レポート後編<第2回シナプスCMOセミナー> オイシックス西井CMOが語る! 16期連続成長のオイシックス 2017/5/15(月)

~デジタルをわかってない人は経営者になるべきではない!~(後編)

前編はこちら

3.「ソーシャル」

3つめ「ソーシャル」です。以前はSNSという言い方をしていましたが、最近では「ソーシャル」という表現の方が主流となりつつあります。また、依然として経営者が気にする用語で、中でも最近は「LINE、インスタ(instagram)はどうなんだ?」のようです。

「オイシックスを使っていることを誰かに伝えたい」

オイシックス社の定期会員12万人中8万人はすでにLINE登録していただいています。普段からLINEを使っているお客様には、利便性が高く使い勝手が良いからだと思っています。LINE以外で最近注目しているのはinstagramです。instagramは、今後より注目してマーケティングをしていくべきかと考えています。

オイシックスはまだまだソーシャル上の企業アカウントを使いこなしているとは言えません、今後は、より力を入れていきたいと考えています。活用のポイントとしては以下の2つとしています。

  • 自社のアカウントをどう使っていくか
  • 世の中のソーシャルメディアにオイシックスの話題をどう拾ってもらえるか

ちなみにオイシックスは後者が得意で、世の中のソーシャルメディアにどう拾ってもらえるかに関しては、比較的できています。instagramグラムでオイシックスを検索すると結構いろんな人がハッシュタグをつけてくれているのがわかります。
意図をもって仕掛けている場合と自然発生的な場合とがありますが、いずれにしても「オイシックスを使っていることを誰かに伝えたい」というユーザーの気持ちをどう作るかが大切になってきます。

例えば去年、サンリオの人気キャラクター「ぐでたま」とコラボレーションして、「KitOisix」という20分くらいでできる簡単な料理キットを紹介したところ、作った方皆さん写真に撮ってアップしてくださいまし。そういった仕掛けで盛り上げていくというのはソーシャルならではのこと。今後も活かしたい部分です。

4.「LTV、顧客価値の最大化」

最後は、普遍的なマーケティングのテーマ、「LTV、顧客価値の最大化」です。
まさしく顧客一人一人と直接の接点をもつオイシックスだからこそ、LTVの最大化は経営上の最大の課題ではないでしょうか。

お客様との接点を保持が大事

オイシックスが売上成長=顧客価値の最大化を継続出来ているのは、お客様の課題解決をしている商品があって、さらに買いやすい状態にするという「買いやすい仕組み」と「買いたくなる商品」の二つの仕組みが成立してこれているからだと思っていますが、今後も続けていかないと伸び続けるのは難しいのかなと思います。

LTVの最大化は売り上げの最大化であるといってもいいです。大事なことはお客様との接点を保持するということ。オイシックスの場合はPCサイト、スマホサイト、アプリを含むECサイトです。これは、一般的なお店と同じことで、行きたいと思って頂ける魅力を持った店舗を作ることが大事です。さらにもう一つ大事なことは商品そのものです。いくら気持ちの良いお店であっても欲しい商品がないと意味がありません。まさしく、「買いやすい仕組み」と「買いたくなる商品」の実現であり、そのためにどうするかということに集中して力を入れています。

今のオイシックスを引っ張っているのは「KitOisix」という商品です。KitOisixは、カットされた野菜や肉、調味料そして、簡単なレシピが入っていて、20分で本格的な料理が作れるというものです。調味料などもついているので、家庭ですぐに調理が出来ます。この商品のヒットの背景には、子供に安心・安全なものを食べさせたい気持ちがあるけれど、忙しくて、時間がなかなか取れないママに向けての「オイシックスへの入り口(新規)」の商品としても非常に効果的なものとなっています。
現在オイシックスは新規のお客様も増え続けている状態です。ソーシャルメディアのおかげで新規顧客を取りやすくなったなと感じてます。

~ 全員一丸マーケッターを目指して ~

もともとEコマースを前提に2000年に設立されたオイシックスは、世の中の相当数の企業に比べてデジタルマーケティングにおいては理解のある会社です。経営陣と話をしていても基本的にはデジタルのことを中心に話が進みます。

オイシックスの経営陣はテクノロジーを理解しないと生き残れないという認識がきちんとあって、最近ではオイシックスの経営陣は全員でプログラミングの研修を受けるほどです。それくらいテクノロジーへの意識は高いです。

私の役職であるCMOは、一般的には会社のマーケティング施策を全部決める人というイメージがあります。しかし、高島社長の私へのオーダーは、「全社員がマーケティングできる状態」を作ること。アプリの開発やUIの開発を経営の目線で考えながら、現場で試行錯誤しながら、ボトムアップを目指しています。

ビジネスへのデジタル活用や導入に関して、日本の企業はまだまだ水準は低いです。個人的には、「デジタルをわかってない人は経営者になるべきではない」と強く思っています。今後はデジタルネイティブみたいな方が経営者をやっていく時代になっていかなければならないと思います。

講演者:オイシックス株式会社 CMO西井 敏恭(にしい としやす)氏 


オイシックス株式会社
CMO 西井敏恭氏 

2013年末まで株式会社ドクターシーラボにてデジタルマーケティングの責任者。Eコマースのマーケティングに10年以上。2014年よりオイシックス株式会社 CMOに就任。次世代のEC戦略を先導している。同年7月起業した株式会社シンクロにて、国内大手からスタートアップ企業のマーケティングアドバイザーも。
2001年から2年半世界一周の旅へ、3冊の旅行記も著名。
金沢大学大学院卒。