心理的安全性研修を企画したものの、当日の中身とワークショップの進め方が決まらない。
そうした状態で日程だけが近づくケースは少なくありません。
心理的安全性研修は、チームで率直に意見を言い合える状態をつくるための取組にあたります。
目的と内容を先に決めておけば、当日のワークも配布資料も組み立てられます。
■この記事で解決できる悩み
- 心理的安全性研修とは何か
- 心理的安全性ワークショップの進め方
- 無料の心理的安全性セミナーの使い方
企業・社員研修をお探しですか??
- 研修をやったことはあるが、中々効果が現れなかった
- 自社にあった研修を実施したいが見つからない
- 実務で使える研修をして欲しい
目次
心理的安全性研修とは?目的5つ

心理的安全性研修は、チームで対人リスクを取っても大丈夫だと信じられる状態をつくるための研修です。
目的は次の5つに整理できます。
- 立場を問わず発言できる場をつくる
- 失敗や懸念を早く共有する
- チームの学習と成果を上げる
- 離職や沈黙を減らす
- 管理職のかかわり方を揃える
概念を提唱したのは、ハーバード・ビジネス・スクールのエイミー・C・エドモンドソン氏です。
1999年の論文で、team psychological safetyを次のように定義しました。
「a shared belief held by members of a team that the team is safe for interpersonal risk taking」
※引用:「Psychological Safety and Learning Behavior in Work Teams」Harvard DASH
チームの成員が共有する、対人リスクを取っても安全だという信念を指しています。
なお、心理的安全性は法令上の用語ではありません。
人事・組織開発の分野で使う概念にあたります。
4段階モデルや、話しやすさ・助け合い・挑戦・新奇歓迎の4因子も、エドモンドソン氏の1999年論文の定義ではありません。
Google re:Workの公式定義にも含まれていないため、社内資料では出典を分けて扱いましょう。
5つの目的を順に詳しく見ていきます。
※参考:Psychological Safety and Learning Behavior in Work Teams(Harvard DASH)
立場を問わず発言できる場をつくる
心理的安全性研修の第一の目的は、職位や勤続にかかわらず疑問・反対・提案を出せる場をつくることです。
発言が止まる場面は、多くの職場で共通しています。
会議で意見が出ない、わかったふりをする、後から不満が出る、といった形で表れます。
止めているのは能力や性格ではありません。
無知や無能に見られる不安が、発言の前に働いています。
例えば、基本的な質問をすると評価が下がると考えれば、担当者は黙ったまま作業を進めます。
仲が良いことと、反対を言えることは別の話です。
雑談の多いチームでも、仕事の判断に異を唱える場面では沈黙が続きかねません。
研修では、反対意見が出た場面の返し方まで扱いましょう。
返し方が揃えば、反対意見は個人攻撃として受け取られません。
失敗や懸念を早く共有する
心理的安全性研修の2つ目の目的は、ミス・遅延・顧客リスクを隠さず早い段階で共有できるようにすることです。
共有の速さは、手戻りの量を直接左右します。
報告が遅れるほど、修正にかかる工数と信頼の損失は大きくなります。
納品直前に不備が判明すると、前週に判明した場合ほどには手を打てません。
共有が進むかどうかは、受け手の返し方で決まります。
責めずに事実から聞く姿勢がなければ、次の報告は遅くなるでしょう。
なお、報告が何パーセント増えるといった公式の数値はありません。
数値目標の代わりに、ミスを当日中に共有できたかどうかを見る運用が扱いやすくなります。
共有された懸念は、担当者を替えずに対処できる段階で拾えます。
早く拾えるほど、顧客への説明もしやすくなるでしょう。
チームの学習と成果を上げる
心理的安全性研修の3つ目の目的は、質問する・誤りを話す・新しいやり方を試す学習行動が回る状態をつくることです。
学習行動が回れば、チームの成果にもつながります。
