営業活動の成功は、企業の成長と競争力確保にとって不可欠です。しかし、ただ単に多くの営業活動を行うだけでは、効果的な成果を上げることは難しいものです。営業の重要性を最大限に引き出し、成果を最大化するためには、戦略的なアプローチが必要です。それが「営業戦略」です。
営業戦略とは、企業が目標達成や競争優位性を獲得するために立てる計画やアプローチのことです。営業戦略は営業活動の方向性を示し、成果を最大化するための枠組みを提供します。適切な営業戦略を構築し、実践することで、ターゲット顧客の獲得や売上の増加、競争力の向上などを実現することができます。
本記事では、営業戦略の概要や目的、重要性について解説し、また、営業戦略の構築や実装、マネジメントのポイントについても具体的にご紹介します。営業戦略を効果的に活用するための手法やベストプラクティスを学び、成果を最大化するためのポイントを押さえましょう。
営業戦略を策定し、効果的に活用することで、企業の営業活動は大きな飛躍を遂げることができます。さあ、営業戦略の世界に飛び込んでみましょう。
営業戦略とは何か?営業戦術との違い
営業戦略は企業の成長と競争力を高めるために重要な要素です。この章では、営業戦略とは何か、なぜ営業戦略が必要なのかについて解説します。また、営業戦略において意思決定すべきポイントも明確にします。
営業戦略とは何か
営業戦略は、企業が目標達成や競争優位性を獲得するために立てる計画やアプローチです。営業活動の方向性を示し、成果を最大化するための枠組みを提供します。営業戦略は、市場環境や競合他社との差別化を図りながら、顧客との関係構築を通じてビジネスを拡大するための手段となります。
営業戦略の目的
営業戦略の目的は、企業の成長を促進し、競争力を高めることです。営業戦略は、市場での地位を確立し、収益を最大化するために重要な役割を果たします。また、営業戦略は持続的な成長を実現するための道筋を提供し、組織の目標達成に向けた方向性を示します。
営業戦略の重要性:営業戦略がなぜ必要なのか?
営業戦略は、企業にとって重要な要素となります。営業戦略の適切な策定と実行は、効率的なリソース活用や競争力の獲得、顧客との関係構築、市場の変化への対応など、企業の成長と成功に直結します。営業戦略は、ビジネス環境の変化や競合他社の存在に対応するための道筋を提供し、持続的な成長を実現するための基盤を構築します。
営業戦略と営業戦術の違い
営業戦略は中長期的な目線で営業活動を計画するための戦略的なアプローチです。営業戦略は、営業の目標設定やターゲット顧客の選定、営業プロセスの設計など、大局的な方針を決定する役割を担います。
一方で、営業戦術は具体的な営業活動や手法を指します。営業戦略の実行に向けた具体的なアクションプランや手段です。営業戦術は、顧客へのアプローチ方法、営業プレゼンテーションのスタイル、価格戦略の選択など、営業活動の日常的な実施方法に関連します。営業戦術は、営業の成果を最大化し、目標に向かって進むための具体的な手段を提供します。
営業戦略と営業戦術、営業テクニックの違い
営業戦略と営業戦術の違いと同じように、個々の営業が持つ営業テクニックも異なるレイヤーです。コミュニケーション力や交渉技法、提案のためのテクニック等、営業担当者が顧客との関係性を気づき、成果を上げるための具体的な手法です。概して、営業テクニックは営業戦術の一部とされます。
営業テクニックは重要で多くの営業パーソンの関心事の高いものではありますが、営業戦略や営業戦術の失敗をテクニックでカバーすることは難しいものです。テクニック論に終始せず、まずは営業戦略を組み立てたいものです。
営業戦略で意思決定すべきこと
営業戦略の構築においては、2つの重要な要素、すなわちターゲット顧客と自社訴求ポイントについて意思決定を行う必要があります。以下では、営業戦略で考慮すべきポイントについて説明します。
営業戦略構築の前提条件
営業戦略を構築する上で、営業目標を明確に把握することが重要です。営業目標は企業の戦略的目標や売上目標と連動し、営業活動の方向性を決定します。営業目標は具体的かつ計画的に設定されるべきであり、それに基づいて営業戦略を策定します。
例えば、売上を+1億円にするなら、+1億円売り上げられるだけのターゲット顧客を設定する必要があるでしょう。また、利益率を伸ばすなら、高利益商品を重点的に販売する必要があるでしょう。戦略は目標達成のための方針であり、営業戦略とは営業目標を達成するための目的であるはずです。
