シナプス海老原です。

10年以上「新規事業立ち上げ時の混乱期」や「社内で誰もやったことないプロジェクト」など、不確実な状況でのプロジェクトマネージャーばかりしてきました。しかし、PDCAサイクルを回せばを大きくぶれずにプロジェクトを回せることがわかってきました。

今回は私が身につけた「戦略実行ノウハウ-高速PDCAサイクルを回す5つのコツ」について書きます。どうやったら、戦略実行実務で鍛えた崩壊必至の不確実なプロジェクトでもPDCAサイクルを回すテクニックを教えます。

1.PDCAサイクルとは


PDCAサイクル(PDCA cycle、plan-do-check-act cycle)は、事業活動における生産管理や品質管理などで、Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善)の 4 段階を繰り返すことによって、業務を継続的に改善する手法です。

  1. Plan(計画):従来の実績や将来の予測などをもとにして業務計画を作成する。
  2. Do(実行):計画に沿って業務を行う。
  3. Check(評価):業務の実施が計画に沿っているかどうかを評価する。
  4. Act(改善):実施が計画に沿っていない部分を調べて改善をする。

「PDCAサイクルを回せ」とは、どの企業でも聞くでしょう。しかし、PDCAサイクルをうまく回せている企業は少数です。

さらに、不確実なプロジェクト、例えば新規事業プロジェクトにおいてうまくPDCAサイクルを回せている企業や個人はほとんどいないのが現状です。

1-1.不確実な戦略実行ほどPDCAサイクルの回すノウハウが重要

不確実性の高いプロジェクトでは、事前に緻密なプランを立てる意味があまりありません。時には緻密なプランが逆に仇となります。戦略実行方法は「ざっくり戦略Planを作って高速PDCAサイクルを回す」しかありません。

3.戦略PDCAサイクルを回す5つのコツ

「高速にPDCAサイクルを回せ」とはよく言われますが、実際にPDCAサイクルがうまく回っているプロジェクトや事業計画は少ないものです。事業計画でPDCAサイクルをうまく回すコツを掴みましょう。

3-1.PDCAサイクルを回すコツ ①最初のプランは上位の戦略基本方針だけでよい


PDCAサイクルで最初に立てるプランは、上位のざっくりした「戦略基本針しか立てない」ようにしましょう。

不確実性の高いプロジェクトで、細かい計画を立てるのはナンセンスです。まず動いてみてみて、1,2回PDCAサイクルを回し自分の読みの精度が上がってきてから、PDCAサイクルを回すプランの範囲を徐々に下位のプランに広げていきます。

3-2.PDCAサイクルを回すコツ ②基本方針と戦術レベルのプランは区別


マーケティング戦略プランを立てて「PDCAサイクルを回す」といったときに、すべてのプランを同じレベルでPDCAサイクルを回してしまう間違いをよく見かけます。

上位レベルの基本方針のPDCAと日々の行動の戦術レベルのPDCAは、PDCAサイクルの回し方の期間感覚が異なります。

日々PDCAサイクルを回すといっても、上位方針は短期間に変わるものではありません。一方、日々の戦術レベルの行動は、行動した結果を反映し、PDCAサイクルでどんどん改善していきます。

ここの使い分けを間違えるプロジェクトマネージャーは多いようです。

プランのレベル PDCAサイクルの回し方
戦略の基本方針
  • 【PDCAサイクル】半年から1年単位
  • ターゲット方針、発揮する強みなど戦略の基本部分
    PDCAサイクルで変更されることもあるが「より戦略の精度が上がる」のが目指す姿
個別戦略レベル
  • 【PDCAサイクル】1ヶ月(月単位)
  • 基本方針を実現するための方策(今月は、このリストを集中的に攻略というレベル)
戦術・アクションレベル
  • 【PDCAサイクル】1日から1週間単位
  • 営業活動でどこを回るか、資料の改善など、日々の具体的行動

上位の戦略基本方針は頻繁に変えてはいけない

「まず、やってみてPDCAサイクルを回して、どんどん変えていけばいいんだ。」という方は多いです。しかし、日々の戦術レベルは、毎日どんどんん変えていってもかまいませんが、プランのレベルを考えたとき戦略基本方針レベルを頻繁に変更することはNGです。

「戦略の上位基本方針が変わる」と、その下位の個別の戦略レベル、戦術レベルでやるべきことがすべて変わります。つまり、今までPDCAサイクルで、積み上げてきた改善がゼロに戻ります。戦略の上位方針が変わりすぎて、いっこうに改善しないプロジェクトは多いものです。

