シナプス海老原です。

「子供教育マニア」の私が執筆する「子育てに学ぶ人材育成方法シリーズ」。今回は、「コンフォートゾーンを抜け出しし楽しくラーニングゾーンに入る方法」とです。

成長する環境「ラーニングゾーン」というコンセプトがあります。このコンセプト自体は、能力開発に重要なコンセプトです。

しかし、「コンフォートゾーンを抜け出しラーニングゾーンに入ることは辛いもの」とする考え方が主流です。「コンフォートゾーンから辛いラーニングゾーンに楽しく入る方法」について考えてみました。


1.コンフォートゾーン、ラーニングゾーン、パニックゾーン


置かれた環境

ラーニングゾーンとは、元GEリーダーシップセンターのディレクターで、ミシガン大学ビジネススクール教授のノエル・M・ティシーが、提唱した人材育成・能力開発に関するコンセプトです。

「コンフォートゾーン」「ラーニングゾーン」「パニックゾーン」という3つのゾーンがあり、通常3つの円で表現されます。

円の外へいけばいくほど、チャレンジングな環境、困難な仕事を与えられている環境です。


1-1.コンフォートゾーンとは


コンフォートゾーンはその名の通り自分にとって快適な状態です。仕事でいえば、これまで慣れた仕事を、今まで通りのやり方でこなせばよい状態です。

コンフォートゾーンは、言葉通り「快適」ではあるものの、自己成長の点からは、学びが少ないゾーンです。コンフォートゾーンに居続けては、成長はできません。成長するには、コンフォートゾーンを抜け出して、ラーニングゾーンへ入る必要があります。

1-2.ラーニングゾーンとは

ラーニングゾーンというのは、快適なコンフォートゾーンから1歩外へ抜け出た状態です。仕事でいえば、チャレンジングな仕事、新しい仕事、高い目標の仕事に従事している状態です。

コンフォートゾーンを抜け出しラーニングゾーンにいる間は、コンフォートゾーンにいるときより、学びの質が高い状態といえます。コンフォートゾーンにとどまらず、自分の身をラーニングゾーンに置き続けることにより、確実な自己成長ができるのです。

一方、ラーニングゾーンにいる間は、自分の現在の能力以上の負荷がかかっている状態のため、快適な「コンフォートゾーン」に比べ、通常「辛い」「苦しいゾーン」といえます。

1-3.パニックゾーンとは

ラーニングゾーンのさらに外側はパニックゾーンといいます。自分の能力の限界を超えた状態、アンコントローラブルな状態す。プールで覚えれているような状態を想像するといいでしょう。ラーニングゾーンを越えたパニックゾーンでは、そのままでは、学びは起きない。というのがポイントです。

2.コンフォートゾーンを抜け出しラーニングゾーンに入ることで成長


2-1.自己成長のためには、コンフォートゾーンを抜け出しラーニングゾーンへ入る


コンフォートゾーンは、その名の通り自分に快適な状態です。コンフォートゾーンでは、楽に仕事が進められる状態で、成長速度が遅くなります。コンフォートゾーンを抜け出して、ラーニングゾーンに入り自分に辛い負荷をかけることで自己成長していくというのが、「コンフォートゾーンとラーニングゾーン」のコンセプトの基本的な考え方です。

2-2.コンフォートゾーン抜け出しラーニングゾーンへ強制は要注意

さて、この「コンフォートゾーンからラーニングゾーンへ出て自己成長する」というこの考え方自体は正しいと思います。しかし、「使い方・運用の仕方には注意が必要」だというのが、私の考え方です。

コンフォートゾーンとラーニングゾーンの考え方は、企業幹部養成などの文脈で使われることが多く、「大変な環境に強制的にでも放り込んで学ばせる」のを是とします。

ストレス耐性の強い1,2割の「できる人」は、これでいいでしょう。一方、残り9割の人には、ラーニングゾーンを強制することは、ハードルが高いです。

ハードルが高いだけならよいのですが、むしろその人にとってマイナスになるときがあります。

2-2.ラーニングゾーンに入ることがマイナスになる人

実際に、長く教育に関わっているとコンフォートゾーンを抜け出しラーニングゾーンに入ることを極端に避ける社会人を何度も見てきました。ラーニングゾーンに入ることがマイナスになる人もいるようです。これは、どういうことでしょうか。

×ラーニングゾーンと思ったらパニックゾーンだった

おそらく、過去にチャレンジして失敗し、挫折し、挑戦することが怖くなっているのでしょう。その時周りや上司からみたら「ラーニングゾーン」だと思っても、本人にとっては「パニックゾーン」に入ってしまい、「もう踏み出したくない」という意識を持ってしまったのでしょう。

○パニックゾーンだと思ったらラーニングゾーンだった

また、ラーニングゾーンを超えて、パニックゾーンに放り込むことで、急成長させるという考え方もあるようです。しかし、パニックゾーンに放り込むことで、成長できる人はほんの一握りです。おそらく急成長できた人は、本人にとって、実際は「パニックゾーン」ではなく、ぎりぎり「ラーニングゾーン」に入っていたのでしょう。

「パニックゾーンなのか、ぎりぎりラーニングゾーン内か」は、本人には大きな違いです。実際、パニックゾーンでバーンアウト、脱落してしまう人も多いのです。


3.子育てに学ぶ人材育成:コンフォートゾーンを抜け出し楽しくラーニングゾーンに入る方法


3-1.コンフォートゾーンを抜け出しラーニングゾーンに入るのは辛くて当然?