営業戦略で意思決定すべきこと①:ターゲット設定
営業戦略では、ターゲットとなる顧客を明確に設定することが重要です。ターゲット設定には、市場のセグメントを分析し、顧客のニーズや要求を理解することが含まれます。ターゲット顧客を明確に定義することで、営業活動の効果を最大化し、リソースを適切に活用することができます。
営業戦略で意思決定すべきこと②:自社訴求ポイント
自社の訴求点とは、顧客に対して自社の商品やサービスがどのような価値や利益をもたらすかを示すポイントです。営業戦略では、自社の訴求点を明確にすることが重要です。自社の独自性や競合との差別化ポイントを把握し、それを顧客に対して明確に伝えるためのメッセージやアプローチを構築します。自社の訴求点を明確にすることで、顧客の関心を引きつけ、競争力を高めることができます。
これらのポイントを押さえつつ、営業戦略の本質や重要性を理解し、次の章で営業戦略の構築方法について探っていきます。
営業戦略の構築方法と分析フレームワーク
営業戦略の構築においては、様々な分析フレームワークが利用できます。
その中でも3C分析は基本的なフレームワークでもあり、使い勝手も良いので、3つの「C」、Customer:市場・顧客、Competitor:競合、Company:自社の観点で分析することがポイントです。
営業戦略の構築方法は、市場や顧客の分析を通じて情報を収集し、自社の強みを最大限に活かすための戦略を策定するプロセスです。この章では、営業戦略を具体的に構築するための手法やポイントを紹介します。
Customer(ⅰ):市場分析
市場分析は営業戦略の構築において欠かせないステップです。市場をセグメントに細分化し、どのセグメントが成長しているのか、自社の営業攻略のチャンスがどこにあるのかを明確にするために行われます。
市場分析では、以下の項目を調査・分析します。
マクロ環境の把握:PEST分析
市場全体の動きを捉えるためにマクロ環境の動きを確認します。すなわち、P:Political:政治・規制、E:Economical:経済、S:Social:社会、T:Technological:技術、の観点で大きな市場の動向を押さえます。マクロ環境の変化は中長期的なトレンドを示すので、以下のマーケットの成長性や市場のトレンド、顧客ニーズに影響を与えます。
マーケットの規模と成長性
市場全体の規模や成長率を把握することで、自社がどれほどのポテンシャルを持っているのかを把握します。市場の成長が見込まれるセグメントやニーズの高い領域に注力することで、成果を最大化することができます。
また、市場が成長する要因やトリガーを調査しましょう。技術の進歩、法制度の変更、市場のニーズの変化などが市場の成長を促している場合もあります。これらの要因を把握することで、将来の市場動向を予測し、営業戦略に反映させることができます。
マーケットセグメントの特性
各セグメントの特性を詳しく分析しましょう。セグメントごとの顧客のニーズや行動パターン、購買意欲などを把握することで、ターゲット顧客に対するアプローチ方法を構築することができます。
競合プレイヤーと競争状況
市場に存在する競合他社の分析も重要です。競合他社の強みや弱点、提供する製品やサービス、価格戦略などを調査し、自社の競争力を把握します。競合分析を通じて、差別化ポイントや競争優位性を見つけ出し、営業戦略に反映させることが重要です。
また、競合他社だけでなく、市場全体の競争状況を把握しましょう。市場の特徴や進出障壁、代替製品やサービスの存在などを考慮し、自社の競争優位性を見極めることが重要です。競合分析については詳細を後述します。
市場トレンドと顧客のニーズ
市場のトレンドや顧客のニーズを把握することも重要な要素です。市場がどのように変化しているのか、顧客が求めている価値や解決すべき課題は何かを理解することで、自社の営業戦略を適切に立てることができます。市場の変化に敏感であり、顧客のニーズに合わせたアプローチを行うことが求められます。
市場分析は営業戦略の基盤となる重要なプロセスです。適切な市場分析を行い、セグメントの特性や競争状況を把握することで、自社の営業攻略のチャンスを見逃さず、成果を最大化することができます。市場の細部まで注意深く分析し、洞察を得ることが重要です。
Customer(ⅱ):顧客分析
