シナプス海老原です。

私は10年以上「新規事業立ち上げ時の混乱期」や「社内初プロジェクト」など、不確実なプロジェクトのプロジェクトマネージャーばかりしてきました。

不確実なプロジェクトでは、時期や成果のブレが大きいものです。しかし、高速PDCAサイクルを回すコツを身につければ、最小限のブレでプロジェクトを回せることがわかってきました。

今回は私が身につけた「不確実プロジェクトで高速PDCAサイクルを回す6つのコツ」について書きます。どうやったら、戦略実行実務で鍛えた崩壊必至の不確実なプロジェクトでもPDCAサイクルを回すテクニックを教えます。

1.不確実なプロジェクトに必要な高速PDCAサイクル

1-1.PDCAサイクルとは


PDCAサイクル(PDCA cycle、plan-do-check-act cycle)は、事業活動における生産管理や品質管理などで、Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善)の 4 段階を繰り返すことによって、業務を継続的に改善する手法です。

  1. Plan(計画):従来の実績や将来の予測などをもとにして業務計画を作成する。
  2. Do(実行):計画に沿って業務を行う。
  3. Check(評価):業務の実施が計画に沿っているかどうかを評価する。
  4. Act(改善):実施が計画に沿っていない部分を調べて改善をする。

1-2.PDCAサイクルを回して継続的に改善

「PDCAサイクルを回す」とは、どの企業でも聞くでしょう。完璧なプランを作ることは不可能です。すると、プロジェクトでは、プ「ランを立て実行して改善する」というPDCAサイクルを回して、徐々にプロジェクトマネジメントの基本となります。

しかし、PDCAサイクルをうまく回せているプロジェクトは少ないです。

1-3.不確実なプロジェクトでは、高速PDCAサイクルを回す

さらに、不確実なプロジェクト、例えば新規事業や新商品マーケティングにおいて「高速PDCAサイクルを回す」ことが、きちんとできているプロジェクトはほぼ皆無です。

不確実性の高いプロジェクトでは、事前に緻密なプランを立てる意味があまりありません。時には緻密なプランが逆に仇となります。プロジェクトの実行は「ざっくり戦略プランを作って高速PDCAサイクルを回す」しかありません。

これから、私が実務のプロジェクトマネージャー現場「不確実プロジェクトで高速PDCAサイクルを回す5つのコツ」について解説します。

2.不確実プロジェクトで高速PDCAサイクルを回す6つのコツ

「高速にPDCAサイクルを回せ」とはよく言われますが、実際にPDCAサイクルがうまく回っているプロジェクトや事業計画は少ないものです。事業計画で高速PDCAサイクルをうまく回すコツを掴みましょう。

2-1.高速PDCAサイクルを回すコツ ①最初のプランは上位の戦略基本方針だけ


PDCAサイクルで最初に立てるプランは、上位のざっくりした「戦略基本針しか立てない」ようにしましょう。

不確実性の高いプロジェクトで、細かい計画を立てるのはナンセンスです。まず動いてみてみて、1,2回PDCAサイクルを回し自分の読みの精度が上がってきてから、PDCAサイクルを回すプランの範囲を徐々に下位のプランに広げていきます。

2-2.高速PDCAサイクルを回すコツ ②戦略基本方針と戦術レベルのプランは区別


マーケティング戦略プランを立てて「高速PDCAサイクルを回す」といったときに、「すべての階層のプランを同じレベル感でPDCAサイクルを回してしまう間違い」をよく見かけます。

「上位レベルの戦略基本方針のPDCA」と「日々の行動の戦術レベルのPDCA」は、PDCAサイクルの回し方の期間感覚が異なります。

日々PDCAサイクルを回すといっても、上位方針は短期間に変わるものではありません。一方、日々の戦術レベルの行動は、行動した結果を反映し、PDCAサイクルでどんどん改善していきます。

「高速PDCAサイクル」といっても「高速の感覚は階層によって異なる」。このプランの使い分けを間違えるプロジェクトマネージャーは多いです。

プランのレベル PDCAサイクルの回し方
戦略の基本方針
  • 【PDCAサイクル】半年から1年単位
  • ターゲット方針、発揮する強みなど戦略の基本部分
    PDCAサイクルで変更されることもあるが「より戦略の精度が上がる」のが目指す姿
個別戦略レベル
  • 【PDCAサイクル】1ヶ月(月単位)
  • 基本方針を実現するための方策(今月は、このリストを集中的に攻略というレベル)
戦術・アクションレベル
  • 【PDCAサイクル】1日から1週間単位
  • 営業活動でどこを回るか、資料の改善など、日々の具体的行動

3-3. 高速PDCAサイクルを回すコツ ③上位の戦略基本方針は頻繁に変えない

「とにかくやってみることだ。PDCAサイクルを回して、どんどん変えていけばいいんだ。」という方は多いです。しかし、日々の戦術レベルは、毎日どんどんん変えていってもかまいませんが、プランのレベルを考えたとき戦略基本方針レベルを頻繁に変更することはPDCAサイクルの回し方としてNGです。

「戦略の上位基本方針が変わる」と、その下位の個別の戦略レベル、戦術レベルでやるべきことがすべて変わります。つまり、今までPDCAサイクルで、積み上げてきた改善がゼロに戻ります。「高速PDCAサイクルだ」といって、戦略の上位方針まで短い期間で変えるプロジェクトマネジャーも多いです。しかし、あまりに短期で基本方針が変わってしまい、今までのPDCAサイクルで積み上げたの成果が何度もゼロリセット。いっこうに改善しないプロジェクトは多いものです。

