1.ハイプ・サイクル

1-1.ハイプ・サイクルとは

ハイプ・サイクル(英語: hype cycle、ハイプ曲線)は、特定の技術の成熟度、採用度、社会への適用度を示す図です。

ハイプ・サイクルは、テクノロジーの進化段階の指標として、アメリカの調査会社ガートナーが考案し、1995年から毎年今年のハイプ・サイクルを発表しています。特定の技術がいかに成熟し、採用され、社会に浸透していくかを示す図です。


ハイプ・サイクルのイメージ

ガートナーのハイプ・サイクルは2000を超えるテクノロジーを100の分野にグループ化し、その成熟度と企業にもたらされるメリット、今後の方向性に関して分析した情報を提供しています。

1-2.ハイプ・サイクルは何に役立つか

ガートナーのハイプ・サイクルは、新技術マーケティングや新テクノロジーの企業導入時期の検討参考情報として活用できます。

ハイプ・サイクルの図は、曲線を使って新技術の登場によって、関心が高まり、期間と誇張(「ハイプ」)が高まり、やがて失望を経て安定するまでを説明しています。技術がいつ、どのように次の段階に進んで利益を生み、社会に受け入れられていくかも示しています。

2.ガードナーのハイプ・サイクルの5段階

2-1.Step1:黎明期(技術の引き金、Technology Trigger)

ハイプ・サイクルの最初の段階は、黎明期で「技術の引き金」またはブレークスルー(飛躍的前進)から始まります。新製品発表やその他のイベントが報道され、世の中の関心が高まる時期です。

2-2.Step2:流行期(過剰期待の頂、Peak of Inflated Expectations)

ハイプ・サイクルの次の段階では、流行期で世間の注目が大きくなります。過度の興奮と非現実的な期待が生じることが多い時期です。成功事例が出ることもあるが、多くは失敗に終わります。

2-3.Step3:幻滅期(幻滅のくぼ地、Trough of Disillusionment)

ハイプ・サイクルの3段階目は、幻滅期です。技術は過度な期待に応えられず急速に関心が失われ、「幻滅のくぼ地」にります。幻滅期には、メディア・マスコミはその話題や技術を取り上げなくなります。

2-4.Step4:回復期(啓蒙の坂、Slope of Enlightenment)

ハイプ・サイクルの4段階目は、回復期です。メディアでその技術が取り上げられなくなった一方、いくつかの事業は「啓蒙の坂」を登りながら継続し、その利点と適用方法を理解するようになります。

2-5.Step5:安定期(生産性の台地、Plateau of Productivity)

ハイプ・サイクルの4段階目は、安定期です。広く世の中に宣伝され新技術が受け入れられるようになると、技術は「生産性の台地」に到達すします。その技術は徐々に安定し、第二世代、第三世代へと進化し、安定的な技術になってきます。なお、その台地の最終的な標高は、その技術が広範に適用可能かあるいはニッチ市場のみかによって、様々です。

3.ガートナーのハイプ・サイクルの使い方:CIO・CEOの新技術評価

ガートナー社の唱えるハイプ・サイクルの目的は、現実から誇張(ハイプ)を切り離すことにより、CIOやCEOが特定技術の採用可否を判断できるようにすることです。

新しい技術は、ハイプ・サイクルの図が示すとおり、一度技術の良さが現実より誇張されます。

これらの新技術は、そのまま安定的な技術として浸透していくものも多いですが、しばしばメディア・マスコミなどの影響を受けて過度な期待をされ、そのまま世の中に受け入れられず消えていく技術も多いのです。

ガートナーのハイプ・サイクルを理解し、ウォッチすることにより、期待先行で実際は、自社への有効活用が期待できない新技術を間違って採用することが回避しやすくなります。

3-1.注意点その1:新技術の採用は流行だけで判断しない

新技術導入を自社で採用検討するとき、採用判断を流行だけで判断しないことが重要です。流行っているから、他社がやっているからという理由で決定した新技術導入の多くは失敗します。
流行だえでなく、実際の新技術導入の価値を定量的に判断しましょう。特に、黎明期、流行期とされている新技術の採用可否は、技術の良さが誇張されているとの前提で判断してください。

3-2.注意点その2:同じ技術が名前を変えて再度流行することがある

ガートナーのハイプサイクルでは、昔流行した技術が幻滅期を迎えます。

しかし、同じ概念の技術トレンドが、再度名前を変えて流行することがあるので注意が必要です。特に、IT業界では、名前を変えた技術トレンドの再流行は、しばしば起こっています。

同じ技術が名前を変えて新技術として再度流行した例

  • クラウド:同技術の過の名称 ASP
  • IoT:同技術の過去名称 M2M
  • モバイルネットワーク、クラウドネットワーク:同技術の過去名称 ユビキタスネットワーク
  • 動画配信、双方向通信:同技術の過去名称 マルチメディア

特に注意すべきは、技術の名称を変えてから、今では、当然のように使われている技術(ハイプ・サイクルの回復期、安定期に入っている)でも、名称が変わる前の最初の名称の時代は実用に至らなかった技術がたくさんあることです。

上記リストは、今では当然のように採用されている技術ですが、「ASP」「M2M」「ユビキタスネットワーク」「マルチメディア」と呼ばれていた時代は、ほとんど実用化がなされませんでした。

つまり、流行期まで至ったものの、回復期、安定期にはいたらず名称として消えていった技術です。いずれも、「IoT」「モバイルネットワーク、クラウドネットワーク」などは、現在技術進化はしているものの、技術の基本概念自体は、10年、20年前から変わらず別の名称として存在していたものばかりです。

4.実際のガートナーのハイプ・サイクルの例:2015年

ガートナーが2015年8月に発表した「2015年のハイプ・サイクル」です。


2015年のハイプ・サイクル ガートナー社ニュースリリースより

参考情報

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