顧客分析は、ターゲット顧客層を理解し、彼らのニーズや行動を把握するための重要なプロセスです。以下に、顧客分析で把握すべき項目を詳しく記載します。
顧客のニーズと要求
顧客が抱えるニーズや問題、目標を明確に理解しましょう。彼らが何を求めているのか、どのような価値を重視しているのかを把握することで、営業活動や製品・サービスのカスタマイズにつなげることができます。
ニーズを把握するうえでは顧客が抱える課題やペインを明確に把握しましょう。彼らが直面している問題や障壁を理解することで、製品やサービスがどのように役立つのかを示すことができます。
意思決定プロセス・購買プロセス
顧客が製品やサービスを選択する際の意思決定プロセスや購買プロセスを分析しましょう。情報収集の方法や意思決定に関与する関係者、購買意思決定のタイミングなどを把握することで、営業戦略を適切に展開することができます。
その際、顧客の行動パターンを分析しましょう。購買頻度、購買傾向、使用頻度、利用プラットフォームなどの情報を収集することで、顧客の行動に基づいた戦略を立てることができます。
顧客の予算状況
顧客が製品やサービスにどれだけの予算を割り当てることができるのかを把握しましょう。予算制約や資金調達の方法によって、価格設定や提案内容を調整することができます。
購買動機と価値観
顧客が製品やサービスを購入する動機や彼らの価値観を理解しましょう。製品やサービスがどのような価値を提供することで、顧客の目標や価値観に合致するのかを明確にすることが重要です。
顧客の満足度とロイヤルティ
顧客の満足度やロイヤルティを評価しましょう。過去の取引やフィードバックを分析することで、顧客の重要な要素や改善点を把握することができます。満足度向上や長期的な関係構築に取り組むためには、顧客の声を重視する必要があります。
顧客のデモグラフィック情報
顧客の基本的な情報を把握しましょう。企業規模、所在地、業種・業界、意思決定者等のデモグラフィック情報は、ターゲット顧客層の特徴を理解する上で役立ちます。
顧客の購買意図と購買要因
顧客が製品やサービスを購入する意図や要因を調査しましょう。価格、品質、信頼性、ブランドイメージなど、購買に影響を与える要素を把握することで、競争力のある提案を作り出すことができます。
顧客のフィードバックとレビュー
顧客のフィードバックやレビューを分析しましょう。過去の取引や顧客の声から、満足度や不満点、改善の必要性を把握することができます。顧客の意見を重視することで、サービス品質の向上や顧客満足度の向上につなげることができます。
これらの項目を調査・分析することで、顧客分析はより具体的かつ効果的になります。顧客のニーズや行動パターンを把握することで、営業戦略のカスタマイズやターゲットマーケティングにつなげることができます。
Competitor:競合分析
競合分析は、営業戦略構築において重要な要素です。競合他社の活動や市場位置を理解することで、自社の差別化や競争優位性の確保につながります。以下に、競合分析において調査すべき項目例を示します。
製品やサービス
競合他社の製品やサービスについて調査しましょう。価格、機能、品質、特長などの要素を比較し、自社の製品やサービスとの差異を把握します。
マーケットシェア:
競合他社の市場シェアを把握しましょう。市場全体に対する各競合他社のシェアや成長率を調査することで、自社の位置や競争状況を把握することができます。
販売チャネル:
競合他社の販売チャネルや流通経路を調査しましょう。直販、代理店、オンライン販売など、競合他社がどのようなチャネルを活用しているかを把握することで、自社の販売戦略を見直すことができます。
マーケティング戦略、コミュニケーション施策:
競合他社のマーケティング戦略、コミュニケーション施策を分析しましょう。ターゲットやポジションニングを元に広告、プロモーション、キャンペーン、SNS活用などのマーケティング活動を調査することで、競合他社のアプローチやメッセージを把握し、自社の差別化戦略を検討することができます。
顧客満足度:
競合他社の顧客満足度を調査しましょう。顧客レビューや評価、市場調査データを分析することで、競合他社の強みや課題を把握し、自社の顧客満足度向上策を検討することができます。