Googleのre:Workは、効果的なチームを分析した調査結果を公開しています。
同社は心理的安全性を次のように定義しました。
「心理的安全性とは、対人関係においてリスクある行動を取ったときの結果に対する個人の認知の仕方」
効果的なチームに固有の力学として挙げられたのは、心理的安全性・相互信頼・構造と明確さ・仕事の意味・インパクトの5つです。
そのうえで、同社は「圧倒的に重要なのが心理的安全性です」と述べています。
調査では、社内チームの傾向も次のように報告されました。
「心理的安全性の高いチームのメンバーは、Googleからの離職率が低く、他のチームメンバーが発案した多様なアイデアをうまく利用することができ、収益性が高く、『効果的に働く』とマネージャーから評価される機会が2倍多い」
※引用:「効果的なチームとは何か」Google re:Work
ただし、報告されたのはGoogle社内のチームを対象としたリサーチ結果です。
自社で同じ数字が出るとは限りません。
研修の目標には、自社の会議で観察できる学習行動を置きましょう。
質問の件数や、新しい手順を試した回数が扱いやすい項目となります。
離職や沈黙を減らす
心理的安全性研修の4つ目の目的は、言えない状態が続くことによる沈黙・孤立・離職を減らすことです。
特に、若手の定着は多くの企業で課題になっています。
厚生労働省は、新規学卒就職者の離職状況を毎年公表しています。
令和4年3月卒業者の就職後3年以内離職率は、大学卒が33.8%、高校卒が37.9%でした。
※出典:「新規学卒就職者の離職状況(令和7年10月発表)」厚生労働省
3年で3人に1人が職場を離れる計算となります。
ただし、心理的安全性研修で離職率が何ポイント下がるという公式値はありません。
研修に入る前に、自社の定着課題のどれを扱うかを決めておきましょう。
相談先の不在・業務量の偏り・期待値のずれでは、打つ手が違います。
扱う課題をひとつに絞れば、研修の内容も具体的に設計できます。
管理職のかかわり方を揃える
心理的安全性研修の5つ目の目的は、管理職の聴き方・返し方・会議の進め方を揃えることです。
場の安全性は、上司の言動に強く左右されます。
否定から入る・発言を嘲る・後で持ち出す、といった返しは発言を止めます。
一度でも起きれば、同じ場で次の発言は出にくくなるでしょう。
ただし、一般社員向けのワークだけでは場は開きません。
管理職の言動が以前のまま残れば、受講者の行動も数週間で戻ります。
研修では、管理職が自分の返し方を点検する時間を確保しましょう。
点検の材料には、直近の会議で実際に出た発言を使います。
実際の発言を扱えば、管理職も自分の癖として受け止められます。
一般論の事例では、自分の話として届きません。
心理的安全性研修の内容5つ
心理的安全性研修は、定義の共有や管理職の言動の点検など、5つの内容で構成されます。
当日の流れは次の順に組み立てましょう。
- 定義とぬるま湯との違い
- 自チームの現状把握
- 聴く・質問するコミュニケーション
- 失敗の共有と振り返り
- 管理職の言動の点検
知識の講義だけで終わらせると、翌週の会議は変わりません。
自チームの場面で練習するところまで進める構成にします。
対象は管理職を中心に置き、一般社員を入れる場合は役割を分けましょう。
続いて、5つの内容を順に詳しく見ていきます。
定義とぬるま湯との違い
心理的安全性研修の最初の内容は、定義とぬるま湯との違いを揃えることです。
心理的安全性は、基準をなくした馴れ合いではありません。
つまり、仕事の基準を保ったうえで対人リスクを取れる状態を指します。
反対や指摘が言えない仲良しの状態は、むしろぬるま湯に近づきます。
ミスを見ない・期限を緩め合う・フィードバックを避ける、といった状態も学習にはあたりません。
説明に迷ったら、エドモンドソン氏の対人リスクを取るという定義に戻します。
4段階モデルはエドモンドソン氏の1999年論文の定義ではない点も伝えましょう。
出典を分けておけば、受講者が社外の資料を読んだときにも混乱が起きません。
用語の出どころを揃えておけば、社内の議論も噛み合います。
自チームの現状把握
心理的安全性研修では、他社事例の前に自チームで発言しにくい場面を見ます。
