の売上増加やコスト削減効果を数値で示しましょう。

Evidence(証拠):FABE分析の「E」

FABE分析のE、Evidenceは、裏付けデータ、実績などのAdvantageやBenefitを根拠づける情報、「証拠」です。
例えば、「大学教授の推薦(権威者の評価)」「科学的な実験データ」などは証拠となり得るでしょう。

消費財(BtoC)で用いられるEvidence

消費財(BtoC)であれば、体験談などはよく用いられる証拠(Evidence)です。例えば、電車の中で「私は3ヶ月で20Kgやせました」という広告はよく見かけますね。
代表例としては、完全個室型スポーツジムのライザップ(RIZAP)などが上げられるでしょう。

法人向け商品(BtoB)で用いられるEvidence

法人向け(BtoB)では、顧客企業の製品導入事例などは代表的なEvidenceとして使われます。

特に、化粧品や食品のように、サンプル提供、トライアル(お試し)の難易度の高いBtoB商材では、製品導入事例は、わかり易いEvidenceです。

加えて、法人取引の窓口担当者、稟議作成担当者には、「リスク回避志向」も働きますので、信頼度を上げるのにも重要です。(「あの企業も使っているので安心」)


提案活動におけるFABE分析の使い方

FABE分析は、提案に使えるシンプルで有用なフレームワークなのですが、いつ使えばよいのでしょうか。FABE分析を使うタイミングの基本は、「提案内容(ソリューション)ができたあと」、「提案書(プレゼン資料)を作成する前」です。

※なお、ここで「ソリューション」とは、解決策全般です。法人営業であれば、製品の組合せやカスタマイズ提案かもしれませんし、消費財では、1つの「商品」のこともあります。

提案内容(解決策)ができたあとのFABE分析

ソリューション営業、ソリューション提案の基本プロセスは、大きく次の4ステップです。

1.ニーズ把握 2.問題の分析 3.ソリューションの構築(問題解決策作成) 4.提案

ソリューション、問題解決策を作ったあとが、提案コンセプトを訴求するための「FABE分析」を行うタイミングです。
FABE分析で整理してまとめるのは、「ソリューション構築後」、もちろん提案時に、FABE分析のAdvantage(優位性)やBenefit(顧客便益)がいえるような解決策(ソリューション)を考えておく必要があります。

プレゼン資料作成のはじめにFABE分析

「ソリューション/解決策」ができたあと、プレゼンテーション準備の初期段階で行うとよいのが、FABE分析です。 FABE分析は、提案骨子、提案コンセプトを決めるフレームワークとして使えます。FABE分析で、提案コンセプトを決め、具体的なストーリー、プレゼン資料に落としていきます。

「プレゼン資料を作ってからFABE分析をする(提案コンセプトを考える)」という順番でないことに注意してください。なお、FABE分析はプレゼンテーション準備の初期段階で行うのが基本ですが、プレゼン前にFABE分析のフレームワークに基づいて、「FABEが相手に伝わる記載方法になっているか。」と考え、チェックツールとしても使えます。

FABE分析の提案活用例

「ロジカル・プレゼンテーション研修」のFABE分析例

シナプスの「ロジカル・プレゼンテーション研修」を例としてFABE分析で、提案コンセプトを整理します。

Feature (特徴):FABE分析のF

  • あえてパソコンを使わず手書きで学ぶプレゼンテーション研修です。プレゼンテーションの勝負は、パワーポイント資料作成前にすでに決定しています。あえてパソコンを使わないことで、コンセプト、ストーリー作成など本質的なプレゼン力強化に集中できます。

Advantage (優位性):FABE分析のA

「仮想的な課題ではなく、リアルな自社の持込テーマをプレゼンの研修題材に使えます。また、ワールドビジネスサテライトにも出演したプレゼンの達人が講師を担当します。」

Benefit (ベネフィット、顧客便益):FABE分析のB

  • 受講者は、リアルな課題でプレゼンプロセスを体験することにより受講者の腹落ち感が高まります。
  • また、集合研修により、組織内で共通言語ができ、よりスムーズにプレゼンテーションの準備ができます。

Evidence(証拠):FABE分析のE

  • プレゼンテーション研修の事例があります。具体的には、『広告代理店Webプロデューサー向けプレゼン研修』『建築設計会社のコンペプレゼン研修』などに採用いただいています。
  • リアルなテーマのプレゼンテーション事例が、たくさんあります。『広告代理店からの自動車会社A社向け新車販売キャンペーンのコンペ提案』『食品卸会社の商品展示会(内覧会)での事業方針発表プレゼンテーション』『自動車部品会社向けの自社製品B紹介プレゼンテーション』などです。
  • 主任講師の家弓正彦は、プレゼン本著者でもあり、ワールドビジネスサテライトでもビジネスプレゼンのプロとして紹介されています。また、年間100回を超える講師登壇実績があり、「講師のプレゼンテーション自体を見本として学ぶことができた。」との声をいただいています。

プレゼンテーション構成作成プロセスとFABE分析

プレゼンテーションのステップは下記の4つのプロセスで作業していきます。このうちはじめの「コンセプト立案」で使うフレームワークがFABE分析です。
FABE分析で作った提案コンセプトを「シナリオ」→「ドキュメント」と順番に落とし込んでいきます。



  1. コンセプト
  2. シナリオ
  3. ドキュメント
  4. デリバリ(狭義のプレゼン)

FABE分析を活用しプレゼン資料を作る企業研修

「ロジカルプレゼンテーション研修」では、自社課題のリアルなプレゼン研修テーマで、プレゼンテーション作成の4ステップを実践します。
ロジカルプレゼンテーション研修では、付箋やA4用紙など紙を使った手書き紙芝居形式で、プレゼンテーション構成作成ワークを行います。あえてPCを使わないことで、刺さる提案コンセプト・説得力ある提案ストーリーを持ったプレゼン資料構成作業に集中できます。



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