「次代の会社の柱となるような新規事業が生み出せていない」。業務用機器系メーカーA社はそんな課題を抱えていました。それに対し、シナプスがご提供したソリューションが、「VOC(Voice Of Customer)」を軸とした、ワークショップ型のコンサルティングです。

1. クライアントの背景

主力事業の市場が頭打ち。成長が見込める新規事業の開発が急務


上場企業であるA社は、様々な産業領域の大手企業に、業務用機器を製造販売している、典型的なBtoBメーカー。トップシェアを持つ事業もあり、業績は堅調でしたが、ほとんどの事業が、これ以上、市場の成長が望めない、いわゆる「キャッシュカウ(金のなる木)」の事業。そのため、経営陣は、「既存事業が衰退する前に、一刻も早く、新たな事業の柱を育てなければならない」と強い危機感を覚えていました。

※図はよくある事業構造を図示化したもので、将来の成長の柱がなく新規事業が急務となっている

2. クライアントが抱える課題

本質的なニーズがつかめていないため、有望な新規事業が生まれない


新規事業の開発を推進しているA社でしたが、現状では、なかなか有望な新規事業を生み出せていませんでした。

その原因は何か? 相談を受けたシナプスがA社を分析した結果、導き出した答えは、「営業スタッフが『お客様の本質的なニーズ』をつかめていない」ことです。

他社がおこなっていない有望な新規事業を生み出すためには、お客様の声を拾い上げて、言語化できていない本質的なニーズを見つけ出すことが必要です。そのためには、お客様と最も接触頻度の高い営業スタッフが、お客様の声を分析することが重要ですが、A社は、それが十分にできていませんでした。

「これはA社に限らず、BtoB企業によくあることです。BtoB企業は、お客様から『こんなものが欲しい』と要望を受けて、それに応える新しい製品・サービスを開発することには慣れています。しかし、お客様の本質的ニーズを突き止めて、そのニーズに応える商品やサービスを先回りして生み出すことには、慣れていません。だから、営業スタッフも、『お客様の本質的なニーズを見つけ出す』という発想がなかったのです」(担当コンサルタント・後藤匡史)


3. 解決策・ソリューション

ワークショップ型のコンサルティングで、「VOC」を浸透させる

以上の課題を踏まえて、シナプスが提示したソリューションが、「VOC」を軸としたワークショップ型のコンサルティングでした。

VOCとは、「Voice Of Customer」。
直訳すると、「顧客の声」ですが、シナプスの定義は、「仮説に基づいて顧客の現実を把握することで明らかになった本質的ニーズ」です。

VOCが見つけ出せれば、有望な新規事業を生み出しやすくなりますが、お客様に漫然とヒアリングするだけでは見つけ出せません。ヒアリングの前に、新規事業のテーマを絞り込むことや、「こんなニーズがあるのではないか」という仮説を立てることが必要不可欠ですし、話を引き出すヒアリングのテクニックや、お客様の声を分析する方法も知っておく必要があります。そうしたノウハウを、実践的なワークショップ形式で身に付けてもらうのが狙いです。

「このワークショップのもう一つの狙いは、『共通言語を作り出すこと』。顧客と接触する機会の多い営業や顧客担当エンジニアなどの間で、VOCという言葉が当たり前のように使われるようになれば、『お客様の声を分析し、本質的なニーズを見つけ出す』という共通認識を持てるようになります。すると、営業スタイルだけでなく、営業・事業部門、ひいては会社全体の意識が変わっていくと考えています」(担当コンサルタント・後藤匡史)


4. ワークショップ型コンサルティングの詳しい内容

クライアントへのヒアリングを繰り返しながら、4~5カ月で、VOCから事業アイデアを生み出す

「VOC実践ワークショップ」は、メンバーが数名ずつ(おおよそ4-5名)でチームを組んで臨みます。

期間は、4~5カ月。7時間の「集合研修」を5回おこなうのに加えて、集合研修の最後に「インサイドワーク」を出題。仮説を立てて、実際のクライアントにヒアリング。VOCを見つけ出して、事業アイデアに落とし込み、最終的に役員にプレゼンするところまで持っていきます。
個々のチームごとに2時間ずつアドバイスをする「コンサルティングセッション」の機会を2回設けることで、すべてのチームの能力を引き上げていきます。

具体的には、次のような順序で進んでいきます。


(1) キックオフ

ワークショップに入る前に、各部門ごとに1チームずつ、参加者を決めて頂きます。チームごとに、どのような顧客にアプローチしていくか、テーマを決め、最終ゴールを決めてもらいます。

(2) DAY1 BtoBマーケティング基礎(7時間)

VOCを見つけ出すためには、ヒアリングをする前に、「お客様はこんなニーズを持っているのではないか」と仮説を構築することが必要です。そのためには、市場環境やターゲット企業の分析が欠かせません。そこで、第1回目は、PESTや3C、SWOTといった基本的な分析手法を解説。また、のちに精緻な事業計画を落とし込む上で必要となる、STPや「ビジネスモデルキャンバス」などの手法についても解説します。

(3)DAY2 マーケティング分析実践(7時間)

顧客にヒアリングをする際、よく起こりがちなのが、担当者だけにしか話を聞かないこと。しかし、VOCを見つけ出すためには、決定権者などのさまざまなキーマンにも直接ヒアリングして、生の声を集めることが不可欠です。第2回では、DMU(意思決定者関与者)分析や、それを踏まえた購買意思決定プロセスの分析など、有意義なヒアリングをするための実践的な手法について解説します。

(4) DAY3 VOC収集のための仮説構築(7時間)

第3回は、VOCを見つけ出す上で必要な仮説を構築する方法について、解説します。仮説構築のトレーニングをできるよう、演習問題も用意しています。具体的には、「零細明太子メーカー」という架空の顧客を設定し、その顧客がどのようなニーズを持っているのか、そのニーズに対して自社のどのようなソリューションがささるのか、などをチームで考えてもらいます。

(5) 中間発表

3回の研修で学んだことを活用して、実際のクライアントにVOCのヒアリングをおこないます。一旦、中間発表をして、各チームの活動成果を全チームで共有した上で、再びヒアリングをおこないます。

(6) DAY4 仮説検証とソリューション(7時間)

各グループがヒアリングした内容を元に、仮説を検証して、VOCを導き出します。それを元に、社内役員向けにプレゼンテーションする具体的なソリューションを構築します。ソリューションに関しては、コンサルティングサポートセッションでアドバイスをおこないます。

(7) DAY5 プレゼン

役員の前でプレゼンを行います。「面白いのは、役員からの評価はおおむねVOCの量に比例すること。各チームの皆さんは、ここで改めてVOCの大切さに気付くというわけです」(担当コンサルタント・後藤匡史)

ワークショップを導入した成果

特性市場や顧客に対する攻略糸口につながるとともに、VOCを中心とした業務改革へ

A社では、この「VOC実践ワークショップ」を、何度も実施しています。トータルでは、次の2つの成果が得られたと評価を得ています。

1.特定セグメントの顧客を攻略する糸口がつかめた

「〇〇市場のVOCを集める」などとテーマを設定して、特定セグメントのVOCを集めることで、そのセグメントの攻略の糸口をつかめた、という意見を頂いています。実際に、ワークショップで得られたVOCから商品化につながった事例もあります。

2.VOCが共通言語となり、意識改革が図れた

今では、すべての営業部門のスタッフだけでなく、経営トップまでが「VOC」という言葉を使うように。社内の共通言語になることで、「お客様の本質的なニーズをつかむ」ということがあたりまえの日々の活動になっています。

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