現状が見えないまま技法に入ると、練習が自分の課題とつながりません。
会議・チャット・1on1・ミス報告のどれが止まりやすいかを、受講者に書いてもらいましょう。
特に、書き出す段階では個人が特定されない形で場面を置きます。
名前が出る形にすると、受講者は当たり障りのない例しか書きません。
現状を点数化する公的な必須規格はありません。
自社で観察できる行動で置くほうが、議論は具体的となります。
発言の偏り・会議中の沈黙・後出しの不満が、扱いやすい観察項目です。
書き出した現状は、研修後の比較材料としても残せます。
比較できれば、変化の有無も判断できるでしょう。
聴く・質問するコミュニケーション
心理的安全性研修の中心には、受け取り方と問いの置き方の練習を入れます。
技法を知るだけでは、会議での返し方は変わりません。
練習では、結論から否定しない・事実と解釈を分ける・開く問いを置く、の3点を扱います。
3点は、短い発話例まで落としておきましょう。
「なぜできなかったのか」ではなく「どこで止まったのか」と聞く形が一例です。
なお、アサーションや傾聴は補助の技法にあたります。
定義はあくまで、対人リスクを取れる状態にあります。
技法の習得そのものを研修の目標に置くと、本来のねらいから外れてしまうでしょう。
練習は、実際の会議で使う場面を想定して行います。
想定が具体的なほど、翌日の会議でも言葉が出てきます。
失敗の共有と振り返り
心理的安全性研修には、非難せず事実を扱う振り返りの型を入れます。
型が決まっていない職場では、振り返りが原因探しに流れがちです。
進め方は、何が起きたか・次に変える行動、の順に固定しましょう。
順序を決めておけば、人の評価に話が移りません。
振り返りの公式フォーマットはありません。
自社の会議の終わり5分や、週次のミーティングに載せられる粒度に整えます。
既存の場に組み込めば、新しい会議を設ける負担もかかりません。
型が定着したチームでは、ミスの共有そのものが早くなります。
早い共有は、顧客への影響が出る前に手を打つ余地を残してくれるでしょう。
振り返りの記録は、次の担当者への引き継ぎにも使えます。
管理職の言動の点検
心理的安全性研修では、管理職が自分で場を閉じていないかを点検します。
なかには、本人に自覚がないまま発言を止める返しを続けている場合もあります。
途中で結論を出す・冗談で切る・発言者を後で持ち出す、といった言動が代表例です。
各項目には、代わりに使える返しを対で置きましょう。
対で示さなければ、管理職は次の会議で何を言えばよいか判断できません。
点検は、自己診断だけで終わらせない形にします。
翌週の会議で試す一言も、ひとつ決めてもらいましょう。
決めた一言は、フォローの回で実行できたかどうかを確かめられます。
点検の結果は、管理職同士で共有する形にしましょう。
他部署の例を知れば、自分の癖にも気づきやすくなります。
心理的安全性ワークショップの進め方5つ
心理的安全性研修のワークショップは、発言のハードルを下げるところから翌週の行動を決めるまでの順で進めます。
当日の進行は次の5つで組み立てましょう。
- 発言のハードルを先に下げる
- 自チームの場面を題材にする
- ペア・少人数で小さく話す
- 行動ルールをその場で決める
- 翌週の会議で試す行動を決める
講義のあとに体験を置き、行動ルールと試す行動まで進めるところが要点です。
体験を挟まなければ、受講者は自分の会議に引き寄せて考えられません。
所要は半日を目安にし、講義よりワークの時間を長く取ります。
続いて、5つの進め方を順に詳しく見ていきます。
発言のハードルを先に下げる
心理的安全性研修のワークショップは、本題の前に発言のルールと時間を示すところから始めます。
短い自己紹介や一言から入る流れにしましょう。
最初の発言が出ない場では、その後のワークも動きません。
冒頭で合意しておく項目は3つに絞ります。
批判しない・途中で被せない・発言を評価に直結させない、の3点が基本です。
特に、評価に直結させないという合意は管理職から明言してもらいます。
最初から全体の前で長い発表を求める進行は避けましょう。
求められた受講者は、当たり障りのない内容だけを話します。
冒頭の一言は、直近の業務で困った点をひとつ挙げる形にすると答えやすくなります。
