シナプス家弓です。

昨今、シナプスでは「VOC(Voice Of Customer)経営」というテーマを研究し、VOC経営の組織浸透コンサルティングに力を入れています。ここで、VOC経営の考察をまとめます。


1. VOC経営とは何か?


1-1.「VOC経営」では、すべてが顧客の声に基づく

顧客の声、顧客ニーズがビジネスの上でとても重要であることは、今さら言うまでもありませんよね。しかし、VOCを徹底的に収集し、戦略的に活用され、行動や成果につながっている組織は極めて少ないです。

そこで、シナプスは、今こそ敢えて「VOC経営」の実践を提唱します。「VOC経営」とは、次のような定義です。

『戦略構築から現場のアクションに至るまで、全ての意思決定プロセスや行動規範が、顧客視点、真のニーズに基づいている組織経営』

1-2.VOC経営の実現には真の顧客思考が必要

VCO経営実現のためには、表面的な顧客の言葉だけではなく、組織的に次の3つを掴むことが不可欠です。

  • 顧客がハラの底で考えている本音
  • 現場で起きている赤裸々な現実
  • 顧客自身も気づいていない重要な課題

つまり、顧客の声、行動、現場に、徹底的に目を向け、耳を傾ける。そしてVOCを元に顧客とともに真剣に考え、課題解決に導くことが求められています。


2.VOC経営を阻むモノ


VOC経営と、顧客の声を中心とした経営の実践。これが意外と難しい。まず、VOC経営を推進するための阻害要因を考えます。VOC経営実現には、次の4つのハードルがあります。


2-1.経営トップのコミットメント不足


トップマネジメントは顧客主義を掲げつつ、実は本気でコミットしていない。顧客本位の行動を起こしていない。これは実はトップの意識が顧客思考を持っていない証です。

当然、現場も顧客思考になれず、VOC経営は実現しません。


2-2.現場一人ひとりの意識浸透の壁


トップは明確に顧客思考の重要性を解き、方針を示し、VOC経営実現に本気になっている。

しかし、それが現場には浸透せず、一人ひとりのマインドや行動は本気で顧客に向いていない。そんな組織に限って、社員は「自分は顧客を理解している」と誤解していることが多いです。


2-3.現場の文化や習慣のハードル


トップも現場も顧客思考の重要性を認識し、変革の必要性を感じている。

しかし、行動を起こす気持ち持ちつつも、これまでの文化や行動習慣が顧客志向への変革を阻んでいる。顧客のもとに足を運ぶことに抵抗感を感じ、フットワークが重くなる。あるいは顧客に時間をとってもらうことに、恐れやうしろめたさをもってしまう。


まとめ:VOC経営4つのハードル


まず、「経営トップのコミットメント」は最も大きな影響力を持っています。はじめに、経営トップが本気でVOC経営を実現したいと思っていることが不可欠です。

それを前提として、現場の意識、文化(習慣)、スキルの問題がVOC経営を阻んでいることが多いようです。顧客思考のVOC経営を浸透させるため、意識、文化、スキルを組織的に変革するには、多大なエネルギーを要するため、挫折している企業がとても多いように感じます。


3.VOC経営実現のための基本コンセプト-行動が文化を変える


シナプスが提供するVOC経営プログラムは、社内にVOC推進プロジェクトチームを組成してもらいます。そのプロジェクト運営を通じて、組織を顧客思考に変えていきます。VOC経営実現サービスの基本的なコンセプトは、以下の3つです。


  • 行動が変われば、スキルが身につく
  • 行動とスキルが変われば、意識が変わる
  • 一人ひとりの意識が変われば、組織の文化が変わる

3-1.行動が変われば、スキルが身につく

まず、私たちが行うことは、VOC推進プロジェクトメンバーの行動変革にフォーカスします。とにかく顧客ヒアリングをたくさん行ってもらう。意識変革やスキルアップよりも先に、とにかくVOC取得行動量を激増させます。

その顧客ヒアリング結果を報告、共有しながら、ヒアリングスキルを指導し、少しずつヒアリングの質を上げることに取り組みます。VOC取得を徹底的に繰り返すことで(私たちはこれをヒアリング100本ノックと呼んでいます)、メンバーは確実にヒアリングスキルを身に着けていきます。

3-2.行動とスキルが変われば、意識が変わる

この顧客思考のVOC行動が定着化しはじめると同時に、メンバーの意識に変化が生まれます。VOC推プロジェクトメンバーからは、様々な声が出始めます。

  • 今まで顧客ニーズを表面的にしかとらえていなかった
  • 顧客のもとに足を運ぶことに抵抗がなくなった
  • 真摯に話を聞けば、顧客はちゃんと本音で話してくれることに気づいた