ちなみに、私の場合、どんな新規事業でも基本方針が変わるのは、3年に1回あるかどうかです。その分、最初の基本方針を確かめるには半年ぐらいの時間をかけます。

3-3. PDCAサイクルを回すコツ ③PDCAサイクルを回すのは事業スタート「前」


例えば、4月からの事業計画で、4月までにプランを作って、そこからPDCAサイクルを回しましょう。と考えるのが普通のプロマネでしょう。

私の場合は、プロジェクトや事業計画がスタートする日、プランを開始する日には、すでに「PDCAサイクルを何回か回している」のが標準です。

不確実性の高いマーケティング戦略プロジェクトは、計画がスタートした日から「PDCAサイクルを回していいプランにしていこう」という考えでは、最初から計画がぶれるのは当然です。例えば、私がプロマネをするときは、プロジェクトスタート時点で、「これはキーだ、ボトルネックとなりえる」、と思う手法・ツールなどは、すでにヒアリングや自分で実行してPDCAサイクルを回し「これはいける」と有効性を判断し終わっているようにしています。

キー事項の仮説検証が終わり、PDCAの2週目に入っているわけです。成果がでる確率・期間の精度もあまりぶれません。

3-4. PDCAサイクルを回すコツ ④2割のバッファを持ったスケジュール作成


事業計画の各プロジェクトで、プランを作るときは「全体スケジュールで、2割のバッファを残」します。

新しい事業では、プロジェクトが進むと未知の状況に必ず出会います。そして、「必ずトラブルに見舞われる」ものです。

スケジュールをギリギリに設計して、全体スケジュールを「遅らせる」や「徹夜で頑張る」などの選択肢をとるプロマネもいるようですが、品質が落ちたり、新たなリスクが増えるので、オススメしません。未知のトラブルが発生する前提でPDCAサイクルを回せる余地を残しておくのです。

3-5. PDCAサイクルを回すコツ ⑤詳細プランは日単位で毎日状況確認

プロジェクトの規模にもよりますが、戦術・実行レベルの詳細なプラン、スケジュールは、「日単位で毎日状況をチェックする」のが基本です。

遅れているタスクなどがあれば、リカバリできる単純な遅れか、構造的な要因で、解決策をうつ必要があるかをすぐに判断する必要があります。

まとめ

「早く動いてPDCAサイクルを回せ」。よく使われる言葉ですが、実際には、PDCAサイクルをうまく回せる方は少数です。特に、新規事業などの不確実性の高いプロジェクトではなおさらです。

しかし、PDCAサイクルをうまく回すコツは存在します。

特に重要なのがプランのレベル感を意識すること。上位方針と戦術レベルのプランを同じ方針でPDCAサイクルを回そうと思うと必ず失敗します。プランのレベル感を意識しながら、PDCAサイクルを回して、新規事業事業やマーケティングプロジェクトを成功に導きましょう。

参考情報

1.海老原一司のシナプスビジネスナレッジコラム

海老原一司:チーフマーケティングコンサルタント
1974年生まれ。早稲田大学理工学部修士課程をへて1999年日本テレコム株式会社入社。IT業界を中心に大企業・ベンチャーなどの事業会社で クラウドサービスなどの10年間以上のプロダクトマネージャ経験を持つ、BtoB事業の新規事業立ち上げ、事業成長のスペシャリスト。プロマネとして新サービスを3年で100倍の売上にした経験を持つ。

2014年シナプス入社。BtoBマーケティングプログラム責任者。
立教大学経営学部講師』(2015年~現在)
グロービス経営大学院(MBA)』(2010年卒)

新規事業プロマネ実務家の裏ワザコラムシリーズ

2.マーケティング戦略のPDCAサイクルを回すための企業研修

顧客ニーズヒアリング研修

BtoB企業攻略のキモ、顧客ニーズヒアリング力を高める企業研修です。仮説思考の論理的ニーズヒアリングプロセスを身につけます。実在の顧客を題材にワークショップ形式でコンサルタントの仮説検証ノウハウを伝授します。

研修プログラムの詳細は『 「顧客ニーズヒアリング研修」-仮説思考で深めるお客様理解』をご覧ください。

マーケティング戦略ワークショップ

VOCとはVoice of Customer=顧客の声です。「マーケティング戦略ワークショップ」-VOCの正しい聴き方では、顧客ヒアリングの仮説設計をし、実際に顧客訪問してVOCを集めます。

VOCによる顧客ニーズの仮説検証結果の発表/フィードバックを繰り返すことにより、仮説検証のPDCAを回し、本質的顧客ニーズ把握力を高めます。

研修プログラムの詳細は 『「マーケティング戦略ワークショップ」-VOCの正しい聴き方』をご覧ください。


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