困った点であれば、成果の大小に関係なく誰でも話せるでしょう。
自チームの場面を題材にする
心理的安全性研修のワークショップでは、自チームの会議・1on1・ミス共有の場面を題材にします。
抽象的な心理的安全性論から入ると、受講者の手が止まります。
直近1か月で発言しにくかった場面をひとつ選んでもらいましょう。
記憶が新しい場面ほど、原因も具体的に出てきます。
共有の段階では、個人が特定されない形に整えます。
特定できる形のまま扱えば、受講者は率直な例を出しません。
あわせて、他社の成功談を視聴するだけの構成は避けます。
視聴で終わると、自社の会議で使える行動まで届かないためです。
題材が決まらない参加者には、直近で判断に迷った場面を勧めましょう。
迷いが残る場面ほど、扱う価値のある論点が含まれます。
ペア・少人数で小さく話す
心理的安全性研修のワークショップでは、全体発表の前にペアや少人数で話す時間を置きます。
3人から4人の単位が扱いやすくなります。
発言が少ない人ほど、全体の場では黙りやすくなるためです。
小さな単位で一度話しておけば、全体共有でも口を開きやすくなるでしょう。
オンラインで実施する場合は、ブレイクアウトルームを使いましょう。
人数の公式規格はありません。
人数は、自社の会議室とオンラインの制約に合わせて決めましょう。
同じ部署だけで組むと本音が出にくい場合は、部署をまたいで組み合わせます。
組み合わせは進行役が先に決め、当日の指名で迷わない形にしておきましょう。
決めた組み合わせは、資料の進行欄にも書いておきます。
行動ルールをその場で決める
心理的安全性研修のワークショップでは、会議と日常で守る行動ルールをその場で合意します。
持ち帰って検討する形にすると、ルールは決まらないまま終わります。
例として挙げやすいのは、結論の前に全員が一言出す・わからないと言える・ミスは当日中に共有する、の3つです。
数は3つ以内に絞りましょう。
多すぎるルールは、翌週には誰も覚えていません。
決めたルールは、部署名入りで1枚に書いて持ち帰ります。
特に、観察できる行動の形まで落とすところが重要です。
風通しを良くするといった表現では、守れたかどうかを判断できません。
決めたルールは、次回の会議の冒頭で読み上げる担当まで決めておきます。
読み上げる人がいれば、ルールは忘れられません。
翌週の会議で試す行動を決める
心理的安全性研修のワークショップの締めでは、翌週の定例会議で実際に試す行動を決めます。
試す行動は1人ひとつまでに絞りましょう。
複数を持ち帰ると、どれも実行されないまま終わります。
誰がいつどの会議で試すかまで書いてもらいます。
会議名まで決まっていれば、上司も同席時に見落としません。
決めた行動は、その場で読み上げてもらいましょう。
参加者が相互に把握した状態で終われば、翌週に実行したかどうかを互いに確かめられます。
なお、研修後のフォローの回は別の章で扱うため、当日はここまでで締めます。
決めた行動は、進行役が一覧にして参加者へ送りましょう。
一覧が手元にあれば、当日の熱量が下がっても内容を思い出せます。
心理的安全性研修資料の作り方3つ
心理的安全性研修の資料は、目的と到達状態を1枚目に置くところから作ります。
作成の手順は次の3つです。
- 目的と到達状態を1枚目に置く
- 自社の事例とNG言動を入れる
- ワークの手順と発言の順番を書く
配布資料は、スライドの全文コピーにしません。
当日に見るスライドと、後から見返すメモでは必要な情報が違うためです。
持ち帰る側は、会議の前に見返せるメモとして仕上げましょう。
次に、3つの手順を順に詳しく見ていきます。
目的と到達状態を1枚目に置く
心理的安全性研修資料の1枚目には、何を変えたいかと終わった後の到達状態を書きます。
冒頭で共有されていなければ、受講者はワークの意図をつかめません。
目的は、自社の場面の言葉で書きましょう。
発言が出る会議にする、といった表現なら受講者にも伝わります。
到達状態は、受講者の理解度では書きません。
会議とミス共有で観察できる行動として置きます。
あわせて、対象が管理職のみかチーム同席かを同じ1枚に明記しましょう。
対象が書かれていないと、受講者は自分の役割を判断できません。