これらの項目を調査し、競合他社の強みや弱み、市場でのポジショニングを把握することで、自社の営業戦略を戦略的に立案することができます。競合分析は持続的なプロセスであり、市場環境の変化に合わせて定期的に行うことが重要です。
Company:自社分析
自社分析は、営業戦略構築の重要なステップです。自社の強みや弱み、資源・能力、市場でのポジションを把握することで、効果的な営業戦略を策定することができます。以下に、自社分析で調査すべき項目の一部を紹介します。
製品やサービス
自社の製品やサービスについて分析しましょう。特徴、品質、価格、競合との差異などを把握し、顧客への価値提供や競争力を評価します。
プロダクトライフサイクル:PLC分析
プロダクトライフサイクル:PLC分析は、製品の成熟度に応じた営業戦略を考えるためのフレームワークです。
使い方としては、まず、プロダクトライフサイクルの各段階を理解します。導入期では、市場の認知と需要の形成が重要です。成長期では、競争が激しくなり市場シェアの獲得が焦点となります。成熟期では市場が飽和し、差別化や顧客ロイヤルティの構築が求められます。衰退期では市場が縮小し、営業戦略の見直しが必要となります。
次に、自社の製品やサービスが現在どの段階に位置しているのかを評価します。これには売上データ、市場調査、競合情報などを活用します。そして、各段階に応じた営業戦略を策定します。
導入期では市場教育や顧客のニーズの理解を重視し、成長期では市場シェアの拡大や競争力の向上を目指します。成熟期では差別化や追加価値の提供、衰退期では新たな市場や製品へのシフトなど、適切な対策を実施します。
プロダクトライフサイクル分析を通じて、市場のトレンドや競合状況を把握し、自社の製品やサービスの営業戦略を最適化することができます。適切なタイミングで営業戦略を変更・調整することで、競争力を維持し成果を最大化することができるでしょう。
販売チャネル
自社の販売チャネルを分析しましょう。直販、代理店、オンライン販売などのチャネルの特徴や効果を評価し、適切な販売戦略を構築します。
営業組織
自社の営業組織を評価しましょう。営業プロセス、チームの構成、役割分担、営業手法などを分析し、効率的な営業活動を実現するための改善点を特定します。
マーケティング戦略、コミュニケーション施策
自社のマーケティング戦略を検証しましょう。ターゲット市場、顧客セグメント、ブランドイメージ、プロモーション活動などを分析し、競争環境に適応した戦略を策定します。
顧客関係
自社の顧客関係を評価しましょう。顧客満足度、顧客ロイヤルティ、顧客ニーズへの対応などを分析し、顧客への価値提供や関係構築の改善点を見つけます。
自社分析を通じて、自社の強みや弱み、市場での競争力、顧客との関係性などを把握し、営業戦略の方向性を確立します。また、自社分析は定期的に行われるべきであり、市場環境や競合他社の変化に応じて適宜見直すことが重要です。
ターゲット顧客の特定
市場や顧客の分析を踏まえて、明確なターゲット顧客を特定することが営業戦略の鍵となります。ターゲット顧客を具体的に定めることで、営業活動の効率性が向上し、リソースの最適な活用が可能となります。顧客の属性やニーズに基づいて、効果的な営業アプローチを展開しましょう。
ターゲット設定においてはいくつかの注意点があります。
まず、自社の製品やサービスがその顧客のニーズに適合しているかどうかを慎重に考慮しましょう。ニーズとの適合性が高い顧客にフォーカスすることで、効果的なマーケティングや営業活動が可能となります。
続いて、その顧客層の購買力や購買意欲も考慮しましょう。顧客が製品やサービスを購入する意欲や能力を持っていることが重要です。予算がない顧客への注力はあまり意味がなく、予算を持っており、購買意欲の高い顧客層を見出したいものです。
また、可及的速やかに効果を出していきたいものです。 ターゲット顧客の特定は、時間と労力を要する作業です。しかし、営業戦略の成果を早く出すためには、特定したターゲット顧客に焦点を絞り、効果的なアプローチを行う必要があります。
自社訴求ポイントの明確化
自社の強みや特徴を明確にし、顧客に対してどのような価値を提供するのかを明確化することも重要です。自社の製品やサービスのユニークな特長や利点を把握し、それを顧客に訴求するためのメッセージを作り上げましょう。自社訴求ポイントの明確化は、競争力を高め、顧客の心を掴むための重要な要素となります。
訴求ポイントの注意点は3つあります。
