橋向講師
リスティング広告をはじめとしたWeb広告の運用は、これまでマス広告と同様に広告代理店に外注して運用してもらうことが多くなっていました。しかしWeb広告は一部の純広告を除き、代理店に依頼せずに個人でも出稿できてしまいます。そのため最近では、Web広告の運用をインハウスで行う企業も増えています。
本記事では、Web広告の「インハウス運用」と「広告代理店運用」のメリット・デメリットを確認していきます。そのうえで、「インハウス運用」か「広告代理店運用」かで悩んだ際に確認しておきたいポイントについて解説します。
Web広告の成果改善やインハウス化をお急ぎの場合は、ご相談を受け付けています。課題に合わせてカスタマイズした研修やコンサルティングを提供していますので、お気軽にご相談ください。
「インハウス運用」と「広告代理店運用」のメリット・デメリット
インハウス運用と広告代理店運用、それぞれのメリット・デメリットは何でしょうか?インハウス運用のメリットは、裏を返せば代理店に外注する場合のデメリットと言えます。逆に、インハウス運用のデメリットは、裏を返せば代理店に外注する場合のメリットとも言えます。それぞれ詳しく確認していきましょう。
インハウス広告運用のメリット
インハウス運用のメリットを確認していきます。これらは同時に代理店運用におけるデメリットともいえます。
運用手数料が発生しない
インハウスで広告を運用するのであれば、運用手数料は発生しません。広告代理店に運用を外注する場合は、だいたい広告費の15~30%が運用手数料になります。手数料、代理店によって異なるため、外注する際は確認しておくとよいでしょう。
スピード感のある対応ができる
インハウスで広告を運用する場合は、広告の配信・停止をすぐに操作できたり、広告クリエイティブの差し替えもすぐに対応できたりします。広告代理店に外注する場合は、代理店担当者が他社の案件に対応しているタイミングではしばらく待たないといけないこともあります。
社内にナレッジを蓄積できる
インハウスで広告を運用する場合は、色々な広告メニューや機能を試してみたり、広告クリエイティブのABテストもスピーディーに対応したりすることができます。スピーディーに対応できると、試行回数も増やすことができます。その分、多くのナレッジが蓄積できます。広告代理店に運用を依頼する場合は代理店のナレッジに依存するため、社内にナレッジを蓄積しづらくなります。
インハウス広告運用のデメリット
インハウス運用のデメリットを確認していきます。これらは同時に代理店運用におけるメリットともいえます。
社内で担当者の確保が必要
社内で広告を運用する場合は、その担当者が必要になります。広告代理店に外注する場合は、連絡のやり取りをする担当者は必要になるものの、運用担当者は不要になります。インハウス運用は社内に運用担当者が必要になるため、その担当者の人件費が発生することになります。代理店に運用を依頼する場合は運用手数料がかかることになるため、両者のバランスを考慮して判断する必要があります。
ナレッジが担当者に属人化する
インハウスで広告運用を行う場合、ナレッジが特定の担当者に集中してしまいます。社内の運用担当者が急に離職したりした場合には、広告運用の業務に支障が出るリスクもあります。広告代理店に運用を依頼する場合は、代理店の広告運用ナレッジを拝借できます。
最新情報を入手しづらい
社内で広告運用を行っていると、広告媒体社の新機能やその実績、他社での広告運用における成功パターンなどの情報を入手することができなくなります。一方、広告代理店では、これらの情報が集まりやすい状態になっています。
インハウス広告運用か、広告代理店運用かを判断するためのポイント
Web広告の運用をこれまで長らく広告代理店に依頼していた場合、インハウス運用にすぐに切り替えるよりも徐々に切り替えていく方が安全です。また、企業のリソース状況によっては、広告運用をインハウス化しない方がいい場合もあります。インハウス運用か、広告代理店へ依頼するかで迷ったときの判断基準を解説します。
ポイント1.インハウス運用と広告代理店外注のメリット・デメリットを確認
先述のとおり、インハウス広告運用にも、代理店運用にも、それぞれにメリットとデメリットがあります。まずはこれらを確認したうえで判断する必要があります。
ポイント2.Web広告の予算規模を確認
広告代理店での運用手数料は、15~30%程度かかります。例えば、Web広告を年間で4,000万円出稿している場合、運用手数料は15%のとき600万円かかる計算になります。インハウスで広告運用を行う場合に、この600万円を人件費に回すことができれば、社内の広告運用担当を確保することも十分検討できます。
ポイント3.社内の広告担当者のスキルを確認
社内で広告運用担当者を確保できても、Web広告の運用経験がなければ、すぐにはインハウス化できません。担当者が決まったら、Web広告のスキルがどれぐらいか確認する必要があります。もし運用スキルが足りないようであれば、研修などをとおしてスキルアップしていく必要があります。