管理職のみの回では、部下への伝え方まで1枚目に添えておきましょう。
伝え方まで揃えておけば、部署ごとの説明も食い違いません。
自社の事例とNG言動を入れる
心理的安全性研修資料には、自社でありがちなNG言動と望ましい返しを入れます。
一般論の例だけでは、受講者は自分の職場と結びつけられません。
例を書くときは、実在の個人名を出さず場面で記述しましょう。
名前が出る資料は、配布した時点で議論の質を下げます。
NG言動の例は、会議で遮る・チャットで既読無視を責める・「そんなの常識」で切る、と中黒で並べます。
各項目には、代わりに使える返しをひとつずつ添えましょう。
そして、書籍や他社の事例を借りる場合も自社の場面を主に据えます。
自社の場面が中心にあれば、資料は研修後も現場で参照されます。
参照された資料は、次年度の研修設計でもそのまま使えるでしょう。
事例は毎年見直し、古くなった場面は差し替えます。
ワークの手順と発言の順番を書く
心理的安全性研修資料には、ワークの手順・所要・発言の順番を書きます。
手順が書かれていれば、進行役が代わっても同じ流れを再現できます。
進行は、個人記入・ペア・全体共有の順で並べましょう。
各段階の所要は分単位で書きます。
全体共有では、役職が上の人から話す形にしません。
上位者が先に結論を述べると、後の発言は同調に寄ります。
特に、発言の順番は先に決めて資料へ書き込んでおきましょう。
ファシリテーター役・記録役の明示も忘れません。
役割が決まっていないグループでは、議論が始まるまでに時間がかかります。
手順の欄には、各段階の終了時刻も書き込んでおきましょう。
時刻が見えていれば、進行役も残り時間を判断できます。
無料の心理的安全性セミナーの使い方3つ
無料の心理的安全性セミナーは、心理的安全性研修を社内で実施する前の準備として使います。
使い方は次の3つです。
- 社内実施の前に論点を掴む
- 自社の課題と合うかを確認する
- 持ち帰った内容を資料とワークに落とす
無料セミナーだけで社内の課題が解決するわけではありません。
社内設計の材料を集める場として位置づけます。
扱うのは、あくまで社内実施の前の使い方です。
次に、3つの使い方を順に詳しく見ていきます。
社内実施の前に論点を掴む
無料の心理的安全性セミナーは、心理的安全性研修を設計する前に論点を掴む目的で使います。
用語のずれを先に埋めておけば、社内の議論も早く進みます。
掴んでおきたい論点は、ぬるま湯との違い・管理職の言動・一度きりでは足りない点の3つです。
視聴は、人事と現場責任者が一緒に行いましょう。
片方だけが視聴すると、社内での温度差が残ります。
メモは、営業トークの記録にしません。
特に、自社で使う問いを3つまで書き出す形が有効です。
書き出した問いは、そのまま当日のワークの材料となります。
視聴後は、人事と現場責任者で認識のずれがないかを確かめましょう。
ずれが残ったまま社内設計に入ると、当日の狙いもぼやけます。
ずれの有無は、視聴直後の15分で確かめられます。
自社の課題と合うかを確認する
無料の心理的安全性セミナーでは、対象階層・時間・演習の有無を確認します。
同じ心理的安全性研修でも、対象が変われば中身は別物です。
経営層向けの講演と、管理職向けのワークでは扱う内容が違います。
自社の課題が会議の沈黙なら、講演の視聴だけでは足りません。
合う合わないを測る公式の点数はありません。
受講後に自社で使える行動が残るかどうかで判断しましょう。
あわせて、演習の有無は申込前の案内で確かめておきます。
案内に記載がない場合は、主催者へ直接問い合わせる方が確実です。
複数のセミナーを見比べれば、自社に必要な要素も絞り込めます。
無料の枠だからと、対象階層を確かめずに申し込む形は避けましょう。
時間を使う以上、判断の材料は先に揃えます。
持ち帰った内容を資料とワークに落とす
無料の心理的安全性セミナーで得た型は、心理的安全性研修の資料とワークに落とします。
型をそのまま使っても、自社の会議では機能しません。
落とし込む先は、自社の場面・NG言動・試す期間の3つです。
セミナーで示された事例は、自社の部署名に置き換えましょう。
ベンダーが示す効果の割合も、そのまま当てはまるとは限りません。