ちなみに、私の場合、どんな不確実性の高い新規事業でも戦略基本方針が変わるのは、3年に1回あるかどうかです。その分、最初の戦略基本方針を確かめるには半年ぐらいの時間をかけます。

3-4. 高速PDCAサイクルを回すコツ ④プロジェクト開始前からPDCA


高速PDCAサイクルを回す場合、プロジェクト、事業計画がスタートする日には、すでに「PDCAサイクルを何回か回している」のが基本です。

例えば、4月からの事業計画で、4月までにプランを作って、そこからPDCAサイクルを回しましょう。と考えるのが普通のプロジェクトマネジャーでしょう。

しかし、不確実性の高いマーケティング戦略プロジェクトは、プランがスタートしてから、「さあ、これからPDCAサイクルを回していいプランにしていこう」というやり方では、プランのブレが大きいのは当然です。

例えば、私がプロマネをするときは、「これはプロジェクトのキーだ。ここは、大きなボトルネックとなり得る」、と思う戦略仮説・手法・ツールなどは、プロジェクトスタート時点で、すでにヒアリングや自分で実行してみて、小さなPDCAサイクルを回し「これはいける」と有効性を判断し終えています。キー事項の仮説検証が終わり、PDCAの2週目に入っているわけです。先に確認した上で、プランを作っているので、プロジェクトの成果がでる確率やプロジェクト期間の精度もあまりブレません。

3-5. 高速PDCAサイクルを回すコツ ⑤スケジュールには2割のバッファ


事業計画やプロジェクトで、プランを作るときは「全体スケジュールで、2割のバッファを残す」のが、高速PDCAサイクルを回すコツです。

新しい事業では、プロジェクトが進むと未知の状況に必ず出会います。そして、「必ずトラブルに見舞われる」ものです。

バッファがゼロのプランでスケジュールをギリギリに設計して、トラブルがあるたび、「全体スケジュール大きく変える」「徹夜で頑張る」などの選択肢をとるプロマネもいるようです。しかし、バッファのないプランはリカバリしようとして、品質が落ちたり、新たなリスクが増えるので、オススメしません。未知のトラブルが発生する前提でPDCAサイクルを回せる余地を残しておくのです。

3-6. 高速PDCAサイクルを回すコツ ⑥実行計画レベルは日単位で状況確認

プロジェクトの規模にもよりますが、戦術・実行レベルの行動プラン、スケジュールは、「日単位で状況をチェックしてPDCAサイクルを回す」のが基本です。

例えば、遅れているタスクあれば、リカバリできる単純な遅れか。構造的な要因で、解決策を打つ必要があるかを、すぐに判断します。

ある程度以上大きなプロジェクトになると、日単位の遅れの積み重ねが最後には、2倍、3倍の遅れに繋がることも、ざらです。

まとめ

「早く動いてPDCAサイクルを回せ」。よく使われる言葉ですが、実際には、PDCAサイクルをうまく回せる方は少数です。特に、新規事業などの不確実性の高いプロジェクトではなおさらです。

しかし、PDCAサイクルをうまく回すコツは存在します。

特に重要なのがプランのレベル感を意識すること。上位方針と戦術レベルのプランを同じ方針でPDCAサイクルを回そうと思うと必ず失敗します。プランのレベル感を意識しながら、PDCAサイクルを回して、新規事業事業やマーケティングプロジェクトを成功に導きましょう。

参考情報

1.海老原一司のシナプスビジネスナレッジコラム

海老原一司:チーフマーケティングコンサルタント
1974年生まれ。早稲田大学理工学部修士課程をへて1999年日本テレコム株式会社入社。IT業界を中心に大企業・ベンチャーなどの事業会社で クラウドサービスなどの10年間以上のプロダクトマネージャ経験を持つ、BtoB事業の新規事業立ち上げ、事業成長のスペシャリスト。プロマネとして新サービスを3年で100倍の売上にした経験を持つ。

2014年シナプス入社。BtoBマーケティングプログラム責任者。
立教大学経営学部講師』(2015年~現在)
グロービス経営大学院(MBA)』(2010年卒)

新規事業プロマネ実務家の裏ワザコラムシリーズ

2.マーケティング戦略のPDCAサイクルを回すための企業研修

顧客ニーズヒアリング研修

BtoB企業攻略のキモ、顧客ニーズヒアリング力を高める企業研修です。仮説思考の論理的ニーズヒアリングプロセスを身につけます。実在の顧客を題材にワークショップ形式でコンサルタントの仮説検証ノウハウを伝授します。

研修プログラムの詳細は『 「顧客ニーズヒアリング研修」-仮説思考で深めるお客様理解』をご覧ください。

マーケティング戦略ワークショップ

VOCとはVoice of Customer=顧客の声です。「マーケティング戦略ワークショップ」-VOCの正しい聴き方では、顧客ヒアリングの仮説設計をし、実際に顧客訪問してVOCを集めます。

VOCによる顧客ニーズの仮説検証結果の発表/フィードバックを繰り返すことにより、仮説検証のPDCAを回し、本質的顧客ニーズ把握力を高めます。

研修プログラムの詳細は 『「マーケティング戦略ワークショップ」-VOCの正しい聴き方』をご覧ください。


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