ポイント4.社内のWeb広告担当者が運用のために確保できる業務時間を確認
Web広告の運用担当者が、高い運用スキルを持っていても、運用のための時間をほとんど確保できなければ成果が出づらくなります。広告運用に充てられる時間が少ないようであれば、代理店に運用を依頼した方がよいかもしれません。
インハウス広告運用の実践ステップ
インハウス運用か代理店運用か検討した結果、インハウスで運用する方針が決定した場合、どのような手順で実践すればいいのでしょうか? ステップに沿って解説します。
ステップ1.インハウスの広告運用を支援する会社(研修・コンサルティング会社)を選ぶ
Web広告の運用スキルが高い人材を担当に就けられた場合はそのまま運用開始できますが、確保できなかった場合、まずは専門業者の協力が必要です。インハウスの広告運用を支援する会社に依頼するとよいでしょう。
Web広告運用の代行やコンサルティングだけでなく、研修を行って人材育成もできる支援会社だとインハウス運用の導入がスムーズです。株式会社シナプスでは、Web広告運用のコンサルティングや研修をとおして、インハウス運用支援を行っています。まずはお気軽にご相談ください。
ステップ2.広告運用の知識を身につけ、管理画面の操作を実践する
インハウス支援会社が決まったら、研修をとおして基礎的な運用スキルを身につけていきます。Web広告の仕組みや種類、管理画面の使い方について理解を深めつつ、実践できるようにします。場合によってはコンサルティングも併用し、施策の優先順位などを整理します。担当者が運用で何をすればいいか自分で考えられるようになったら、インハウス運用の準備はほぼ整った状態になります。
ステップ3.インハウスで広告運用を実践し、成果をモニタリングする
担当者が広告運用についてやるべきことを自分で判断できるようになったら、社内担当者だけで実際に広告を運用してみます。いくつかの施策を試してみて、安定して運用できることが確認できたら、本格的にインハウス運用を開始できるようになります。必要に応じてWeb広告運用の上級レベルの研修を受講することで、自分で考えられる施策のレベルを上げていくことを検討してもよいでしょう。
まとめ:インハウス広告運用と代理店外注を適切に判断するために
本記事では、Web広告をインハウスで運用することのメリット・デメリットを確認したうえで、広告代理店に依頼するかどうか判断する際のポイントを紹介しました。
インハウス運用のメリットは、
- 運用手数料が発生しない(代理店運用は手数料が発生する)
- スピード感のある対応ができる(代理店運用はスピード感が落ちる傾向がある)
- 社内にナレッジを蓄積できる(代理店運用は代理店のナレッジに依存する)
そしてインハウス広告運用のデメリットは、
- 社内で担当者の確保が必要(代理店運用は社内の運用担当者が不要)
- ナレッジが担当者に属人化する(代理店運用は代理店のナレッジを拝借できる
- 最新情報を入手しづらい(代理店運用は最新情報が入手しやすい傾向がある)
というものでした。
そのうえで、インハウス運用か代理店運用か判断するためのポイントとしては、
- インハウス運用と広告代理店運用のメリット・デメリットを確認
- Web広告の予算規模を確認
- 社内の広告担当者のスキルを確認
- 社内のWeb広告担当者が運用のために確保できる業務時間を確認
というものです。状況次第でインハウス運用がうまくいくこともあれば、無理にインハウス化しない方がいいこともあります。適切に判断して、ビジネス成果につなげられればと思います。
広告運用をインハウス化する方針が決まった場合には、実施のステップとして、
- インハウスの広告運用を支援する会社(研修・コンサルティング会社)を選ぶ
- 広告運用の知識を身につけ、管理画面の操作を実践する
- インハウスで広告運用を実践し、成果をモニタリングする
という手順がスムーズです。まずはインハウス広告運用の支援会社に相談してみることをおすすめします。
インハウス広告運用を支援する株式会社シナプスでは、ビジネスの課題にカスタマイズした研修・コンサルティングを提供しています。お気軽にお問い合わせください。
この記事のライター
デジタル領域を中心にマーケティング業務16年目。広告代理店と事業会社の両面で、スタートアップから中小企業、ナショナルクライアント、多国籍企業まで幅広くマーケティング業務を行う。多角的なマーケティング手法の中から、ビジネスモデルや事業規模、予算規模に応じて適切な打ち手を組み合わせて考案し、実行までできることが強み。
<略歴>
2008年 株式会社アイレップ入社、SEOグループディレクター
2012年 株式会社CyberZ(サイバーエージェントグループ)入社、運用型広告コンサルタント、動画サービス新規事業立ち上げ参画
2015年 グループエム・ジャパン株式会社(WPPグループ)入社、シニアプランナー、ソーシャルメディアリード
2018年~ 事業会社2社でマーケティング責任者
2022年 株式会社アガルート入社