母集団や実施期間が自社と違えば、結果も変わります。
そして、引用する場合は出典と対象を添えて社内資料に載せます。
出典が添えてあれば、後任の担当者も根拠をたどる手間がかかりません。
落とし込みは、視聴した週のうちに済ませておきましょう。
時間が空くほど、当日のメモは使いにくくなります。
視聴直後の印象も、1週間で薄れてしまうでしょう。
心理的安全性研修をチームに定着させるポイント5選
心理的安全性研修をチームに定着させるには、受講の順序からフォローの設計まで5つを押さえます。
人事と管理職が運用で見る点は次のとおりです。
- 管理職とチームで受講の順序を分ける
- フォローの回を置いて定着させる
- 会議と1on1の運用とつなげる
- 定点で状態を見る
- 外部講師は管理職の言動点検に絞って使う
当日の設計だけでは、会議の進み方は変わりません。
受講の順序・フォローの日程・既存の会議とのつなぎまで含めて組み立てます。
定着したかどうかは、会議と日常の行動で確かめましょう。
続いて、5つのポイントを順に詳しく見ていきます。
管理職とチームで受講の順序を分ける
心理的安全性研修では、管理職とチームを同じ回に入れず受講の順序を設計します。
上司の目の前では、部下は率直な例を出しにくくなります。
管理職の回で言動の点検を済ませ、チームの回で行動ルールづくりに入る順にしましょう。
順序が逆になると、点検されていない言動がそのまま持ち込まれます。
全員同席で実施する場合は、ペアの組み方に配慮します。
上下関係が固定された組み合わせでは、率直な会話が生まれません。
なお、人数が少ない組織では管理職の回を1回だけ先に置く形でも成り立ちます。
回数が限られていても、順序さえ守れば管理職の返し方から先に変わります。
順序を決めたら、受講案内にも回ごとの対象者を明記しておきましょう。
対象者が分かれば、参加者も心構えを持って臨めます。
フォローの回を置いて定着させる
心理的安全性研修は、当日から2週間後と3か月後のフォローの回を先に日程へ入れます。
日程に載っていない回は、繁忙期に真っ先に削られます。
フォローでは、試した行動が続いているかを短時間で確認しましょう。
止まった場面がどこかまで聞ければ、次の打ち手も決まります。
全体集合の形にする必要はありません。
チーム単位の15分でも十分に成り立ちます。
なお、フォローの間隔に公式の規格はありません。
自社の会議サイクルと評価サイクルに合わせて決めます。
期末の面談月と重なる時期は、あえて外す判断も必要になるでしょう。
フォローの担当は、人事と各チームの管理職で分けます。
分担が決まっていれば、実施漏れも起きません。
会議と1on1の運用とつなげる
心理的安全性研修で決めたルールは、定例会議と1on1の進行に入れます。
新しい場を作らずに、既存の運用へ載せる形が続きやすくなります。
会議なら、全員が一言出す時間と反対意見の時間を先に取りましょう。
終盤に回すと、時間切れで省略されます。
続いて、1on1では懸念を聞く問いをひとつ置きます。
順調かどうかだけを尋ねる形では、懸念は出てきません。
問いの文言は、管理職の間で揃えておきましょう。
同じ問いが使われていれば、部署ごとのばらつきも小さくなります。
問いの文言は、研修の配布資料にも載せておきましょう。
資料に載っていれば、管理職が交代しても運用は続きます。
引き継ぎのたびに文言を作り直す手間もかかりません。
定点で状態を見る
心理的安全性研修の効果は、発言の偏り・懸念の共有・沈黙を定点で見て確かめます。
四半期ごとの確認から始める形が扱いやすくなります。
公式の必須指標はありません。
そして、自社で観察できる行動を3つまでに絞りましょう。
会議で発言する人数・ミスの当日共有・1on1で懸念が出るか、の3点が使えます。
いずれも会議録と1on1の記録から確認できるでしょう。
定点の項目は、自社の観察行動から選びます。
外部のサーベイ項目をそのまま持ち込むと、現場の実感と食い違う場合もあります。
まずは自社の会議で数えられる項目から始める形が現実的です。
数えた結果は、四半期ごとに並べて推移で見ましょう。
単月の数字だけでは、季節の影響と区別できません。