まず一つ目は、訴求ポイントはなるべく少なく、多くても3つまでに絞ることです。あまり多くの訴求をしてしまうと、結局何を言いたいのかが分からなくなってしまいます。
続いて、独自性を強調しましょう。他社との差別化ポイントや競合に対する優位性を把握し、それを訴求ポイントとして強調します。顧客が自社の製品やサービスを選ぶ理由となる特徴やメリットを明確に示すことが重要です。
最後に、顧客にとっての価値を明示しましょう。顧客のニーズや課題に対する解決策として、どのような価値を提供できるのかを明確に伝えます。その際には、顧客の視点に立つことが重要です。
顧客が求める価値や利益に焦点を当て、自社の提供する製品やサービスがそれを満たすことを強調します。顧客の視点からの訴求ポイントを明確化することで、顧客との共感と信頼を築くことができます。
自社訴求ポイントの明確化は、自社の強みを理解し、それを顧客に伝えるための重要なプロセスです。注意点を意識しながら訴求ポイントを明確化し、それを営業戦略に組み込むことで、効果的なマーケティングや営業活動を展開することができます。
これらの手法やポイントを活用して、営業戦略を構築しましょう。次の章では、営業戦略の実装方法について詳しく探っていきます。
営業戦略の実行方法
営業戦略の構築が完了したら、次は実際の営業活動に落とし込むことが重要です。この章では、営業戦略を具体的に実行するための方法と手法について紹介します。
営業にどう落とし込むか
営業戦略を実際の営業活動にどう落とし込むかが重要な課題です。営業担当者に対して、営業戦略の目標や方針を明確に伝え、それを具体的な行動に反映させる必要があります。また、営業プロセスや手法の改善、情報共有の強化などを通じて、営業活動の効果を最大化しましょう。
SFAへの登録
SFA(Sales Force Automation)システムの活用は、営業戦略の実装において大きな役割を果たします。SFAシステムを活用することで、営業プロセスの可視化や効率化、顧客情報の一元管理などが可能となります。営業活動のトラッキングや分析によって、戦略の評価や改善に役立つデータを取得しましょう。
営業戦略の実装は、組織全体の連携と共有が不可欠です。チームメンバーとのコミュニケーションや情報共有を強化し、営業戦略の実行力を高めましょう。次の章では、営業戦略のマネジメントについて詳しく解説します。
営業戦略のマネジメント
営業戦略を構築し、実装したら、次はその戦略を効果的に管理していくことが重要です。この章では、営業戦略のマネジメントについて詳しく探っていきます。
営業戦略のマネジメントのポイント
営業戦略を効果的に遂行するためには、マネジメントが不可欠です。営業マネージャーやリーダーは、戦略の進捗状況や成果を定期的にモニタリングし、必要な調整や改善を行う責任があります。マネジメントのポイントとして、目標設定や進捗管理、指標の確認、フィードバックの提供などが挙げられます。
KPIの確認
営業戦略のマネジメントにおいては、KPI:Key Performance
Indicatorの設定と確認が重要です。KPIは戦略の目標に対して具体的な数値や指標を設定し、その達成度を測るための基準となります。営業活動の成果やパフォーマンスを評価する際に、KPIを適切に活用しましょう。
以下に、営業戦略においてよく使用されるKPIの例を挙げます。
①営業成約率(Win Rate)
新規営業の成約率を測定します。営業活動によって獲得できる契約の割合を把握し、営業の効果を評価します。
②顧客獲得数(Customer Acquisition)
一定期間内に獲得した新規顧客の数を計測します。営業活動の成果を数量的に把握することができます。
③平均契約額(Average Contract Value)
契約ごとの平均金額を計算します。顧客の取引規模や成約の質を把握し、売上予測やビジネスの収益性を評価します。
④顧客満足度(Customer Satisfaction)
顧客からのフィードバックやアンケート結果などを基に、顧客満足度を評価します。営業活動が顧客にどれだけ満足を提供しているかを把握します。
⑤顧客離反率(Churn Rate)
一定期間内に失った顧客の割合を計測します。営業の努力がどれだけの顧客ロイヤルティを維持できているかを評価します。
⑥営業活動数(Sales Activities)
