マーケティングで、最も重要な概念の一つが顧客ニーズです。

ニーズとは、人々が生活したり、仕事をしたりする上で感じる「現状」の様々な不満や欠乏が、「理想的な状態」と比較したときのギャップです。人々は現状に対して様々な「満たされない」感情を抱いているはずです。「理想と現実」にはギャップが生じており、「本質的ニーズ」とは、このギャップを解消したいという「欲求」です。

ニーズとセットで使われる言葉としてウォンツがあります。ニーズとは何か?そして、特に区別が難しいニーズとウォンツの違いについて事例も交え解説します。

1.ウォンツとは手段、ニーズとは目的


ニーズとウォンツの関係

ニーズとウォンツは、「目的と手段」の関係と考えるとわかりやすいかと思います。

一般に、顧客から最初にでる言葉は、「○○が欲しい」という場合が多いでしょう。

「ミネラルウォーターが欲しい」「パソコンが欲しい」「コートが欲しい」。これらの言葉は、多くの場合は、ウォンツ=手段です。すぐに意識しやすい手段・ウォンツを発言し、目的=ニーズは、言葉にしていないことが多いでしょう。

たとえば、「ミネラルウォーターが欲しい」はウォンツ=手段です。ニーズ=目的は「のどが渇いているので、冷たい水でのどを潤したい」などでしょう。


2.具体例で考えるニーズとウォンツの違い-本質的ニーズは何か


2-1.ニーズ「家事の時間を節約したい」


時間節約してごろごろしたいわ(ニーズ)

ニーズについて、具体例で考えます。「食器洗い機を購入したい」と言っている顧客がいたとします。

現在、あなたはすべての食器や調理器具を手洗いしなければなりません。しかし、家事や子育てが忙しいため、こまめに洗い物ができない状況が起こっています。そこで、食器洗い機があれば、楽にキッチンをきれいにできると考えました。

この時のあなたが抱える「ニーズ」は、食器洗い機そのものでしょうか。最終的に目指していることは、楽にキッチンをきれいにすることかもしれないし、さらに浮いた時間を自分の趣味に使えることかもしれません。

この場合は、「家事の時間を節約したいが本質的なニーズ」であると言えそうです。例えば、「家事の時間を節約してごろごろしたい」と思っているかもしれません。

2-2.「食器洗い機が欲しい」はニーズではなくウォンツ


食器洗いが欲しいわ(ウォンツ)

ここで目的である本質ニーズ(家事の時間を節約したい)と区別するために、「ウォンツ」という言葉を使います。

ウォンツとは、本質的ニーズを満たすための具体的な手段への欲求です。

この場合、「家事の時間を節約したい」というニーズを満たすための手段として「食器洗い機が欲しい」というウォンツが生まれます。

  • ウォンツ:食器洗い機が欲しい
  • ニーズ:家事の時間を節約したい

3.本質ニーズとウォンツの違いを見極めるメリット


このように、手段であるウォンツから、目的である本質的なニーズが発見できれば、食器洗い機でなくても他の手段、例えば「家政婦」や「使い捨て食器」もウォンツの候補となりそうです。

つまり、「顧客の本質的ニーズとは何か」を突き詰めることにより、他のオプション手段、解決策が検討できます。


常に顧客の理想と現実(AsIs-ToBe)を把握し、そこに生じる「本質的ニーズ」を見極めましょう。そして、本質的ニーズを解決する「ベストソリューション」としての製品やサービスを提供することで競合に一歩先んじることができるのです。

4.ウォンツからニーズを把握する方法

4-1.ウォンツ=手段が欲しい理由を質問する


顧客の言葉は、大抵「ウォンツ(手段)」です。すると、ニーズを理解するには、こちらからの働きかけが必要です。具体的には、最初のウォンツから質問を重ねます。

  1. 顧客「ミネラルウォーターが飲みたいです。」(ウォンツ)
  2. あなた「なぜミネラルウォーターがのみたいのですか?」
  3. 顧客「のどの渇きをいやしたいからです。」(ニーズ)

4-2.ウォンツから質問を重ねニーズを掘り下げる

ミネラルウォーターは、1回質問をすればニーズがわかる例でした。しかし、何度も質問してニーズを掘り下げ、より本質的なニーズを見つけることは可能です。

  1. 顧客「このソファが欲しいです。」(ウォンツ=ソファが欲しい)
  2. あなた「このソファがあるとあなたにはどんなよいことがあるのですか?」
  3. 顧客「このソファを自宅のリビングに置きたいんです」(最初のニーズ→ウォンツ=リビングにソファを置きたい)
  4. あなた「なぜこのソファを自宅のリビングに置きたいんですか」
  5. 顧客「このソファはすごくふかふかで気持ちよさそうなので休日にソファでゆっくり休みたいんです。」(一段掘り下げたニーズ→ウォンツ=休日にソファでゆっくり休みたい)
  6. あなた「なぜソファでゆっくり休みたいんですか」
  7. 顧客「平日はいつも忙しいので、休日にリラックスした自分の時間をもちたいんです」(もう一段掘り下げたニーズ)

この顧客が最初に言う言葉は「ソファが欲しい」です。しかし、質問を重ねることにより、「休日にリラックスしたい」という、この顧客にとってより本質的なニーズを発見することができました。

4-3.ニーズを掘り下げることで提案の選択肢が広がる

ここまでニーズを掘り下げると、他にもいろいろな解決手段が考えられることがわかります。たとえば、「アロマテラピーセット」「リラックスしやすい間接照明」あるいは「ペットを飼うこと」がベストな解決策かもしれません。

ニーズを掘り下げることにより、はじめの顧客の言葉だけでは思いつかなかったような解決策がでてくることがわかるでしょう。




参考情報

1.ニーズとウォンツの違いに関するマーケティングナレッジコラム

2.ニーズとウォンツの違いを学ぶ企業研修

顧客ニーズヒアリング研修

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