外部講師は管理職の言動点検に絞って使う
心理的安全性研修で外部講師を使うなら、管理職の言動点検に絞ります。
社内では指摘しにくい領域ほど、外部の出番となります。
自社の上司が自社の上司を点検する形では、率直な指摘が出ません。
評価者と被評価者の関係が、そのまま持ち込まれるためです。
一方、チームの行動ルールづくりは社内のファシリテーターが向いています。
現場の会議を知る人が回すほうが、ルールは具体的となります。
外部に依頼する場合は、講演形式かどうかを先に確認しましょう。
管理職の言動を扱う演習が入っているかどうかで選びます。
見積もりの段階で、演習の時間配分まで確認しましょう。
講義中心の構成では、言動の点検まで届きません。
心理的安全性研修に関するよくある質問
心理的安全性研修については、人事担当者から寄せられる質問が3つに集まります。
法令上の位置づけ・オンライン実施の可否・ハラスメント防止研修との違いの3点です。
続いて、3つの質問に順に回答します。
心理的安全性研修は法令で必須か
心理的安全性研修という名称の実施を義務づけた法令はありません。
関連する規定として、労働施策総合推進法第三十条の二が挙げられます。
同条第1項は次のように定めています。
「事業主は、職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であつて、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。」
※引用:「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」e-Gov法令検索
措置義務の対象は、あくまでハラスメントの防止です。
心理的安全性研修を名指しで義務づけているわけではありません。
ストレスチェック制度も、別の枠組みにあたります。
つまり、心理的安全性研修は義務ではないものの、措置の実効性を高める取組として活用できます。
オンラインでも実施できるか
心理的安全性研修は、知識の共有と短いペアワークであればオンラインでも実施できます。
発言量の偏りは、オンラインでは画面上で見えにくくなります。
チャットでの同時記入や、指名の順番を先に決めておきましょう。
決めておかなければ、同じ人だけが話す形が固定されます。
行動ルールの合意は、日常の会議と同じ形式で行うほうが現場に残ります。
オンライン会議が中心の組織なら、合意もオンラインで構いません。
なお、オンラインの効果が高い、または低いという公式の比較はありません。
自社の人数と拠点の条件で選ぶ判断が現実的です。
初回を対面、2回目以降をオンラインとする分け方も選べます。
対面で関係ができていれば、オンラインでも発言は出るでしょう。
ハラスメント防止研修との違いは
ハラスメント防止研修は、職場のハラスメントを防ぐ雇用管理上の取組の手段です。
心理的安全性研修は、対人リスクを取って学習できるチーム状態をつくることを主なねらいとします。
厚生労働省は、職場のハラスメント対策として事業主が講ずべき措置を示しました。
セクシュアルハラスメント等に関する措置の例は、次のとおりです。
「事業主の方針を明確化し、管理・監督者を含む労働者に対してその方針を周知・啓発すること」
「相談、苦情に応じ、適切に対応するために必要な体制を整備すること」
※引用:「職場におけるハラスメントの防止のために」厚生労働省
両者が重なるのは、相談しやすさと報復しない空気の部分です。
ただし、同一の研修名で両方を満たしたことにはなりません。
措置義務の履行は、方針の周知と相談体制の整備まで含めて確認します。
まとめ
心理的安全性研修は、職位にかかわらず疑問や反対を出せるチームを育てる研修です。
内容は、定義の共有から管理職の言動の点検までを自チームの場面で練習する形に組み立てます。
そして、資料は目的と到達状態・自社の事例とNG言動・ワークの手順と発言の順番の3点で作りましょう。
管理職から順に受け、フォローの回を日程へ入れておけば、会議の進み方として定着します。
企業・社員研修をお探しですか??
- 研修をやったことはあるが、中々効果が現れなかった
- 自社にあった研修を実施したいが見つからない
- 実務で使える研修をして欲しい