営業担当者が実施した営業活動の数を計測します。電話、メール、商談、プレゼンテーションなどの活動量を把握し、活動の効率性を評価します。
個々のKPIの目標値については業界や製品、営業スタイルによって大きく異なりますが、営業活動数については営業専任担当者である限り概ねどの業界でも似たような活動が可能です。特に顧客数が十分に多く新規顧客獲得をメインに活動される場合は
- 電話でのコール数: 50 – 100コール/日
- メール送信数: 30 – 50通/日
- 商談数: 10 – 15件/週
あたりが目安になるのではと思います。
これらは一例であり、営業戦略や企業の目標に応じてさまざまなKPIが設定されることがあります。KPIは具体的かつ測定可能な目標を設定し、営業活動の進捗と成果を定量的に評価するための重要な指標です。
営業戦略を遂行するために
営業戦略を遂行するためには、組織全体の協力とサポートが欠かせません。各チームや部門との連携を強化し、情報共有やコミュニケーションを円滑に行いましょう。また、営業担当者の育成や継続的なトレーニングを行うことも重要です。営業戦略を遂行するための体制づくりやリソースの最適化にも注力しましょう。
営業戦略のマネジメントは、戦略の効果を最大限に引き出し、持続的な成果を生み出すために欠かせない要素です。適切なマネジメント手法を用いて、営業戦略の遂行と改善を行いましょう。
まとめ:営業戦略を成功させるポイント
営業戦略を構築するためのやり方、考え方を記載しました。
営業戦略は、企業が目標達成や競争優位性を獲得するために立てる計画やアプローチです。営業戦略は、ターゲット顧客の設定と、自社訴求ポイントの明確が必要です。そのために、3C分析、すなわち、市場・顧客分析、競合分析、自社分析を行い、自社が勝てるターゲットセグメント、訴求点を構築する必要があります。
また、営業戦略を組み立てたら、確実に実行する必要があります。実行してこそ戦略が生きてきますので、適切なマネジメントが必要になるでしょう。
実績のある営業マネジャーは営業戦略を構築し、実行し、PDCAを回していきますが、もし自社だけでは難しいのであれば、実績のあるコンサルタントに頼るのもお勧めです。
営業支援を行うコンサルティング会社は多々ありますので、自社に合うコンサルタント選びも重要ですね。
シナプスでは、様々な業界、商材の営業支援・コンサルティングを行ってきています。
マーケティング・コンサルティングファームだからこそできる、客観的な情報収集、整理・分析から、戦略の意思決定、さらには、科学的な営業を実現するKPIマネジメントなど、様々なテーマでの支援が可能です。
特に、客観的な事実情報分析(3C分析)から営業戦略を組み立てる、リサーチからの意思決定支援を得意としています。また、科学的、論理的なアプローチにより、営業マネジャーが確実に営業マネジメントを行うための支援も行っています。
シナプスは、ルート営業やインバウンドをベースとしたソリューション営業、新規開拓営業等、営業には様々なスタイルがあります。マーケティング・コンサルティングファームだからこそできる、様々な業界、商材、組織状況に合わせた適切なサポートをご提案します。
ご興味がある方は一度プレセッションとして、貴社の営業課題をディスカッションさせて頂ければ、「貴社の営業課題は何か?」「シナプスが貴社にマッチするコンサルタントか?」を判断できるのではないかと思います。
プレセッションは無料でも対応いたしますので、お気軽にご連絡ください。
この記事のライター紹介
株式会社シナプス 常務取締役 コンサルタント。
10年以上のマーケティング・コンサルティングの経験を有する。化粧品、外食、エンターテイメント、メディア、サービス、精密機器、電子機器、電気部品、医療機器、農業など数多くの領域を支援してきた。
多くの企業が陥る「顧客不在の戦略立案・実行」に対して提言。真のニーズを中心とした組織へと生まれ変わらせることをミッションとして、数多くの企業を変貌させてきた実績を持つ。
研修では、マーケティング研修のほか、問題解決スキル研修やファシリテーション研修での実績が豊富で、「すぐに使えるビジネスの実践的なスキル」を伝える講師として評判が高い。SMBCコンサルティング セミナー講師。
1973年生まれ、2007年シナプス入社、2008年取締役就任、2021年より現職。2021年よりアグリテックスタートアップのテラスマイル株式会社の非常勤取締役を兼任。