ラーニングゾーンというのはポジティブな言い方です。しかし、コンフォートゾーンのように「快適」ではないのですから、ラーニングゾーンでは、「快適」の対義語である「不快」「辛い」という状態が当然だと思われています。「コンフォートゾーンから抜け出す」のは、気合いと根性の世界です。


3-2.スモールステップで楽しくラーニングゾーンに入れないか


辛いことをよしとする人、むしろ推奨する人もいるでしょう。しかし、「コンフォートゾーンから抜け出し楽しくラーニングゾーンに入る」ことはできないのでしょうか。 私は、スモールステップの原理を使うことで、「楽しくラーニングゾーンに入れる」と考えています。

3-3.スモールステップで小刻みにラーニングゾーン目標を与える


縄跳び練習

いつものように、子どもに実験台として活躍してもらいます。

私は、子どもと遊ぶときは、自然にラーニングゾーンに導くようにしています。しかし、「コンフォートゾーンから、一度にラーニングゾーンに入る幅をものすごく小さくする」ことを心がけています。

8割型成功するだろう。というぐらいのステップ感です。縄跳びなら、5回飛べたら、「次は5回より多くいけるかな~」と少しあおる程度です。「じゃ、次は10回目指そう」とは決していいません。


3-4. コンフォートゾーンを抜け出しラーニングゾーンに入ることが楽しくなる


「もっと高い目標を与えるべき」という考え方もあるでしょうが、私は「スモールステップの原理」を使い、コンフォートゾーンから、小刻みに小さい目標を与える方法が効果的と思ってます。

スモールステップの原理を使うと何がいいか。子どもは自らコンフォートゾーンを抜け出し、チャレンジすることを楽しみ「楽しくラーニングゾーンに入れます。」本来辛いコンフォートゾーンを抜け出しラーニングゾーンに入ることが、楽しいことに変わるのです。

「チャレンジして、成長するのが楽しい」。これがわかってくると、私が何も働きかけなくても、勝手に少しずつ自分で、コンフォートゾーンを抜け出しラーニングゾーンに入って成長していきます。放っておいても自己成長する状態です。。

3-5. パニックゾーンから守る

「コンフォートゾーンを抜け出し楽しくラーニングゾーンに入ることを身につけてもらう」と同時に、私は「パニックゾーンに入らないように守る」ことも重視しています。

縄跳びを続けていたら、段々疲れてきたようで、「今日の最高記録」を更新するのが難しくなってきました。すると、娘は涙目。ここで、私は、これ以上チャレンジすることを、すぐ辞めさせて、違う遊びに誘導しました。

このまま「諦めるんじゃない。がんばれ」と指導する選択肢もあるでしょう。しかし、私は、「チャレンジすること自体」「縄跳びすること自体」を嫌いにならず、いい印象が残るよう、練習を途中止でとめました。コンフォートゾーンを抜け出しラーニングゾーンに入る楽しさを理解さて、パニックゾーンに入った瞬間を見極め止めたのです。

3-6. 成長幅より、自己成長の仕方を身につけること


コンフォートゾーンを抜け出し、高い目標を与える。遠くのラーニングゾーンに放り込む。この方が当然、一度の成長幅は大きくなるでしょう。

しかし、「本来辛いコンフォートゾーンを抜け出しラーニングゾーン入ることを、楽しくする方法」が身につけば、教える側が何もしなくても自己成長していくのです。つまり、「成長の仕方自体を身につける」ことができます。

特に子どもの場合、成長させることも重要ですが、「成長の仕方自体を身につける」こと、つまり自分自身で楽しくコンフォートゾーンを抜け出し、ラーニングゾーンに入り続ける方法を身につけさせるのが重要ではないでしょうか。

まとめ

「子育てに学ぶ人材育成」として、特に子どもの場合「コンフォートゾーンを抜け出し楽しくラーニングゾーンに入る方法」を身につけること。「成長の仕方自体を身につけること」が重要といいました。

しかし、これは「大人の教育」でも同じではないでしょうか。

大人の学習においても我々講師は、受講生をずっとサポートできるわけではありません。研修やスクールの時間は、人生の中でほんのわずかな時間です。研修や講義で「コンフォートゾーンを抜け出し楽しくラーニングゾーンに入る方法」「成長の仕方を身につけてもらうこと」が、最高の講義だと思っています。


参考情報

ロジカルシンキングを使った人材育成コラムシリーズ


楽しくラーニングゾーンに入れるロジカルシンキング研修

「ロジカルシンキング研修」は、自分の仕事の論理思考課題を持ち込み、毎回全課題を講師が個人別添削することにより論理思考力を鍛える研修です。(講師:海老原)

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