ここで、メンバーはVOC獲得の真の意味合いを理解し、本気で顧客を理解しようという意識に芽生えることになります。

このプロセスから、少しずつVOC推進プロジェクトメンバー以外の関与者にも顧客ヒアリングに同行してもらうなど、VOC経営の社内への広がりを図るとベターです。

3-3.一人ひとりの意識が変われば、組織の文化が変わる

その顧客理解をもとに、戦略構築、具体的なアクションへの落とし込みを行います。

テーマとしては、「新規事業開発」「新ソリューション開発」「営業革新」の3つのテーマがあります。いずれも、顧客ニーズに基づいて施策に落とし込むのに適したテーマです。

VOC経営プロジェクトがが動き始めると、社内の関連組織と調整をし、協同しながらクションを起こしていきます。

この時、他部署組織を動かす最大の武器が、これまで取得した「VOC」です。ふんだんに収集した顧客の声は、ヒトや組織を動かすパワーを持っています。


こういった取り組みが顧客思考に組織文化を変えていきます。一朝一夕とはいきませんが、VOC経営を1年間しっかり続ければ、着実に組織変化が生まれるはずです。

4.VOC経営で顧客思考の組織文化改革を起こすメソドロジー

4-1.【フェーズ1】精鋭プロジェクトによる成功体験づくり

0)プロジェクトコンセプト ~プロジェクトキックオフ前

プロジェクト設計、アウトプットイメージ策定
(商品開発、サービス開発、プロモーション、営業など)

(1)主戦場フォーカス ~MTG2回

 まず行動指針となる注力すべき戦略を構築すること
※レクチャー「主戦場特定のためのSWOT分析」

(2)仮説構築 ~MTG2回

顧客の現実、ニーズに関わる仮説を論理的アプローチで構築。合わせて、基本戦略仮説(ターゲット、ポジショニング)、アウトプット仮説(ソリューション仮説、営業モデル仮説)を構築
ここでコンサルタントによる仮説ブラッシュアップセッション
100本ノックという名のグループコーチング
※レクチャー「ニーズ仮説構築スキル」

(3)精緻な計画を立てる ~ここまでできれば1~1.5か月

ヒアリング論点設計
ヒアリング計画書、およびヒアリングシート作成

(※シナプスオリジナルワークシート)
円滑に行動を起こすための精緻なヒアリングプランを立てる

(4)ヒアリング実査

プロジェクトメンバーが中心となって、アポどり~実査~検証
関連部署メンバーを巻き込み(開発メンバー、営業パーソンなど)

(5)PDCAマネジメントサイクルを回し、戦略構築

顧客情報を集約し、仮説を磨き、戦略を再構築する
再びコンサルタントによる仮説検証ブラッシュアップセッション
ここでまたまた100本ノック

(6)現場アクションに落とし込み

戦略を現場の施策に落とし込み、実行に移す
プロトタイプでもよいので、積極的トライアル → 検証 → 改善
また、PDCAサイクルを回し、戦略&施策ブラッシュアップを図り続ける

  • 新規事業、新ソリューション開発の場合
    プロトタイプ、イメージ動画、コンセプトシートで引き続きヒアリング活動掘り下げ
  • 営業革新の場合
    セールスモデルをアクショントライアル
    PDCAを回して、セールスモデルのブラッシュアップ
    セールスツール等の開発

4-2.【フェーズ2】VOC経営の文化定着化を目指すしくみづくり

(7)VOC INPUTのしくみづくり

 <対象となるINPUT>
ヒアリング、使用現場と行動、購買行動とデータ、その他
・コンタクトポイント棚卸(営業、アンケート、Web、コールセンター)
・営業活動のアンテナ化(含、チャネル)
・定点ヒアリング訪問調査
マーケ部門からヨコ展開(営業、開発、保守部門などへの展開)
マーケ部門の定期調査に、他部門キーパーソン巻き込み、同行
→ 最終的にはのべ1000人ヒアリングを目指す

(8)VOC SHAREのしくみづくりと運用

  • 集約 ~ テキスト化・データ処理分析 ~ 選別 ~ 社内共有(部署別)
  • 共有メディア設計(社内ポータル、メール、社内報、オフィス掲示)
  • エピソードBook
  • 理念、ミッション、価値観
  • 方針説明会、朝礼
  • 言葉遣いの定義

まとめ-VOC経営による顧客思考浸透プロジェクト

  1. 10人のVOCに触れると、顧客思考に立てた気がする
  2. 100人のVOCに耳を傾けると、真の顧客の姿が見えてくる
  3. 1000人のVOCに浸ると、顧客思考で真の競争優位が構築できる
  4. 1000人のVOCに浸ろう!



参考情報

1.家弓正彦のシナプスビジネスナレッジコラム


組織開発コンサルティング

VOC経営を組織浸透させるためのコンサルティングを行います。詳細は「組織開発コンサルティング」を参照ください。


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